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印刷2013/12/04 00:00

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「ドラゴンクエスト」がついにスマートフォンへやってきた。気になる操作感を中心にしたプレイレポートをお届け

 ドラゴンクエストシリーズといえば,RPGというジャンルを日本に根付かせたとして,高い知名度と人気を誇っている存在。その初代作品である「ドラゴンクエスト」が,2013年11月28日,iOSAndroid端末向けに配信開始となった。
 コンシューマの据え置き機や携帯機向けには過去にリメイク作品がリリースされているが,スマートフォンやタブレット端末向けへの配信は今回が初めて。
 テレビとは違う縦横比の画面で描かれるグラフィックスや,ボタンがほとんどない端末でプレイするためのユーザーインタフェースなど,気になるポイントを中心にしたプレイレポートをお届けしよう。

本作は「ドラゴンクエスト ポータルアプリ」のコンテンツ内から起動してプレイするという仕組み。配信開始当初は100万ダウンロードまで無料だったのだが,なんと初日で100万ダウンロード達成となり,現在では12月10日までの期間限定無料配信となっている(関連記事
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iOS版「ドラゴンクエスト ポータルアプリ」ダウンロードページ

Android版「ドラゴンクエスト ポータルアプリ」ダウンロードページ


 本作は「ロトシリーズ」と呼ばれる3部作の1つにあたる作品で,伝説の勇者ロトの血を引く主人公と,世界を闇で支配しようと企む「竜王」との戦いを描いている。ファンタジーRPGにおける王道中の王道といった感じの世界観だが,今の時代では逆に新鮮かもしれない。
 さて,ストーリーやシステムの詳細はあえて語るまでもないと思うので,本記事は前述の通り,「スマートフォンやタブレット端末向けゲームとしてどうなのか」という視点で進めていこう。

スクリーンショットが撮れる端末が多いのも,スマートフォンやタブレットの特徴。画像をPCに転送すれば,ファミコン向けソフトの攻略本でよく見かけた“完全マップ”風の画像もちょっとした作業で作れる
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スマートフォンならではの縦長画面がユニーク


 スマートフォンやタブレット端末向けのRPGには,横長の画面の左右に各種インタフェースなどが配置されたものが多いのだが,なんと本作は縦長画面でのプレイとなる。FCやSFCなどで4:3表示のドラクエをプレイしてきた筆者はまずここで驚いた。
 遠くにある街や洞窟の入口を見つけられるなどといったメリットはあるのだが,個人的には4:3の画面比率も選べるようにしてほしかったところ。まぁこの辺りは人によって意見が異なるだろうが。

パッと見で「これまでのドラクエと違う」と感じられる縦長の画面表示。ラダトーム城の入口から王の間への階段までが1画面に収まってしまう
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フィールドは遠くまで見渡せるが,洞窟では「たいまつ」などの光が届く場所しか確認できない
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 本作はドットグラフィックスで描かれているが,FCやSFC時代のものよりもかなり洗練されており,2004年にフィーチャーフォン向けタイトルとしてリリースされた「ドラゴンクエスト for Mobile」に似たテイストだ。
 FC版では,「よく分からないけどあの城はなんだ…?」という印象だった竜王の城も,険しそうな山の上に建つ,いかにもラスボスの居城といった感じの雰囲気を醸し出している。
 ただ,端末の画面サイズや解像度によっては,ドットの粗が感じられてしまう場合がある。インタフェースなどのテキストはほかのアプリと同様に高精細なフォントで出力されるため,それが余計にドットの粗を強調しているのかもしれない。複数の端末を持っている人は,無料期間中にそれぞれで試して,最適と思われるものを見つけるといいだろう。

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 BGMは,FC版の曲をアレンジしたものが使われているので,かつてプレイした人ならば「あぁ,これこれ!」と思わず郷愁にかられること間違いなし。孤独な冒険の旅を一歩踏み出す勇気が湧き上がるというものだ。
 また,レベルアップや壁にぶつかったとき,階段を昇降するときなどのSEもしっかりと入っているので,「これぞドラクエ」と言いたくなるはず。

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何かと話題の操作性は設定ひとつで改善できる


 さて,あっという間に100万ダウンロードを突破した本作だが,実際にプレイしてみて,主人公の移動操作について少し不満を感じている人が多いようだ。
 本作は一般的なスマートフォン向けRPGと同様に,画面にオーバーレイ表示される仮想パッドで操作を行うシステムになっている。指にボタンの感触がないため,慣れないうちは,いつの間にか指がパッドから外れてしまうことが結構な頻度であるだろう。また,方向キーを1回タップしたときの移動量が1マスではなく,半マス程度となっているところも,戸惑うポイントかもしれない。

 だが,本作には仮想パッドの大きさや配置を変更できる機能があるので,これを活用すればストレスを軽減できるはずだ。筆者も初期状態(大きさ「中」)ではやや操作がしづらい印象だったが,設定で大きさを「大」に変えたあとは,だいぶ操作が楽になった。それでも距離感がズレることはあるが,基本的にはこの「大」でのプレイを強くオススメしたい

 また,プレイ中にそれほど細かい操作が必要でない部分があることも覚えておくといいだろう。例えば,NPCと会話するためには,主人公をNPCと隣り合わせたうえで画面の任意の場所をタップすればいいのだが,NPCとキャラクターの位置は,隣り合ってさえいれば半マスずれた状態でも構わない。また,壁の端などに半マスずれた状態でぶつかると,自動的に脇へよけて進んでくれるようになっている。

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正面で向き合わなくても会話はできるので,神経質に位置を合わせる必要はない
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壁に引っかかりそうだが,この状態で方向キーの右を押せば部屋に入れる

 パッドの配置は,画面が大きいタブレット端末でプレイするときは操作感がだいぶ変わってくるので,しっかり設定しておきたい。スマートフォンではタブレットほど影響しないが,片手で端末を持ってプレイしたいという人は,パッドを中央に配置するといいだろう
 設定ではこれ以外にも,メッセージの表示速度を8段階で調節できたり,BGMやSEのボリュームを変更したりといった事が可能だ。

 アイテムや呪文の使用,戦闘コマンドの入力といった操作はメニューのタップで行う。アイテムや呪文の使用は,1回目のタップで選択し,そのメニューを再タップして決定というシステム。選択時にはオレンジ色にハイライトされるので,とても分かりやすい。
 また,宝箱やタンスのチェック,トビラの開錠などは,会話同様に位置を合わせてから画面をタップするだけでいい。

ボタンの設定は画面右のメニュー呼び出しをタップしたあと,「さくせん」から「せってい」を選べばOK。設定を呼び出すメニューが「さくせん」というのも,何だかドラクエらしい
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 移動にさえ慣れてしまえば,操作面の問題はほぼなくなるはず。最近のRPG作品ではあまり見られなくなった,一人旅をじっくりと楽しんでほしい。とくに,モンスターとの一騎打ちで繰り広げられる戦闘は,「回復役」がいないため,なかなかの緊張感を味わえるはずだ。

 一方で,謎解き面は少々マイルドになっている印象。FC版では街や村の住民からヒントを聞きだし,それをもとに割り出した場所を調べて重要なアイテム入手するといった仕掛けがあったのだが,本作ではそのアイテムの場所が,ヒントを得る前からキラキラと光っていたりする。

 「あの苦労はなんだったのか」と言いたくなるかもしれないが,個人的にFC版はヒントが少なく,難しめという印象があったので,この仕様は誰にでも取っ付きやすくした結果なのかもしれない。ちなみに,モンスターの体力も調整されているようで,全体的な難度はFC版に比べるとだいぶ抑えられている。RPGに慣れている人ならばサクサク進められるはずだ。

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 いつでもどこでもドラクエが楽しめるというのは,ファミコン世代のプレイヤーにしてみればなかなかに魅力的。筆者も仕事を忘れてプレイし,改めて世界観やゲームバランスの完成度の高さに驚いた。
 今後もシリーズ作品がリリースされる予定なので,ユーザーインタフェースの改善も含めて,期待が高まるところ。なによりこれだけの名作が無料で配信されているというのが驚きなので,年末で忙しいという人も,無料期間中にダウンロードだけでもしておくといいのではないだろうか。

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