インタビュー
今夏サービス予定のアクションMORPG「CLOSERS」の開発&運営スタッフにインタビュー。今後の展開や実装コンテンツについて聞いた
2015年7月17日から20日にかけて実施されたクローズドβテストに続き,8月18日17:00にはオープンβテストの開始が予定されている(関連記事)。サービスインに向けて着々と最終調整が進められているところだろう。
今回4Gamerでは,「CLOSERS」の国内運営を担当するセガゲームスの関口悦昭氏と,韓国で開発チームを率いるNaddic GamesのKumtae Ryu氏にインタビューを実施し,今後のスケジュールや実装されるコンテンツなどについて詳しく聞いてみた。
「CLOSERS」公式サイト
サービスインを果たした韓国では
キャラクターやストーリーが好評
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
4Gamerでは,昨年10月にもお話をうかがっていますが,あらためて「CLOSERS」の概要を教えてください。
Kumtae Ryu氏(以下,Ryu氏):
「CLOSERS」は,近未来を舞台に特殊能力を持つ者達が強大な敵に立ち向かうMOタイプのアクションRPGです。キャラクターや世界設定,ストーリーは日本のアニメーションを意識した作りで,アニメーションを見たときのカタルシスが味わえるようにこだわっています。
4Gamer:
以前のインタビュー時点では,韓国でCBTを実施している段階でしたが,現在はどのような状況ですか。
Ryu氏:
正式サービスの開始から約半年が経過しました。新規アップデートに加え,既存のコンテンツのリニューアルを進めていて,初期チーム「ブラックランブス」に続く第2のチーム「ウルフドッグ」を登場させることができました。
4Gamer:
日本では7月にCBTが実施されましたが,プレイヤーの反響はいかがでしたか。
関口悦昭氏(以下,関口氏):
大々的に告知したわけではなかったのですが,募集枠(7777名)の2倍以上という予想を遥かに上回る応募があり,たいへん驚きました。コアなPCゲーマーを中心に,「CLOSERS」というゲームを知ってくれていると感じました。
Ryu氏:
CBTではブラックランブスに所属する3人のキャラクターを実装しましたが,1つのチームは5人のキャラクターで構成されます。つまり,今後はブラックランブスのキャラクターが2人追加され,続いてウルフドッグのキャラクターを導入するという流れです。
プレイヤーキャラクターは誰か1人が主人公ということではなく,誰しもが主人公です。そのため,それぞれに異なるストーリーが展開していきます。
4Gamer:
現在,韓国で最も人気の高いキャラクターは誰でしょうか。
Ryu氏:
ユリの人気が高いですね。サービスイン時点から現在まで一番人気があります。
4Gamer:
CBTに限った話になりますが,日本でもユリを使用している人が多い印象を受けました。
Ryu氏:
ユリはビジュアルだけでなく,明るい性格も人気を集めている理由ですね。もちろん,新キャラクターを実装すると一時的にそのキャラクターの使用率が高くなりますが,しばらくするとまたユリに戻るようです(笑)。
4Gamer:
なるほど。
キャラクターや世界設定,ストーリーの面で日本のアニメーションを意識しているとのことですが,韓国のプレイヤーにはどのように受け入れられているのでしょうか。
日本の文化やアニメーションなどを好むプレイヤーは,韓国にも結構います。しかし,実際に日本文化をモチーフにしたオンラインゲームは本当に少ないんです。「CLOSERS」では,そうした潜在的なプレイヤーを引き込むことができたと分析しています。
4Gamer:
コンテンツの豊富さではなく,ストーリーの面白さや世界設定の妙で人気を得たということですね。
韓国では「アラド戦記」が高い人気を保っていますが,同じジャンルの「CLOSERS」はうまく差別化できているのでしょうか。
Ryu氏:
「アラド戦記」は長い歴史があり,コンテンツも豊富です。ただ,プレイヤーキャラクターは名前ではなくクラス名で呼ばれている点で異なります。「CLOSERS」はそれぞれのキャラクターの個性やストーリーを重要視していて,プレイヤーが感情移入しやすい環境になっています。実際,二次創作も活発に行われており,我々としては嬉しい限りです。
4Gamer:
確かにキャラクターの個性を前面に打ち出しているので,二次創作やマルチメディア展開がしやすそうです。
Ryu氏:
今回,マルチメディア展開が得意なセガゲームスと手を組むことができたので,公式としても何か面白いことができればと考えています。将来的には,プレイヤーが喜んでくれるのであれば,アニメ化というのも視野に入れたいですね。まだかなり気の早い話ですが(笑)。
国内向けにはPvEモードの充実を優先
4Gamer:
日本国内の運営をセガゲームスが担当することになった経緯を教えていただけますか。
Ryu氏:
開発の初期段階から日本でのサービス展開を想定し,運営面のパートナーを探していました。そのなかで「ファンタシースターオンライン2」をはじめとするオンラインゲームの運営で実績があり,日本のプレイヤーに好感を持たれているセガゲームスなら,安心して任せられると考えたんです。
Naddic Gamesの方と初めてお会いしたのは,実は数年前のことです。まだ契約の話を詰める前から,彼らが作ろうとしているゲームやコンテンツに対する姿勢をずっと見てきています。海外のライセンスタイトルは,本国でリリースされたものを日本に持ってくるケースが多いのですが,「CLOSERS」ではリリース前のものも我々に提案してくれました。これなら一緒に1つのタイトルを作り上げられると感じましたね。
Ryu氏:
日本でのサービス展開はとても大事なもので,絶対に日本で成功するという強い気持ちを持っています。そこで,初のCBTを成功させるため,このたび主要なブレーンを連れて日本に来たのです。
関口氏:
「CLOSERS」はキャラクターやストーリーはもちろん,システムにおいても日本のプレイヤーに合っているので,両社で力を合わせてサービスを成功させたいですね。
4Gamer:
ちなみに「CLOSERS」の第一印象はいかがでしたか。
関口氏:
MOタイプの横スクロールアクションといえば,「アラド戦記」や「ELSWORD」といった強力な競合タイトルが存在し,正直なところ,市場的には厳しいジャンルです。しかし,「CLOSERS」はキャラクターやストーリーなどの面で独自性があり,十分に差別化を図れるだろうと思いました。
4Gamer:
日本でのサービス展開にあたって,どのようなローカライズを予定しているのでしょうか。
関口氏:
ゲーム内に登場するマップは,韓国の実在する都市がモチーフになっていて,看板にはハングル文字が使われていました。そのため,日本向けにはテキストと音声をローカライズすればいいというものではなく,コンテンツ自体のカルチャライズが必要でした。これはキャラクターも同様で,日本のプレイヤーがなじみやすいネーミングに変更しています。
また,ゲームパッドへの対応も日本では不可欠です。CBTではキーコンフィグ機能が使えないなど,テスターの皆さんにご迷惑をお掛けしましたが,今後は修正していく予定です。
4Gamer:
基本的には韓国でのサービスにやや遅れる形で,日本でも同じようにアップデートが行われるのでしょうか。
関口氏:
そうですね。ただ,韓国ではMOBAの要素を盛り込んだPvPモードが実装されていますが,日本での導入はひとまず見送り,PvEモードの充実に注力していくつもりです。
もちろん,今後もPvPモードを導入しないというわけではありませんが,細かい調整を要するため,1つのゲームを作るくらいの時間がかかりそうです。しかるべきときが来たら,完全な形で導入したいと思っています。
4Gamer:
そのPvPモードですが,韓国での状況はいかがでしょうか。
Ryu氏:
プレイヤーの動向を調査したところ,PvPモードはコアユーザーだけがプレイしているような状況でした。ほとんどのライトユーザーは接続すらしていなかったので,誰でも楽しめる“軽い”プレイ感覚を目指して調整を行っています。また,新たに1人対1人のPvPモードも開発中です。
4Gamer:
1人対1人のPvPモードというと,対戦格闘ゲームのような内容でしょうか。以前のインタビューでも「バトルの演出や表現においては,2D格闘ゲームの『THE KING OF FIGHTERS』や『MELTY BLOOD』をかなり研究しました」との発言がありました。
Ryu氏:
確かに,開発チームには「THE KING OF FIGHTERS」のファンが多いです(笑)。ただ,対戦格闘ゲームのシステムをそのまま採用するのではなく,現在のトレンドに合わせて,軽いプレイ感覚で楽しめるものが好ましいと考えています。そのうえで,昔の2D格闘ゲームの懐かしさが感じられるようになるといいですね。
4Gamer:
本気で期待しています!
これから正式サービスに向けて最終段階へ
第2のチーム「ウルフドッグ」のストーリーとは
4Gamer:
続いては,ゲームのバランスについてお聞きします。CBTでは,数時間のプレイでレベル20に到達できるようなバランスになっていましたが,正式サービス以降も同様なのでしょうか。
正式サービスがスタートしている韓国では,「序盤の展開が単調でメリハリがない」というプレイヤーの声があったため,経験値のテーブルを大幅に変更してレベルアップしやすくなっています。その仕様をOBT以降に適用する予定です。
4Gamer:
テンポよくレベルが上がるようになったということですね。
CBTで開放されていた2つの拠点(「アカツキ」と「カミヒロ駅」)のマップは,ソロプレイでもクリア可能な難度でしたが,それ以降はパーティプレイが必須になるのかも気になるところです。
Ryu氏:
韓国では,多人数のプレイヤーが協力して強力なボスに立ち向かう「レイドダンジョン」というコンテンツを実装していますが,通常のマップはソロで快適に楽しめるようになっています。これは単に敵が弱くなっているのではなく,スキルをうまく使いこなすとスムーズに進めるような難度に調整を行っています。
4Gamer:
基本プレイ無料(+アイテム課金)のビジネスモデルが採用されていますが,これは企画の段階から決まっていたのでしょうか。
Ryu氏:
はい。ゲーム自体は無料で遊んでいただき,キャラクターの見た目の部分でほかのプレイヤーと差別化を図りたいときに,お金を払ってもらうシステムを考えていました。この方針は今後も変えるつもりはありません。
4Gamer:
それでは,日本での課金アイテムのレパートリーを教えてください。
関口氏:
まず,キャラクターのコスチュームやアクセサリーといったものを課金アイテムとして提供する予定です。ただ,アクセサリーに関しては,ダンジョンでのドロップアイテムとしても入手可能になっています。
4Gamer:
ガチャのシステムがあるのかも気になるところです。
関口氏:
アバターにはレア度(★1〜★3)が設定されていて,それによって能力値が変わります。そこで,見た目を変更できる★1のアバターは選んで買えるようにして,★2と★3はガチャにするかどうかを検討中といったところです。
4Gamer:
武具を強化するときに消費する「保護石」のようなアイテムはいかがでしょうか。
関口氏:
そうしたアイテムも販売する予定です。プレイヤーの皆さんには,ガチャや保護石に対していろいろな意見があると思いますが,本国で実装されているシステムを抜くことは簡単には決められません。それによってバランスが崩れてしまう可能性がありますので,慎重に検討したいところです。
4Gamer:
分かりました。
それでは,今後のスケジュールを教えてください。
関口氏:
すでに募集を開始していますが,8月18日17:00からOBTを実施します。そこで大きな問題がなければ,8月下旬に正式サービスを開始する予定です。
キャラクターに関しては,ブラックランブスの5人全員をなるべく早く導入して,遊びに幅を広げたいと考えています。
4Gamer:
開発チームの予定はいかがですか。
Ryu氏:
バランスの調整を行いつつ,日本でのサービスに向けて準備を進めているので,とても忙しいですが,ファンのためにもアップデートを遅らせるわけにはいきません。現在,アップデートの優先事項になっているのは,第2のチームであるウルフドッグのメンバーを全員完成させることです。
4Gamer:
ウルフドッグのキャラクターは,どのようなストーリーが展開するのでしょうか。
ブラックランブスはどちらかといえば王道というか,典型的な主人公の立場で敵と戦っていきます。その点,ウルフドッグは,決して歴史の表舞台には現れないような戦いにおける影の部分を担当しています。同じ戦いであっても,ブラックランブスとは違った視点で語られるので,双方のストーリーを体験することで「CLOSERS」の世界への理解が深まるでしょう。
関口氏:
ブラックランブスのストーリーで張られた伏線が,ウルフドッグのストーリーで回収されることもありますよ。
4Gamer:
「CLOSERS」では,それぞれのキャラクターに異なるストーリーが用意されています。いちプレイヤーとしては,楽しみが多くて嬉しいのですが,新キャラクターを追加するためには相当な時間を要するのではないかと思います。
Ryu氏:
もちろん各キャラクターのストーリーを共通にすれば,開発工程は少なくなるでしょう。実は,キャラクターそれぞれに異なるストーリーを用意する意味はあるのかと,社内で議論になったこともあります(笑)。
ただ,多くのプレイヤーに喜んでもらっているので,少なくともウルフドッグまではこのまま頑張ろうと思っています。
4Gamer:
それでは,最後に日本のプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。
関口氏:
Naddic Gamesの「やる気」に我々も感化されているところです。身を引き締めてローカライズと運営に取り組んでいきますので,どうぞご期待ください。
Ryu氏:
「CLOSERS」を楽しみにしていただいている皆さんの期待を裏切らないよう,最善を尽くしてきました。ビジュアルに興味を持ったのであれば,まずは一度プレイしてみてください。きっと気に入ってもらえるはずです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「CLOSERS」公式サイト
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