インタビュー
「Vainglory」の完成度はまだ10%!? プラクティスモードの拡張や日本声優の起用などは予定されているのか,開発元の主要メンバーに話を聞いた
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そんなVaingloryの配信がついに日本でも開始されたことは「こちら」のイベントレポート記事でお伝えしたとおり。今回4Gamerは,同イベントに出席したVaingloryの開発会社Super Evil MegacorpのCEO兼共同設立者であるBo Daly氏,COO兼執行役員のKristian Segerstrale氏,マーケティング&コミュニケーションディレクターのHeini Vesander氏,そして日本コミュニティ担当者の渡口 優氏にインタビューする機会を得たので,その模様をお届けしたい。
Bo Daly氏 |
Kristian Segerstrale氏 |
Heini Vesander氏 |
渡口 優氏 |
日本上陸記念イベントの感触は?
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。昨日(※)実施された日本上陸記念イベントでは,けっこう遅い時間まで来場者の方々とVaingloryをプレイされていたそうですね。
※インタビュー実施日は,イベント翌日の2014年4月9日
ええ,あの後は何人かとカラオケに行って盛り上がりました(笑)。
4Gamer:
事前の抽選で15名が招待されるというイベントだったため規模としてはかなり小さいものでしたが,来場者はすでにVaingloryを知っていたり,あるいはMOBA経験者だったりと,会場では“熱”を十分に感じられました。こういった反応は海外でも同様なんでしょうか。
Daly氏:
実は,ローンチにあたってイベントを開いたのは日本が初めてなんです。
Heini Vesander氏(以下,Vesander氏):
15名という人数に絞らせていただいたのは,私達スタッフが,来場者と一緒にVaingloryを遊ぶためという理由があるからです。
Kristian Segerstrale氏(以下,Segerstrale氏):
イベントの感触もとても良いものでした。来場者はミドルプレイヤー,カジュアルプレイヤーが多かった印象です。
4Gamer:
イベントではエキシビションマッチも行われましたが,日本のプレイヤーチームの腕前はいかがでしたか。
Daly氏:
日本では正式ローンチ前なのに,日本のプレイヤーチームのほうが自分達よりうまいのは一体どういうことなんだと思いましたね。
4Gamer:
気のせいかもしれませんが,試合の最初のほうで少し手を抜いていませんでしたか?
Segerstrale氏:
No!(即答)……(一瞬の間を置いて)Yes,Yes!!
Vesander氏:
(笑)
Daly氏:
日本のプレイヤーチームは序盤から動きが良かったので,もしかして自分達は,これからとても恥ずかしい思いをするのではないかと,その時点で思いましたね。
Segerstrale氏:
んん? ちょっと待って今,“自分達は”と言わなかったかい……?
渡口 優氏(以下,渡口氏):
2人はオフィスでも,試合に負けるといつもこんな風に揉め始めるんですよ(笑)。
みんなで集まってわいわいと楽しむ面白さを
Vaingloryで体験してほしい
4Gamer:
ニコニコ放送を通じイベントの模様が配信されていましたが,そちらでは,Vaingloryの画面を見て「どんなゲームなんだろう?」というコメントが見受けられ,MOBAをさっぱり知らないという視聴者も少なくなかった様子でした。
海外におけるMOBAの知名度は日本に比べて非常に高そうですが,実はVaingloryを通じて「MOBAを知った」という人も多いのでしょうか。
Vaingloryは,MOBAの未経験者,経験者を問わず幅広い層に遊ばれている印象です。我々としても,MOBA経験者じゃないと遊べないゲームではなく“新しいゲームを流行らせたい”という気持ちから,Vaingloryの開発に至ったという経緯がありますので,嬉しい流れです。
Daly氏:
そもそもVaingloryの原点は,スマートフォンでゲームを遊んでいる人に向けて,グラフィックスが綺麗で,戦略性もあって,とても奥が深いゲームを提供したかったという思いにありますから。
Segerstrale氏:
個人と個人がインターネットを介して遊ぶという方向ではなく,みんなが集まって(顔を合わせて)マルチプレイをわいわいと楽しめる。そんな面白さを味わってもらいたいというのがVaingloryの本質なので,ぜひ多くの人に体験してほしいです。
プレイヤーと作るVainglory。完成度はまだ10%
Segerstrale氏:
日本上陸記念イベントのステージでも話したことですが,Vaingloryの完成度はまだ10%だと考えています。その完成度を高めるためにも,コミュニティのフィードバックが1番大切なんです。
4Gamer:
Vaingloryは“完成度が高い”と真っ先に評価されそうなタイトルだと思いますが,これでも10%とは。フィードバックは開発の初期から集めていたんですか?
Vaingloryの開発当初からですね。その一環でMOBAのプロプレイヤーから,MOBAを全然知らない友達のガールフレンドまで誘って,2〜3時間ほど遊んでもらおうと思ったことがありました。でも実際は翌日の朝まで誰一人として帰らずに遊び続けてしまったというオチで。このとき「本当にいいものを作っている」と手応えを感じましたね。
4Gamer:
ストラテジー系のゲームはどうしても見た目が地味なので,周囲の人間にプレイを勧めても大体「食わず嫌い」されてしまうんですが,確かにVaingloryには,「一口食べてもらえる」不思議な魅力があります。
すでにローンチされている海外では,主にどんな内容のフィードバックが多いのでしょうか。
Segerstrale氏:
1番多いのは「もっとヒーローを増やしてほしい」という内容ですね。
2番めに多いのは各ヒーローのバランスに関するフィードバックです。このヒーローは弱すぎる,このスキルは少し変えたほうがいいといった内容で,中にはアイテムについて言及する意見もあります。
そして3番めに多いのが,トーナメントベースの要素がほしいという内容です。これに関するいくつかのフィードバックをもとに「観戦モード」ができました。ほかにもスキンを実装してほしいなど,いろいろあります。
4Gamer:
もしかして,さっそく日本からもフィードバックが寄せられていますか。
渡口氏:
はい。さっそくいただいています。海外におけるフィードバックと同様に,こちらも「ヒーローを増やしてほしい」という内容がもっとも多いですね。
4Gamer:
気になる方が多いと思うので聞いてしまいます。キャラクターボイスに日本の声優さんを起用する予定はあるのでしょうか。
Segerstrale氏:
アメリカでは,キャラクターボイスのオーディションを何度も実施し,キャラに合うか合わないかを判断したという経緯があり,とても大きなチャレンジでした。まだ未来の話として考えているという段階ですが,日本も同じプロセスを経て,ちゃんとキャラにフィットした声を実装したいですね。
4Gamer:
日本に限った話ではないかもしれませんが,本番前の「練習」が好きなプレイヤーも非常に多いと思います。現在のプラクティスモードではヒーローを動かせるくらいで,とても練習の場としては使えませんが,AIを相手に友達と協力してプレイできるといった風に,なんらか形で拡張を希望する声は挙がっているのでしょうか。
Segerstrale氏:
多くはありませんが,海外でもプラクティスモードの拡張を希望する声は挙がっています。それは確かに重要なアイデアですし,ゲームフィーチャーとして出したいものだと考えています。
いきなり本番の対戦に挑んでも勝つことは難しいでしょうし,負けてしまうと気持ちよくありません。プラクティスモードで勝つイメージを持たせてあげて,自信がついてから対戦できるという環境を構築したいと思います。
Vesander氏:
新しいヒーローを追加しても,今はそのヒーローを練習する場もないですからね。
理想としては,練習というより修行できるような,もっと深いところまで学んでいける形のゲームにしたいですね。
Segerstrale氏:
まずは,イベントに協力してくれたAppBankさんとも協力しつつ,どうやったらゲームが上達できるかを教えていこうと思います。
4Gamer:
上達を目指すプレイヤーが見たいものって,アイドルなどではなく,スーパープレイだと思うんですよ。「League of Legends」(LoL)の人気プレイヤーであるFaker氏のような「誰が見ても強いと分かるプレイをする」人物がブームの火付け役となりうるはずですが,たとえばSuper Evil Megacorpのオフィシャルな大会を開催するといった予定はないのでしょうか。
Segerstrale氏:
AppBankさん主催となりますが,日本初の大会が開催される予定で,4月26日のニコニコ超会議で決勝戦が行われます(http://live.nicovideo.jp/watch/lv217632663)。
Daly氏:
PAX Eastで配信した生放送のプレビューが今では約8万人にまで伸びていまして,その放送に写っているVaingloryのプレイヤーがプレビューの増加に伴って知られていき,すっかり有名人となりました。そういった形で日本のプレイヤーもプロモートしていきたいと考えています。
Segerstrale氏:
Faker氏ほどの有名人はさすがにまだいませんが,Vaingloryのニュースセクションなどを通じて,コンテンツを作ってくれる方もプロモートしていきたいですね。
4Gamer:
分かりました。最後に読者へのメッセージをお願いいたします。
Segerstrale氏:
日本のプレイヤーにVaingloryを紹介できてすごく嬉しいです。動画でも生放送でも,コンテンツを作ってくれる方を我々は常に探しています。公式Twitter(@VaingloryJP)にツイートしていただければ,すぐにほかのプレイヤーさんへ共有できるので,ぜひよろしくお願いします。
Daly氏:
コミュニティを作って,フィードバックを寄せてもらえると嬉しいです。
Vaingloryはスタートしたばかり,これから5年,10年先もこのゲームをよくしていきたいので,ぜひ一緒に育てていきましょう。
Vesander氏:
1人で遊んでも楽しいですが,ぜひみんなで遊べる場所を探して,多くの人とこの体験を共有してもらえると嬉しいです。楽しんでください。
渡口氏:
Vaingloryは学ぶことの面白さも魅力の1つになっています。ぜひいろいろと試し,学びながら楽しんでください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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