プレイレポート
ブラウザゲームとは思えない本格的ベルトスクロールアクション。テストプレイで分かったベクターの新作ゲーム「BLADE RUSH」の基本システムとやり込み要素
本作は,いわゆるベルトスクロールアクションと呼ばれる横スクロール型のオンラインRPGである。「アラド戦記」などのヒット作もある人気のジャンルなのだが,コアなプレイヤー層が好むジャンルでもあり,高いアクション性が求められるため,クライアント型のしっかりしたタイトルが多かった。一方,本作はWebブラウザのみで動くFlashベースのブラウザゲームである。まず「ちゃんと動くのか?」という点を懸念する人がいると思うので先に言っておくと,まずまず遊べるレベルで動作するので心配は無用だ。
ただ,「ブラウザゲームにしては」よく動いているものの,アクションゲームに厳しい日本のゲーマーの目で見れば,クライアントゲームと比べると劣る点があるのはどうしても否めない。本作の立ち位置は,そういったクライアントゲームを置き換えるものではないと思っておいたほうがいいだろう。
いろいろと制約の多いブラウザゲームながら,「Dungeon & Fighter」(アラド戦記)が圧倒的な人気を維持している中国で,本作は大ヒット中なのだという。では,BLADE RUSHは,いったいどんなベルトスクロールアクションになっているのだろうか。今回は,βテストの前にテストプレイすることができたので,そこで得た情報をまとめてお伝えしていこう。
聖剣と魔剣,二振りの剣が織り成すファンタジー世界を体験せよ
神々によって作られし"聖剣イグセリオン"と闇の力が宿りし"魔剣オスクローン",対となる二振りの剣にまつわる話からBLADE RUSHの物語は始まる。神々は聖剣で魔剣を破壊しようと試みるが,魔剣を粉々に砕いた代償として,聖剣も七つの破片に砕け散ってしまう。プレイヤーの目的は,聖剣の欠片から作られた七つの聖剣のひとつを携え,世界各地に災いをもたらしている魔剣の破片を回収することだ。
冒険の舞台となるのは,人/神族/エルフなど数多くの種族が住み,聖剣と魔剣の戦いが行われているファンタジー世界だ。アクションやキャラクター育成といったゲームのウリになる要素を引き立たせるような,奇をてらわない王道的な物語で,ゲーム内のグラフィックスともマッチしている。ちなみに,キャラクターのアニメ調の立ち絵は日本向けにすべて差し替えられていて,テストプレイ時は確認できなかったが豪華声優陣によるゲーム内ボイスも実装される予定だ。
プレイアブルキャラクターには,ランサー,セイバー,マシーナリーの3人がいて,ランサーは最後の神族で聖槍の使い手,セイバーはエルフの皇子で聖剣に選ばれた剣士,マシーナリーは人族の貴族の一人娘で機械に愛情を注ぐ天才メカニック……というように,それぞれが世界観の中に組み込まれた設定を持っている。自分のキャラクターが,世界にどんな影響を与えていくのかは,ゲームを進めていくと少しずつ明らかになっていく。キャラクターにカリスマ性があるため,きちんと物語を読んでいくと少しずつ世界観に引き込まれていく。
ランサー |
セイバー |
マシーナリー |
なお,まだ先の話にはなるが,正式サービス以降に行われるアップデートでは,キャラクターの追加が確実に行われそうだ。
空中コンボを主体とするBLADE RUSHのバトルシステムを解説
まずは,気になるアクションゲームとしての部分から見ていこう。
空中コンボや華麗なスキルなど,爽快感あふれるアクションを手軽に楽しめるのが本作の基本コンセプトだ。"爽快感あふれるアクション"といっても,打撃感だったり,コンボのつながり具合だったりと,爽快さを感じるポイントはタイトルによって違ってくる。ただ,どんなタイトルでもアクションゲームであれば,操作系はしっかりしていなければならないのは言うまでもない。
本作の操作系は,移動がキーボードの「W/A/S/D」キー,基本攻撃が「J」キー,そして「J」キーの周辺にあるキーがスキルのショートカットになっている。スキルを多く使うためには理にかなったキー配置なので,慣れると案外使いやすい。また、矢印キーで移動して「Z/X/C」キーあたりを攻撃に割り当てる、というキー配置もデフォルトで用意されている。
キー配置が気になる人は,ゲーム内の設定でキー配置を自由に変更できるので,自分の使いやすいようカスタマイズするのが得策だろう。ちなみに,ゲームパッドを利用してプレイしたい場合は、ベクターということで,同社のサーバーからも配布されている「JoyToKey(※)」を利用してほしいとのこと。
※……JoyToKeyは,ゲームパッドの入力をキーボードの入力に変換するソフト。外部ツール扱いのため一部のゲームでは使用を制限されていることもある
バトルでは,三段技の通常攻撃を主体に,ダッシュ/ジャンプといった基本の動きと,敵を空中へと浮かせる打ち上げ攻撃を含むスキルを組み合わせて戦うことになる。ブラウザゲームの割に……といったら失礼かもしれないが,予想以上にキャラクターはキビキビ動き,スキルのエフォクトや必殺技ともいえる「ソウルスキル」発動時のカットインなど演出面も見応えがある。
攻撃の方法としては,ダッシュ攻撃や突進するスキルを使って敵に接近し,通常攻撃で刻んで打ち上げ攻撃で無力化し,浮いた相手にスキルをタイミングよく叩き込んでいく。自身もジャンプして空中で追い討ちを行うこともできるので,スキルを決まった順番に使うのではなく,シチュエーションに合わせてアドリブでコンボをつなげていくイメージだ。敵を地上に落としてしまうと,起き上がり時の無敵状態でこちらの攻撃が当たらないこともあるので,きっちり倒しきるまでお手玉を継続したいところだ。
弱めのザコ敵に対しては,無理に空中コンボを狙わずに地上でスキルをぶっ放して一掃したり,通常技だけで押し切ってしまえるが,ボス級の敵だけは最新の注意を払う必要がある。一部ではあるが,強力な攻撃を仕掛けてくるので,これを避けつつ攻撃しなければならないのだ。また,身体の大きな敵はそもそも浮かすことができないため,ヒット&ウェイで少しずつダメージを与えていかなければならない。中には画面の半分を多い尽くすような巨大な敵も出てきたりもするので,白熱のバトルが楽しめるだろう。
バトル全体の印象としては,かつてベルトスクロールアクションに熱中したアーケード世代へのオマージュとして手堅いゲームといった感じだ。しかし,冒頭でも述べたように,このジャンルに眼識がある人だと,少々物足りなさを感じることがあるかもしれない。それは,プレイヤーのテクニックよりも,キャラクターのレベルや装備の充実度合いのほうが,ダンジョンの攻略に欠かせない要素になっているからだ。
レベルを上げ,装備を充実させれば,難しいダンジョンも攻略可能になる。そこには,誰でも遊べる"お手軽さ"がある半面,テクニックを磨いて難所を突破するというアクションゲームとしての"達成感"はどうしても少なくなってしまう。もちろん,キャラクターを強化して,今までクリアできなかったダンジョンが楽にクリアできるようになるという,育成面での達成感は十分に味わえるので,RPGとしての面白さは感じることができるだろう。一般的なこの手のベルトスクロールアクションよりも,RPG要素が強めと考えておいたほうがよい。
ちなみに,本作はアクションゲームではあるが,自動戦闘でダンジョンを進めることもできたりする。搭載されているAIは,適当にスキルを使うのではなく,ちゃんと空中コンボを狙ったりするので侮れない。自動戦闘も一度は試してみてほしい。
プレイフィールについて補足しておくと,少々もの足りないという第一印象は,一人で通常ダンジョンに挑戦したときのものである。ギルドのメンバーが集まってモンスターの攻撃から本拠地を守る「ギルド守護戦」や,PvPコンテンツとなる「アリーナ」や「マッチ戦」といったコンテンツも用意されていて,これらのコンテンツやパーティプレイが盛り上がるようなら評価はガラリと変わってくるだろう。
数多くのコンテンツの中で注目すべきは「ソウルスキル」と「フェロー」
ゲームの基本的な流れは,町でクエストを受けて対象となるダンジョンに向かい,クリアすると物語が進んで新しいクエストが発生するという感じとなる。どうしてもクリアできないダンジョンが出てきたら,デイリークエストを消化したり,以前クリアしたダンジョンに潜ってレベルを上げ,装備を整えてから再挑戦すればいい。
キャラクターの強化は,レベルアップによる能力の上昇のほかに,「スフィア」や「レリック」といった独自のシステムや「称号」によってステータスを底上げしたり,装備を強化するといった方法があり,すべてをトータルして攻撃力や防御力が算出される。
最初は二桁程度のダメージしか与えられなかったものが,強化が極まってくると桁外れのダメージ表示が画面中に並んでくるので,具体的な数字で強化の程が分かって見ているだけで気持ちがいい。
詳しい説明は省くが,強化できる要素は数多くあるため,コツコツと育成していけば,自動戦闘だけでもダンジョンをクリアしていけそうな勢いだ。ベルトスクロールアクションで自動戦闘はどうなのかと最初は思ったが,実際に動かしてみるとこれはこれでアリなのではないかと感じた。自分で操作するほど的確ではないが,頑張って空中コンボを狙おうとしている姿が妙に可愛いのだ。
基本的に回復アイテムを使わずにダンジョンをクリアしていくことになるため,自動戦闘のままだと少し強い敵が出てくると,あっというまに戦闘不能になってしまうこともある。とはいえ,ゲーム内のボーナス的なミニゲームでは,手動よりも効率的にクリアしてくれることもあるので侮れない。
では,BLADE RUSHならではの要素について紹介しよう。
バトルのときに述べたソウルスキルは,単純な必殺技ではなく,聖剣の力を行使する特殊な技となっている。「白き聖剣」や「バンパイア」など,いくつものソウルスキルが存在している。ただし,ソウルスキルを習得するには、素材となるソウルが必要なため,ほしいソウルを手に入れるには何度もダンジョンに通う必要がある。本作のやり込み要素の一つに数えられるだろう。
プレイヤーキャラクターを補佐してくれるサポートキャラクター「フェロー」も,本作では重要な役割を担っている。バトルでは自動で戦闘を行い,集めたフェローで陣形を組んで能力を伸ばすことも可能だ。ソウルスキル同様,コレクション要素でもあるので,少しずつフェローの人数を増やしていって,お気に入りのフェローを見つけてもらいたい。
そのほか,一般的なオンラインゲームの要素はほとんど揃っているといってよいだろう。一般的なベルトスクロールアクションゲームと比べても,やり込み要素やコンテンツ量がとにかく多いのだ。そのあたりは,コツコツとプレイを続けることを前提にしたブラウザゲームの仕上がりになっている。細かく見ていくといろいろと大味な部分はあるのだが,それが必ずしも欠点とはなってはいない。大味なところを含めてパワーゲームを楽しむのが本作の楽しみ方だろう。
以上,BLADE RUSHの主要な要素をまとめてみた。テストバージョンだったこととプレイ時間が短かったこともあって十分な検証ができたわけではないが,コンテンツが豊富で,ベルトスクロールアクションゲームファンとMOタイプのRPGファン,そのどちらにもオススメできるようなタイトルに仕上がっているのではないだろうか。ブラウザゲームなので,要求スベックが低く,インストールの手間もなく気軽に試せるのも嬉しいところだろう。まずは気楽にβテストに参加し,本作のアクション性を試してみてはいかがだろうか。
「BLADE RUSH」公式サイト
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BLADE RUSH
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