プレイレポート
「ライフ イズ ストレンジ」序盤のプレイレポートを掲載。時間を巻き戻せても,人生はやっぱり大変?
先行してリリースされた海外ではエピソードごとの配信だったが,それらが一つにまとめられたうえで,吹き替えと字幕の日本語ローカライズが施されている。その序盤(海外版でのエピソード1にあたる部分)をプレイする機会を得たので,ゲームシステムやプレイフィールなどについてお伝えしていきたい。
リアルでもアニメチックでもない,独特のグラフィックス
本作の舞台は,アメリカのオレゴン州にあるという設定の田舎町,アルカディア・ベイ。ブラックウェル高校に通う主人公のマックスは,とある不思議な体験をきっかけに,時間を巻き戻す力を身に付ける。その力を使って,周囲の人間との間で起こる出来事に対処しつつ,5年振りに再会した友人のクロエとともに,町で起きた失踪事件の真相を追う,という物語が描かれる。
ゲームを始めてまず目に付くのは,独特の雰囲気を持ったグラフィックスだ。キャラクターはリアルとトゥーンの中間のようなタッチで描かれているほか,遠くに見える山や木々はシンプルに表現されており,手前にいるキャラクターを引き立たせている。
今回プレイした序盤では,マックスが通うブラックウェル高校や,クロエの自宅などが主な舞台になっていたが,その描写もなかなか魅力的だった。アメリカを舞台にした青春映画やドラマでよく見かけるような風景ではあるが,部屋に置かれた小物の一つ一つまで細かく作り込まれており,生活感のようなものが感じられて非常にリアルだ。思わずちょっと触ってみたくなるので,アドベンチャーゲームにおける探索へのモチベーションアップに貢献しているといえそうだ。
時間を巻き戻して,人生の選択をやり直す
本作の基本となるシステムは,マックスが人物に話しかけたり,特定の場所へ行ったりすると発生する選択によって物語が進むという,アドベンチャーゲーム定番のもの。だが,本作の特徴は,マックスの力で,そういった選択をやり直せることにある。
時間を巻き戻す力は[L2]で使用する。原則としてマックスを操作できるときならいつでも使え,回数などの制限もないが,巻き戻せる時間には限界がある。また,物語が次のシーンに進んでしまっても,やり直しが効かなくなるので注意が必要だ。
どこで使うべきかはマックスの心の声が手がかりになっていて,とくに未来に影響を与えるシーンでは画面に蝶のアイコンが現れるようにもなっている。
分かりやすいのは選択肢が表示されるところだが,うっかり見逃してしまいがちな何気ないシーンにも展開を変えられるものがある。目の前のベンチに座っている生徒のところにボールが飛んできて当たるのを目撃したら,そこで時間を巻き戻し,その生徒に忠告してボールを避けてもらう,といった具合だ。
ここで重要なのが,本作にはノベルゲームなどにある「バッドエンド」(≒ゲームオーバー)が存在しないということだ。
“普通の”アドベンチャーゲームなら,時間の巻き戻し能力をバッドエンド回避のために使う,という仕組みになるのだろうが,本作ではそういった白黒ハッキリした展開がないため,巻き戻しの意味合いが若干異なってくる。
前述したボールのシーンでも,無視したら無視したなりの展開がある。それをどう受け止めるかはプレイヤー次第だ。気になるようならば時間を巻き戻して別の選択をしてもいいが,原則として本作における選択に正解はない。誰かを助けることが誰かを傷つけることになっていたりもするので,どこかで割り切るしかないのだ。人生ってそんなものかもしれない。
なので,この力は,映画を見ているときなどに感じる「自分ならこうするなー」といった,自分の理想へとストーリーへと導くためものと捉えるのが分かりやすいだろう。
原則として選択に正解はないと書いたが,ストーリー進行の障害を取り除くために,時間を巻き戻す力を使用しなければならない場面はある。
時間を巻き戻しても,マックス自身にその影響は及ばず,それまでに入手したアイテムも手元に残っているので,それを利用して障害を取り除くのだ。
今回のプレイでは,いけすかないクラスメイトのビクトリアが仲間とともに寮の入口を塞いでいて,お願いしてもそこをどいてくれそうにない……というシーンに遭遇した。ここでは,マックスの能力と周囲にあるものをうまく使って,彼女達をその場からどかさなくてはならない。
ネタバレになるので詳しくは書かないが,「スプリンクラー」「ペンキ」といったキーワードと,ゲーム画面から想像してもらいたい。
その手順は「ピタゴラスイッチ」を思い起こさせる凝りようで,もっと簡単なやりかたがあるだろうと突っ込みたくもなるが,なかなか痛快だ。
時間を巻き戻せれば,人生は楽しくなる……はずなのに
気になるストーリーだが,ゲームの性質上,事前に入れておくべき知識は最低限にするべきと思うので,軽く触れるだけに留めておこう。今回プレイした部分は登場キャラクター紹介を兼ねたプロローグといった感じではあったが,マックスが時間を巻き戻す力を手に入れるきっかけとなった体験や,失踪した女性の存在など,プレイヤーの好奇心を刺激する要素がいくつもあった。最後にはエピソード2の予告的な映像が流れ,ここからいよいよ物語が本格的に動き出しそうだ。
プレイしていて印象的だったのが,サウンドによる演出のうまさだ。ゲームの冒頭,教室でちょっとイヤな気分を味わったマックスが廊下に出て,耳にイヤホンをはめると,周囲の騒がしい声が消え,次の瞬間にアコースティックギターの旋律とボーカルが静かに流れ始める。ここからしばらくは曲とマックスの心の声しか聞こえなくなり,自分がマックスとシンクロするような感覚があった。
さまざまな選択を繰り返していく本作だが,時間を巻き戻して展開を変えられる出来事は,エピソードクリア後に閲覧できる「これまでの選択」にまとめられる。背景にある細かな小道具などにも伏線が張られ,「あれを変えられたのか」と思うようなこともあるはず。
ローカライズもしっかり施されていて,キャラクターのセリフや字幕はもちろん,背景で聞こえてくるざわめきや,学校の貼り紙,新聞などまで日本語化されている。また,英語の音声や字幕表示も可能なので,英語のセリフに日本語字幕といった映画風の設定も楽しめる。
海外ではすでに最終エピソードまで配信済みで,プレイ動画なども公開されているが,本作に興味を持ったなら,ここで紹介した内容以上の知識は持たずにプレイすることをお勧めする。前述したように本作の選択に正解というものはなく,巻き戻しを繰り返して選択肢をしらみつぶしにしても,どれを選ぶべきなのか判断がつきかねる場合が多い。その,時間を巻き戻せるが故に生まれる悩みを大いに楽しんでほしいのだ。また,「これまでの選択」で,展開が変えられるポイントをスルーしたことに気づいたときの残念な気分も,ぜひ味わってほしい。
「時間を巻き戻す能力があれば,人生楽勝だなぁ」などと思う人は多いだろうが,マックスとしてプレイしてみると,「時間を巻き戻せても人生って大変だなぁ」という思いが湧き上がってくる。むしろその力があるだけに,後々「あっちを選んだほうがよかったのでは……」と後悔することが多いような気もするのだ。本作は,そんな人生の不思議さ(Life is Strange)を体験できるタイトルである。
「ライフ イズ ストレンジ」公式サイト
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(C)2015, 2016 Square Enix Ltd. All rights reserved. Developed by DONTNOD Entertainment SARL. Life is Strange is a trademark of Square Enix Ltd. Square Enix and the Square Enix logo are trademarks or registered trademarks of Square Enix Holdings Co. Ltd. All other trademarks are the property of their respective owners.
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