テストレポート
5.7インチ液晶搭載の「AQUOS Xx」は意外な本命になるか? ソフトバンクモバイル2015年夏モデルテストレポート
- Xperia Z4
- AQUOS Xx
- AQUOS CRYSTAL2
- Galaxy S6 edge
Xperia Z4は先行して発表されたNTTドコモ版で,Galaxy S6 edgeは同様にKDDI版でレポート済みということもあり,本稿ではソフトバンクモバイル独自のラインナップであるAQUOS Xx(アクオス ダブルエックス)とAQUOS CRYSTAL2をチェックしてみたい。
AQUOS Xx
NTTドコモが2015年夏モデルで投入した,5.5インチサイズの「AQUOS ZETA SH-03G」(以下,AQUOS ZETA)を一回り大きくしたようなスマートフォンが,シャープ製のハイエンドスマートフォンAQUOS Xxだ。
5.7インチサイズの液晶パネルを搭載する本体は,サイズが
この違いはなかなか面白いので,持ちやすさ重視でスマートフォンを選ぶのであれば,AQUOS XxとAQUOS ZETAを店頭で持ち比べてみることをお勧めする。
5.7インチという大きな画面サイズのわりに,画面解像度は1080×1920ドットとなっている。1440×2560ドットの高精細パネルを採用する製品も多い5インチ超クラスとしては,物足りなく感じる人もいるかもしれない。また,AQUOS ZETAで背面に搭載されていた指紋認証センサーも,AQUOS Xxは装備していなかったりする。
液晶パネル解像度や指紋認証センサーの有無といった要素が,本機の魅力を損なっているわけではない。ただ,最大サイズのハイエンドAQUOSとして,いっそのこと新仕様を全部盛りにしてほしかったな,という正直な思いはある。
機能面での特徴としては,ハイスピードビデオ録画機能がなかなか面白い。
AQUOS ZETAにも同種の機能が搭載されているのだが,1920×1080ドットでは最大1200fps相当,854×480ドットなら最大2100fps相当(いずれもフレーム補間による)の映像を再生できるという高速度撮影がスマートフォンのカメラで可能というものだ。格闘ゲームやリズムゲームのプレイを撮影して,キャラクターのモーションや入力のタイミングをチェックしたりするのに役立ちそうである。
スペックを見ると,SoC(System-on-a-Chip)にはQualcomm製の「Snapdragon 810」を採用しており,メインメモリ容量3GB,内蔵ストレージ容量は32GBと,2015年夏モデルのハイエンドスマートフォンでは定番の構成だ。SoCやメモリのスペックが同等であるなら,性能を決める重要な要素は,「メーカーがSoCをどう使っているか」にかかっている。その点は,先に掲載したNTTドコモとKDDIの2015年夏モデルテストレポートでも明らかだ。
とくにシャープは,他メーカーよりもバッテリー駆動時間の延長を重視したチューニングを施す傾向にある。AQUOS Xxはどうなっているのだろうか。ベンチマークテストで確かめてみよう。なお,展示会場の試用機は,完成まで8割程度の開発状況ということなので,その点は割り引いてもらいたい。
今回もテストには,「CPU-Z」を使った各CPUコアの挙動観察,Android版「3DMark」によるグラフィックス性能の計測,メインメモリおよびストレージアクセス性能を計測する「A1 SD Bench」,そして連射測定アプリケーション「ぺしぺしIkina」による連打の応答性計測を実施している。
AQOUS Xxが搭載するSnapdragon 810は,登場したばかりの最新SoCということもあってか,これを採用する2015年夏モデルスマートフォンではメーカーを問わず,ソフトウェア面の最適化がまだ足りないという印象を受ける。そうした状況の中でも,シャープ製スマートフォンはバッテリー駆動時間を重視して,動かすCPUコアの数や動作クロックを控えめにするチューニングを施しているようだ。それは,2013〜2014年モデルでも同様のチューニング傾向だったので,シャープ製スマートフォンでは既定路線といったところだろう。
それを踏まえて,CPU-ZでAQOUS Xxの動作状況を確認してみると,ARMアーキテクチャにおける「big.LITTLE」構成でbig側を担当するCPUコアは,Androidの基本的な操作やWebブラウジング程度では,ほとんど動いている様子がなかった。
3DMarkのIce Storm Unlimitedプリセットを実行してみたところ,スコアは「14240」となった。Snapdragon 810搭載機としては,はっきりいって低いほうなのだが,筐体が大きくなったぶんだけ放熱処理に余裕があるのか,AQUOS ZETAよりはマシなスコアである。このスコアでも現行のゲームは問題なく動作するだろうが,今後のチューニングでの向上を期待したい。
連打応答性をチェックする「ぺしぺしIkina」の結果は「76」。Android 5.0世代のスマートフォンでは「85」前後が当たり前になりつつあるので,それに比べると低い結果だ。飽和は12タップめに発生して以降,21,25,35と前半に集中するタイミングが確認できた。とくに12タップめ,21タップめの飽和はかなり長く,露骨な取得漏れを感じている。「72」を記録したAQUOS ZETAよりはマシなのだが,少なくともリズムゲームには向かないと考えてよさそうだ。製品版で改善されるだろうか。
ベンチマークテスト結果や連打応答性が振るわないのは気になるものの,大画面ながら持ちやすいボディデザインや発色良好な液晶パネルといった特徴に価値を見出すならば,AQOUS Xxは選択肢にあげる価値がある製品ではないだろうか。
●AQOUS Xxの主なスペック
- メーカー:シャープ
- OS:Android 5.0(Lollipop)
- ディスプレイパネル:5.7インチ液晶,解像度1080×1920ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 810 MSM8994」(4+4 CPUコア,最大CPU動作クロック2GHz,Adreno 430 GPUコア)
- メインメモリ容量:3GB
- ストレージ:内蔵(容量32GB)+microSDXC(最大128GB)
- アウトカメラ:有効画素数約1310万画素
- インカメラ:有効画素数約210万画素
- バッテリー容量:3000mAh
- 3G待受時間/LTE待受時間:約450時間/約420時間
- 3G連続通話/LTE連続通話:約1350分/約1300分
- LTE通信周波数帯:2.5GHz(AXGP),2.1GHz,1.7GHz,900MHz
- 無線LAN対応:IEEE 802.11n/ac
- Bluetooth対応:4.1
- 本体サイズ:79(W)×146(D)×8.7(H)mm
- 本体重量:約168g
- 本体カラー:アンバーブラック,ホワイト,レッド
- 主な対応サービス&機能:S!メール,GPS,おサイフケータイ,世界対応ケータイ,ワンセグ,フルセグ,Wi-Fiテザリング,防水
AQUOS CRYSTAL2
額縁部分が極めて細い「フレームレス」デザインを特徴として,2014年夏モデルで登場したシャープ製スマートフォン「AQUOS CRYSTAL」。その後継機となるのが,「AQUOS CRYSTAL2」だ。
実のところ,搭載SoCは前モデルと同じ「Snapdragon 400」のままで,メインメモリ容量が前モデルの1.5GBから2GBに増えただけと,ゲーム用途に向いたスペックの製品ではない。典型的なローエンドスマートフォンであり,3Dグラフィックスを使わないタイトルであれば,ややもっさり感はあるがプレイはできる,という程度だろう。
発売時期が7月中旬以降ということもあって,試用機でのベンチマークテストも許可されなかった。そうした事情もあって,ここでは簡単な紹介のみとさせていただく。
●AQUOS CRYSTAL2の主なスペック
- メーカー:シャープ
- OS:Android 5.0(Lollipop)
- ディスプレイパネル:5.2インチ液晶,解像度720×1280ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 400 MSM8926」(4 CPUコア,最大CPU動作クロック1.2GHz,Adreno 305 GPUコア)
- メインメモリ容量:2GB
- ストレージ:内蔵(容量16GB)+microSDXC(最大128GB)
- アウトカメラ:有効画素数約800万画素
- インカメラ:有効画素数約210万画素
- バッテリー容量:2030mAh
- 3G待受時間/LTE待受時間:未公開
- 3G連続通話/LTE連続通話:未公開
- LTE通信周波数帯:2.5GHz(AXGP),2.1GHz,1.7GHz,900MHz
- 無線LAN対応:IEEE 802.11n/ac
- Bluetooth対応:4.1
- 本体サイズ:71(W)×136(D)×11(H)mm
- 本体重量:約154g
- 本体カラー:ターコイズ,ブラック,ホワイト,ピンク
- 主な対応サービス&機能:S!メール,GPS,おサイフケータイ,世界対応ケータイ,ワンセグ,Wi-Fiテザリング,防水
ソフトバンクモバイル 2015年夏モデル新製品 特設ページ
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