インタビュー
「BlueStreak」はSFモノのスポーツ系FPSに? “クリフB”に新作の概要を聞いてみた
今回4Gamerでは,北米にいるブレジンスキー氏に,日本のネクソンから電話でインタビューを行う機会を得た。BlueStreakはまだ開発が始まったばかりという印象で,踏み込んだ話は聞けなかったが,その内容を探ってみたのでお伝えしよう。
さて,そのノートに書かれたアイデアの中には,今で言う「タイタンフォール」(PC / Xbox One / Xbox 360)に近い形の,メカが出てくるFPSがあった。これがBlueStreakの最初のアイデアなのだそうだ。ただ,氏としてはメカが大好きなのだが,FPSとして考えた場合,メカを入れるとスケールが大きくなり,狙うターゲットも小さくなってしまうので,じっくり考えた結果,BlueStreakにメカや乗り物は出さないということになった。ただ,そもそものアイデアがメカものなだけに,SFの世界観は現在のBlueStreakの企画に引き継がれたようだ。
本作の発表時に,テーマがSFという以外に,「アリーナタイプのFPS」「古き良きゲームスタイルを踏襲する」という情報も明かされていた。これについて,ブレジンスキー氏と言えばUnrealシリーズということで,「Unreal Tournament」のようなイメージになるのか聞いてみたところ,「具体的なことは考えている最中だけど,Unreal Tournamentと『Team Fortress 2』の間ぐらい」という返答が。また,氏の言う「古き良きゲームスタイル」には3つのポイントがあり,
- 敵から離れて狙撃するのではなく,近距離で撃ち合う
- 射撃の腕だけでなく,ダブルジャンプなどのモーションを駆使した動きも重要
- アリーナの中にはいろいろなアイテムが配置されており,これを拾って活用する
といった内容を盛り込む予定だそうだ。BlueStreakは,いわゆるスポーツ系FPSになると考えて間違いなさそうである。
さらに,MODのサポートも前向きに検討していると話していた。ブレジンスキー氏は,例えば「Warcraft III」のMODからMOBAが生まれ,現在は「League of Legends」が世界的にヒットしているなど,プレイヤーから生み出されるイノベーションに可能性を感じており,そこは積極的にサポートしていきたいとのことだった。まだ具体的に実装すると決めているわけではないが,プレイヤーがアリーナのマップを作ってアップロードし,ほかのプレイヤーが評価するといった仕組みなども考えているとのことである。
ちなみに,BlueStreakという開発コードネームに,何かゲーム内容のヒントがないかと思い,名前の理由を聞いてみたところ,「子供の頃にもらったトランスフォーマーのおもちゃがBlueStreakだったから。子供の頃は,トランスフォーマーにすごく刺激を受けたんだよ」とのことで,あまり深い意味はなさそうである。また,BlueStreakはあくまで開発コードネームであり,実際のタイトルは違ったものになる可能性が高いとも話していた。
なお,本作の開発コードネームは,発表当初,海外で「Silverstreak」として広まっており,4Gamerでも海外情報からそう書いていたのだが,ブレジンスキー氏によると「最初からBlueStreakとして発表したんだけど,どこかのメディアが間違えてSilverstreakにしたのか,なぜか違う名前が広まっていた」のだそうだ。
BlueStreakは,PC用の基本無料オンラインゲームとしてリリースされる。しかし,ブレジンスキー氏はXbox 360のGears of Warで大きなヒットを生み出した開発者だ。また,世界的に据え置き型ゲーム機でFPSをプレイするゲーマーは多く,PlayStation 4やXbox Oneといった新世代のゲーム機が発売されている。そこで,なぜあえてPC用の基本無料タイトルにしたのかを聞いてみたのだが,氏によると「(マルチプレイFPSの)コミュニティのほとんどがPCにあるから」「(スポーツ系FPSであれば)操作はマウスとキーボードが最適。ゲームパッドでは少し難しい」というのが理由だそうだ。
ただ,もちろん据え置き型ゲーム機市場に興味がないわけではなく,PCでサービスした後,移植する可能性もあるという。
パブリッシャとしてNEXON Americaを選んだ理由についても聞いてみた。ブレジンスキー氏によると,NEXON Americaが持つ基本無料オンラインゲームのノウハウが優れていたということはもちろんだが,氏の友人の意見も大きかったようだ。氏は,最初はBlueStreakのパブリッシャを探すにあたって,オンラインFPSに強い会社を探していたが,そういった典型的な会社と提携しているデベロッパに話を聞くと,満足していないケースが多かったのだという。一方で,NEXON Americaと働いている友人の評価は高く,かつ氏自身が同社の社長であるOwen Mahoney氏と意気投合したこともあり,あえてカジュアルなMMORPGのイメージが強いNEXON Americaでやってみたくなったとのことだ。
以上が,今の段階でBlueStreakについてブレジンスキー氏から聞けた内容となる。開発自体はこれからといった段階のようで,情報は順次公開していく予定とのことだが,まずは8月にコンセプトアートが見せられるのではないかと話していた。近年,スポーツ系FPSはすっかり減ってしまっただけに,どのようなタイトルになるのか期待したい。
最後に,今後の氏の活躍に注目しているゲーマーへのメッセージをもらったので,これを掲載して本稿の締めとしよう。
これまで皆さんに支えられて,この業界で20年間,ずっとゲームを作ってきましたが,自分の会社を設立して,また最初からスタートすることにしました。仕事だからというわけではなく,自分自身,ゲームが大好きで作りたいから,これからも作っていきます。皆さんの期待に応えられるようがんばりますので,楽しみにしていてください。
(クリフ・ブレジンスキー)
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