プレイレポート
「シャイニング・レゾナンス」は軽快なアクションバトルと物語を体感できるシステムが融合。序盤のプレイインプレッションをお届け
シャイニングシリーズといえば,1991年に発売された「シャイニング&ザ・ダクネス」から連綿と続くセガを代表するシリーズの1つ。「シャイニング・レゾナンス」は,そのシリーズ最新作にして,据え置きゲーム機向けとして久々の新作でもある。
今回は発売日に先駆けて序盤をプレイすることができたので,インプレッションをお伝えしよう。
「シャイニング・レゾナンス」公式サイト
竜の力を宿す少年が宿命に立ち向かう“共鳴の物語”
まずは本作のプロローグを紹介しよう。
物語の舞台は,世界の中心にある島「アルフヘイム」。島の住人であるハイエルフは,歌でドラゴン達と交流し,平和な日々を過ごしていた。しかし,ある時,ドラゴンを凌ぐ力を持つ「神」が出現,世界を造り変えようとしてアルフヘイムに戦乱を起こす。激しい戦いの後,ハイエルフとドラゴンはかろうじて神を倒したが,ドラゴンのほとんどは肉体を失ってしまった。
それから1000年後,人間が治める地となったアルフヘイムにはアストリア王国が建国され,ロンバルディア帝国の侵略を受けていた。帝国の強大な力の前に,かろうじて持ちこたえるのが精一杯のアストリア王国だったが,王女ソニアと謎の少年との出会いから,戦局は大きく動き始める……。
主人公のユーマ・イルバーンは,頼りなげな少年だ。帝国の特殊施設に捕らえられ,実験材料として扱われていたが,自らその境遇に甘んじるなど悲観的になっている。それは,彼の身体には最強のドラゴン「煌竜」の力が宿り,ひとたび暴走すると破壊の嵐を巻き起こしてしまうためであり,外の世界と関わることに臆病になっていた。
ユーマを施設から助け出し,叱咤激励をもって彼を導いていくのがヒロインのソニア・ブランシュである。アストリア王国の王女でありながら,最前線で戦うことも厭わない,完全無欠のように見える彼女だが,実は悩みを抱えている。人々を守る「竜奏騎士(ドラグナー)」を目指しているものの,不可欠な資質である「竜刃器(アルモニクス)」との共鳴ができないのだ。
そんなソニアと共に戦う竜奏騎士の1人,キリカ・トワ・アルマは,エルフ族の箱入り娘でドラゴンと交流する「聖印歌(ルーンソング)」を受け継ぐ「聖印の歌巫女(ディーヴァ・マギカ)」。だが,その特殊な境遇ゆえに普通のコミュニケーションが取れず,周囲の人々には冷たい印象を与えてしまっている。
今回は第2章の終盤までプレイできたのだが,そんな彼らが互いに影響を与え合って変化していく様子は,まさに“共鳴(レゾナンス)の物語”といえるだろう。
自ら先頭に立って戦うソニアの姿を見て,煌竜の力を使うことを決意するユーマ。そしてユーマとの関わりの中で,徐々に少女らしい姿を見せるようになるキリカ。さらに兄貴肌の竜奏騎士アグナム・ブレットハートや,マイペースなリンナ・メイフィールドといった新たな仲間が登場し,人間関係はさらに広がりを見せていく。月並みな表現ではあるが,今後の展開が楽しみである。
シームレスで展開する軽快なアクションバトル
本作の戦闘は,シームレスで展開するアクション性の高いシステムとなっている。キャラクターがフィールド上を徘徊しているモンスターに触れると,画面が切り替わることなく戦闘に突入。さっきまで移動していたフィールドが,そのまま円形に区切られた戦場となってモンスターと戦うことになる。
戦闘ではパーティの先頭に立つキャラクターだけを操作し,残りのメンバーは自動で行動する仕組みだ。ユーマが豪快に大剣を振り回し,キリカは弓を射るといったように,それぞれが個性的な技を繰り出していく。もちろん,戦闘中に操作キャラクターを切り替えることも可能だ。通常攻撃をコンボのようにつないだり,モンスターの攻撃をダッシュで回避したり,モンスターの攻撃とタイミングを合わせてガードする「ジャストガード」を狙ったりとアクションゲームのような楽しさがある。
モンスターの攻撃モーションを見極めれば,空振りのスキに反撃して格上の相手を倒すことも可能だ。
たとえば大型モンスターのグリフォン戦では,ソニア以外のメンバーが戦闘不能となってしまってゲームオーバーを覚悟した。しかし,ここからグリフォンが攻撃するのを待ってから側面へ回り込み,通常攻撃で反撃を仕掛けるという戦い方を徹底することで,なんとか勝利をつかむことができた。アクション性の高い本作ならではのジャイアントキリングだろう。
アクション性が高いとはいえ,対戦格闘ゲームやシューターのように数フレームが勝敗を分けるというものではなく,難度は任意に変更できるのでアクションゲームが苦手な人でも安心してほしい。
なによりアクションのレスポンスが良好で,大剣をブン回してモンスターをなぎ倒すのが爽快だ。移動から戦闘,戦闘から移動への移行がシームレスでどんどん戦闘したくなるため,いつの間にかマップ上のモンスターを倒し尽くしてしまったほどである。
戦闘はテンポ良く進むが,むやみやたらにボタンを連打すればいいというわけではない。APやMPといったリソースを管理しつつ,敵を行動不能にする「ブレイク」を狙うことを意識すると奥深い側面を見せてくれる。
APは通常攻撃とブレイクアタック(特殊攻撃)を使うたびに減少し,攻撃を止めたり,フォースを詠唱したりすることで回復する。一方,MPはフォースを使うと減少し,通常攻撃やブレイクアタックをヒットさせると回復していく。
つまり,AP(通常攻撃&ブレイクアタック)とMP(フォース)は車の両輪のような関係であり,どちらかの攻撃だけでは効率的に戦えないのだ。
基本的に通常攻撃とブレイクアタックはコマンド入力から攻撃するまでの時間が短く,フォースは詠唱が長いという特徴があり,それらを考慮して攻撃の組み合わせを考えるのが面白い。
たとえば,ユーマのフォース「クエイカースマッシュ」は大剣を豪快に叩きつける技で,攻撃するまでに時間がかかる。そこで通常攻撃からのブレイクアタックで敵を行動不能に陥らせ,クエイカースマッシュで追撃すればスムーズに攻撃がつながるというわけだ。
敵をブレイクアタックやフォースで攻撃すると「ブレイク値」が溜まっていく。これが一定以上になると,敵を行動不能にするブレイクが発生し,集中攻撃のチャンスとなる。
ブレイクしやすいタイミングは,ガード中やフォースの詠唱中といったようにモンスターによって異なり,とくにボス戦では重要な要素となっている。モンスターの行動を見極めながらの戦いはスリリングで,実際,ブレイクに成功することで形勢をひっくり返したシーンが何度もあった。
仲間達との絆,暴走の恐怖,竜と心通わせる歌
ゲームプレイを通じて物語を体感できるシステム
ユーマや仲間達との絆,ユーマに秘められた煌竜の恐ろしい力,竜と心を通わせる聖なる歌。それらはシナリオ上だけに存在する要素ではなく,システムにおいても生かされており,プレイヤーはゲームプレイを通じて物語を体感できるようになっている。
ゲーム中のイベントや会話などの局面で,キャラクターの「パーソナリティ」を獲得することがある。これはキャラクターの個性や特徴を表すもので,ユーマの場合は「竜の魂を継ぐ者」「いたいけな少年」,ソニアは「アストリアの騎士」「竜奏騎士の世話係」,キリカは「大自然の歌巫女」「エルフのお嬢様」といったように,それぞれ内容が異なっている。
そして,物語が進むことで心境に変化が訪れると,新しいパーソナリティを獲得するというわけだ。
ソニアやキリカのひたむきな姿に心を打たれ,戦うことを決意したユーマは新たなパーソナリティ「護るための力」を獲得する |
パーソナリティは各キャラクターに複数存在し,その中から1つを選択することになる。すると,キャラクター(パーソナリティ)同士の相性によって,さまざまな「キズナ」が生まれる。キズナにはそれぞれ傾向やレベルがあり,それに応じて戦闘中に「共鳴」が発生し,キャラクターに特殊効果が付与されるという仕組みだ。もちろんパーソナリティを変えることでキズナと共鳴の効果も変化するので,いろいろと試したくなる。
ここでは,主人公ユーマと兄貴分のような存在であるアグナムの関係を例として紹介しよう。ユーマのパーソナリティを「護るための力」,アグナムを「頼れる兄貴」に設定すると,相性がいいのか「いくぜ兄弟!」というキズナが発生する。
しかし,アグナムのパーソナリティを「ハイテンション」に変えると,内向的な少年とハイテンションな青年ではノリが合わないということで,キズナは「ネガティブパワー」になってしまった。
ユーマとアグナムを結ぶキズナに注目。「護るための力」と「頼れる兄貴」に設定すると,「いくぜ兄弟!」のキズナが発生した |
パーソナリティを変えてみることで,できるだけ多くのキズナが生まれる組み合わせを探すのがポイントになるようだ。キャラクターの心境の変化が,それぞれのキズナから生まれる共鳴の効果,ひいてはゲームプレイに影響するというのは興味深い。
冒頭でも紹介したように,ユーマの身体には煌竜の力が秘められており,いつ暴走するか分からないという危うい側面を持っている。この力ゆえにユーマは他人との関わりを恐れるのだが,その理由は「竜装変化(トランスフォーム)」と「暴走」というシステムによって表現されている。
戦闘時にユーマを操作しているとき,L1ボタンを押しながらR1ボタンを押すと竜装変化によって煌竜に変身できる。変身中はAPを消費せず,攻撃し放題なうえに一撃のダメージが大きい。さらに仲間のMP消費が軽減され,共鳴が発生しやすくなるという効果もある。
ただし,メリットばかりではない。煌竜に変身中,ユーマのMPは徐々に減少し,最大値の50%を切ると暴走の可能性が生じるのだ。その可能性はMPが少なくなるにつれて上昇し,暴走した暁には一切の操作を受け付けなくなる。それまで自分が操作していた煌竜が敵味方関係なく襲いかかり,仲間達がバタバタと倒れていくのは,なかなか衝撃的な場面だ。
今回,ボス戦で竜装変化を使ったところ,暴走した煌竜が3人の仲間を次々と戦闘不能に陥らせ,ボスとの一騎打ちを見守るしかないという状況になってしまった。ユーマが煌竜の力を恐れていた理由が,プレイヤーにも理解できることだろう。
この恐ろしい暴走を防ぐのが「B.A.N.D(Beat Alive Nature Dragon)」である。モンスターを攻撃すると溜まっていくBPMゲージを消費し,B.A.N.Dを使用すると,仲間達が聖印歌を奏でて戦闘が有利になる効果が発生する。
同じ聖印歌でも,「センター」にするキャラクターによって効果が異なる。センターとは聖印歌の中心的存在で,序盤に歌える「日輪の煌き」の場合,ユーマがセンターなら「物理攻撃のダメージUP&敵の攻撃でひるまなくなる」,キリカなら「全攻撃のクリティカル率がUPし,命中率が100%になる」といったように,さまざまな効果が発生する。
もし煌竜が暴走しても聖印歌によって鎮めることができ,しかも使用中は暴走が起こらないようになる。まさに竜と心を通わせる歌だ。これで暴走に怯えることなく煌竜の力を使えるようになるわけだが,この安堵感はユーマの心情とリンクしているようでもある。
Tony氏が描くキャラクターとの交流も要チェック
本作のキャラクターデザインは,シリーズでおなじみのTony氏が手がけている。とくにイベントシーンは美しいグラフィックスによって,それぞれのキャラクターが生き生きと描かれているのだが,ここでは仲間との交流に関する要素を紹介しよう。
ソニアと対峙する帝国の皇女エクセラ。竜刃器を操り,ユーマ達の前に立ちはだかる |
ユーマを襲う謎の男ジーナス。アグナムとは旧知の仲のようだが,果たして彼の真意とは…… |
街やイベントでキャラクターに話しかけると,3つの選択肢の中から返答を選ぶ会話が発生することがある。これは「M.O.E.S(Mental Over Emotion System)」というシステムで,そのやりとりによって仲間との関係性が深まっていく。実は制限時間内に「返答しない」のも選択肢の1つになっているのだが,同社の「サクラ大戦」を思い出した人もいるのではないだろうか。
仲間との会話では,3つの選択肢から返答を選ぶ |
このようにフィールド上でも仲間が話しかけてくる |
さらに街やキャンプでキャラクターを「見つめる」と,夜に二人きりで会う約束をする「ナイトイベント」が発生することもあり,ユーマと仲間との触れ合いが描かれる。こうしたイベントを繰り返して「好感度」が高くなると,デートに誘われることがあるとのこと。ぜひともチェックしておきたいところだ。
街やキャンプで仲間を見つめると,二人きりで会う約束をするイベントが発生。二人の関係はどのように変化するのだろうか |
街にある調律屋では,竜刃器の「チューニング」が可能。自動ガードや攻撃速度アップなど,その効果はさまざま |
特定のモンスターを倒したり,アイテムを集めたりといった依頼を街の住人から受けることも |
今回は「シャイニング・レゾナンス」の序盤をプレイしただけとはいえ,主人公ユーマの葛藤やキャラクター同士のつながりといった物語の要素がゲームシステムにうまく生かされていることを確認できた。ストーリーが進むにつれて仲間達の関係性が変化し,戦闘もより戦略性を増していくはず。今から発売日が楽しみでならない。
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