プレイレポート
ついに発売されたオンライン対戦アクション「EVOLVE」をレビュー。2KとTurtle Rock Studiosが贈る,異色の非対称対戦を存分に楽しもう
「EVOLVE」公式サイト
4Gamerではこれまで,本作について多くの記事を掲載してきたが,今回は,発売されたPlayStation 4版をプレイしたうえでの,総合的なゲームの仕様や手触りなど,これまで記事にできなかったところを詳しくお届けしよう。
なお,筆者は過去3回ほど行われたメディア向け体験会や,東京ゲームショウ2014での試遊,大規模αテストなどに参加し,そのつどプレイレポートを書いた。ビルドは違えど,同じゲームをプレイしているわけなので,本稿と内容が一部被るかもしれない点については,あらかじめ了解願いたい。
■関連記事:
・「Left 4 Dead」のTurtle Rock Studiosが手がけるサバイバルアクション「Evolve」を最速体験。狩るか狩られるか,4人対1人の熱い対戦をレポート
・2K,「Evolve」の第2回メディア体験会を開催。新たな4人のプレイアブルキャラクターと新モンスター,KRAKENのプレイフィールなどを詳しくレポート
・[TGS 2014]4対1の非対称対戦をウリとする「Evolve」が日本で初めてプレイアブル展示。Xbox One版の操作感と試遊プレイヤーの反応を確認した
・PlayStation 4版「Evolve」の大規模αテスト「Big Alpha」の模様をレポート
トラブルから復帰後のテストの様子と最新プレイフィールをお届け
・2K,「Evolve」の3回目となるメディア体験会を開催。新モンスター「レイス」や,惑星上での5日間の戦いを描く「脱出モード」を体験した
マルチプレイがメインだが,ソロでもしっかり楽しめる
まずは,ゲームについての知識が少ないという人に向けて,本作の基本ルールを簡単に説明しておこう。
舞台になるのは地球から遠く離れた惑星シーアで,冒頭でも触れたように,この惑星を舞台にプレイヤーは4人のハンターと1体のモンスターに分かれて,狩るか,狩られるのかの戦いをくり広げる。勝利条件の異なるいくつかのモードが用意されているが,一番分かりやすい「狩猟」では,ハンター側はモンスターを倒すことで,またモンスター側はハンター全員を行動不能にするか,最終段階まで進化した状態でマップにある「送電施設」を破壊することで勝利となる。
ハンター側が一人称視点であるのに対し,モンスター側はハンター側は三人称視点という異なるシステムが採られていることも本作の大きな特徴で,とくにモンスターはそれぞれに特徴的なアクションが用意されているため,操作には若干の慣れが必要かもしれない。
当然ながらソロプレイでは自分以外をすべてAIが担当することになるのだが,そこそこの賢さを持っており,さらにプレイヤーの腕に合わせてシチュエーションやAIの強さを設定できるので,操作方法やマップを覚えたり,使える攻撃の特徴を身につけたりするためにちょうどいい相手となってくれる。
こうした充実のソロプレイにより,いきなりオンライン対戦に参加することに抵抗のある人でも,自然にソロからマルチに移行できるだろう。
遊び込むことで分かる,対戦バランスの妙
4人対1人,しかも互いのプレイフィールが大きく違うという独自のシステムの本作だが,ゲームバランスは絶妙だ。全員が3種類の武器と1つのアビリティを持った4人のハンターに追われるモンスターは,相応の力を持っていなければ対抗するのは難しい。かといって強すぎると,対戦バランスが崩れて,誰もハンターをプレイしなくなってしまう。
本作のモンスターは,効果範囲の広い強力な攻撃方法や,驚異的な移動能力を持つ一方,タイトルにもなっている「進化」(Evolve)をしなければ,そのポテンシャルを発揮することができない。野生動物を倒して食べることで行う進化だが,そのプロセスにもリスクがあり,進化のために倒した野生動物を吸収するときや,進化自体をするときは完全無防備になる。進化した直後はモンスターの体を覆う外皮(アーマーの役割)がなくなり,それを回復させるまでは,防御面で圧倒的に不利になってしまうのだ。
またモンスターの体力は,進化したときに底上げされる以外は一切回復しない。そのため,最終のステージ3(進化は2段階で,初期状態はステージ1)まで進化して,攻撃面では圧倒的に勝る状態となっても,体力の少ない状態で敵から攻撃を受ければ危ない。最後まで油断できないわけだ。
そんなモンスターを追うハンターも,4人の役割がしっかりと差別化されているため,プレイヤーは自分のクラスの能力を理解し,各々の役割に徹せなければ,モンスターを倒すどころか,発見することさえ難しいかもしれない。
「トラッパー」がマップのどこかにいるモンスターを探して足止めし,攻撃専門の「アサルト」がそれを攻撃,後方から「サポート」が補助し,傷ついたメンバーを「メディック」が回復する……こうした基本的な役割をしっかりと果たすためには,アサルト以外は攻撃武器を封印するぐらいの心構えが必要かもしれない。
回復役を務めるメディックが倒されてしまうと,モンスターにたたみかけられて全滅する可能性もある |
ドクロマークは行動不能の仲間だ。近寄って蘇生しなければ,やられてしまう。リスポーンまでは数分を要する |
こうしたハンターとモンスターの戦いに華を添える要素としては,惑星シーアの風土が挙げられる。広大で凹凸の激しい地形と生い茂る植物は,モンスターにとって身を隠すのにうってつけで,うまく利用することでハンターを翻弄できる。
一方でマップに群れる野鳥は,そばを通ったモンスターに驚いて飛び立ち,ハンターがモンスターの位置を調べる目印となる。さらに原生の野生動物の中には凶悪なものがいて,ハンターだろうがモンスターだろうが見境なく攻撃してくるなど,シーアの自然がもたらすハプニングが両者の均衡を崩し,対戦にちょっとした味付けをしているのだ。モンスターを見つける前に野生動物に襲われて,瀕死の重傷を負ってしまうことも珍しくない。
近くを通るだけで突然襲いかかってくる,凶暴な野生動物もいる。周りに仲間がいないと殺されてしまう場合もある |
死骸に集まる鳥は,モンスターに怯えて飛び上がり,位置を教えてしまう(モンスターにとっては)厄介な存在だ |
モンスターやハンターが使える武器やアビリティは個性的かつよく錬られていて,自身の役割をうまく果たして勝ったときの手応えは格別だ。ハンターは同じクラスでもキャラクターによって感触がかなり違うので,ぜひすべてを開放して,自分のプレイスタイルに合ったキャラクターを見つけてほしい。
目的の異なる4つのモードと,それを通しでプレイするモード
続いて,本作のゲームモードについて紹介しよう。上記の「狩猟」のほか,ハンターがモンスターの卵を破壊する「巣窟」,ハンターが入植者を救助する「救出」,そして輸送船の動力源をモンスターから守る「防衛」の4種があり,すべてがソロ,マルチ両方で楽しめる。
以上のモードを通しでプレイする「脱出」というキャンペーンモードも存在している。1日1モード,5日間で5つのモードを連続してプレイしていく(一部,プレイヤーによる選択あり)というもので,勝利できればクイックマッチの比ではない,最高の達成感が得られるはずだ。ただし結構な長丁場になるので,じっくり時間があるときにチャレンジするのがいいだろう。
オンラインで楽しむときは,「狩猟」のみが楽しめる「スカーミッシュ」,または上記の「脱出」,そしてモードやマップなどを自分で設定できる「カスタム」のいずれかを選ぶことでマッチングが始まる。プレイヤーが少なかった場合でも,ある程度時間が経過するとAIを交えてのプレイが始まり,そこに新たなプレイヤーが入ってくることもある。また,プレイヤーが途中で抜けてしまった場合,AIがそのキャラクターを引き継ぐなど,このへんは本作を開発したTurtle Rock Studiosの出世作,「Left 4 Dead」に似ている。
なおマッチングは,自分のレベルに近いプレイヤーが集まるようになっている。
この仕様,マッチングのテンポが速くていいのだが,AIを入れず全員人間でプレイしたいと思うときもあり,「5人揃ったらスタート」というような設定があれば,満足度はさらに上がったのではないだろうか。
なお,3月13日に掲載した記事でお伝えした「観戦モード」だが,こちらも4月中には実装されそうだ(関連記事)。
本作は敵にやられてリスポーンするまでの間,戦っているほかのプレイヤーの様子を見ることができるのだが,これがなかなか面白く,筆者は実況にも向いた作品だという印象を持った。それだけに,大いに歓迎したいモードだ。これからゲームをプレイする人にとって,戦い方の参考にもなるのは間違いないので,早めの実装を希望したいところだ。
緻密なグラフィックスで繰り広げられる異色の戦い
筆者のプレイしたPlayStation 4版についていえば,ソロ,マルチともにロード時間がやや長く,ちょっと待たされるなという印象だった。また上記のように,プレイヤーが揃わないうちに,AIを交えて対戦がスタートしてしまう。プレイヤーの腕の差が大きいと,マッチが面白くなくなる可能性のある作品なので,今のところこれがベストなのだとは思うが,人と戦いたい筆者としては,ちょっと残念だ。
また,αテストのときに2Kから発表された「ハンターとモンスターの勝率」や「クラスごとの使用頻度」などがリアルタイムで表示されれば面白そうだなとも思えた(関連記事)。可能なら,ぜひ機能として用意してほしい。ちなみに,プレイヤーランキングをリアルタイムで見る機能は実装されている。
「Left 4 Dead」シリーズを手がけたTurtle Rock Studiosのノウハウが,たっぷり詰まった本作。長い経験による絶妙な対戦バランスとルール設定は,プレイすればきっと納得できるはずだ。
筆者は現在,ハンターではトラッパーのGRIFFINとサポートのBUCKET,モンスターはKRAKENで参戦中だ。対戦ではモンスターがやや有利という声もある中,実のところオンラインではあまりモンスターで勝てておらず,ソロとマルチ両者で特訓しているところだ。
後日,新規ハンター4人とモンスター1体も追加コンテンツとして予定されているそうなので,そちらが参戦することで,戦況にどんな影響を与えるのかも気になるところ。
最新機種向けにリリースされているということもあり,グラフィックスのクオリティもバツグンだ。緻密に表現された箱庭の中で繰り広げられる異色の戦いを,あなたもぜひ試してほしい。
「EVOLVE」公式サイト
- 関連タイトル:
Evolve Stage 2
- 関連タイトル:
EVOLVE
- 関連タイトル:
EVOLVE
- この記事のURL:
キーワード
(C)2010‐2014 Take‐Two Interactive Software, Inc. 2K, the 2K logo, Evolve, the Evolve logo, and Take‐Two Interactive Software are trademarks of Take‐Two Interactive Software, Inc. Turtle Rock Studios and the Turtle Rock Studios logo are trademarks of Turtle Rock Studios, Inc.
(C)2010‐2014 Take‐Two Interactive Software, Inc. 2K, the 2K logo, Evolve, the Evolve logo, and Take‐Two Interactive Software are trademarks of Take‐Two Interactive Software, Inc. Turtle Rock Studios and the Turtle Rock Studios logo are trademarks of Turtle Rock Studios, Inc.
(C)2010‐2014 Take‐Two Interactive Software, Inc. 2K, the 2K logo, Evolve, the Evolve logo, and Take‐Two Interactive Software are trademarks of Take‐Two Interactive Software, Inc. Turtle Rock Studios and the Turtle Rock Studios logo are trademarks of Turtle Rock Studios, Inc.
- EVOLVE 予約特典DLC 「モンスターエクスパンションパック」+Amazon.co.jp限定予約特典DLC「インスタントハンターパック」付 [オンラインコード]
- Digital Video Games
- 発売日:2015/03/05
- 価格: