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印刷2016/09/17 19:00

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[TGS 2016]e-Sportsの文化はスマホでも拡大している? 「Vainglory」開発会社のCEO,Bo Daly氏にインタビュー

ステージに登壇してアップデート内容を紹介するBo Daly氏。Vaingloryの世界大会を12月2日〜4日にアメリカで開催することも明らかにされた
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 東京ゲームショウ2016の2日目となる2016年9月16日,Twitchブースで,スマートフォン向けMOBA「Vainglory」(ベイングローリー,iOS / Android)のステージイベントが行われた。ステージには,本作を手がけたSuper Evil Megacorp(以下,SEM)のCEO,Bo Daly(ボー・デイリー)氏が登壇し,この前日に実装された大型アップデートの内容が,Daly氏から直接紹介された。

 今回の大型アップデートにおける目玉は,ロケットランチャーを操る新ヒーロー「バロン」が登場することだ。その内容は「こちら」の記事に詳しいので,気になる人はぜひ一読を。

画像集 No.005のサムネイル画像 / [TGS 2016]e-Sportsの文化はスマホでも拡大している? 「Vainglory」開発会社のCEO,Bo Daly氏にインタビュー

 4Gamerでは,このステージイベント終了後,Daly氏にインタビューを行う機会を得た。Vaingloryについてはもちろん,世界のe-Sportsシーンなど,本作が日本で正式ローンチされてから約1年が経過した現在に至るまで,どのような変化があったのかを聞いてみた。


日本人の平均プレイ時間は未だ世界1位

スマホでも拡大するe-Sportsの文化


4Gamer:
 Vaingloryが日本で正式ローンチされて約1年経過しましたが,あらためて現在の心境をお聞かせください。

Bo Daly氏(CEO, Super Evil Megacorp)
画像集 No.001のサムネイル画像 / [TGS 2016]e-Sportsの文化はスマホでも拡大している? 「Vainglory」開発会社のCEO,Bo Daly氏にインタビュー
Bo Daly氏:(以下,Daly氏)
 ゲームの中身が相当変わりましたね。ローンチ当初は,初心者に不親切なゲームだったと思います。

4Gamer:
 それが今ではチュートリアルが充実し,MOBA未経験者でも気軽に遊べるタイトルになりました。当時の開発状況は,どのような雰囲気だったんでしょうか。

Daly氏:
 SEMは小さな会社なので,リソースがごく限られています。ローンチ当初はカジュアル層とコア層のどちらに向けてゲームの開発を進めていくかで議論しましたが,結果的にまずはゲームの核となる部分を完璧にすることに力を注ぎました

4Gamer:
 最終的に1でも2でもない,第3の選択をとった理由はなぜでしょうか。

Daly氏:
 あの頃は「スマホでコアなゲームを遊べる」と言っても疑う人が多かったんです。それをきちんと証明するために,第3の選択をとりました。2016年に入ってから,初心者でも遊びやすいように,チュートリアルを拡充したり,カジュアルな「大乱闘モード」を追加したりすることができ,スマホ向けのe-Sportsタイトルとして,Vaingloryが知られるようになっていきました。

4Gamer:
 4Gamerでは,本作が日本でローンチを迎えて間もない頃,SEMのアジア太平洋ゼネラルマネージャーに就任したユン・テウォン氏インタビューを行ったのですが,テウォン氏は,その時期ですでに日本人の平均プレイ時間は世界1位を記録したと仰っていました。これは今でも変わりませんか。

Daly氏:
 変わっていないと思います。とくに日本でMOBA,ひいてはe-Sportsという文化はあまり定着していませんが,そんな中でも日本人がこんなに長くプレイしてくれていることは純粋に嬉しいです。
 その熱心さが功を奏したのか,日本のチームが世界的にも名を馳せるようになり,先日の日韓戦でも日本が勝利を収めるなど,今や日本におけるスマホ向けe-Sportsの希望的な存在になっているのではないかと思っています。

Twitchブースの一角にVaingloryの試遊コーナーが設けられている。本作に関するさまざまな企画を実施予定だ(関連記事
画像集 No.003のサムネイル画像 / [TGS 2016]e-Sportsの文化はスマホでも拡大している? 「Vainglory」開発会社のCEO,Bo Daly氏にインタビュー

4Gamer:
 PCとスマホではプレイヤーの母数が明らかに違うでしょうし,Vaingloryでは,むしろMOBA未経験の状態からプレイし始めている人が多いのではないでしょうか。

Daly氏:
 日本のプレイヤーのほとんどがMOBA未経験者ですね。MOBAという世界的に人気のあるジャンルを知るきっかけとなったのが,Vaingloryになってくれたことは非常に嬉しいです。

4Gamer:
 せっかくの機会なので,海外のMOBA事情……といいますか,e-Sportsという文化は,この1年でどう変わったのかもぜひお聞かせください。

Daly氏:
 世界レベルでメジャーな文化になりつつあると感じています。この1年でゲームパブリッシャと大手メディアが手を組んだり,チームがプロフェッショナルに組織化されたりしていますね。あと面白いのが,現実のスポーツとe-Sportsが融合した取り組みも多く見られます。

 とくにスマホでもe-Sportsの文化が拡大しており,それはとても良いことだと思っています。サッカーとアイスホッケーを比較した例をよく出すのですが,サッカーをするにはボールがあればいいですが,アイスホッケーをするにはまずスケートリンクから……という話になりますよね。
 でもサッカーを夜中に突然やりたいと思い立っても,メンバーを探すのが大変です。しかしe-Sportsであれば,いつでも誰かがオンラインを介して待っていて,一緒にプレイできます。加えてスマホならPCと違って場所を選びません。

4Gamer:
 スマホにおけるe-Sportsの素晴らしさはよく分かります。しかし,どうして日本では,未だに海外との熱意に差がついたままだとお考えですか。

Daly氏:
 e-Sportsは元々PCというプラットフォームで発祥した文化です。日本では,どちらかというと家庭用ゲーム機,携帯用ゲーム機がポピュラーだからではないでしょうか。スマホでe-Sportsがもっと拡大していくと,また変わってくると思います

4Gamer:
 日本においては,なぜ熱があるのか不明なまま広められてしまった側面もあるかなと思います。MOBAやe-Sportsを謳いながら,どうみても“Pay-to-Win”という奇妙なタイトルが日本の会社から出てくることも少なくないですし。

Daly氏:
 そういったケースからe-Sportsの見方が違うなとは感じます。多くの会社がe-Sportsをただのマーケティングとして捉えていて,ゲーマーにはそれを見透かされているでしょう。私達がVaingloryをe-Sportsにしたのではなく,私達のプレイヤーがVaingloryをe-Sportsにしてくれたんです。
 「このゲームの大会を開きたい」「大会に参加したい」「トップに立ちたい」……そう思っていただくことが重要ではないかと思います。

4Gamer:
 残念なことに,もうお時間のようです。最後になりますが,この記事を読んでVaingloryに興味を持った人や,すでに楽しんでいるプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

Daly氏:
 日本でのローンチ当初から遊んでくれたり,たくさんの情熱を注いでくれたり,プレイヤーの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。Vaingloryはこれから良くなるばかりなので,いまこそがこのゲームを始める最良の機会だと思っています。ぜひ一度プレイしてみてください。
 また,12月には世界大会が開催されるので,日本代表チーム「ILLMATIC」の応援もよろしくお願いいたします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

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