インタビュー
クレアの新たなヒロイン像を描きたい――いまだ謎多き「バイオハザード リベレーションズ2」について,安保康弘氏,岡部眞輝氏,川田将央氏に聞いた
本作は2012年1月に発売された「バイオハザード リベレーションズ」の続編にあたり,新たにクレア・レッドフィールドが主人公として登場する。シリーズの原点とも言える“恐怖”に強くこだわり,クラシックなサバイバルホラーへの回帰を目指したことで大きな支持を得た前作のコンセプトや精神を受け継ぎ,「バイオハザード5」と「6」の間に起きた物語が描かれるという。
今回4Gamerでは,発表されたばかりで謎の多い本作について,プロデューサーの岡部眞輝氏,ディレクターの安保康弘氏,そしてシリーズプロデューサーの川田将央氏にインタビューを実施。主人公クレアの背景をはじめ,開発の経緯や作品のテーマ,舞台設定などを聞いてきた。
「バイオハザード リベレーションズ2」公式サイト
クレアがこの年齢で登場することに大きな意味がある
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まずは「バイオハザード リベレーションズ」の続編を制作することになった経緯を教えてください。
前作「リベレーションズ」は,「バイオハザード」シリーズの中でも“ホラー体験”という要素を重視した作品です。また,ナンバリング作品とは異なる特徴として「シリアルドラマ」形式を採用しました。
今回の「リベレーションズ 2」では前作のこうした部分を継承したうえで,ナンバリング作品の「バイオハザード5」と「6」の空白を埋める物語が展開します。「リベレーションズ」のコンセプトを踏襲し,同じフォーマットをさらにグレードアップさせた形なので,「リベレーションズ 2」という呼び方がふさわしいと考えたわけです。
安保康弘氏(以下,安保氏):
物語の時間軸としては「5」と「6」の間に起きた出来事を描いているので,前作との直接的なつながりはありません。ただ,ナンバリングシリーズの裏で「クレア・レッドフィールドに何があったのか」という,もう1つの真実が明らかになります。補足しておくと,映画「バイオハザード ディジェネレーション」(2008年公開)から続くストーリーになっています。
4Gamer:
なるほど。
今回の舞台は「絶海の孤島」とのことですが,一体どのような場所でしょうか。
岡部氏:
「バイオハザード」シリーズは,作品ごとに象徴的なシチュエーションを用意しています。初代「バイオハザード」であれば古びた洋館,「リベレーションズ」では豪華客船といったものです。
そして最新作の舞台は,絶海の孤島。もちろん,逃げ道はありません。さらに,まだ詳細は明かせませんが,収容所から別の場所にも移動します。これまでの作品からスケールアップを図ったうえで,多くのホラー的なシチュエーションを用意できるということで,今回は分かりやすく孤島を選びました。
4Gamer:
主人公がクレア,そして舞台は孤島の収容所……どうしても「バイオハザード コード:ベロニカ」(2000年発売)が思い出されます。
川田将央氏(以下,川田氏):
彼女はこういう場所に縁があるんでしょう(笑)。「ディジェネレーション」で描かれているように,クレアはNGO団体「テラセイブ」に所属し,バイオテロの被害に遭った人々を救う活動に従事しています。しかし,テラセイブ本部で行われたパーティーの最中,何者かの襲撃を受け,孤島に拉致されてしまったという設定です。
「リベレーションズ」はナンバリング作品とは違った立ち位置で,主役を張っていた人気キャラクターが登場し,シリーズの世界観を広げていくというテーマがあります。「バイオハザード」正史の空白を埋める内容になれば嬉しいですね。
4Gamer:
「リベレーションズ 2」の主人公にクレアを抜擢した理由を教えてください。
前作の発売後,「もし次があるのなら,ぜひクレアを!」というファンの要望が多かったんです。「バイオハザード」正史では久々の登場ですから,今までとは違う描き方で成長した彼女をお見せできるかなと。クレアの登場はすんなり決まりましたね。
安保氏:
今回は「5」と「6」をつなぐストーリーを描いているわけですが,両作品に登場していないキャラクターだったということも理由の1つですね。あの人は今,何をしているんだろうと(笑)。
クレアが女性として,良い年齢になっていることも大きな理由でした。彼女はヒロインとして「バイオハザード2」「コード:ベロニカ」「ディジェネレーション」に登場していますが,さらに人間的に成長した姿を描き,もっと強くヒロイン像を打ち出せると思ったんです。
そこで鍵を握る存在になるのが,もう1人の主人公であるモイラ・バートンです。モイラはまだ二十歳と若く,精神面では不安定さも残る。そんな2人が力を合わせて,どうやって孤島から脱出するのか。クレアとモイラの対比をうまく見せることが,本作では重要になると考えています。
だからこそ,クレアがこの年齢で登場するということに大きな意味があるんです。
4Gamer:
新キャラクターのモイラですが,ファミリーネームが「バートン」ということは……。
川田氏:
実は,以前の作品に名前だけは登場しているので,厳密に言えば新キャラクターではないんです。お察しのとおり,モイラはバリー・バートンの娘で,公式の設定としても発表されていますね。
4Gamer:
モイラも,クレアと同じくテラセイブのメンバーなのでしょうか。
岡部氏:
はい。「リベレーションズ 2」では,モイラが新人としてテラセイブに配属された日に起きた事件を描いています。クレアと同僚の関係にあるだけでなく,バリーの娘でもありますから,ただの脇役ではありません。物語の展開にも深く関わることになります。
4Gamer:
ちなみに前作では新しいエピソードが始まるときに,海外ドラマ風の「前回までのあらすじ」が流れるという演出がありましたが,「リベレーションズ 2」でも同様でしょうか。
岡部氏:
最新作でもエピソード構成を踏襲しており,前回までのあらすじも健在です。ただ,このあたりに関しては,さらにプレイヤーが楽しめるような仕掛けを考えているところなので,ぜひ楽しみにしていただければと思います。
クレアとモイラの操作は任意で切り替え可能
4Gamer:
ゲームシステムや操作方法は,前作を踏襲する形になりますか。
そうですね。今回は据え置き機のみということで,「バイオハザード リベレーションズ アンベールドエディション」に近い形です。
4Gamer:
シングルプレイではクレアとモイラが一緒に行動するそうですが,操作キャラクターは任意のタイミングで切り替えられるのでしょうか。
安保氏:
ええ。シングルプレイの場合は,ほぼ好きなタイミングでキャラクターを交代できます。また,オフラインのみですが,2人のプレイヤーがそれぞれのキャラクターを操作するCo-op(協力プレイ)に対応しています。
4Gamer:
Co-opをオフラインのみにした理由を教えてください。
安保氏:
「5」や「6」ではオンラインCo-opを採用しましたが,両作品とは違い「リベレーションズ 2」は2人のキャラクターが銃を持って戦うゲームではないからです。基本的にモイラは戦闘力の低いキャラクターで,敵にライトをかざして怯ませたり,バールで殴って動きを止めたりといったサポート役となります。
岡部氏:
もちろん,この内容でオンライン対応にすることは可能でした。しかし,1人が攻撃役,もう1人はサポート役と固定されることになると,とくに後者のプレイヤーは物足りなくなると思うので,今回はオフライン限定にしたというわけです。
4Gamer:
なるほど。
シングルプレイ時は2人のキャラクターのライフは別に設定されているのでしょうか。
安保氏:
そうですね。ただ,サポートキャラクターのモイラはライフが無くなっても気絶するだけで,ゲームオーバーにはなりません。クレアを操作しているときは,あまりモイラを守る必要はないということです。逆にモイラを操作時,クレアのライフが無くなるとゲームオーバーになるので気をつけてください。
川田氏:
モイラが気絶してしまった場合,助けにいくことになるのは従来の作品と同様です。
4Gamer:
モイラのライトで照らすと隠れたアイテムを発見できますが,これは「リベレーションズ」における「ジェネシス」的な役割ですね?
川田氏:
ええ。一部のスタッフは,モイラのことを「ジェネ子」と呼んでいました(笑)。モイラはアイテムを探すだけではなく,敵を怯ませたり,彼女でしか進めない場所もあったりするので,サポートや謎解きにおいて重要な存在です。
岡部氏:
モイラは銃を持っていないので,クレアとは攻略法がまるで違います。モイラの操作がうまくなればなるほど,「リベレーションズ2」をより深く楽しめるようになると思います。
ゲームの全貌までも分かってしまう!?
公開されたコンセプトティザー映像の狙いとは
4Gamer:
タイトル発表に合わせて,実写のコンセプトティザー映像が公開されましたが,どのような狙いで制作されたのでしょうか。
岡部氏:
最近,バイラルムービー(※)によるプロモーションが多くなっていますよね。そこで川田から「『リベレーションズ2』でも同様の手法で話題を喚起できないか」と提案があったんです。
今回のティザー映像は,Just Cause Productionsという制作会社に発注しているのですが,登場人物であったり,背景であったりと,これまでのシリーズ作品へのオマージュを豊富に盛り込んでいます。映像をご覧になった皆さんがSNSなどで「こんな要素があった」「あれはどういう意味なのか」といったやり取りをしてくれると嬉しいですね。
※バイラルムービー……インターネット上で話題になり,広範囲に情報を拡散させることを目的としたムービーのこと
川田氏:
この映像には断片的な情報だけでなく,安保が思わず「そんなのまで入れるの!?」と驚いた情報も含ませています(笑)。
安保氏:
「リベレーションズ2」の物語に関わるヒントもあるんですよ。
岡部氏:
見る人が見ればゲームの全貌までもが分かる。そんな内容になっています。ただ,物語に直結しているものだけでなく,ミスリードを誘うものもありますので,よく注意していただきたいですね。
「リベレーションズ2」をクリアした後に,もう1回映像を見てほしいですね。「あっ,あれや!」と気づく部分があるかもしれません。
4Gamer:
とても気になりますね。ちなみに,この映像に登場する主人公の少女は誰なのでしょうか。
川田氏:
特定のキャラクターというわけではなく,総合的なイメージと受け取っていただければと思います。
4Gamer:
登場人物が身につけている腕輪も気になりますが……。
岡部氏:
よく見ていただくと,前半と後半では色が変わっているんですよ。また,腕輪がある人とない人に分かれています。これが「リベレーションズ2」のシナリオにどう絡んでくるのか,ぜひ楽しみにしてください。とにかく作品を象徴するキーアイテムであることは間違いないです。
4Gamer:
映像のラストに表示される「EVIL IS WATCHING」というメッセージには,どのような意味があるのでしょうか。
岡部氏:
直訳すれば「邪悪な何者かが見ている」という意味ですが,「リベレーションズ2」では得体の知れない第三者にずっと見られている状況と,その恐怖感を強調しています。
安保氏:
たとえば,施設では監視カメラが設置されていて,「誰が見ているんだろう……」とプレイヤーに思わせるミステリアスな演出を意図的に取り入れています。
川田氏:
前作ではジルが一度監禁されて,丸腰になった状態から脱出を図るというシチュエーションがありました。「リベレーションズ2」でも,クレアは何も武器を持っていない状態で始まるので,そこでホラーや恐怖を味わってもらえるのではないでしょうか。
また,敵と戦えるキャラクターのクレア,攻撃手段を持たないキャラクターのモイラという2人の対比も重要ですね。当初,モイラはとにかく悲鳴を上げて怖がるキャラクターを想定していたのですが,それでは「バイオハザード」らしいとは言えない。「キャーキャー」と怯えるのではなく,恐怖と向き合い,耐えながらもしっかりと進んでいく人物像を選択しました。
「バイオハザード」シリーズは一方的に怖いというだけでなく,武器を手にしたら反撃できる状況が用意してあるというのも大きなテーマなんです。
4Gamer:
なるほど。今回の敵はゾンビやB.O.W.(生物兵器)なのでしょうか。
川田氏:
どちらも違います。「アフリクテッド」(Afflicted)と呼ばれる新種のクリーチャーですが,詳しくは後日発表する予定ですのでお待ちいただければと思います。
4Gamer:
それでは,前作と同じく音声は日本語ですか。
岡部氏:
現時点では未定ですね。ただ,ファンの方から要望があれば,それにできるだけ応えたいと思っています。
4Gamer:
分かりました。ところで,「ディジェネレーション」から続くストーリーとのことですが,「リベレーションズ2」をプレイする前に映画を見ておいたほうが良さそうですね。
岡部氏:
そうですね。「ディジェネレーション」を見ておくと,ゲームがより面白くなると思います。
私としては,これまでの「バイオハザード」シリーズをプレイして,予習しておいてもらえると嬉しいです。とくに時系列では「バイオハザード5」の後にあたるので,こちらもぜひ(笑)。
今回の「リベレーションズ2」だけでなく,「バイオハザード HDリマスター」の発売も控えていますが,ゲーム性はまったく異なります。新旧バイオハザード,どちらの味わいも堪能していただけたら幸いです。
4Gamer:
うまくまとめていただきましたね(笑)。それでは,岡部さんと安保さんからも一言お願いします。
岡部氏:
「リベレーションズ2」は鋭意制作中ではありますが,「バイオハザード」のエッセンスを活かしたタイトルになっています。今年の東京ゲームショウではステージ発表だけでなく,試遊台も用意する予定ですので,ぜひ体験していただきたいですね。
安保氏:
シリーズ作品のクラシカルな部分とモダンな部分,その両方を取り入れていますので,昔からのファンも,最近ファンになった方も違和感なくプレイしてもらえると思います。ぜひ多くの方に遊んでほしいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
「バイオハザード リベレーションズ2」公式サイト
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