プレイレポート
「聖剣伝説 RISE of MANA」プレイレポート。スマートフォンで展開されるシリーズ最新作の手触りは
古くからのファンにとっては驚くことに,本作はスマートフォン専用タイトルだ。これまでにもフィーチャーフォンやスマートフォン向けに移植版やスピンオフ的なタイトルが提供されたことはあったが,シリーズの本領ともいえるアクションRPGの新作が,いわゆる“ゲーム機”以外にリリースされるのは初となる。
本稿では,スマートフォン向けゲームということで,多くの人が気になっているであろう操作性やシステムなどについてレポートしていこう。
iOS版「聖剣伝説 RISE of MANA」ダウンロードページ
主人公や操作方法を好みで選択可能。ゲームシステムはソーシャルゲームの要素が強い
本作の物語は,巨大樹が生える天界から始まる。そこには光の面「ラスタ」と裏の面「ダルカ」が存在しており,ラスタに住む天使と,ダルカに住む悪魔が長きにわたって戦いを続けていた。
そして今日も若き天使と悪魔がマナの滝のそばで剣を交える。だが,マナの滝がまるでいざなうかのように彼ら2人を吸い込み,地上へと運んだ。天使と悪魔は地上で生きることが難しい。そこで彼らが選んだのは,2人の精神をひとつの体に同化させること。天使と悪魔が同居する不思議な存在となった彼らは,天界へ戻る方法を探るべく,地上を冒険することになる。
さて,ゲームを始めると,プレイヤーはまず天使と悪魔の性別を決めることとなる。どちらも男女が用意されており,好きな組み合わせでプレイできるが,一度性別を決定すると変更できないので,その点には注意してほしい。
レイン 天使(♂) |
アリア 天使(♀) |
ヴァン 悪魔(♂) |
イリス 悪魔(♀) |
その後,ゲームデータのダウンロードを行うことになるが,「ゲームデータのみ」か「BGMやSEも含めたフルデータ」を選べるので,端末のストレージ容量と相談して決めるといいだろう。心配な人は,まずゲームを遊ぶまえに端末内の不要なデータを削除しておこう。
いよいよゲーム本編だが,スマートフォン向けの新作として開発されただけあって,操作方法やユーザーインタフェースがしっかり考えられていると感じた。気になるキャラクターの移動方法は「タップ」と「バーチャルパッド」の2種類が用意されている。
「タップ」は,プレイヤーがタップした地点に主人公が自動で移動する,MMORPGなどでよく見かけるシステムといえば分かりやすいだろう。タップし続けることでその方向にオートランする機能も搭載されており,タップによる定点移動とこの継続移動を併用しながら操作していくこととなる。
ゲームは横長画面でのプレイとなるため,左右への移動に問題はないのだが,画面の上下にあたる手前や奥への移動に少し窮屈さを感じた。とはいえ,手前・奥への移動時にはカメラの角度が調整されてタッチ領域が増える仕組みとなっているので,タップする場所がシビアでまともに移動できない,ということはないだろう。
一方の「バーチャルパッド」だが,画面に仮想パッドがオーバーレイ表示される……のではなく,画面左側の任意の場所をホールドした状態で指を動かせば主人公が移動するという方式だ。
要は画面左側全部が仮想パッドの役割を担っているという感じだ。とくに画面にはなにも表示されないので,背景や人物,オブジェクトといったものが見えなくなるということもない。個人的にこの操作方法はかなりプレイしやすかった。
なお,今回のプレイにあたってはLogitech(日本ではロジクール)のコントローラ「PowerShell Controller+Battery」も使ってみた。
本作においても使用感は上々で,テキスト送り,攻撃や回避といったアクション,そして移動といった操作との相性はよかったが,会話やクエスト選択といった細かい部分の操作では結局のところディスプレイをタッチする必要がある。頻繁にタップしなければならない場面があるので,人によってはiPhone単体のほうが楽,と感じるかもしれない。過度な期待は禁物と言えそうだ。
さて,ゲームの進行は,基本的にメインとなるストーリーに絡んだ「クエスト」を受注し,依頼内容に沿った「マップ」へ移動して,その中で目的を遂行するという流れになる。クエストはメイン以外にも探索クエスト,サブクエストが存在し,期間限定の特殊なものなどもあるようだ。
各クエストに挑むには「行動力」が必要となり,これはレベルアップや時間経過で回復する。このあたりの仕組みは最近のソーシャルゲームでよく見かけるものだが,慣れていない人は「プレイしたくてもできない」という状況が発生することに戸惑うかもしれない。
クエストに挑むときには,自分の武器や魔ペット(戦闘補助用のペット)のほか,フレンドの魔ペットを連れていくこともできる。フレンドだけでなく,無作為に選ばれたプレイヤーの魔ペットから任意に選択することもでき,クエスト終了時にはそのプレイヤーへのフレンド申請も可能だ。戦力の強化につながるので,積極的に活用していこう。
こちらも最近のソーシャルゲームではスタンダードな機能で,これによりフレンドが作りやすくなるなど,ゲーム内でのコミュニケーションが活発になる。
「レイドボス」と呼ばれる,プレイヤー一人ではとても太刀打ちできない強力なボス敵との戦闘も,フレンドやほかのプレイヤーの力を借りるときだ。一時的なパーティを組んでリアルタイムオンラインバトルに挑もう。
協力し合うことでお互いにメリットがあるだけでなく,ゲームにも大きな盛り上がりが生まれる。ソーシャルゲームのいいところを生かしていると感じた。
天使と悪魔の切り替えがゲームのカギを握る
バトルの操作はシンプルで,まず出現した敵をタップして「ターゲット」したうえで,画面内の任意の場所をタップすれば攻撃が繰り出せる。続けざまにタップすれば連続攻撃も可能だ。また,右下にあるスキルアイコンをタップすれば,「武器スキル」と呼ばれる強力な攻撃が使える。
だが,本作のバトルにおけるもっとも大きな特徴は,「転身」システムにある。これは天使であるレイン(女の子の場合はアリア)と,悪魔であるヴァン(女の子の場合はイリス)を任意に切り替えられるもの。天使と悪魔はそれぞれ戦闘時の攻撃スキルが異なっているので,その使い分けのために転身するのもいいのだが,実は,使い方によっては転身そのものが大きなメリットとなるとなることもある。
本作では,敵から攻撃を受けると,緑色のHPゲージが減るだけでなく,残っているゲージの一部が赤くなる。これは「リカバリーダメージ」と呼ばれるもので,一時的なダメージを表しているのだが,転身すればこのリカバリーダメージを一気に回復できるのだ。
また,戦闘中に転身すると,キャラクターが入れ替わったとき,自動的に武器スキルが発動する。通常,武器スキルの使用後は,再度の使用までにクールタイムが必要となるのだが,転身時の発動についてはそれが不要で,続けて武器スキルを使用することもできる。 これを活用して,危ないと感じたらすぐさま転身し,武器スキルで周囲をなぎ倒しピンチを脱出……といった戦い方もできるのだ。ただし戦闘中の転身は一定時間経過しないと再使用できないので,これだけで戦っていくのは難しいだろう。
戦闘以外でも,転身は重要な要素となる。村の人と会話には,天使か悪魔のときのみにしか確認できない心の声「魂声」があるのだ。たとえば天使のときは普通の会話だが,悪魔に転身すると重要な情報が聞ける,といった具合だ。
この魂声を聞くことで新たなマップが出現したり,クエストが発生したりすることが多いので,情報収集時は積極的に転身を繰り返すといいだろう。
作り込まれたからこその問題点はあるが,新旧要素がバランス良く盛り込まれた最新作
AppStoreの情報によると,本作の対応機種はiPhone 4S以降の機種とiPod touch 5thとなっているが,iPhone5以上でのプレイが推奨されている。
実際に今回のプレイでも,iPhone 4Sではグラフィックス設定で影や環境光の描写を抑えてもプレイ中に少々ひっかかりを感じた一方,iPhone 5sでは「ヌルヌル」と形容したくなるような動きで,かなりの差があった。iPhone 4Sのプレイヤーは一度知り合いなどに頼んで推奨環境でのプレイを体験してみてほしい。
システム周りやソーシャル要素など,いくつもの新要素が詰め込まれている本作。かといってシリーズの良さが失われたかと言われるとそんなことはなく,ゲームの端々から聖剣伝説らしさを感じ取ることができる。
序盤をプレイしただけでも,巨大樹やマナといったキーワードが散りばめられた物語は気になるところだし,さまざまな武器を使いこなすバトルの感覚に懐かしさを覚える人もいるはず。サボテン君やニキータ,トレントなど,シリーズファンならニヤリとするキャラクターたちも登場し,伊藤賢治氏,菊田裕樹氏,下村陽子氏というそうそうたるメンバーによるBGMが気分を盛り上げてくれる。
長々とプレイレポートを書いてきたが,とにかく「スマートフォン向けゲーム」という先入観を捨て,純粋な「聖剣伝説シリーズ」最新作としてプレイしてもらいたい。細部まで作り込まれた本作は,しっかりとその期待を受け止めてくれるはずだ。
「聖剣伝説 RISE of MANA」公式サイト
- 関連タイトル:
聖剣伝説 RISE of MANA
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