レビュー
こんなの無理! と思ったコースをクリアしたときの爽快感はもう,病みつき
トライアルズ フュージョン
超エキサイティングなバイクゲーム
「トライアルズ フュージョン」登場!
ユービーアイソフトが本日(2014年5月29日)リリースした「トライアルズ フュージョン」(PC/PlayStation 4/Xbox 360。以下,フュージョン)は,世界中で高い人気を誇るバイクゲーム「トライアルズ」シリーズの最新作だ。
シリーズ第1弾は,2000年に無料配信されたブラウザ向けのタイトルで,それ以降,PC向けに何作かが作られてきたが,ブレイクしたのは2009年,Xbox Live アーケードに登場した「Trials HD」だ。これがヒットを記録したことから,2012年にはよりパワーアップした「トライアルズ エボリューション」がリリースされて人気に拍車をかけ,さらに2014年4月には,初のモバイル向けとなる「トライアルズ ゴー」が登場するなど,10年以上をかけてファン層を着実に増やしてきたという印象が強い。
「トライアルズ ゴー」まで,PCとXbox 360だけでリリースされてきたシリーズだったが,今回のフュージョンにはPlayStation 4版も用意されており,デベロッパであるRedLynxの気合がうかがえる。プレステユーザーの皆様,やったね。
まずはここで,「トライアルズ」シリーズについて簡単に紹介しておこう。ゲームのテーマは「モトトアイアル」で,これは,さまざまな障害物が設置されたコースを,モトクロスバイクでいかに速く走り抜くかを競うものだ。抜きつ抜かれつのレースとはまったく異なるテクニックが要求されるモータースポーツで,とくにヨーロッパでの人気が高い。そういえば,RedLynxはフィンランド,Ubisoftはフランスと,いずれもヨーロッパの会社だ。
フュージョンでもシリーズ従来作の基本的な部分は変わっていないが,メニュー画面,プレイ画面などが全体的に近未来をイメージしたものに変わっており,さらにゲーム性,爽快感,中毒性が一段と高められているという雰囲気だ。熱烈な「トライアルズ」ファンである筆者にとっては,寝不足になる日々がまたしても続きそうで嬉しい。というわけで,ここでそんなフュージョンのレビューをお届けしたい。ちなみに今回,筆者がプレイおよびスクリーンショットの撮影を行ったのは,PlayStation 4版だ。
「トライアルズ フュージョン」公式サイト
多彩なアクションを駆使して
とんでもないコースを走り抜けろ!
「トライアルズ」シリーズは,見た目は3Dだが実際は完全2Dだ。そのため,バイクをテーマにしたゲームでありながらハンドル操作は必要なく,プレイヤーが操るのはアクセルとブレーキさばき,そしてリーン(前後の体重移動)だけというシンプルなものになっている。これらの操作を駆使して,コースを攻めるわけだ。
使えるバイクは,性能や特性が異なる6台。獲得したメダルや賞金で,アップグレードやカスタマイズが可能になっている |
ライダーのヘルメットやレーシングスーツなどもカスタマイズできる。ヘンテコなものも用意されていて,楽しめる |
シリーズの大きな特徴は,出てくるコースがいずれも現実にはあり得ないような,破天荒で突拍子もないものばかりであるところだろう。掲載したムービーやスクリーンショットを見てもらうと分かるはずだが,アクセル全開でゴールにたどりつけるコースは一つもなく,スピードレースとはまた違うコントローラ(ないしはキーボード)さばきを求められる。
例えば,微妙な体重移動をして着地姿勢をちゃんと作らないと,速度が落ちて次のジャンプが飛べなくなったり,逆に飛びすぎてしまうこともある。また,ウィリーの姿勢から体重移動して一段高い場所にジャンプしたりなど,プロのモトクロスレーサー顔負けのテクニックを使わないと,先に進めないのだ。
コース攻略には,何度もトライ&エラーを繰り返して試行錯誤する必要があり,ひたすら体重移動でジャンプさせようとリトライを繰り返していたら,実は普通に加速するだけで抜けられた,なんてことは日常茶飯事。慎重に行くべきときもあれば,思い切って大胆に攻めたほうがいい場合もあり,的確な判断が重要になる。
まさに「死んで覚える」という海外ゲームテイストいっぱいのゲームデザインで,失敗しても瞬時にやり直しが可能だ。従来作と同様,本作にも,直前のチェックポイントからリスタートする「チェックポイント」と,コースの最初からやり直す「コースのリスタート」が用意されている。普通,同じ場所で何度も失敗すればイライラしてくるものだが,このテンポの良いリスタートがあるために何度でもミスを繰り返すことができる。これが,トライアルズの面白さを牽引する要素の一つだ。
走りが異なる3つの課題に挑戦しよう
メインとなる「キャリアモード」には,ビギナーレベルから始まる8種類のイベントが用意されており,言うまでもなく,後半のイベントになるほど高度なテクニックが要求される。最初はビギナー向けのイベントしかプレイできないが,ミス回数や走破タイムにより,プラチナ,金,銀,銅のいずれかのメダルが獲得でき,メダルの累計によって次のイベントがアンロックされるという流れだ。
それぞれのイベントには7〜8つのコースがあり,チュートリアルを兼ねた「トレーニング」のほか,スタートからゴールまで走破する「トライアル」,トリックを使って高スコアを目指す「FMX」(フリースタイルモトクロス),そして“ブレーキを使わずにゴールする”などの指定された条件を達成する「スキルゲーム」という走りのスタイルがある。いずれも最終目標は,完走することだが,これらが組み合わされて一つのイベントが構成されているという感じだ。
記述の通り,コースは現実にはあり得ないものばかりで,災害現場や工事現場だったり,失敗すると爆薬で吹き飛ばされたり,電車にひかれそうになったり,股間がキュンとすくむような高さからジャンプしたりなど,よくまあ考えついたものだという気分になってくる。
イベントに出てくるコースは,ほとんどが「トライアル」で,要するにさまざまな障害物を華麗なテクニックで乗り越えて,なるべく短時間でゴールすればいいわけだが,それ以外に「チャレンジ」と呼ばれる3つの課題が各コースにある。これはいわゆるやり込み要素で,クリアすることで賞金がもらえるという仕掛けだ。
つまり,なんだったら同じコースを合計4回,異なるスタイルで走ることができるわけで,リプレイ性は高い。
プロライダー顔負けのド派手なトリックを決めまくって
スカッとしよう!
これまでの「トライアルズ」シリーズに用意されたトリック,つまり技は,ウィリーのほかジャンプ中のフロントフリップ(前方宙返り)とバックフリップ(後方宙返り)のみで,実際のフリースタイルモトクロスで使用されるような,手足をバイクから離したり,逆立ちのままポーズを決めたりなどのド派手なものは使えなかった。しかし,フュージョンではここに大きな改良が加えられており,さまざまなトリックが使えるようになったのだ。
トリックは,バイクの姿勢と右スティックの入力方向によって発動するのだが,ゲームでは「トレーニング」でいくつか紹介される程度で,それ以外のトリックは自力で探し出すしかないという男らしい仕様になっている。筆者がいろいろ調べたところ,おそらく14種類のトリックがあり,フリップ(宙返り)と組み合わせた複合技も使えるようだ。
チュートリアルでは,一部のトリックのみ紹介される。ここでは好きなようにトリックを出せるので,がっつり練習しておくのがオススメ |
股間が思わずキュンとしちゃう,もの凄い高さからのジャンプなんかも数え切れないほど出てくる。着地に合わせて体勢を整えるのだ |
トリックを使わなければならないのは「チャレンジ」の一部と,トリックを使って着地を決めるとスコアが入る「FMX」になり,基本的にコースを走り抜けるだけなら無理にトリックを使う必要はない。とはいえ,フロントフリップやバックフリップを使ったほうが走りやすいという状況もあるので,同じコースを何度も走り込んで,トリックをうまく生かせる場所を見つけるのも,お楽しみの一つだろう。もっとも,高得点を狙って着地のギリギリまでトリックを続けて失敗転倒,苦労が水の泡なんてことになる場合もあるので,筆者を含めて注意したい。
また,スーパーマンにフロントフリップを加えて「フロント スーパーマン フリップ」にしたりなどの複合技も可能なので,スコアを狙って積極的に使っていこう。個人的には,指定されたトリックを指定時間内に次々に再現していくトリックマスターというスキルゲームが大好きで,これだけで何時間でも遊べてしまう。
このように,フュージョンでは派手さにいっそう磨きがかかっているのだ。
つい走りを追求してしまう「トライアルズ中毒」
あなたもぜひ仲間になってほしい
フュージョンは現在のところオンラインのマルチプレイには対応していないが,1台のテレビを使った4人同時プレイは可能だ。ライバルから遅れて画面外に出てしまうと,次のチェックポイントで復活という工夫が施してあるものの,個人的にはオンラインマルチプレイを希望している。今後対応するという情報もあるので,気長に待つことにしたい。
また,プレイヤーがオリジナルコースを作成できる「コースエディタ」が本作にも用意されている。作ったコースはネットで公開できるため,日本に先行して発売された海外のプレイヤーによる良質のコースが,すでに1万以上もアップされていて驚く。簡単なものから超高難度コースまで,内容もさまざまで,現在も新たなコースが増え続けているため,キャリアモードのコースをプレイし尽くしても問題なし。一生遊んでも,時間が足りないんじゃないだろうか。
もっとも,コースエディタにはチュートリアルもヘルプも用意されていないので,コース制作のハードルはいささか高い。高機能なオブジェクトが多数用意されていたりするものの,それらを使いこなすのにも時間がかかりそうだ。
それでも,本当に素晴らしいコースを作っているユーザーが大勢いるのは事実で,筆者もいずれ世界中のプレイヤーをアッと驚かせるコースを作りたいという野望を抱いている。無理にとは言わないが,ぜひ期待してほしい。
今回のフュージョンについて言えば,グラフィックスのレベルが向上したことは間違いないが,従来作と比べて基本的な部分に大きな変化はない。とはいえ,簡単に見えるコースでさえ,ランキング入りを目指したりチャレンジに挑戦したりすれば意外に苦戦するし,反対に「絶対無理」という雰囲気の高難度コースでも,何度かチャレンジを繰り返すうちに突破できてしまうなど,この,「簡単そうで難しい。難しいけどなんとかなる」というバランスが,これまでの「トライアルズ」シリーズの中でもピカイチだ。少なくとも,途中で詰まってしまうようなコースはなかった。
もちろん,思わず吹き出してしまうような演出もそこかしこに散りばめられていて,プレイ中,自分の失敗に何度も笑ってしまった。
筆者は現在,悪戦苦闘してコースをなんとか突破し,150回ぐらいのミスは少ないほうだ,わはははと満足し,さらなる完璧さを目指して再び同じコースに挑むというループに陥っており,強引すぎるが,このあたりからも本作の面白さと魅力を感じ取れるはずだ。対応機種も増えたことだし,「トライアルズ」シリーズの経験がないという人もぜひ,今回のフュージョンに挑戦して,筆者の仲間になってほしいと思う。
なお,5月15日に掲載した記事でもお伝えしたとおり,PlayStation 4版の体験版が配信中なので,ぜひどうぞ。
「トライアルズ フュージョン」公式サイト
- 関連タイトル:
トライアルズ フュージョン
- 関連タイトル:
トライアルズ フュージョン
- 関連タイトル:
トライアルズ フュージョン
- この記事のURL:
キーワード
(C) 2012-2014 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Trials Fusion, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Trials Evolution and RedLynx are trademarks of Redlynx in the US and/or other countries. Redlynx is a Ubisoft Entertainment company.
(C) 2012-2014 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Trials Fusion, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Trials Evolution and RedLynx are trademarks of Redlynx in the US and/or other countries. Redlynx is a Ubisoft Entertainment company.
(C) 2012-2014 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Trials Fusion, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries. Trials Evolution and RedLynx are trademarks of Redlynx in the US and/or other countries. Redlynx is a Ubisoft Entertainment company.