プレイレポート
アクションMORPG「CLOSERS」のクローズドβテストで判明した爽快なバトルや成長・強化システムをレポート
日本でも人気の高い「ELSWORD」の開発メンバーが多く在籍しているという韓国のデベロッパ,Naddic Gamesが手がけている本作は,日本のアニメを彷彿とさせるビジュアルが特徴となっている。4Gamerでは開発スタッフへのインタビューや,「G-Star 2014」での取材レポートを掲載しているが,徐々に日本国内での知名度も高くなってきているようだ。
そんな本作のクローズドβテストが7月17日から20日まで実施され,プレイアブルキャラクター3人のストーリーモードの序盤をプレイすることができた。未実装のコンテンツが多かったものの,そのベースとなるであろう部分はしっかりと確認できたので,爽快なバトルやシステム面を中心にレポートをお届けしよう。
「CLOSERS」公式サイト
爽快感溢れるコンボが特徴的な横スクロールアクション
「CLOSERS」の物語は,近未来の架空都市「オオトリ」を舞台に展開していく。プレイヤーは,政府機関のエージェント組織「クローザーズ」に属する少年少女を操作し,特殊な能力を駆使しながら「次元種」と呼ばれる敵と戦うことになる。
CBTでは,クローザーズの中でも若い少年少女で編成されるチーム「ブラックランブス」に所属する3人のキャラクターがプレイアブルになっていた。それぞれに用意された異なるストーリーが,日本のアニメーションやライトノベルのようなノリでテンポよく展開するのが面白いところだ。
ゲームの基本的なサイクルは,拠点でクエストを受けたり,準備を整えたりしてから,出撃するマップを選んでバトルへ突入。敵を倒して経験値を稼ぎ,武具や強化用素材などのアイテムを手に入れて拠点に戻るといった流れになっている。
1つの拠点でメインクエストをすべてクリアすると,次の拠点に移動できるようになり,新たなクエストに挑めるという仕組みだ。今回のCBTでは,最初の拠点である「アカツキ」と2つめの拠点「カミヒロ駅」まで進めることができた。
バトルのシステムは,移動やダッシュ,ジャンプ,攻撃,緊急回避といった基本アクションに豊富なスキルを組み合わせて戦う,横スクロール型のアクションとしてはオーソドックスなもの。マウス&キーボードだけでなくゲームパッドにも対応しており,筆者が愛用している「Xbox 360 Controller for Windows」の場合,PCに接続すればそのまま使えるように最適化済みだった。なお,一部のゲームパッドでは動作が不安定だったり,不具合が発生したり,またボタン配置を変更できないという不便さもあったが,それらについては今後の修正で対応すると公式サイトで告知されている。
それぞれのマップには3段階の難度(EASY/NORMAL/HARD)が設定されており,最も難しいHARDでもソロプレイでなんとか進められるようなゲームバランスだった。一部のボスモンスターをかなり手強いと感じたことはあったが,基本攻撃コンボや単発でスキルを繰り出すだけでも打開できる場面が多く,その意味では「華麗にコンボをつなげて,いかにカッコよく戦うか」がバトルのキモだろう。少なくともアカツキを突破できるレベル20程度までは,コンボがつながったときの爽快感の高さが印象的だ。
マップはいくつかの「区域」で構成され,その区域内の敵をすべて倒すと次へと進めるようになる。そして,マップの最後に待ち構えるボスを撃破すればクリアとなり,クリアタイムや被弾数,コンボ数などに応じてランクや獲得経験値が決定される。1つのマップを攻略するのに必要な時間は5分から10分程度といったところで,気軽にプレイできるのは嬉しいポイントだ。マップをクリアしたら,拠点に帰らなくてもその場で武具を修理したり,ポーションなどを購入したりできるので,そのまま次の戦いに挑めるようになっている。
なお,ポーションはHPとMPを回復するものがそれぞれ別個になっていて,一度使用すると数秒間のクールタイム(待機時間)が発生する。そのため,大量のポーションをガブ飲みしながら敵を叩きまくるような“パワープレイ”はできない。武具の強化が進んでいないうちは,敵の危険な攻撃を確実に回避することが重要になるだろう。
個性豊かな3人のプレイアブルキャラター
ここからは,3人のプレイアブルキャラクターについて,それぞれのプロフィールや個性的な戦闘スタイルを詳しく見ていこう。
ハルト=カグラギ
どこにでもいそうな普通の高校生といった感じの少年だが,十数年前に勃発した「次元戦争」を終結に導いた英雄を母に持つ。戦闘スタイルは近接攻撃を得意とするSTRIKER型(近距離爆発型)で,自ら敵に近づきガンブレードを駆使して敵を駆逐する。
ハルトの戦い方は,基本攻撃コンボから「発砲」「双転」といったスキルにつなげて一気に叩くのがセオリーといえる。また,少し離れた敵に対しては突進系のスキル「穿進」で接近戦に持ち込める。これら3つのスキルはクールタイムが比較的短いので,誰にでも使いやすいキャラクターといえそうだ。
威力は高いものの,クールタイムが長めの決戦技「暴霊剣」は,怒涛の連続攻撃を敵に叩き込む乱舞系の技で,ボスクラスの相手に有効。一方,特殊スキルの「逆撫」は敵の攻撃を受け止めてから反撃する技だが,ダメージを無効化するわけではないので使いどころが難しい。敵を空中に浮かせる効果があるので,うまく活用したいところだ。
前述のとおり,ハルトは使いやすいキャラクターではあるが,自ら敵に接近する必要があり,スーパーアーマー状態(攻撃を受けてものけぞらない状態)になったり,遠距離攻撃を仕掛けてきたりする敵はやや苦手としている。上下方向の移動で敵の攻撃を避けながら近づいたり,緊急回避で懐に飛び込んだりといった戦い方が求められるだろう。
ミコト=アマミヤ
ブラックランブスのリーダーで冷静沈着。次元種によって両親を失い,幼少時をクローザー養成機関「アカデミー」で過ごした。念動力による遠距離攻撃が得意なCASTER型(遠距離超能力型)で,敵を寄せ付けない戦闘スタイルがミコトの持ち味だ。
ミコトのスキルは,クールタイムが短く広範囲を攻撃する「パニッシュメント」を筆頭に,地面から吹き出る炎で敵を浮かせる効果がある「バーストエッジ」,磁場で敵を捕縛する設置型の「ディストーション」といった変幻自在な戦い方を可能にするものが揃う。
また,初期段階の基本攻撃コンボは1〜2段めがナイフを用いた近接攻撃,3〜4段めが遠距離攻撃となっており,攻撃速度に優れている。ボスクラスの相手には,離れた位置から3〜4段めの攻撃を当てるように戦うと安全だ。
ただし,決戦技の「ヴァーチカルドロップ」は,ミコトの正面かつ近距離に効果が及ぶため,敵に接近する必要がある。特殊スキルの「スウィッチ」は,基本攻撃コンボに追加効果を発生させる“ビット”を生成するというもので,クールタイムが終わるたびに使うようにしたい。
ミコトは遠距離攻撃を得意とする設定のキャラクターだが,近距離でも十分に戦える。ダッシュからの攻撃では,敵を浮かせつつ自身もジャンプし,さらに空中でダッシュ攻撃を入力すると追撃が可能だ。入力タイミングはシビアだが,スキルを使わずともスタイリッシュに戦えるのは彼女ならではだろう。練習次第で,さらにテクニカルな動きも実現できそうだ。
ユリ=アスマ
無邪気で天真爛漫な女子高生。イベントシーンではその個性が存分に炸裂しているが,両親に代わって幼い弟2人の夕飯を作るといった家庭的な一面もあるようだ。戦闘スタイルは銃と剣を使いこなすRANGER型(中距離スピード型)で,スピーディな攻撃で敵を圧倒する。
ユリの基本攻撃コンボは,1〜2段めが刀を振るう近接攻撃,3〜4段めが銃による遠距離攻撃,5段めが回し蹴り,最後の6段めは前方に突進するモーションとなっている。最後までコンボをつなげると,敵をすり抜けてその背後に回ることも可能だ。
スキルは,銃を連射する「BAN☆BAN☆BAN」,突進系の「一刀両断っ!」,前方の広範囲にいる敵を浮かせる「全弾発射っ!」といった近距離から中距離までの敵をカバーできるものを習得できる。バトルの状況に応じて,使い分けたいところだ。
自身の周囲に大ダメージを与える決戦技「ユリスター」は,クールタイムは長めだがボスクラスの敵に対して頼りになる。また,特殊スキルの「MUTEKI☆ステップ」はその名のとおり,無敵状態になって突進を仕掛けるというもので,敵に押し込まれた状況から巻き返したいときに効果的だ。ただし,クールタイムは長めなので,緊急回避の代わりに使うのは難しいだろう。
ユリは突進系の技が多く,間合いの調整が難しいキャラクターだ。とはいえ,通常の敵が相手であれば,手数の多い攻撃で一方的に畳み掛けられる。また,ボスクラスの敵に対しては,モーションの大きい攻撃に合わせて突進系の攻撃を繰り出せば,その背後に回り込めるので,逃げ回ることなく戦える。
自ら積極的に仕掛けるタイプのハルトとミコトに対し,ユリは敵の動きを見極めながら対応していくタイプのキャラクターといえるだろう。
キャラクターはレベルアップすると,HPやMP,攻撃力などのステータスが上昇し,任意のスキルを強化できる「SP」を獲得する。また,武器に付与されている「オプション」によってもステータスが上昇するのだが,その上げ幅はかなり高く,キャラクターの戦闘能力は武器の性能によるところが大きいと感じた。
一部のクエストでは,SPを増やせるアイテムが報酬になっていたが,基本的にSPは有限と考えたほうがよさそうだ。おそらく,すべてのスキルを上限まで強化することができないため,自分のプレイスタイルに合ったスキルを選択する必要があるだろう。
ちなみに,ゲーム内マネーを使えばスキルレベルを下げられるので,あとで取り返しのつかないような事態にはならない。そのあたりは安心だが,当然ながらだいぶ強化が進んだスキルをリセットするには相当のコストがかかるはずだ。
また,一定のスキルレベルに達すると,「スキルキューブ」のスロット(アドバンス/エキスパート/マスター)が開放されていく。スキルキューブとはそのスキルをさらに強化できるアイテムのことで,たとえばアドバンスのスロットにキューブをはめ込むと追加効果が付与され,エキスパートだと空中でもスキルを発動可能になるといった具合だ。もちろん,スキルによって強化内容は異なる。
キャラクターのレベルとは別に設定されている「階級レベル」は,専用クエストをクリアすると上がっていく。最初は階級レベル1の「訓練生」からスタートし,階級レベル2の「見習いエージェント」になると,新しいスキルを習得できるようになる。
武器の製作や強化,倉庫機能やアバターなど
CBTで確認できたサブコンテンツ
続いて,CBTで確認できたサブコンテンツを紹介していこう。
アイテムを保管するための倉庫は,「個人倉庫」と「アカウント共有倉庫」に分かれており,後者はレベル31以降に特定のクエストをクリアすると開放されるようだ。そのため,レベル上限が25となっていたCBTでは使用できなかったが,アカウント共有倉庫という名称から想像するに,同一アカウント内のキャラクター間でアイテムの受け渡しが可能になるのではないだろうか。
なお,「CLOSERS」では,同一アカウント内に高レベルのキャラクターが存在すると,「チームワークバフ」が発生し,常時ステータスを強化できるシステムが採用されており,複数のキャラクターを育成する意味は大きい。
所持アイテムをほかのプレイヤーと取引するには,同じチャンネルに入って直接交渉するほか,「ブラックマーケット」と呼ばれる売買代行サービスを通じて行う。ブラックマーケットでは手数料を取られるものの,検索機能が充実している点は見逃せない。
また,不要な装備品は分解して,新たな武器やアイテムを製作するための素材に還元することもできる。武器や消費アイテムだけでなく,アバターや上位の素材といったものが製作可能だ。製作専用のスキルはなく,素材さえ手元に揃えば必ず成功するものの,一部の素材は入手ルートが限られているようだ。
装備品の強化には,「強化燃料」と呼ばれる専用アイテムが必要になる。強化に成功すると,対象の装備品に強化値(+1,+2……)が追加され,性能が上昇していく仕組みだ。なお,強化燃料にはグレード(一般/高級/最高級)が設定されており,強化値が高くなるにつれてグレードの高い強化燃料を使わないと成功率が落ちてしまう。失敗すると,強化値が初期化されてしまうこともある。
必要な素材を揃えれば,強化燃料を一般から高級,高級から最高級へとアップグレードできるので,強化値に応じた強化燃料を用意したいところ。ただし,CBTでは一般の強化燃料は製作できず,敵からのドロップ率も低かったため,装備品の強化はなかなかハードルが高い印象だ。
特定の武器に限られるものの,チューニングによって武器に付与されている「オプション」を変更可能だ。複数のオプションを全部まとめて変更する「全体チューニング」と部分的にオプションを変更する「部分チューニング」があり,前者はゲーム内マネーのみで実行可能だが,後者は特別な素材が必要となる。
CBTではあったが,課金アイテムを扱う「ユニオンショップ」も実装されていた。販売されていたのは,回復系の消費アイテムとアバターアイテム。後者はアバターに試着しながら選べる仕様になっていた。
ベルトスクロール型の横スクロールアクションといえば,PC市場でも根強い人気を誇るジャンルとして知られている。一定の需要が見込めるように思えるが,一部のタイトルにプレイヤーが集中している傾向があり,とくに新規参入タイトルは苦戦を強いられるケースが多く見受けられる。
そんな状況のなかで登場した「CLOSERS」は,アニメ風のキャラクターやストーリー,演出を前面に押し出し,アクションの爽快感を重視している点で,既存のタイトルとは異なる魅力を秘めている。シビアなゲームバランスや高難度コンテンツに挑む達成感を望んでいると少々物足りなさを感じるかもしれないが,仲間とワイワイ騒ぐもよし,ソロでコツコツ遊ぶもよしと,ほどよいバランスになっていると感じた。
歴史あるジャンルということもあり,システムのベースとなる部分の完成度が高く,正式サービス以降に実装されるであろうPvPやPvEコンテンツがうまく機能すれば,停滞気味のPCオンラインゲーム市場に新しい風をもたらす存在になるかもしれない。
最後に,MOタイプのゲームによく見られる「疲労度」について触れておこう。これは,一般的にカジュアル層とコア層との格差が開かないようにするという名目で実装される要素で,いわゆる「ゲームを長時間プレイさせないためのシステム」である。コンテンツの消費スピードを緩和するという側面もあり,タイトルの寿命を延ばすことに一役買っている。
今回のCBTでは,疲労度の要素が実装されていなかったため,テスターの間で今後の動向が注目されていたのだが,CBTだけでなくOBT,正式サービス以降でも実装する予定はないと公式サイトで発表されている。
「CLOSERS」公式サイト
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