［gamescom］日本のコミックスをゲーム化したアクションゲーム新作「Afro Samurai 2」が初披露。開発者インタビューをお届け

　インディーズレーベルを中心に展開する新興パブリッシャ Versus Evilのブースにおいて，「アフロサムライ」を題材とするアクションゲーム「Afro Samurai 2」（PC / PS4 / Xbox One）が正式にお披露目された。アフロサムライは，漫画家 岡崎能士氏の自費出版コミックスを原作とし，アメリカではTVアニメが放送されるほどの人気となった作品だ。
　もっとも，現時点ではアニメーションをチェックするためのプロトタイプ的なデモ映像が紹介されたのみ。加えて，まだ公式なアートワークやスクリーンショットもリリースされていない状態だったので，とりあえず開発を手掛けるRedacted Studiosの設立者であるデイビッド・S・ロビンソン（David S. Robinson）氏にお話を伺ってきた。


4Gamer：
　2009年に発売された前作「Afro Samurai」はバンダイナムコゲームスからのリリースでしたが，まずはRedacted Studiosの創設とライセンス獲得の経緯からお聞かせください。

David S. Robinson氏（以下，Robinson）：
　ええ。実は，私達Redacted Studiosのメンバーの多くは，元々バンダイナムコゲームスの開発チームに在籍していたんです。ただ，前作は大きなヒットとはならずに，続編は作らないという決定がなされました。でも，私達は諦めきれなかったため，ゲーム化する権利を引き継ぎ，新しい会社を作ることになったわけです。バンダイナムコゲームスも快く我々のことを送り出してくれましたね。我々にとっては父親のような存在です。

4Gamer：
　つまり，本作では前作の問題点を解決できるだけの自信を持っているということでしょうか？

Robinson氏：
　そうですね。 大きなところでは，まず本作が「アフロサムライ」であるにも関わらず，主人公はクマサムライという決断をしました。ご存じのように，アフロは父を殺された恨みから，「二番ハチマキ」を手に入れ，「一番ハチマキ」の所有者を追いかけます（※）。それは，コミックスとしては大義名分であり，まったく問題ないのです。ただし，ゲームとして一人称でプレイを進めた場合，私怨というモチベーションが主人公像にしっくりこない，そこで幼馴染みであり，アフロを止めようと旅に出るクマサムライをメインに据えたのです。

(※) 原作「アフロサムライ」の世界では，世界でもっとも強い勇者が「一番ハチマキ」を持ち，それを倒す権利を得るには「二番ハチマキ」が必要となる。ただし，二番ハチマキの所有者に対しては，誰でも挑戦できるので，それを所有するアフロはさまざまな戦いに巻き込まれていくことになる。

4Gamer：
　原作者の岡崎能士氏は，そのことについてどのようにお考えなのでしょうか？

Robinson氏：
　もちろん賛同していただいています。前作よりも，密にやり取りをしているくらいですね。

4Gamer：
　なるほど。

Robinson氏：
　そのほかの大きな変更点として，前作はハック＆スラッシュのようにアクションに比重が置かれていたのですが，今回は探索のような要素を持たせることで，より世界観を引き立たせるようにしています。前作のアクションが70％くらいだったとすると，今回は30％くらいに抑えており，よりアクションアドベンチャーゲームに近いものになっています。

4Gamer：
　今回のプロトタイプでは，大槌を持った巨漢の敵に振り回されている時，敵側の視点になっているような感じでしたが。

Robinson氏：
　そのとおりなんです。一人称でも三人称でもない，二人称のカメラ視点でプレイするという，面白い趣向を凝らしています。それぞれのミッションでさまざまな敵と戦いますが，敵と戦って負けそうな時に二人称へ移行し，その状況から逃れるためにボタンを連打するというような流れになります。

4Gamer：
　敵からの視点というのは面白いですね。

Robinson氏：
　二番ハチマキを手に入れようとする戦士達も，それぞれ異なる動機を持っており，それはアフロやクマ達以上に道理にかなっていたり，正義感に富んだものであったりするわけです。TVアニメの放映が終わってしまった以上，「アフロサムライ」の魂を消さないようにするのは，我々の使命だという自負のようなものさえ感じています。

4Gamer：
　「アフロサムライ」は，アフリカ系アメリカ人の社会にそれほど大きな影響を与えたのですか？

Robinson氏：
　それはもう，「アフロサムライ」が我々に与えた恩恵ははかり知れないものがありますよ。黒人でありながら，アメコミにはないヒーロー像に多くの人が衝撃を覚えたのは間違いありません。そもそもアフロヘア―というのは，60年代から70年代にかけて，差別と抑圧に反発する市民運動の中から生まれてきたものですし。我々を押さえつけることはできるが，髪の毛は切っても切っても生えてくるっていうね。主人公のアフロには，その概念が息づいている気がするのです。

4Gamer：
　非常に興味深い話ですね。実際のゲームプレイが見られるのを楽しみにしています。

　「Afro Samurai 2」は，PCおよびPlayStation 4，そしてXbox Oneでのダウンロード販売が計画されており，2015年以降にリリース予定となっている。さまざまなキャラクターでプレイできるCo-opモードも実装しているとのことで，今後の続報に期待しておこう。

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