プレイレポート
「Left 4 Dead」のTurtle Rock Studiosが手がけるサバイバルアクション「Evolve」を最速体験。狩るか狩られるか,4人対1人の熱い対戦をレポート
「Evolve」公式サイト
2014年1月に正式発表されたエボルブだが,それまでは数点のイメージイラストとマルチプレイ主体のゲームだという概要以外,ほとんど公開情報がない謎のタイトルだった。
大ヒット作として評価の高い「Left 4 Dead」シリーズを制作したTurtle Rock Studiosの新作だけに,大きな期待がかかる一方,本作を説明するいくつかのキーワードを聞いて「あの人気作のクローンでは?」と予想した人は少なくないかもしれない。実際,筆者の頭の片隅にもそんな考えがあったのだが,今回の体験会で実際にプレイしてみたところ,そんな安直な発想とはまったく異なるゲームだった。
プレイヤーは,それぞれ異なった特技を持つ「ハンター」側4人と,ゲーム中に進化を遂げる「モンスター」側1人に分かれて対戦プレイを行うことになるが,これについてブロック氏は,「AIで制御されたモンスターを倒すのではない」という点を強調し,お互いに人間が操作するゲームの深い戦略性をアピールした。
ハンターとモンスターとではゲーム性からして大きく違っており,FPSや協力プレイを好む人はハンターを,1人で遊ぶのが好きな人はモンスターをといった具合に,好みが異なるプレイヤーでも楽しめるという。
体験会は,メディアごとにハンターとモンスターをそれぞれ交替でプレイするというもので,試遊できたのはPC版。デルのゲーマー向けブランドALIENWAREの最新機種が用意されており,操作はキーボード+マウスのほか,Xbox 360のコントローラでも行えるようになっていた。なお,ゲーム画面の撮影は禁じられており,このページに掲載したのはオフィシャルに公開されたものとなる。
さて,詳細は後述するが,プレイできたのは「HUNT」というモード。ハンターには4つのクラスが用意されており,マッチの前に選択できるが,仲間と同じクラスは選べず,全員が異なるクラスになるという仕様だった。
戦いの舞台となるのは「FOREST RUINS」という深い森に覆われたマップで,段差が多く地形は複雑で,近代施設も点在している。
2014年1月21日に掲載した第一報でもお伝えしたように,ここは凶悪な動植物が生息する辺境の惑星であり,さまざまな生き物がマップにいる。中には,ハンターやモンスターにとって脅威となる危険な生物などもおり,戦いを複雑なものにしている。これらの生物をいかにうまく使っていくかという戦略も,重要だ。
ハンターとモンスターでは,当然ながら互いの戦略がまったく異なるが,まずハンター側は,モンスターをいかに早く見つけ出して攻撃し,効率よくダメージを与えていくかが大切だという印象。
マップを移動するモンスターは地面に足跡を残すほか,付近にいる鳥が驚いて羽ばたくため,それを手がかりに追跡し,そしてモンスターを発見したら手近なポイントをマークしたり,声をかけたりして仲間にそれを伝え,攻撃を仕掛けるのだ。
ハンターには,モンスターの位置を把握するのに有効な装備を持つクラスもあり,これをうまく使ってモンスターを見失わないようにしつつ攻撃し,体力を削っていくのが定石となるように思われた。
モンスターはゲームが進むにつれて強くなっていくため,時間がかかるほどハンター側は不利になる。モンスターにやられて体力がゼロになったハンターは,その場で動けなくなり,手持ちのハンドガンでしか反撃できなくなる。この状況で味方に回復してもらえれば戦場に復帰できるが,その前にもう一度ダメージを受けてしまうと死亡し,リスポーンを待たなければならない。
一方のモンスターは進化前はさほど強くないため,序盤はハンターを相手にするよりマップ上の動物をどんどん食べて進化する必要がある。
上記のように,モンスターは移動すると足跡を残すが,「スニーク」を使えば,速度は落ちるものの足跡を残さずに移動でき,痕跡を消すことが可能だ。さらにゲーム開始時,ハンターがドロップシップからマップに降下するまでの約30秒間は自由に行動できるので,その間に身を隠したり,動物を捕食したりして準備を整えられる。
モンスターの進化形態は3段階あり,進化のたびに新しい攻撃方法が増え,攻撃力そのものも大幅にアップする。最終進化状態になれば,一撃でハンターの体力のほとんどを奪えるレベルに達するので,一気に形勢を逆転できるのだ。
なおモンスターの防御力は,「体力」と体を覆う「アーマー」の2本立てになっており,ハンターに攻撃されてアーマーの数値がゼロになると体力が減っていくという,FPSではおなじみのシステムだ。アーマーは動物を食べることで回復できるが,体力は進化時にしか回復できないので注意が必要だ。
「HUNT」モードにおけるハンターの勝利条件は,モンスターの体力をゼロにして倒すことだが,モンスターのそれはハンター全員をまとめて倒すことのほか,マップ内にある「ジェネレイタ」を破壊し,研究者(ジェネレイタを破壊すると逃げ出してくる)全員を倒すという方法が用意されている。つまり,必ずしも無理に戦う必要はないわけだ。ちなみに筆者は,残念ながらその方法を試すことができなかったので,詳しくは今後の情報を待ってほしい。すみません。
体験会では,モンスターとハンター4クラスをすべて試せたので,以下に,それぞれの特徴やプレイフィールをお伝えしたい。
ハンター
モンスターを狩るという共通の目的を持った人間達で,武器2種類と特殊装備,そしてスペシャルアビリティをクラスごとに備えている。背中にジェットパックを装備しており,ジャンプしたあと一定時間滞空できる。
MARKOV(アサルト)
武器1:Assault Rifle (遠距離攻撃用の連射可能なライフル)
武器2:Lightning Gun (近距離の敵に電撃を発射する強力な武器)
装備:Arc Mine (モンスターが踏むと爆発する地雷を設置する)
アビリティ:Personal Shield (一時的に無敵になるシールドを張る)
スキンヘッドの巨漢で,顔の1/4がゴーグルで覆われている。攻撃に特化したクラスで,最前線でモンスターを攻撃する非常に分かりやすいキャラクターだ。モンスターを見つけたらとにかく撃ちまくり,アーマーや体力を削っていく役割なので,初心者でも比較的扱いやすいのではないだろうか。
ただし,敵にやられると攻撃の要がいなくなるため,モンスターに進化の隙を与えてしまうことになる。Personal Shieldも,使える時間が短めという印象だ。
VAL(メディック)
武器1:Anti-Material Rifle (モンスターのアーマーをピンポイントで貫通し,弱点を作る)
武器2:Medgun (味方に向けて撃つことで,体力を回復させる)
装備:Tranquilizer Rifle (一定時間モンスターの動きを遅くし,味方に居場所を知らせる)
アビリティ:Healing Burst (自分を含めた周囲の味方を回復させる)
ポニーテールのアジア系女性のキャラクター。MedgunやHealing Burstを使って味方を回復するのが主な役割で,常に味方のそばにいて,全員の体力に気を配る必要がある。
武器のAnti-Material Rifleは,モンスターのアーマーにピンポイントで穴を開け,味方がその部分を攻撃することでモンスターの体力を素早く削れるという特殊なスナイパーライフル。またTranquilizer Rifleは,モンスターの姿が一定時間シルエットとして表示され,味方全員がどこからでも視認できる装備で,ともにサポート役のアイテムとして非常に優れている。その役割から,モンスターから狙われやすい存在といってよく,モンスターに反撃できる戦闘力もほとんどないため,味方との協力は必須だ。
HANK(サポート)
武器1:Laser Cutter (レーザー状のカッターでモンスターにダメージを与える)
武器2:Shield Projector (味方にシールドを張り,一定時間無敵状態にする)
装備:Orbital Barrage (狙った場所に空爆を要請し,大ダメージを与える)
アビリティ:Cloaking Device (自分と周囲の味方を一定時間モンスターから見えなくする)
ヒゲとヘッドフォンが特徴的な男。戦術的に味方をサポートする役割で,防御系の装備で味方をバックアップしてもいいし,自ら攻撃してもいいという,戦況によって戦い方を変えられるテクニカルなクラスだ。
高い攻撃力のOrbital Barrageは攻撃をヒットさせることが難しいが,後述するトラッパーの力を借りてモンスターの動きを制限することで当てやすくなる。単独ではなく,味方の誰かと組むことで,より大きな力を発揮できるという印象だ。
GRIFFIN(トラッパー)
武器1:Submachinegun (実弾を高速連射してモンスターにダメージを与える)
武器2:Hapoon Gun (ロープ状の武器を発射してモンスターの動きを止める)
装備:Sound Spike (モンスターの位置が分かるトラップを設置する)
アビリティ:Mobile Arena (ドーム状のバリアを張り,モンスターを閉じこめる)
テンガロンハットが似合う男で,モンスターの発見や追跡を得意とする。マップ上にSound Spikeを仕掛けておくことで,その近くを通ったモンスターの位置を味方に知らせることが可能であり,さらに見つけ出したモンスターをHapoon GunやMobile Arenaで拘束し,ほかの味方が攻撃しやすい状況を作り出せる。
Mobile Arenaのドームの中にモンスターを閉じこめたときの気持ち良さは格別だが,同時に反撃に転じたモンスターに狙われる可能性もあるため,油断禁物。
ハンターでプレイした印象としては,モンスターを発見した場合は攻撃より,まず味方に知らせることが重要のように感じられた。モンスターをAIではなく人間が操作しているため,こちらが予想できない行動をとってくることもあり,戦いのパターンは無限。おのおのの役割をうまく果たして,モンスターを物理的にも心理的にも追い込んで倒すことができたときの気持ちよさは別格で,これまでのマルチプレイゲームとは違った達成感を味わうことができた。
モンスター
舞台となる惑星Shearに生息する巨大なモンスター。今回の試遊では,その中から「Goliath」が登場した。
Goliath(ゴライアス)
アビリティ1:Charge (対象に向かって体当たりをする)
アビリティ2:Fire Breath (前方にファイアーブレスを吹き出す)
アビリティ3:Leap Attack (対象に向かって飛びかかる)
アビリティ4:Rock Throw (対象に向かって岩石を投げつける)
Goliathは,頑強な肉体を持った2足歩行のモンスター。ジャンプして高速移動したり,樹木や岩,構造物の壁を登ったりできるなど,大きさの割に動きは敏捷だ。
足跡を残さないスニーク移動が可能で,太い腕で殴る通常攻撃のほか,上記4つのアビリティを持っており,最初はその中から2種類選択し,以降は進化するごとに1種類ずつ選んでいくというシステムになっている。
周囲の動物やハンターの姿は「嗅ぐ」というアクションで,輪郭が視覚化されるようになっており,見えない位置にいるハンターでも捕捉可能だ。倒した動物の近くで所定のキーを押すことで食べることができ,食べるとアーマーが回復したり進化したりする。
進化によって戦闘力の大幅上昇と体力回復ができるが,進化のときには隙ができ,さらに進化直後はアーマーがゼロになってしまうため,タイミングにも気を配らなければならない。
モンスター側でプレイすると,とくに序盤の進化前の弱い状態のときは,ひたひたと迫ってくるハンターがかなり怖く,とても屈強なモンスターをプレイしているとは思えない,忍耐のステルスプレイが続くはずだ。
ちなみに筆者は,操作にうまく対応できず,ハンター(そして背後で観戦する担当編集者)のプレッシャーにも負け,最終段階まで進化したにも関わらず敗退してしまった。慣れない同士がプレイすると,やはりモンスターに分があるらしく,「モンスターが負けるところを初めて見た」などと言われてしまったが,それでも短い間ではあったものの,進化した状態でハンターどもを一気に蹴散らしたときの喜びは大きかった。
また,ハンターがFPSらしい一人称視点なのに対し,モンスターが三人称視点であるのも面白い部分で,どちらでプレイするかによって,まったく雰囲気の違うゲームとして楽しめる。
製品版では,今回紹介したハンターとは別に,武器や容姿などが異なるキャラクターが登場し,モンスターも種類を選べるようになっているとのこと。さらにゲームモードや,マップも多数用意されるそうなので,さらに充実したプレイを味わえるだろう。
エボルブの発売は,北米で2014年秋が予定されているが,日本での具体的な発売時期は未発表だ。できれば,欧米にあまり遅れることなくリリースしてほしいと思う。
最後に,前述したプロデューサーのジョン・ブロック氏に簡単なインタビューを行ったので,本稿の締めとして掲載したい。
エボルブは,いろいろなタイプのプレイヤーが楽しめる,
奥の深いゲーム
4Gamer:
よろしくお願いします。まずは,本作の開発経緯を聞かせてください。
ジョン・ブロック氏(以下,ブロック氏):
4Gamer:
これまでプレイヤー4人で協力して敵を倒すというゲームはたくさんありましたが,モンスターもプレイヤーが操作できるというのはかなり独特です。アイデアはどこからきたものなんでしょうか。
ブロック氏:
それもクリス・アシュトンの基本的なアイデアに最初からあったもので,現在の形は,それをさらに洗練しています。繰り返しになりますが,「Counter-Strike」と「Left 4 Dead」の開発からは大きな影響を受けていますね。
4Gamer:
ユニークなゲームデザインだけに,まとめるのに苦労が多かったのではないでしょうか。
ブロック氏:
4Gamer:
ハンターが一人称視点なのに対して,モンスターが三人称視点になっているのはなぜなんでしょうか。
ブロック氏:
ゲームのメリハリを考えた結果です。そうしたメリハリは,視点だけでなくゲーム展開でも重要だと思っています。エボルブでは,例えばモンスターが隠れて動物を食べ,それをハンターが必死で探すといった比較的静かなシーンも出てきます。プレイヤーがいつでも激しく戦っているわけではないんです。
4Gamer:
シングルプレイは用意されていますか。
ブロック氏:
シングルプレイについてはまだお話しできませんが,マルチプレイの場合,プレイヤーの人数が不足したときはAIが代わりを務めます。そのへんは「Left 4 Dead」と同じですね。
4Gamer:
成長要素やカスタマイズとしては,どのようなものが予定されていますか。
ブロック氏:
ハンターにもモンスターにも成長要素はありますが,具体的な内容はまだお知らせできません。次の情報を楽しみに待っていてください。
4Gamer:
モンスターの種類なども気になるのですが。
ブロック氏:
申しわけありませんが,今は言えません。ただ,今回のGoliathとはまったく違うタイプのものが登場することだけはお伝えできます。見た目や能力が大きく変わります。それはハンターにも同じことが言えて,クラスは同じですが,異なる武器や能力を持ったハンター達が登場します。
4Gamer:
ちなみに,ゲームエンジンは何でしょうか。
ブロック氏:
「CryENGINE」になります。
4Gamer:
開発途中でパブリッシャが変わったことで,何か影響がありましたか。
ブロック氏:
ないですね。いくつかのパブリシャ候補があった中からTHQに決まりましたが,その後,ああいったことがあって,結局2Kがパブリッシングしてくれることになりました。そのことで仕様変更があったりなどはせず,開発はずっと順調に進んでいます。
4Gamer:
なるほど。ところで,プレイヤーにどんな遊び方をしてほしいと思いますか。
ブロック氏:
プレイヤーごとにいろいろなスタイルがあると思いますが,ハンターの場合は相互にコミュニケーションをとりながらの協力が重要になってきます。それぞれの武器や能力を戦略的に駆使してモンスターを追い詰めてほしいですね。
モンスターはどうやってハンター4人のチームを出し抜いて進化し,撃退するかの戦略をじっくり練ってください。
4Gamer:
では最後に,日本の読者にメッセージをお願いします。
ブロック氏:
とにかくいろんなタイプのプレイヤーが楽しめる,奥の深いゲームです。人間同士の協力と戦いなので,同じ展開になることはなく,何度でも繰り返し遊べます。ぜひ発売を楽しみにしていてください。
4Gamer:
本日は,どうもありがとうございました。
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(C)2010‐2014 Take‐Two Interactive Software, Inc. 2K, the 2K logo, Evolve, the Evolve logo, and Take‐Two Interactive Software are trademarks of Take‐Two Interactive Software, Inc. Turtle Rock Studios and the Turtle Rock Studios logo are trademarks of Turtle Rock Studios, Inc.
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