インタビュー
「クラクラ」初の大規模ファンイベント開催地に日本が選ばれた理由とは? その狙いや意図をJonas Collaros氏に聞いた
ブースでは,大規模なファンイベント「TOKYO CLASH 2015」が実施されたのだが,こういった催しが行われるのは世界で初めてのこと。4Gamer読者であればご存じのとおり,クラッシュ・オブ・クランは世界で人気を集めているスマホアプリである。にも関わらず,初のファンイベント開催地になぜ日本が選ばれたのか。そこにはどういった狙いや意図があるのか。SupercellのJonas Collaros氏に話を聞いてみた。
東京ゲームショウへの出展を決めた理由とは?
4Gamer:
本日はお会いできて光栄です。
さっそくですが,まずは東京ゲームショウに出展した感想をお聞かせください。
Supercellが東京ゲームショウに出展するというのは今回が初めてなので,当初は不安な気持ちを抱いていましたが,いざフタを開けてみたら多くの人がブースに足を運んでくれました。イベントも楽しんでいただけた様子で,とても感激しています。
4Gamer:
早いことに配信から約3年が経つクラクラですが,なぜこのタイミングでTGSへの出展を決められたのでしょうか。
Collaros氏:
クラクラが日本で非常に好評,というのがもっとも大きな理由です。プレイヤーの皆さんには大変感謝しており,なにかしらの形でお礼をしたかったんです。この場を借りてあらためて「クラクラを遊んでくれてありがとう!」と伝えさせてください。
次の理由としては,Supercellは現在,東京を始めとしたアジア各地に支社を設立し,積極的にサービス展開を拡大しています。東京ゲームショウは世界で有名なゲームショウの一つであり,またアジア方面への影響力も強く,この大舞台でクラクラをアピールすることに意味を感じたためです。
さらにもう一つ理由があります。今回は,オフラインイベント用コンテンツの開発に目処が立ったからです。ステージイベントで5vs.5の対戦コンテンツをお披露目したのですが,こちらはご覧になりましたか?
4Gamer:
はい。仲間や対戦相手がすぐ隣で戦っているというのは,従来の「クラン対戦」以上にライブ感を得られますね。
Collaros氏:
どの国でも「クラン対戦」の人気が一番高いので,東京ゲームショウという大舞台でクラクラを出展するのであれば,あの魅力をアピールするのが効果的だと考えました。
しかし,クラン対戦は準備期間なども含めると,数日単位の時間が必要になります。そのため特別バージョンを開発し,今回はそれを使用したというわけなんです。
モバイル向けに新たなゲームジャンルを作り出す
4Gamer:
せっかくの機会ですので,クラクラというゲームが一体どのような経緯で生まれたのかについてもお聞かせください。
Collaros氏:
クラクラに限った話ではないと思いますが,どのゲームもまったくのゼロから作り出されるわけではなく,さまざまなゲームからなにかしらの形でインスパイアを受けているはずです。クラクラの場合は,ディフェンスゲームとしての基礎や,資源採集といったシステムは,Facebookアプリの「Backyard Monster」などから影響を受けています。
もちろん単にコピーしたという話ではなく,クラクラらしさを盛り込むことが大切ですので,当時の開発スタッフは,まったく新しいゲームジャンルを作り出すつもりで取り組んでいました。
4Gamer:
クラクラらしさを出すために,とくに心がけたり苦労されたりしたポイントを教えてください。
Collaros氏:
大きく分けて3つ,ですね。一つは,プラットフォームがモバイル端末だということ。PCやコンシューマ機と比べて,モバイル端末は人々の生活に密着しており,多様なライフスタイルに合わせる必要があります。ここは従来のプラットフォームの常識を根底から見直す必要がありました。
4Gamer:
なるほど。2つめはなんでしょうか。
Collaros氏:
PCゲームのリアルタイムストラテジー(RTS)ゲームなどを好むコアなゲーマーが楽しめる,奥深いゲームシステムの実現です。開発スタッフの中には,「Starcraft」などのコアプレイヤーも多いのですが,あの面白さをそのまま持ってくるのではなく,モバイル向けにどうやってアレンジするか,という点が本当に難しかったですね。
それと同時に,ライトなゲーマーでも楽しめることが大切です。現在もアップデートを行うときは,コアとライトそれぞれの視点にどう映るのかを注意深くチェックしています。
4Gamer:
確かに,クラクラはRTSのような緊張感を味わえつつも,操作自体はシンプルですよね。
Collaros氏:
最後の一つは,プレイヤーに長く遊んでもらって,そのコミュニティを大切に育んでいくことです。クラクラのプレイヤーは,爆発的に増えているというわけではなく,知人や同僚,家族といった口コミを通じて,少しずつ増えていきました。そして,それを維持するためには,ゲームバランスの適切な調整が必要不可欠なんです。
4Gamer:
マネタイズに関しても,いわゆる“無課金”でも遊べてしまう料金形態を採用されていますよね。そういったスタンスは世界中で採用され,新しいアプリが続々と生まれています。この点に何か思うところはありますか?
Collaros氏:
私達が過去の面白いゲームを参考にしてクラクラを生み出したように,クラクラを参考してもらえるというのは,とても光栄だと思っています。それに対して我々がライバル視したり,今後のアップデートで対抗しようとしたりといったことはありません。今までもこれからも,そこがブレることはないでしょう。
要となるのはコミュニティ
4Gamer:
スマホアプリというものは今後,Collaros氏から見てどういった方面に進化していくと思いますか?
Collaros氏:
確実に言えるのは,アプリどうこうの前に,モバイル端末のハードウェアやプラットフォームが進化していくということでしょう。それによって,これまで誰も体験したことのない新しいゲームジャンルが生まれる可能性は大いにあります。
4Gamer:
最近だとApple Watchや3D Touchは,普及次第で新しい遊び方が登場しそうで,期待できますよね。
Collaros氏:
先ほどの話にもつながりますが,アプリに関しては「コミュニティ」が要になると感じています。モバイル端末が常にオンラインで,1人のプレイヤーが多くのプレイヤーと,短いログイン時間でつながるという環境には,まだまだアイデアが眠っていると思いますね。ここはスタッフも常に模索している部分です。
4Gamer:
ところで,先日Nianticと任天堂が「Pokemon GO」(iOS / Android)の制作発表を行いましたが,Supercellがほかのメーカーと協業する可能性はあるんでしょうか。
Collaros氏:
今のところそういった計画はありません。弊社のアプリは,特定の国というわけではなく,常にワールドワイドへの配信を前提としています。そこに賛同してもらえる企業というのは,実はそれほど多くなかったりします。
4Gamer:
各国のセールスランキングなどを見る限り,日本のスマホアプリ市場はとくに異彩を放っている気がしますが,Supercellはこれをどう分析されていますか?
おっしゃるとおりユニークな側面を持ち合わせていますが,日本が世界のゲーム市場に与える影響は,依然として大きいです。だからこそ,東京ゲームショウへの出展を決めたという理由にもなっていますね。
日本のプレイヤー達がクラクラをどのように遊んで,何を求めているのか。これまで展開している国と違う部分があるかもしれません。それを知るために日本支社を設立して,現在,フィードバックを吸い上げている段階です。
4Gamer:
2013年10月にSupercellがソフトバンクの傘下に加わったことで(関連記事),ゲームに影響などはあったのでしょうか。
Collaros氏:
ゲームへの影響は「ゼロ」ですね。弊社がゲーム開発の独立性を保つことで,作りたいゲームを作り,それがワールドワイドで結果を出し,ゆくゆくはソフトバンクにとってもメリットになる,と考えています。
4Gamer:
今後のアップデート計画について,お話しできることがあれば教えてください。
Collaros氏:
いくつかが実装に向けて最終段階に入っています。10月24日にフィンランドで大規模オフラインイベント「ClashCon」を開催する予定で,その場でなにか大きなアナウンスができればと考えています。
4Gamer:
では最後に,この記事を読んでいる人に向けてメッセージをいたただければと思います。
Collaros氏:
周囲の知人や同僚,家族の中に,クラクラを遊んでいる人がきっといると思います。クラクラを遊んでいる人も,これから遊ぼうとしている人も,ぜひ仲間と一緒に遊んで,可能であれば同じクランに入ってください。そうやって一緒にプレイすることが,クラクラを満喫する一番の方法ですよ!
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「Clash of Clans」ダウンロードページ
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(C) 2012 Supercell
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