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「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する
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印刷2015/08/20 22:00

レビュー

ついに登場した900番台エントリーミドルの実力検証

GeForce GTX 950
(ASUS STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING)

Text by 宮崎真一


STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
価格:未定(※2015年8月20日現在)
画像集 No.005のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する
 日本時間2015年8月20日22:00,NVIDIAはエントリーミドルクラス市場向けGPUの新製品「GeForce GTX 950(以下,GTX 950)を発表した。「GeForce GTX 960」(以下,GTX 960)と同じ「GM206」コアを採用したGPUで,モデルナンバーどおり,GTX 960の下位モデルにあたる製品だ。NVIDIAのラインナップ上では,GTX 960と「GeForce GTX 750 Ti」(以下,GTX 750 Ti)の間に置かれることとなる。

 GTX 950の登場で,第2世代Maxwellアーキテクチャが,ようやっとエントリーミドルクラス市場へもたらされることになるわけだが,その実力はいかに。今回4Gamerでは,ASUSteK Computer(以下,ASUS)製の搭載グラフィックスカード「STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING」を入手できたので,テストしてみたい。

●参考:GTX 950リリース後のデスクトップGeForce製品ラインナップ
※価格は北米市場における,リファレンス仕様もしくはそれに近いモデルのメーカー想定売価
  • GeForce GTX TITAN X:999ドル
  • GeForce GTX 980 Ti:649ドル
  • GeForce GTX 980:499ドル
  • GeForce GTX 970:329ドル
  • GeForce GTX 960:199ドル
  • GeForce GTX 950:159ドル
  • GeForce GTX 750 Ti:119ドル


GM206のフルスペック比で75%のGPU規模

メモリ周りの仕様は上位モデルと同じ


 NVIDIAは,GTX 950の発表に合わせて,「GeForce Experience」のアップデートもアナウンスしている。それら発表に関するレポートは米田 聡氏が行っているので,ぜひそちらをチェックしてもらいたいと思うが,本稿ではGTX 950というGPUに絞って,まずは新情報をまとめてみよう。

GTX 950 GPU。刻印は「GM206-250-A1」だった
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する
 冒頭でも述べたように,GTX 950はGM206ベースのGPUだ。32基のシェーダプロセッサである「CUDA Core」がスケジューラやロード/ストアユニット,SFUとセットになり,1つのパーティションを形成する点や,パーティションが4基まとまって,演算ユニットたる「Maxwell Streaming Multiprocessor」(以下,SMM)を構成する点は,もちろんGTX 960と共通である。付け加えると,4基のSMMが,ラスタライザたる「Raster Engine」とセットになった“ミニGPU”的なクラスタ「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)が2基という仕様も,GTX 960と変わらない。

GM206のブロック図。GTX 950では,これからSMM 2基が無効化されている
画像集 No.003のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する
 ただGTX 950では,SMMの総数がGTX 960の8基から6基へと減り,それに合わせて,CUDA Coreの総数も1024基から768基へ減っている(※テクスチャユニット数も64基から48基へ削減)。GPUの規模としては75%になっているということだ。
 2基あるGPCの両方で1基ずつ無効化されているのか,片方のGPCがフルスペック,もう片方で2基無効化という仕様を許容しているのか,NVIDIAは明らかにしていないが,いままでのNVIDIAがとってきた方針から推測する限り,「混在しており,性能は変わらない」ということになると思われる。

CUDAの開発キット(SDK)に付属する,CUDAデバイスの能力を調べるコマンド「devicequerydrv」実行結果。「CUDA Capability」は5.2で,L2キャッシュ容量は1024KBとレポートされている
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 一方,L2キャッシュ容量は1024KBで,GTX 960と同じ。さらに,16基のROPユニットで構成されるパーティションの数は2基,メモリインタフェースは128bitで,いわゆる足回りもGTX 960から変わっていない。ただし,メモリクロックは6600MHz相当(実クロック1650MHz)で,GTX 960の7010MHz相当から約6%低くなっている。

 クロックの話が出たついでにGPUコアクロックも見ておくと,GTX 950はベース1024MHz,ブースト1188MHz。GTX 960は順に1126MHz,1178MHzなので,ベースクロックは100MHzも低いが,ブーストクロックはむしろ少し高いことになる。GTX 950の場合,SMMが2基無効化されている分,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の余剰枠が増えるため,動作クロックが上がりやすいということなのかもしれない。

GTX 650から乗り換えると,3倍の性能が得られるというのが,NVIDIAのメッセージである
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 そんなGTX 950のスペックを,上位モデルであるGTX 960と下位モデルであるGTX 750 Ti,さらにNVIDIAが置き換え対象とする「GeForce GTX 650」(以下,GTX 650),また競合製品と位置付けている「Radeon R7 370」(以下,R7 370)と,その前世代モデルで性能的に競合する可能性の高い「Radeon R9 270」とともにまとめたものが表1となる。

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STRIXブランドのGTX 950カードの長さは約219mm

「OC」「Game」「Silent」と3つの動作モードを搭載


カード側面から。PCI Express補助電源コネクタはリファレンスと同じ6ピン×1だ
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 ここからは,STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMINGそのものを見ていきたい。
 そのカード長は実測約219mm(※突起部除く)。GTX 750 Tiリファレンスカードの同146mmよりは長いものの,いわゆるミドルクラスのグラフィックスカードとして見れば,十分にコンパクトなサイズと言っていいだろう。ちなみに,基板長自体は約210mmで,そこから約9mm,GPUクーラーが後方へはみ出す格好になっている。

STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING。8mm径のヒートパイプ2本がカードの横方向に最大約10mmはみ出していた。カード背面を見て気づいた人がいるかもしれないが,100%オートメーションによって製造されているという「AUTO-EXTREME」仕様になっており,基板上のバリなどはほとんどない
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 80mm角相当のファンが2基搭載されるGPUクーラーは,「DirectCU II」のブランド名が与えられたもの。ファンブレードのエッジに突起を設けることで,エアフローを向上させているという。
 STRIXブランドのグラフィックスカードということで,GPU温度が61〜65℃まで下がったときにはファンが停止する仕様は健在だ。

DirectCU IIクーラーのファンブレードは折れ曲がったような形になっていた。米国における特許を取得済みだそうで,「Wing-blade 0dB Fan Tchnology」という名も与えられている
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GPUクーラーを取り外したところ
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 GPUクーラーの取り外しはメーカー保証外の行為であり,取り外した時点で保証は受けられなくなる。その点はくれぐれも注意してほしいが,今回は特別に取り外してみると,4+1フェーズ構成とされる電源部を確認できる。電源部には,コイル鳴きを低減するとされる「Super Alloy Power II Choke」,従来のものより2.5倍もの長寿命を実現したという「Super Alloy Power II Capacitor」,30%高い閾値電圧によってオーバークロック時の安定性を向上させると謳われる「Super Alloy Power II MOS」を採用した,豪勢な仕様だ。

補強板付きの基板(左)と,搭載されるSamsung Electronics製の4Gbit GDDR5「K4G41325FC-HC28」(7Gbps品,右)。メモリチップは4枚で容量2GBを実現しているのだが,空きパターンが2つあったので,さらに容量の多いバリエーションモデルも検討されているのかもしれない
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4+1フェーズとされる電源部に寄ったところ。搭載される部品はコストがかかっている印象だ
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 機能面では,「OC Mode」「Gaming Mode」「Silent Mode」という3つの動作モードが用意され,ASUS製オーバークロックツール「GPU Tweak II」(Version 1.0.2.4)から選択できるようになっていたのが目を引く。動作モードを切り替えると,ベースクロックは1165MHz,1140MHz,1113MHz,ブーストクロックが1355MHz,1329MHz,1303MHzと低くなっていく。機能的にはほとんどMSIの「Gaming App」と同じといっていい印象だが,Gaming Appの挙動だと,(筆者が確認した限り)標準は軽いクロックアップ設定の「Gaming Mode」――名称すら同じだ――なのに対し,GPU Tweak IIから選択できる動作モードの場合,標準はOC Modeとなっていた。

GPU Tweak IIから選択できる動作モード設定。「GPU Boost Clock(MHz)」の横に見える「+0」「−26」「−52」に着目すると,OC Modeがデフォルト設定だと分かる
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 ちなみに,カードのデフォルト状態となるOC Modeで確認したところ,ブースト最大クロックは1468MHzに達した。大型のGPUクーラー搭載により,動作クロックはかなり高いところまで到達するようになっているようだ。


GTX 960やGTX 750 Ti,R7 370,R9 270と比較

GTX 960のテスト設定に注意


 テストのセットアップに入ろう。
 今回,比較対象として用意したのは,表1で挙げたGPUだ。ただし,GTX 960カードである「GV-N960WF2OC-2GD」やR7 370搭載カードである「STRIX-R7370-DC2OC-4GD5-GAMING」はクロックアップモデルであるため,MSI製のオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.1.1)を使って,動作クロックをリファレンス相当にまで引き下げている。
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 問題は,同じくクロックアップモデルである,主役ことSTRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMINGだ。というのも,本製品の場合,Afterburnerを使った手動での動作クロック引き下げだと,カードの標準ベースクロックである1165MHzから90MHz低い1075MHzまでしか引き下げられなかったのだ。リファレンス比で+51MHzであり,そのため今回は以下,STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMINGのデフォルト設定(=OC Mode)時を「STRIX GTX 950 OC」,そして,ベースクロックを1075MHzまで引き下げた状態を「GTX 950@1075MHz」とし,両方でテストを行いたいと思う。

 GTX 950@1075MHzは,ベースクロックがリファレンスより高いだけでなく,組み合わせられるGPUクーラーの優秀性もあって,NVIDIAが想定しているリファレンス仕様よりも高いブーストクロックになると思われるが,それでも,参考にはなるだろうという判断である。

AfterburnerからGPUコアクロックを下げようとしているところ。念のため付記しておくと,GPU Tweak IIではブーストクロックのみを設定するようになっていたため,今回はAfterburnerを使ったという経緯がある
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 ここまで読んで「GPU Tweak IIからSilent Modeを選べば,ベースクロックが1113MHzになるわけだから,そこからAfterburnerでクロックを下げればいいんじゃないの?」と思った読者は鋭いが,結論からいうと,それはできない。GPU Tweak IIとAfterburnerを併用した場合,後者が優先され,STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMINGの動作クロックは,いったんOC Modeのそれに戻ってしまい,そこからしかクロックを下げられなくなるからだ。

Z170 PRO GAMING
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店) info@tekwind.co.jp
メーカー想定売価:2万4000円前後(※2015年8月5日現在)
画像集 No.008のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する
 さて,テストに用いたグラフィックスドライバだが,GeForceシリーズでは,全世界のレビュワーに対してNVIDIAから配布された「GeForce 353.65 Driver」。一方のRadeonシリーズでは,テスト開始時に最新版となる「Catalyst 15.7.1」を利用している。
 そのほかテスト環境は表2のとおり。OSには64bit版Windows 10 Proを用い,そのうえで4Gamerのベンチマークレギュレーション17.0へ準拠してテストを行うが,「Core i7-6700K」のレビュー記事でも触れたとおり,「Crysis 3」がうまく起動しないため,本タイトルのみ省略することをここでお断りしておきたい。

画像集 No.007のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する

 テストに用いた解像度は,1680×900ドットと1920×1080ドット。これは,NVIDIAがGTX 950のターゲット解像度を1920×1080ドットに置いているためだ。
 なお,これは筆者のGPUレビューにおいてはいつものことだが,組み合わせるCPU側の自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によって効果が異なる可能性を排除すべく,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化している。


GTX 960との違いは10〜15%前後か

R7 370やR9 270より“速い”結果に


 性能検証のグラフでは,GTX 950の2条件を一番上に並べ,その次にはGeForceとRadeonをモデルナンバー順に並べてあるが,グラフ画像をクリックすると,解像度1920×1080ドット時のスコア基準で並べ替えたものを表示するようにしてあると紹介しつつ,順にテスト結果を見ていこう。

 グラフ1は「3DMark」(Version 1.5.915)の総合スコアをまとめたものだ。
 ここでGTX 950@1075MHzのスコアはGTX 960の85〜87%程度。GTX 750 Ti比では44〜46%程度,R7 370比だと21〜27%程度,R9 270比だと12〜16%程度高いスコアとなっている。GTX 950@1075MHzのスコアがリファレンス仕様と比べてもかなり高く出ていることを差し引いても,「GTX 960寄りのスコアが出た」と言うことは可能だろう。
 GTX 650にとって“重すぎる”Fire Strike Extremeだと,同GPUは大きくスコアを落としているが,GTX 950だとそんなことはないのもポイント。GTX 950が,GTX 650でもちゃんとスコアが出ているFire Strikeで,NVIDIAの主張する「3倍」に近い,約2.8倍のスコアを示している点にも注目しておきたい。

 なお,STRIX GTX 950 OCのクロックアップ効果は,GTX 950@1075MHzに対して約4%。効果はあるが,劇的ではないといったところか。

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 続いて「Far Cry 4」の結果がグラフ2,3となる。Far Cry 4でGTX 9501075MHzはGTX 960に対して83〜88%程度というスコアで,端的にまとめると,力関係は3DMarkとほぼ同じだ。
 ただ,R7 370に対しては5〜7%程度しかリードを保てておらず,R9 270にはわずかながら逆転すら許してしまった。R7 370とR9 290が256bitメモリインタフェースを持ち,179.2GB/sというメモリバス帯域幅を持っているのに対し,GTX 950だと128bitメモリインタフェースであり,NVIDIAのいう「実効メモリバス帯域幅」であっても140.8GB/sに留まるというのが,Far Cry 4のような,テクスチャメモリヘビーなタイトルではスコアを左右しているという理解でよさそうである。

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 そんなFar Cry 4における傾向を派手にしたようなスコアになったのが,グラフ4,5の「EVOLVE」だ。
 GTX 950@1075MHzは,GTX 960の82〜85%程度に落ち着いているのだが,「Graphics Core Next」アーキテクチャベースのRadeonが高いスコアを出す傾向にあることも手伝って,R7 370に並ばれ,R7 290には置いていかれている。GTX 950@1075MHzがリファレンス仕様のGTX 950よりも高いスコアになっている可能性が極めて高い以上,EVOLVEではR7 370に軍配が上がりそうである。

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 「Dragon Age: Inquisition」(以下,Inquisition)のスコアがグラフ6,7で,ここではGTX 950@1075MHzが対R7 370で14〜20%程度,対R9 270で7〜13%程度のスコア差を付けた。全体的に,3DMarkのスコアと近い傾向にまとまっているといえそうだ。

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 グラフ8,9は「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果だが,GameWorksタイトルとしてGeForceへ最適化されていることもあり,GTX 950@1075MHzのスコアは優秀だ。GTX 960と比べて86〜94%と,ここまでの結果と比べてスコア差が詰まっている理由は「GPUコアクロックの高さによるものか?」くらいしかいえないが,R7 370に対して23〜44%程度,R9 270に対しても21〜39%程度高いスコアというのは,ゲームエンジンレベルの最適化効果と断言してしまっていいように思う。

 最高品質の1600×900ドットにおいて,スクウェア・エニックスが示す最高指標「非常に快適」のラインであるスコア7000を軽々と超え,STRIX GTX 950 OCでは1920×1080ドットでもあと一歩に迫っているというのは,エントリーミドルクラスGPUということを踏まえるに,立派というほかない。

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 なお,平均フレームレートでスコアを確認したいという人のため,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチにおける平均フレームレートベースのグラフもグラフ8’,9’として用意してみた。興味のある人は合わせて参考にしてほしい。

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 性能検証の最後は,グラフ10,11の「GRID Autosport」だ。ここにおけるGTX 950@1075MHzとGTX 960の関係は,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチとよく似ている。
 GTX 950@1075MHzが,R7 370に対して13〜29%程度,R9 270に対して9〜22%程度高いスコアを示すことと,ただしメモリバス帯域幅の問題から,高負荷設定時は総じてスコア差を詰められ気味であることも押さえておきたい。

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GTX 960との消費電力差はそれほど大きくない?

DirectCU IIクーラーの静音性は良好


 GTX 950のTDPは90W。GTX 960の120Wと比べると30Wも低くなっている一方,置き換え対象となるGTX 650の64Wや,下位モデルとなるGTX 750 Tiの60Wと比べると,ざっくり1.5倍程度に達する。TDPというのは,あくまでカード設計のための目安であって,消費電力そのものの指標ではないのだが,それでも,GTX 950がどういうスコアに落ち着くのかは気になるところだ。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみよう。
 テストにあたっては,ゲーム用途を想定して,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果はグラフ12のとおり。まずアイドル時のGeForce各製品はどれも60W前後で,ほぼ同じ。続いてアプリケーション実行時だと,GTX 950@1075MHzは,GTX 960比で10〜21W低い一方,GTX 750 Tiと比べると48〜59W,GTX 650に対しては53〜75W高いという結果になった。
 繰り返すが,GTX 950@1075MHzではリファレンス仕様のGTX 950よりもクロックが高くなっているため,その分,消費電力も上がっているはずで,ある程度は割り引いて考える必要がある。ただ,そうだとしても,GTX 950の消費電力がいかにもGM206らしい感じになっており,一〜二世代前のエントリーおよびエントリーミドルクラスGPUと一線を画すものだとはいえそうである。

※そのまま掲載すると縦に長くなりすぎるため,簡略版を掲載しました。グラフ画像をクリックすると完全版を表示します
画像集 No.038のサムネイル画像 / 「GeForce GTX 950」レビュー。ついに登場した900番台エントリーミドルの実力を検証する

 GPUコアの温度も確認しておこう。ここでは「GPU-Z」(Version 0.8.5)を用い,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」とアイドル時のそれぞれの時点の温度をスコアとして採用した。テスト時の室温は24℃で,システムはケースに組み込まない,いわゆるバラックの状態に置いてテストを行っている。

 その結果がグラフ13だ。注意してほしいのは,カードごとに温度センサーの位置が異なり,もちろん搭載されるクーラーも異なるため,横並びの比較に意味はないこと。あくまでも,STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMINGに搭載されたDirectCU IIのGPUクーラーがどの程度の冷却性能を有しているかどうか確認する程度に留めてほしいが,アイドル時はファン回転が止まるため,温度は43℃と高めであるのに対し,高負荷時は70℃以下と,まったく問題ない数字が出ている。

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 しかも,その動作音は,筆者の主観であることを断ったうえで述べると,かなり静か。STRIXシリーズの新作らしい,静かなグラフィックスカードに仕上がっている印象だ。


このクラスは結局のところ価格次第だが

現状ではGTX 960が強力なライバルに!?


STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMINGの製品ボックス
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 GTX 960とGTX 750 Tiとの間には,3D性能で大きな開きがあり,また,サポートされるDirectX 12のAPIレベルにも違いがあった。GTX 950が,純然たるGTX 750 Tiの後継ではなく,両者の隙間を埋める製品として登場したことは賛否が分かれるかもしれないが,エントリーミドルクラスの市場に欠けていたGeForce GTX 900番台の製品が,GTX 960に比較的近い性能で出てきたことは,歓迎する人が多いのではなかろうか。

STRIX-GTX950-DC2OC-2GD5-GAMING自体は,STRIXシリーズの新作として,きっちり仕上がっている印象だ。適切な価格で登場してくるならお勧めできる
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 このクラスの製品はいつもそうだが,課題は価格だろう。NVIDIAが示している税別159ドルという想定売価を,8月20日時点のドル円相場で単純に円へと換算し,そこに消費税8%をかけると,ざっくり2万1300円。これがリファレンス仕様に近いカードの価格だと想定すると,クロックアップ仕様など,高付加価値なモデルの実勢価格は,2万円台中後半になると推測される。「エントリーミドルクラス」のGPUが搭載されたグラフィックスカードの価格としては,さすがに高い。
 しかも市場を見渡すと,GTX 960搭載カードが,当たり前のように2万3000〜7000円程度(※2015年8月20日現在)で販売されている。この状況で,GTX 960に性能が近いとはいえ,確実に低いGTX 950を指名買いする人がいるかというと,正直,大いに疑問だ。

 気が早い話ではあるが,年末商戦期に向かって,実勢価格が2万円を下回るようになってくると,GTX 950というGPUは評価されるようになるのではなかろうか。面白い位置づけのGPUとして扱われるようになるかどうかのカギは2万円というラインにあるとまとめておきたい。

NVIDIAのGeForce製品情報ページ

ASUSのGeForce搭載グラフィックスカード製品情報ページ


NVIDIA,159ドルのエントリーミドルクラスGPU「GeForce GTX 950」発表。同時発表された「GeForce Experience」のアップデートも要注目だ

  • 関連タイトル:

    GeForce GTX 900

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    STRIX

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