プレイレポート
ついに発売された「NightCry」のプレイレポートを掲載。豪華客船で巻き起こる惨劇から,か弱い美少女(とおっさん)は生き残れるのか?
4Gamerでも,すでに何度もお伝えしているとおり,本作は豪華客船に閉じ込められた主人公となり,巨大なハサミで人間を襲ってくる謎のクリーチャー“シザーウォーカー”から身を隠しつつ,脱出方法を探るというホラーアドベンチャーだ。そんな本作を遊んでみたので,ネタバレを避けつつ,簡単なプレイレポートをお届けしよう。
「NightCry」公式サイト
ハサミ男(?)に追い回される恐怖が再び
非力な一般人となって,逃げて隠れてやり過ごせ
物語の主な舞台となるのは,カリブ沖を航海中の豪華客船オシアネス号。西暦2016年8月18日の夜,船内ではちょっとしたカクテルパーティーが催されていたが,この時すでに,シザーウォーカーの魔の手が静かに忍び寄ろうとしていた。
ゲームは全部で3つのチャプターで構成され,各チャプターはさらに複数のシーンに分割されている。そして,チャプターごとにそれぞれ異なる主人公を操作しながら,物語の全貌を解明し,船からの脱出を図るというのがゲームの大まかな流れだ。
チャプター1の主人公・モニカ。とても色っぽいが,ルーニーとの仲はあまり良くない様子 |
チャプター2の主人公・レナード。文化人類学の教授で,モニカとルーニーは共に彼の教え子でもある |
チャプター3の主人公・ルーニー。とある事情で,周囲からは“死にたがり”だと思われている |
「デジゲー博SPECIAL in 闘会議2016」でのミニインタビューで河野氏自身が語っているとおり,本作ではポイント&クリック方式を採用しており,行きたい場所や調べたいものをクリックで指定しつつ,アイテムを集め,ほかの生存者の話を聞き,謎を解きながらゲームを進めていく。クロックタワーシリーズ同様,主人公側は武器などを持っていないため,シザーウォーカーに見つかったら隠れてやり過ごすか,身近にあるものを利用して一時的に撃退するしかない。
探索中は場所ごとにカメラ位置が固定される「Alone in the Dark」方式となっており,行きたい場所をクリックすると歩き,ダブルクリック(もしくは,歩き中にDキー)でダッシュできる。キャラクターを直接操作するのではないため,慣れるまでは若干戸惑うかもしれないが,思わぬ動きをしてしまっても極限状況でパニックを起こしているのだと脳内補完して乗り切ろう。
本作は基本的に,特定のポイントでオートセーブが行われる仕組みだが,ゲーム序盤でスマートフォンを入手したあとは,スマホの充電器がある場所で,任意に途中経過をセーブできるようになる。ただし,セーブデータは常に1つしか保存されず,ゲームを再開(コンティニュー)したときは,オートセーブとスマホでのセーブデータのうち,どちらか最新のものが選択される。
また,スマホ入手後はLキー(もしくは画面右にあるアイコンをクリック)でライトのオン/オフが可能になる。薄暗い船内では,このスマホの明かりが頼みの綱で,スマホを使ってSNSに投稿したり,ほかの生存者と連絡を取り合ったりすることで先に進めるようになるシーンもあるなど,攻略に欠かせないツールになっている。
特定のポイントでSNSに投稿したり,電話をかけたりすることで展開が変化することも |
スマホは,SNSに投稿したり,ほかの生存者に連絡したり,ライトとして活用したりと大活躍 |
探索中にシザーウォーカーと遭遇すると「探索」モードから「逃走」モードに切り替わり,一部操作が変更される。このときは,カーソルを動かした方向に任意にカメラを向けられるようになり,右クリックでうしろを振り返ることができる。さらに,マウスホイールを押すことで,ダッシュよりも素早い移動が可能な全力ダッシュで逃げられるが,体力をより多く消耗してしまう。体力が消耗してくると画面の周囲が赤くなるので,振り返ってシザーウォーカーとの距離を確認しつつ,立ち止まって回復しよう。
ホラーものでは定番のクローゼットに隠れるシーン。隠れ場所によっては見つかってしまう場合もある |
隠れている最中には「パニックモード」が発生することも。右にある心臓のカーソルを,左のマーカーに合わせ続けることで息をひそめた状態をキープできる。マーカーは動き回るので,見逃さないように |
上述のとおり,主人公達は戦うすべを持たないので,シザーウォーカーに出くわしたら,とにかく隠れられそうな場所を見つけるしかない。もし捕まっても,体力が十分に残っていればクリック連打で振りほどけるが,そうでなければ死あるのみ。また,一度はうまくやり過ごせたポイントでも,もう一度そこに隠れると今度は見つかってしまったりするので油断できない。プレイ中は神出鬼没のシザーウォーカーに何度も襲われることになるので,うまく隠れられるポイントを見つけるまで,これまた何度もゲームオーバー画面を拝むことになるだろう。
本作では,この「回避/撃退ポイントの発見」と「イベントのフラグ立て」の2つがゲーム進行のカギを握っており,クロックタワーシリーズのファンならば「そうそう,この感じ!」と思わず膝を叩きたくなるはず。一方で,完全な“死に覚えゲー”であるとも言えるので,そのあたりは好みが分かれそうだ。また,現状ではいくつか細かいバグが残っているのも気になるところで,こちらは今後のパッチに期待したい。
とはいえ,薄暗い船内の雰囲気は抜群で,いつどこでシザーウォーカーに襲われるか分からない恐怖感(いかにも出そうだなあというポイントもあるけど)と,先が気になるストーリー展開はさすがのひと言。作りの荒い部分も散見されるが,ゲームクリエイターとしての河野氏のセンスの確かさをしっかりと感じさせる作品に仕上がっている。
また,ホラーゲームは通常,何が起こるか分からない最初の1回が肝心で,ネタが割れた2周め以降のプレイでは面白さが半減してしまうものだが,本作ではゲーム中での行動に応じてその後の展開が変化するマルチストーリー/マルチエンディング方式を採用することで,その問題をクリアしている。
一度通ったルートはフローチャート上に記録されるうえ,任意のシーンから再開できるので,すべてのルートを確かめたくなり,繰り返しプレイに向いているのも嬉しいところ。同様に,一度見たエンディングや怪奇現象,死亡シーンなども記録されるので,ぜひ隅々まで遊び尽くしてほしい。
「NightCry」公式サイト
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