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KOGの新作「Ultimate Race」は,オンラインRPGの作り方からアプローチしたレーシングゲーム
ところで,一言でレースゲームと言っても,「マリオカート」や「リッジレーサー」のようなアクション寄りのタイトルや,「グランツーリスモ」のようなドライビングシミュレーション寄りのタイトルなどさまざまだ。「Ultimate Race」は,見た目では実車をベースにしているが,いったいどんな作品なのだろうか。今回,KOGの副シニアマネージャー Ho-Jung Yang氏から話を聞くことができた。
Yang氏によれば,本作はアクションとシミュレーションの中間を目指した作品なのだという。実際にゲーム画面を見せてもらったが,アイテムを使ったブースト加速などがあり,システムはどちらかと言えばアクション寄りに思える。また先述のとおり,プレイヤーがキーボードで簡単にプレイできるというコンセプトの作品なので,プレイヤーの操作技術が反映されるといったシミュレーション要素からも,少し遠い気がする。
続いて氏は,プレイヤーのガレージ内の様子を見せてくれた。ガレージでは,パーツの付け替えやデカールのデザイン/貼り付けなどができる。とくに本作でユニークなのが,そのユーザーインタフェースだろう。というのも,パーツの付け替えの操作方法やステータスの確認ウィンドウが,MO/MMORPGのようなオンラインRPG風になっているからだ。これまでのレースゲームでも近いUIはあったかもしれないが,リアルなグラフィックスのタイトルであってもオンラインRPGに寄せるあたり,いかにも韓国というべきかもしれない。
もっとも,オンラインゲームが一般的な同国では,これがゲームに入りやすいシステムなのだろう。実際のところ,MMORPGに慣れた人が見れば,レーシングカー用語の意味はさておいて,画面の見方に関しては説明の必要がほとんどないだろう。
さて,レースゲームということで,気になるのが本作に登場する車種だが,地元韓国の車メーカーはもちろん,日本,アメリカ,ドイツなどの有名車を合わせて,制作中の段階ですでに100種類と豊富に用意されているという。ただ,現在ライセンスを取得しているのは,韓国メーカーだけで,海外はこれからになるという。最終的に何種類になるのか(増えるの? 減るの……?)が,気になるところだ。車好きのプレイヤーにとって,愛車や憧れのマシンが入っていないなんてことになれば,それだけでモチベーションが下がってしまいかねないので,ぜひ頑張ってほしい。
ガレージでの車種選択やパーツの装備が終わってマシンに乗り込むと,自由に運転できるオープンフィールド(と話していたが,そんなに広くはなく,インスタンス生成のようだ)に移動する。ここはプレイヤー同士のコミュニケーションエリアで,要は戦闘(レース)前にほかのプレイヤーとチャットする,ロビーのような場所だと思えばいいだろう。
このオープンフィールドは3種類用意されており,一つのスペースにつき30人のプレイヤーが参加できるとのこと。人数はもっと増やすこともできるのだが,マシンのグラフィックスクオリティを重視しているため,人数を制限しているそうだ。
ここでは,パーツショップの利用や,「クエスト」「イベント」などへの参加が行える。クエストは,NPCから仕事を受けてレースなどに挑戦し,その報酬としてパーツやGP(ゲーム内マネー)を得るという言葉どおりのもの。一方のイベントには,F1やNASCARなどの大会に参加できる「ブランドイベント」や,マシンのクラスによって分けて開催される「クラスイベント」に参加できるとのことだ。ブランドイベントについては,権利関係がかなり厳しいと思われるのだが,実現できるのだろうか。
このほか,「アマチュアリーグ」「プロリーグ」といったカテゴリーから選択できるレースや,プレイヤー同士で「クラブ」を組んで,クラブ対抗のようなレースができるモードも用意されているという。なお,現在コースは30種類が用意されており,逆周回や天候の違いといったバリエーションを含めると70種類になるという。将来的にはサービス開始までに,コース自体を70種類まで増やしたいとのことだ。
このほか本作の特徴として,前方のマシンの背後に入り,空気抵抗を減らして加速するスリップストリームの範囲に入ったことが分かるバーが表示されるというものがある。その範囲内にいれば,バーのゲージが増加して加速するという演出だ。
また,マシンの破損表現については,プレイヤーごとのPCスペックが異なることや,破損するということがプレイヤーへのストレスになるため,入れていないという。ただ,パーツごとの耐久度は存在し,オンラインRPGの装備品ように消耗していくので,修理が必要になるようだ。
ちなみに,本作で必要なPCスペックについては,自社開発のDirectX 9ベースのゲームエンジンで制作しており,GeForce GT 440に相当するグラフィックスカードで問題ないとのこと。サービス形態は基本プレイ無料になり,韓国では2015年Q3〜Q4でのサービスを目指しているとのことだ。
最後にYang氏は,上位のプレイヤーしか楽しめないレースゲームではなく,いろいろな人が長期的に楽しめるゲームにしたいと話していた。カーレース好きとしては,気軽に楽しめるレース作品が増えることに期待したいのだが,一方で,本作では各社からのラインセンス取得など,権利関係をどれだけクリアできるか不安が残る。どのような形になるのか,続報を待ちたい。
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