インタビュー
「モンスターハンター エクスプロア」のキーマン3人にインタビュー。大幅に作り直した理由やiOS版の配信時期をはじめとする今後の話を聞いてきた
情報を追い続けていた人ならご存じのように,もともと本作は2013年にiOS端末向けの「モンスターハンター スマート」(以下「スマート」)として発表された。しかし,2014年7月に現在の名称である「エクスプロア」に改称されるとともに配信が2015年に延期。そして,2015年7月に実施されたAndroid端末向けのクローズドβテスト(※実質はオープンβテスト)を経て,ようやくリリースの運びとなったわけだ。
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今回4Gamerでは,「エクスプロア」プロデューサーの杉浦一徳氏,運営プロデューサーの山本千晶氏,ディレクターの岡野勇樹氏にインタビューを実施。「スマート」から「エクスプロア」に変わったタイミングでどのような改修を加えたのか,サービスを開始したあとはどのような運営を行っていくのか,そしてiOS版の配信が後追いとなる理由や気になる配信時期など,いろいろな話を聞いてきた。
また,「チャージアックス」や「パートナー」の実装など,2か月後に予定している大型アップデートの話を聞けたので,本作をプレイしている人はもちろん,まだプレイしていないという人も読み進めてほしい。
「モンスターハンター エクスプロア」公式サイト
「モンスターハンター エクスプロア」ダウンロードページ
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
杉浦さんは「モンスターハンター フロンティアG」(PC / X360 / PS3 / Vita / Wii U)をはじめ何度も4Gamerのインタビューに登場していただいているので読者になじみは深いと思いますが,岡野さんと山本さんにお話をおうかがいするのは初めてなので,まずは簡単な自己紹介をお願いできますか。
山本氏:
「エクスプロア」では運営プロデューサーとして,主にプロモーション周りを手がけている山本です。以前は「モンハン 大狩猟クエスト」(iOS/Android)や「モンハン いつでもアイルーライフ」でアシスタントプロデューサーを務めていました。
岡野氏:
ゲームの方針検討や開発全体の統括を行っています。私はコンシューマゲーム開発の出身で,2013年から「エクスプロア」の前身にあたる「スマート」の開発に携わってきました。
4Gamer:
「エクスプロア」は,2013年に「スマート」として発表されてからリリースされるまでちょうど2年かかりました。その理由をあらためて教えていただけますか。
杉浦氏:
以前のインタビューでもお話ししましたが,カプコンでは2014年度にモバイル分野を再構築するという決断をし,第二開発部がその開発を引き継ぎました。
第二開発部に移管されたときに,「スマート」としてはほとんどでき上がっていたのですが,スマートフォンのオンラインゲームとはいえ,3年後,5年後を見据えた運営手法を考えたうえでリリースしないといけないと考えたんです。
上司の小野※と議論した結果,スタミナを消費してガチャがあって……という,ソーシャルゲームの典型的なスタイルを取っていた当時の仕様では,将来的に長くサービスを続けていくことは厳しいだろうと判断し,大幅に作り直すべきだということになったんです。
※カプコン執行役員 CS第二開発統括 小野義徳氏
4Gamer:
具体的には,どの部分を作り直すことにしたのでしょうか。
まずはマルチプレイの対応です。当時はまだ,本格的なマルチプレイを備えたスマートフォンゲームはそれほど多くありませんでしたが,数年後にはもっと需要が高まるだろうと考えたんです。
また,作り直すことを考えると,「モンスターハンター3(トライ)」の印象が強すぎる「スマート」をそのまま2年後に出したのでは,インパクトが若干弱くなってしまいます。そこで2年後を見据えて,本格的なマルチプレイができるオンラインゲームにすること,加えて,インパクトのある大きなテーマを打ち出してほしいと,岡野をはじめとした開発スタッフにオーダーを出しました。
4Gamer:
岡野さんはそれをどう受け止めたのでしょうか。
岡野氏:
私も杉浦の考えに強く共感したので,ソーシャルゲームとしての枠組みを外して,ゲームとしての面白さをもう一度追求しようという方向に考え方をシフトしました。
「モンスターハンター」シリーズの魅力は,モンスターを狩って素材を集め,武器・防具を生産・強化していくところにあると思います。でも,それだけのゲームだと,スマートフォンで完全新作として出す意味がありません。
4Gamer:
それなら「モンスターハンターポータブル 2nd G for iOS」のような移植作を出したほうが手っ取り早いですもんね。
「モンスターハンター」シリーズの魅力を私なりに解釈したうえで,ファンだけでなく今まで「モンスターハンター」シリーズをプレイしたことがないような,より幅広い層にも訴求できるだろうと考えたのが,「未開の地を探検する」という要素です。
4Gamer:
新たな方針が決まってから,開発は順調に進んだのでしょうか。
杉浦氏:
「エクスプロア」チームは若いスタッフが多いこともあって,正直に言って最初は難航しましたね。「探検メインで行きます」とは言っても,実際にプレイしてみると探検が脇役になっていたりしましたし,とくに最初の頃は操作が難しくて「この操作でプレイできる人はどれだけいるのか」と思ったりするくらいでしたから。
確立されている「モンスターハンター」というイメージを大事にし過ぎて,スマートフォンゲームとして適切な形に落としこむことがなかなかできなかったので,最初の1年はその対応に試行錯誤していた感じですね。
岡野氏:
当時のバージョンは,今はほぼ原形を留めていませんね(笑)。
4Gamer:
先ほど杉浦さんは「2年後を見据えて」と話していましたが,2年という期間はどういった計算からはじき出されたのでしょうか。
先ほども少しお話しましたが,カプコンはモバイル分野で出遅れていたうえに,2014年の再構築で足踏みする期間ができてしまいました。
そのときどきの市場のトレンドを追いかけて開発を進めても,先行している他社さんはその先を行くタイトルを開発していますから,カプコンが他社さんに追いつき追い越すためには,正直なところ,どこかでショートカットが必要だろうという理由ですね。
そこで,「2年くらいはぶっちゃけ捨てるか」という割り切りをもって,1年と言わず2年先を見据えることで,PCや家庭用ゲーム機のオンラインゲームに近い,充実した機能やコンテンツを揃えようと考えたんです。
4Gamer:
最近は,MMORPGやマルチプレイを売りにしたタイトルも増えてきていますし,ある意味,2年前の予想は的中したと言えますね。
とはいえ,当時の状況だと,スマートフォンゲームの開発に2年間かけるというのは,非常に長い期間に感じられたと思います。
山本氏:
もちろん2年は長いと感じましたが,競合タイトルが続々と登場する市場ですから,そのくらいやらないと,杉浦の言うように結局トレンドを追いかけ続けることになってしまいます。「モンスターハンター」の名前を掲げるタイトルですから,2年かけても自信を持って送り出せる内容にすべきだと考えました。
岡野氏:
「スマート」の発表時から期待していた方を長くお待たせすることになったのは申し訳なく思っていますが,個人的には2年もらえたことが嬉しかったですね。
「スマート」を開発していた時期は,いろいろな理由で妥協した部分や「足りない」と感じていた部分,個人的に疑問に思っていた部分がかなりあったんです。2年あれば,端末のスペックが向上してやれることが格段に増えますし,やりたかったことも詰め込めます。
2年かけて作り直したことで,探検を軸とする新しい「モンスターハンター」の面白さを追求できた「エクスプロア」は,ユーザーさんの期待に応えられる内容にできたと思っています。
杉浦氏:
私の立場からすると,2年経ったことでチームが成長して「爆発力」が増したことが大きな収穫ですね。今回の経験を積んだことで,今後の運営はもちろん,これから開発するタイトルについても,予想以上の成果が出せるだろうと期待が持てるようになりました。
4Gamer:
配信はAndroid版が先行で,iOS版は遅れての予定となっていますが,βテストを行っても,同時配信は難しいのでしょうか。
杉浦氏:
やはり,サービスイン直後はどうしても予期できなかった不具合が発生することがあるので,不慮の事態に即座に対応できるAndroid版を先行したいというのが,プロデューサーとしての正直な気持ちですね。
私はiOS版の配信まであと2〜3か月は必要だと見込んでいたのですが,岡野をはじめとしたスタッフが1か月でなんとかすると宣言しているので,彼らのがんばりに期待しています。
プレイヤーの皆さんの立場で考えると,やはりリリース時期が離れると先行しているAndroid版との差が大きくなってしまいます。また,サービスを提供する立場としては,目玉になるような大きなコンテンツは両方のプラットフォームが出揃ってからにしたいと思っていますので,2〜3か月間,それを追加できないのは厳しいです。iOS版も,できる限り早いタイミングで配信したいと鋭意開発を進めていますので,もう少しだけお待ちいただければと思います。
設計の前提はエンターテイメントとしての「楽しさ」を提供すること
4Gamer:
「スマート」から「エクスプロア」になって何が変わったのか,具体的に教えてもらえますか。
岡野氏:
先ほども少し触れましたが,「スマート」では入っていたスタミナやガチャといった仕組みは,「エクスプロア」で一切排除しています。マネタイズに関しては先行きが見えていないという不安要素もありますが,まずは何よりも重要な「ゲームとして面白くする」ということに尽力しています。
杉浦氏:
「スタミナをなくそう」「ガチャをなくそう」といった部分は,私の指示から始まった話なんですよ。とくにガチャに関しては,私自身が元来あまのじゃくなので,Free-to-Playのタイトルであっても導入しない,もしくは可能なかぎり必然性を下げるというように,タイトルに応じた形で試みているんです。
ただ,岡野と一緒に仕事をするのは「エクスプロア」が初めてだったのに,私があまり細かく説明せずに指示を出していたので,うまく意見が噛み合わなかったんです。「思想は共感できますが,ガチャやスタミナがなくて売上が立つんですかね?」と,何度も何度も聞かれました(笑)。
4Gamer:
確かに,ガチャやスタミナ回復といった部分を課金対象にしているタイトルは当時から多かったですし,それをやらないと言ったら普通は不安に感じますよね。
杉浦氏:
私も彼らとの会話に足りない部分があったと反省して,何を狙って指示を出しているのか,きちんと説明するよう心がけました。岡野も疑問があれば遠慮せず聞いてくるようになりましたし,お互いに本質を共有するようになってからは,クオリティがグッと上がりましたね。
その結果「エクスプロア」のビジネスモデルは,クエスト中のステータス上昇,報酬の増加,狩猟や採取の自動化といった用途に使える「狩玉」を有料で提供する形になったわけですね。
杉浦氏:
ビジネスモデルの評価としては,100点満点中の50点といったところでしょうか。ただ,こうしたサービスを前提とするビジネスでは,スタートの段階はこういう形で十分だと考えています。実際に遊んでいるお客様のリクエストに応じてスタイルを変えていくべきですから。
4Gamer:
最初から全部決めておく必要はないと。
杉浦氏:
ビジネスモデルは50点の評価でいいから,ゲームそのものをお客様が続けてくれるようなものにしよう,その間に課金部分を,お客様の要望に応じて50点から70点,80点,90点にしていこう,というスタンスですね。
ビジネスモデルとしてどんなに収益性に優れていても,お客様が続けてくれないゲームに未来はありません。逆にお客様がいればさまざまな課金スタイルを提案できますから,その中で人気があるものを伸ばし,そうでないものは引っ込めればいいんです。
4Gamer:
ビジネスモデルについては,一時期のソーシャルゲームではやった短期回収型ではなく,「MHF-G」のようなオンラインゲームのロングテール型を目指すということですね。
杉浦氏:
ゲームのオリジナリティを追求するように,ビジネスモデルでもオリジナリティを模索してもいいと思うんですよ。たとえば,運営しているタイトルすべてで同じビジネスモデルを採用すると,それが通用しなくなったとき,全滅してしまう恐れがありますよね。タイトルの内容に合わせたビジネスモデルなら,仮に失敗しても結果を分析してほかのタイトルに活かせます。
第二開発部のタイトルでFree-to-Playを採用しているものには,「エクスプロア」のほかにも8月31日に正式サービスインした「Dragon's Dogma Online」(PC/PS4/PS3),2015年内にサービス開始予定の「ブレス オブ ファイア 6 白竜の守護者たち」(PC/iOS/Android)が挙げられますが,3タイトルとも別々の課金スタイルで仕上げています。
4Gamer:
Android版「エクスプロア」のβテストが7月に実施されましたが,ビジネスモデル周りに関して,参加者の反応はどうでしたか。
ガチャがないことを評価してくださる方が多かったですね。今はもうスマートフォンゲーム=ガチャという図式が当り前になっていますが,個人的には,欲しいアイテムを入手できるとは限らないガチャに疲弊している人が多かったのかなと分析しています。
杉浦氏:
中には,「ガチャを引きたい」という要望を切々と訴えるメールを送ってくださる方もいらっしゃったのですが,βテストの反応を見た限りでは,おおむね好意的な意見が多くてほっとしました。
4Gamer:
最近は,ガチャを引くという行為がエンターテイメントとして成り立っている側面もありますから,そういった楽しみがほしいと考える人もいるんでしょうね。
杉浦氏:
先ほど岡野がお話しましたが,「モンスターハンター」は,プレイヤーがモンスターを狩って装備を入手・強化していくゲームです。ガチャ自体を否定するつもりは全然ないんですけど,ガチャで装備が入手できてしまうと,狩りに行く理由がなくなってしまいます。なので,ガチャで装備を提供するのはバランス的に相当難しいんですよ。
ただ,ガチャを絶対にやらないというわけではないです。可能な限り必然性を下げようというのが基本の姿勢ですが,運営の状況やお客様の要望次第では導入するかもしれません。
4Gamer:
可能性はゼロではないと。
杉浦氏:
私は,エンターテイメントは楽しさや喜びを提供するものだと考えているのですが,ガチャの場合,ハズレを引いたら「ガッカリ」を提供してしまうという課題があります。ですから,それを解決する答えが見つかったら……という感じでしょうか。
スタッフには,もしガチャを入れる場合は,ハズレを引いた場合のケアをどうするかしっかりと考えてから提案してほしいと伝えています。
4Gamer:
素人考えですが,ガチャ要素を完全に排除しなくても,ゲームとマッチする何らかの形で導入してハイブリッド的なサービスを提供してもいいのではないか,と思ってしまうのですが,そういう単純なものではないのでしょうか。
たとえば,「MHF-G」のようなオンラインゲームの場合,開発チームがゲームの内容を考え,運営チームが売上のことを考えるというように,役割分担がはっきりと分かれています。
だからこそ,お互いの主張に基づいて対立が生まれるのですが,その対立がゲームの品質と収益のバランスを取る“落としどころ”を導き出し,結果としてサービスとしてより良いものになっていきます。
ですが「エクスプロア」のようなスマートフォンゲームでは,「MHF-G」のような規模の大きいチームは組めません。必然的に,チームメンバーが運営と開発を兼ねることになります。そうなると落としどころを見つける“対立”が存在しません。
収益のうちガチャが占める割合が大きいと,開発スタッフはいかにガチャを引いてもらうかを優先して考えるようになってしまい,ゲームを面白くすることがおろそかになってしまう,という問題が生じるんです。
4Gamer:
ゲームをより面白くするためには,いっそガチャをなくしたほうが最初はいい結果につながる,といったところでしょうか。そのほか,とくに気を付けているところはありますか。
コミュニティの部分ですね。「エクスプロア」では「狩猟団」というコミュニティ要素を入れていますが,人が集まる場所である以上,プレイヤー同士の衝突が発生する危険を常にはらんでいます。ただこれは,人を“分ける”ことである程度解消できることが分かっています。
たとえば,「誰でもOK」というポリシーのコミュニティは,言い換えれば同じ価値観を持っていない人達の集まりですから,トラブルが発生しやすいです。一方で,「社会人限定」「女性限定」といった制約,あるいは「このモンスターを狩る」「この武器を入手する」といった共通の目的のようなものがあれば,各自の希望に100%沿うものではなくてもお互いが協力できますよね。
サービスを提供する私達としても,コミュニティの自治をプレイヤーに丸投げするのではなく,ユーザーインタフェースなどで導線作りをすることで,トラブルが発生する可能性を極力押さえていく努力が必要です。そういう意味では,ゲーム内で発生するトラブルをどれだけ減らせるかは,岡野と山本の手腕にかかっているとも言えますね(笑)。
「エクスプロア」で武器や防具の生産を省略し,入手をランダムにした理由とは
ここからは,「エクスプロア」を実際にプレイして気になった点について話を聞かせてください。
「モンスターハンター」では,自分で好きな武器や防具を生産できるという部分が特徴だと思うのですが,「エクスプロア」では,クエストの報酬として獲得する形になっていますよね。武器や防具の生産を省略したのは何故ですか。
岡野氏:
「モンスターハンター」シリーズの経験者の方からすると物足りなく感じる部分があるとは思いますが,市場の規模でいえばスマートフォンゲームのほうがはるかに大きいですから,シリーズの“常識”が必ずしも通用するとは限りません。
素材を組み合わせて装備を生産することを知らない人もいるでしょうし,それをさらに強化するという要素が加わったら,もう訳が分からなくなってしまう,という人が出てきてもおかしくありません。
そうした事態を避けるためにも,「エクスプロア」ではあえて生産を省略して,クエスト報酬で入手した装備を強化していくというシンプルな形にしたんです。
4Gamer:
では,入手できる武器や防具がランダムというのはどうでしょうか。好きな武器が入手できるかどうかは運次第,レア度の高い防具が出ても剣士用とガンナー用があるので自分が使っている装備と噛み合わない,といったケースが生じますよね。とくに防具に関しては生産で選べない分,剣士用とガンナー用の区別をなくしても良かったのではないかと思うのですが。
まず防具に関して,剣士とガンナーで明確な線引きを付けたのは,「モンスターハンター」の世界観をきちんと継承したいというのが理由です。また,アクションゲームでは遠距離から攻撃できるほうが基本的に有利ですから,ダメージを受けやすい剣士用防具の防御力を高く,ガンナー用防具の防御力を低くすることで差別化し,バランスを取る必要もあります。
武器に関しては,手に入った武器を使って新たな魅力を発見していただきたいという思いから,あえて今の仕様にしました。その代わり,アクションをシンプルにしてかなり扱いやすくしていますから,今まで苦手だったという武器でも,使いこなしていただけるはずです。
ちなみにβテストの段階では,クエストごとに排出される装備の種類が限定されていましたが,正式サービス開始後のバージョンでは,狩猟するモンスターに紐付いた装備を入手できるようになりましたので,お好みの武器や防具を入手しやすくなっています。
4Gamer:
βテストでは,武器種ごとに強さに差があるという指摘も見受けられましたが,その点についてはいかがでしょうか。
岡野氏:
βテストの段階で調整不足だった部分については,全武器種が均一の強さに近づくようバランスの再調整を図りました。単純に攻撃力を下げてしまうと気持ち良さを損ねてしまうこともありますから,使い勝手など遊びの部分で調整したケースもあります。
杉浦氏:
これは公約と受け止めていただいてかまいませんが,「エクスプロア」では安易な下方修正はしません。仮にいずれかの武器種の性能が突出したようなときは,ほかの武器種を上方修正することになると思います。
ゲームバランスを壊しかねないなど,やむを得ない事情でどうしても下方修正せざるを得ない場合は,その武器をがんばって入手した人の努力を尊重して,修正実行までにある程度アドバンテージとなる期間を置くことになると思います。
最初の大型アップデートはサービスインから2か月後を目処に実施。「チャージアックス」や「パートナー」システムの実装も
4Gamer:
「エクスプロア」に登場するモンスターですが,基本的に「モンスターハンター3(トライ)G」のモンスターすべてが登場すると考えていいのでしょうか。
岡野氏:
一部の超大型モンスターは,どうやって登場させるか未定の部分もありますが,基本的には全部登場すると考えていただいてかまいません。また,今後は「モンスターハンター4/4G」のモンスターや,「エクスプロア」オリジナルの「特殊種」を登場させる計画もあります。
以前の発表会で,特殊種は10体以上用意しているとのことですが,「リオレウス豪火種」のように,既存モンスターのアレンジバージョンと考えていいのでしょうか。
岡野氏:
そうですね。たとえばリオレウス豪火種は,「エクスプロア」の舞台となる「断裂群島」の「裂界域」と呼ばれる隔離された場所で独自に進化したモンスターという設定です。そのため,通常のリオレウスとは異なるアクションを持ち,特殊な攻撃を放ってきたりするわけです。それはほかの特殊種も同様です。
もちろん,いずれは完全オリジナルのモンスターも出したいとは考えています。
山本氏:
特殊種は,今後のアップデートで順次追加していく予定です。いずれも「エクスプロア」にしか登場しないモンスターですから,期待していてください。
4Gamer:
ちなみに,「エクスプロア」に「MHF-G」のモンスターは登場しないのでしょうか。
杉浦氏:
正直なところ,ナンバリングシリーズのモンスターを追加するだけでもけっこう先まで予定が埋まってしまっているので,今の段階では予定は立ってないですね。
もちろんまったく考えていないというわけではなく,今後サービスを続けていく中で検討する機会も出てくると思いますが,ゲームエンジンとか技術的な課題が多いのも事実です。
4Gamer:
それから,武器では「チャージアックス」が実装されると以前の発表会で明らかにされましたが,こちらはいつ頃実装される予定なのでしょうか。
サービスインから2か月後のタイミングで大型アップデートを予定していて,チャージアックスはそのタイミングで追加します。「エクスプロア」に合わせたアクションに調整していますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
「モンスターハンター4」で登場した中で未登場の武器で言うと,チャージアックス以外にも操虫棍がありますが,こちらは実装の予定はあるのでしょうか。
岡野氏:
前向きに検討しています。ただ,操虫棍はほかの武器種に比べると挙動が独特なので,それを「エクスプロア」の遊びとしてどう落としこむか調整するのが難しいところがあります。そのためチャージアックスが先になったという形で,ちょっとお時間をいただいているという状況です。
4Gamer:
先のお話で出たように,「エクスプロア」では探検をテーマにしたストーリーが展開されますが,ストーリーは今後,どの程度の期間で追加されていくのでしょうか。
岡野氏:
サービスインのタイミングでは「第一群島」と呼ばれる6つの島が実装されています。そのほかにもイベントなども実施しますので,おそらくはその先が実装される大型アップデートまで,つなぎとしては十分なボリュームが提供できるのではないかと。
杉浦氏:
とは言え,お客様のコンテンツ消費速度は我々の予想を上回ってきますし,量が多くとも内容が伴っていなければボリュームとしてカウントしてもらえませんから,コンテンツのボリュームが十分かどうかはまだ未知数だととらえています。
山本と岡野以下,「エクスプロア」チームのスタッフにとって,こういった経験は初めてになりますから,なかなか予想どおりには行かないんじゃないかと。ですから,最初の大型アップデートを迎えたところで,私達とお客様の双方で「これくらいの内容と量ならボリュームとして適正」という認識が固まるのではないかと思います。
4Gamer:
大型アップデートで,特殊種とチャージアックス,そしてストーリー以外で追加されるコンテンツについて教えてください。
岡野氏:
「パートナー」が追加されます。βテストをプレイしていただいた方なら「ベルク」というお助けキャラが登場したのを覚えていると思いますが,パートナーはベルクを機能拡張したような存在で,5人のパートナーの中から一人選択してクエストに挑戦できるようになります。
4Gamer:
ということは,サービスイン時にはパートナーはいないわけですか。
はい。パートナーが実装されるまでは,シングルプレイではオトモアイルー2匹とクエストに挑戦していただくことになります。
4Gamer:
5人のパートナーには,それぞれどんな特徴があるんですか?
岡野氏:
パートナーは,ボイスでクエストの状況を教えてくれたり,応援してくれたりするのですが,それぞれ個性豊かな性格に設定しているので,受ける印象はかなり異なると思います。また,「パートナーエピソードクエスト」で,プレイヤーとどんな出会いをしたか,どんな関係になっていくのかが描かれているので,感情移入しやすくなっているのもポイントです。
もちろん,育成や装備の着せ替えといった要素も用意しています。とくに装備は,プレイヤーキャラクターが使わないものを着せることができますから,装備集めにも力が入るのではないかと期待しています。
5人全員を仲間にすることはできるのでしょうか。
岡野氏:
もちろん可能です。一人を重点的に育成してもいいですし,クエストによって5人を使い分けることもできます。ちなみに,ゆくゆくは「MHF-G」のロビー装備のように,防具の外見だけ切り替えられるような機能の実装も検討しています。
4Gamer:
それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
岡野氏:
「スマート」の発表から2年もの間お待たせしてしまいましたが,私としては内容に一切の妥協なく,出せるものをすべて出し切って,ようやく「エクスプロア」のサービスインに漕ぎ着けました。
皆さんが「待っていて良かった」と思える仕上がりとなっていると自負していますので,ぜひプレイしてみてください。よろしくお願いします。
山本氏:
たいへんお待たせしてしまいましたが,ようやくAndroid版がリリースされて,スタートラインに立つことができました。iOS版もできるだけ早くリリースするべく鋭意開発中ですので,もう少しだけお待ちください。
モンスターハンターファンの方もそうでない方も,ぜひ「エクスプロア」最大のセールスポイントであるマルチプレイを体験していただきたいです。
サービス開始後は随時イベントを開催しますし,他社さんとのコラボ企画も予定していますので,ぜひ今後もご注目ください。
杉浦氏:
まずiOS版をお待ちの皆さんには,もう少しで確実にプレイできるようになりますので,たいへん申し訳ないのですが今しばらくお待ちいただければと思います。
「エクスプロア」のようなゲームでは,実際に遊んだ方のご意見やリクエストを汲み取って,より高みを目指していくことになりますので,思うところがあればぜひ私達にお伝えいただけると幸いです。
私達にとっても,サービス開始はゴールではなくスタートで,たくさん集まった人達をゲームのコンテンツと絡めてどううまく展開していくか考えていきます。
今の「エクスプロア」は一緒に遊べるのは4人までですが,今後は8人,16人といった規模でマルチプレイができるような企画も目指したいですし,ゆくゆくは10万人,20万人と集まった人達全員に影響が出るようなコンテンツにしていきたいと考えています。いろいろ新しいことにチャレンジしていきますので,「エクスプロア」の今後にぜひ期待してください。
4Gamer:
まずは,一日も早いiOS版の配信を期待して待っています。本日はありがとうございました。
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