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司波深雪と逢坂大河が参戦を果たした「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。溢れるキャラ愛と格ゲー哲学を,セガ&フランスパン開発陣に聞いてみた
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印刷2014/06/05 14:00

インタビュー

司波深雪と逢坂大河が参戦を果たした「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。溢れるキャラ愛と格ゲー哲学を,セガ&フランスパン開発陣に聞いてみた

初心者と上級者を,同じ土俵に立たせること


4Gamer:
 ではあらためて,格闘ゲームとしての本作のコンセプトについてお聞きしたいと思います。まず稼働してからちょうど2か月が経過したタイミングですが,現時点での反響はいかがですか?

野中氏:
 自分としては,たいへん大きな手ごたえを感じています。色々と新しい試みを盛り込んだタイトルなので,当初は受け入れられるかどうか不安でしたが,概ね好評をいただいているようです。とくに,これまで格闘ゲームをプレイされてこなかった,電撃文庫ファンの人に遊んでもらえてるのが嬉しいですね。

寺田氏:
 一番最初のお披露目時に,そもそもゲームの始め方が分らない人もいたくらいですから。「スタートボタンを押してください」「どれですか?」「その黄色いボタンです」みたいなやりとりがあったりね(関連記事)。

野中氏:
 Aimeカードの登録者数も順調に増えていますし,その数字を見るだけでも,新規の方にゲームセンターに来ていただく契機になっているのが分かるんです。

4Gamer:
 おお。それは確かに,これまでの格闘ゲームにはなかった流れですね。ではその一方で,既存の格闘ゲーマー達からの反響はどうなのでしょうか。

野中氏:
 稼働前の不安という意味では,そういったコアプレイヤーの皆さんに受け入れられるかどうかの方が大きかったんです。しかし,今のところこちらも良い反応をいただけています。プロジェクトのスタート時,フランスパンさんには「初心者が遊びやすく,マニアがやり込めるゲームを作ってください」という無茶なお願いをしましたが,まさにそれが実現できていて,さすがフランスパンさんだなと(笑)。

フランスパン 開発ディレクター 芹沢鴨音氏
画像集#017のサムネイル/司波深雪と逢坂大河が参戦を果たした「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。溢れるキャラ愛と格ゲー哲学を,セガ&フランスパン開発陣に聞いてみた
鴨音氏:
 「MELTY BLOOD」(以下,メルブラ)シリーズの新作をお待たせしていることもあってか,メルブラ勢の皆さんが遊んでくれている印象はあります。見た目は違えど,これまでのフランスパン格闘の流れを汲むタイトルですから,共通で使えるテクニックも少なくない。だから,メルブラで強い人は,電撃FCでも活躍できると思います。

4Gamer:
 では,そのゲームシステムについて聞かせてください。格闘ゲームとしての本作の特徴といえば,やはり格闘ゲーム初心者に向けたさまざまな配慮だと思います。例えば本作の必殺技には,いわゆる昇龍拳コマンド(623)すらない。これは最初から意図したものだったのでしょうか。

鴨音氏:
 必殺技コマンドをシンプルにというのは,本作の基本コンセプトの一つです。先にもお話したとおり,電撃FCには単にキャラが好きだから遊んでみるというプレイヤーも少なくない。そういった人が,たまたま使いたいと思ったキャラクターのコマンドが難しかったら,それだけでもう,つまずきかねないですよね。なので本作の必殺技コマンドは,どのキャラクターも概ね同じものになっているんです。

4Gamer:
 つまり波動拳(236)まではいいけど,昇龍拳(623)はダメという線引きですか?

鴨音氏:
 自分としては,難しくてもヨガフレイム(41236)が限度だろう,という線引きでした。タメ系の技も,そのキャラだけ操作系が特殊になってしまうのでナシにしてあります。格闘ゲーマーである自分の感覚では,波動拳も昇龍拳も正直大差ないと感じるのですが,例えば「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス」シリーズ(以下,EXVS)を遊んでいる人などに聞いてみると,それでも複雑すぎるみたいなんです。

4Gamer:
 なるほど。格闘ゲーマーからすれば,EXVSのほうがよっぽど複雑ですけど……でもよく分るお話です。

鴨音氏:
 これは単に必殺技コマンドだけの話ではなく,キャラクターのバトルコンセプトについてもいえることなんです。例えば平和島静雄なら,設定的にはもっと投げキャラ寄りにすることだってできたんです。でもそうしてしまうと,静雄は初心者お断りのキャラになってしまいかねない。

寺田氏:
 開発中,鴨音さんは「どのキャラも誰でも使えるように」ってずっと言ってましたものね。

4Gamer:
 つまり,すべてのキャラがスタンダードキャラだと?

鴨音氏:
 ええ。スタンダードキャラという範疇の中で,色を出すようにしています。だってどのキャラクターも,その原作におけるヒーロー/ヒロインですから。あまり激しいバトルコンセプトにするわけにもいかないじゃないですか。

4Gamer:
 激しい……と言う意味では,桐乃がちょっとそちら寄り,という気がしないでもないですが(笑)。

鴨音氏:
 桐乃は確かに,結果としてそちら寄りになってしまいましたね(苦笑)。とはいえ,それでもスタンダードの範疇だと思ってます。静雄についても,「コマンド投げがついたリュウ」くらいに留めてありますし。……もっと言ってしまえば,昔のように“必殺技が出せるだけで強い”というゲームにしたかったんですよね。

4Gamer:
 それがA+B同時押しで出せる「インパクトスキル」でしょうか。

A+B,もしくは2A+Bで繰り出せるインパクトスキル。性能はキャラクターごとに大きく異なるが,いずれも出始めに相殺判定を持つため,切り返し手段として使いやすい
画像集#026のサムネイル/司波深雪と逢坂大河が参戦を果たした「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。溢れるキャラ愛と格ゲー哲学を,セガ&フランスパン開発陣に聞いてみた 画像集#027のサムネイル/司波深雪と逢坂大河が参戦を果たした「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。溢れるキャラ愛と格ゲー哲学を,セガ&フランスパン開発陣に聞いてみた

鴨音氏:
 ええ。インパクトスキルは格闘ゲーム的に言えば,“相殺判定がついた,発生の速い切り返し技”ということになりますが,その根っこにあるのは「ファイナルファイト」のメガクラッシュや,シューティングゲームにおけるボムようなものなんです。つまり,初心者が追い詰められたときの救済措置――緊急回避ボタンなんですよ。

4Gamer:
 おお,なるほど。ボタン同時押しという操作系も,確かにそれっぽいですね。

鴨音氏:
 初心者が中級者に攻め込まれたときに,「脱出できずに一方的にやられてツマらない」というのは,よく聞く話ですから。そんなときに,これさえ押せばなんとかなる,というボタンを用意しておく必要があると思いました。

4Gamer:
 では「インパクトブレイク」はどうでしょうか。

鴨音氏:
 インパクトブレイクは,インパクトスキルと対になる“崩し”の手段です。必殺技が出せるようになった初心者にとって,次のステップは「相手のガードをどうやって崩し,ダメージを取ればいいのか」という点ですよね。

4Gamer:
 確かに,初心者と中級者では,守りのスキルに差が出やすい傾向がありますね。

鴨音氏:
 ええ。その差を埋めるためのシステムが,インパクトブレイクと考えてもらえばいいと思います。ある程度発生が早く,しかも動作中に相殺判定が付いている中段攻撃なので,ファジーガードのような小手先のテクニックで守るのは難しい。つまりこれを防ぐには頑張って立つしかないわけで,初心者にとっても中級者にとっても等しくガードが難しい仕組みにしてあります。

インパクトブレイクは,4A+Bで出せる中段攻撃。動作途中から相殺判定を持ち,さらにヒット後にボタンを追加入力することで,相手を浮かせて空中コンボを叩き込める,強力な崩し手段だ
画像集#028のサムネイル/司波深雪と逢坂大河が参戦を果たした「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。溢れるキャラ愛と格ゲー哲学を,セガ&フランスパン開発陣に聞いてみた

4Gamer:
 そういう狙いがあったんですね。ちょっと余談になるのですが,インパクトスキルとインパクトブレイクって,なんで無敵ではなく相殺判定なんですか?

鴨音氏:
 ……無敵で相手の技をすり抜けるより,相手の技を弾いて,ヒットストップがかかったほうが絵的にカッコ良くないですか? もちろん,格闘ゲーム的には大した違いは無いわけですけど,ドット絵をもっと見てもらいたくて。うちのドット絵は,どこで止めてもカッコ良いですから。

4Gamer:
 なるほど! 確かに相殺の方がアニメっぽくてカッコ良いですね(笑)。

寺田氏:
 そこは「お互いにぶつかり合うことで,技に込められた情熱のぶつかり合いを表現するんですよ!」って,鴨音さんに力説された覚えがあります。僕もそれを聞いて「なるほど」って納得したんですよ。……そういうセールストークがうまいんだ,鴨音さんは(笑)。

4Gamer:
 しかし複雑なコマンド入力を廃して,同時押しに行動を割り振っていくと,意図しない暴発が起きてしまいませんか。例えばリフレクションガードを狙ったときに,インパクトスキルが暴発してしまうシーンをよく見かけるように思います。

鴨音氏:
 リフレクションガードについては,それがリスクだと考えていただいて良いと思います。ただでさえ強力なガード手段なので,簡単に成立してしまうと試合が停滞してしまいかねない。なので失敗して漏れたときには,インパクトスキルやC攻撃といったスキの大きい技が出やすくなっているんです。

4Gamer:
 あっ……あえて暴発しやすくなっているのか!

鴨音氏:
 電撃FCが目指したのは,初心者と上級者を同じ土俵で戦わせること。なので,そういう“あえて”が結構あるんです。相殺や無敵技,暴発といった試合が荒れやすい要素って,上級者からは「闇」とか「歪み」なんて言われて嫌われる傾向にありますが,それって実は大事なことで。

4Gamer:
 上級者にとっての「闇」は,初心者から見ると逆転の可能性を秘めた「光」でもある。

鴨音氏:
 ええ。長く格闘ゲームをやっていると忘れがちになりますが,やっぱりそこを潰してしまったらダメだと思うんです。初心者が入って来られなくなりますからね。


初心者を“次”に導く仕掛け


4Gamer:
 本作は初心者への配慮が多く盛り込まれている一方で,キャラクターを表現するためのシステムも豊富ですよね。切り札やサポートキャラクターなどがその筆頭だと思うのですが,いかがでしょうか。

アスナの切り札「鉄拳正妻」
画像集#029のサムネイル/司波深雪と逢坂大河が参戦を果たした「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。溢れるキャラ愛と格ゲー哲学を,セガ&フランスパン開発陣に聞いてみた
鴨音氏:
 おっしゃるとおりですね。とくに切り札は,逆転要素として用意した面もありますが,そのキャラクターのアクの強い部分を表現する意味で,大きな助けになりました。例えばアスナの「鉄拳正妻」なんて,キャラクターのファンにとってはぜひとも欲しい技だと思いますが,あまり多用するのもおかしいじゃないですか。

4Gamer:
 確かに(笑)。

鴨音氏:
 電撃文庫さんのキャラクターって,ヒーローやヒロインですから,誰しも切り札的な技を持っている。それをクライマックスアーツとして実装することも考えましたが,それだと圧勝しているときでも使ってしまうわけじゃないですか。

4Gamer:
 コンボの締めとかに,毎回切り札を出すのもちょっと違和感があると。

鴨音氏:
 ええ,キャラクターのイメージを崩しかねないですし,“そのキャラクターらしさ”を表現する意味では,あくまで追い詰められたときに出す技ということにしたかった。そこで,回数制限を設けることにしました。

4Gamer:
 では,サポートキャラクターについては? サポートというシステムが,キャラクターゲームとして便利なシステムであるのはよく分かるんです。プレイアブルキャラを作るのには,どうしても労力がかかってしまいますから。でも,その分操作は複雑になってしまう。これは初心者に配慮するという最初のコンセプトとは,そぐわないシステムという気もします。

サポートを使ったさまざまな戦略も,本作の魅力の一つ。コンボに組み込んだり,ガードさせて攻めを継続させたりなど,幅広い応用が考えられる
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鴨音氏:
 これもおっしゃるとおりです。ただ,操作が複雑になるという部分については,似たシステムを持つ先行タイトルも参考にしながら,できるだけシンプルになるよう,配慮を加えています。サポートの扱いが難しくなるのって,基本的にコンボに組み込む場合ですからね。

4Gamer:
 単純に,操作が忙しくなりますものね。

鴨音氏:
 もちろん,本作にもサポートを活用したコンボはありますし,やり込み要素としてそこは残しておきたかった。ただ必須にはならないよう,そこはなるべくマイルドに調整したつもりです。あと先ほど竜児の話をしておいてなんですが,サポートを使った“悪さ”も,極力抑えるようにしてあります。

4Gamer:
 うーん,なるほど。

鴨音氏:
 なので初心者の人には,「ボタン一つで繰り出せる追加の必殺技」くらいに考えてもらうのが良いのではないかと。それに……やっぱり色々なキャラクターが出てくると,ファンとしては嬉しいじゃないですか。

4Gamer:
 そこに関しては,無条件で同意できますね(笑)。キャラ愛があれば,多少難しくたって乗り越えられますから。初心者への配慮に関して,もう一つ疑問があるのですが,このゲームってゲージの数は多いですよね。

鴨音氏:
 体力ゲージとクライマックスゲージ,サポートゲージに,さらにブラストアイコンと切り札を加えれば,全部で5つの要素があるので,確かに多いかもしれません。でも,実際にプレイしてみると,それほど難しさは感じないと思うのですが……。

公式サイトより。ゲージ関連の要素はかなり多い
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わがつま氏:
 ゲージ周りについては,デザイン面でもかなり気を使っているんです。例えばブラストとサポートの各ゲージはともに時間で回復するものですが,見た目はアイコン風にするなど,異なる表現をするようにしています。プレイヤーが混乱しないよう,いくつものゲージが同時に目に入らないようにしているんです。

鴨音氏:
 ゲージがたくさんあると,確かに対戦中は目移りしてしまうデメリットがありますが,僕はメリットもあると思っていて。格闘ゲームに慣れていない人でも,試合の反省点が分かりやすいんですよね。試合に負けたときに色々なゲージが残っていたら,「あそこでゲージを使っておけば……」と思えるじゃないですか。

4Gamer:
 ゲージの抱え死には,確かに分りやすい反省点ですね。

鴨音氏:
 ええ。ゲーム全体としても,ゲージを温存することには,あまり意味がない作りになっています。とくに初心者の方は,クライマックスゲージが溜まったらすぐに使ってしまうくらいで丁度いいと思います。

4Gamer:
 システムに関してもう一つだけ。パワーアップブラストをコンボに組み込めるというのは,意図的なものなんでしょうか。ヒット時にクライマックスゲージが2本増加するというこのシステムが,上級者にとってはすごく面白いというか,珍しい仕組みだと思うんです。

鴨音氏:
 意図的ですね。電撃FCの“表のウリ”がサポートシステムだとすれば,ブラストをはじめとするゲージ関連のシステムは,”裏のウリ”といって過言ではありません。
 上級者の人は気づいていると思うのですが,各ゲージは互いに相関関係を形作っていて,これをいかに管理し,ゲームメイクをしていくかというところに,本作の対戦の核があります。より上を目指そうという人は,その辺りを意識してみると,もっと対戦が楽しめると思いますよ。

4Gamer:
 なるほど……改めてお話を聞くと,本作はプレイヤーに学習を促す仕組みが,本当にうまく配置されていると感じます。最初はキャラクターを自由に動かすところから始まり,次に攻防の要点,それからゲージ周りへと,段階的に次に進めるようになっている。初心者への配慮といえば,操作体系の異なる簡易モードを用意するタイトルが多い中で,こうしたバトルデザインレベルでの工夫というのは,すごく面白いです。

鴨音氏:
 そういった辺りに気付いてもらえると,制作者側としてもありがたいです。

4Gamer:
 むしろ格闘ゲームそのもののファンを増やしていくという意味では,こちらのほうが王道かもしれない。あとは,充実したチュートリアルがあれば言うことはないのですが……それは将来の家庭用ゲーム機版に期待というところでしょうか。

鴨音氏:
 格闘ゲームって,明文化されないルールがたくさんあるゲームなんですよね。それこそ,通り一遍のチュートリアルでは説明しきれないくらい。そこはもう実戦で学んでいくしかないわけだけど,セオリーを理解するまでは,どうしても負けがかさんでしまう。

4Gamer:
 今はゲージを温存しなきゃとか,今ぶっ放したら反撃確定だとか,失敗から学び,セオリーを身に付けることで,少しずつ上達していく。

鴨音氏:
 ええ。でもそれって,勝てるようになる前に投げ出してしまうことだってあるわけじゃないですか。電撃FCは動かすこと自体が楽しいゲームを目指したので,そういうプレイヤーを縛るような要素は,なるべく取り払いたかった。だからゲージがあったらどんどん使う,必殺技は出すだけで強い。そんな開放感を楽しんでいただければ,僕らとしても嬉しいですね。

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新キャラを迎え,ますます加速する電撃FC


4Gamer:
 そろそろお時間も迫ってきたようなので,電撃FCの今後について聞かせてください。まず8月30,31日の「JAPAN GAMER’S LIVE」で,初の全国大会が予定されていますね(関連記事)。こちらも楽しみなのですが……例えばキャラクターの追加などは,まだまだ予定されているのでしょうか。

野中氏:
 ええと……ここは「(新キャラを)出さないとは言っていない!」という表現でお願いします(笑)。

4Gamer:
 ボスキャラクターであるアキラとパイは使えるようにならないんですか?

野中氏:
 そこは今回も,結構悩んだところなんです。もちろん将来的には考えているのですが,今回は大河と深雪というビッグな2人がいますからね。プレイヤーの皆さんにも,この2キャラを集中的に遊んでほしかったので,見送らせていただきました。

本作のボスキャラクターであるアキラ。パイはボス専用のサポートキャラクターとして登場する
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4Gamer:
 では,ゲームバランスの調整を含むアップデートなどはいかがでしょうか。本作のバランスは概ね好評と聞いていますが,サポートキャラクターには若干の偏りがあるのでは,という声も耳にします。

鴨音氏:
 キノやリーファといった,安定した性能のサポートが選ばれやすい傾向は,僕らとしても把握しているつもりです。ただ,これはアーケード版であるがゆえの結果なのかな,という気もしていて。

4Gamer:
 1クレジットを投じてプレイするアーケードだと,どうしても安定志向になりがちというのは,確かにあるかもしれません。

鴨音氏:
 ええ,自分としてはどのサポートもそこまで差はないと思っていたので,少し意外な結果でした。あと,トレンドというのもありますよね。稼働初期に加賀香子の使用率がかなり高くて,不思議だったんですけど。

わがつま氏:
 有名なプレイヤーさんが加賀香子の使い方を広めてくれたみたいで,その影響が使用率にも表れたみたいです。

4Gamer:
 情報の伝播スピードが速い,今ならではの現象ですね。

野中氏:
 使用率で言うと,最近はセルティやヴェルヘルミナが増えてる気がしますね。稼働2か月だけみても,はやり廃りが結構あるみたいで。

4Gamer:
 つまり,現時点では早急なゲームバランスの調整は考えていない?

鴨音氏:
 そうですね。先ほどの「JAPAN GAMER’S LIVE」が控えていることもありますし,今すぐというのは考えていません。調整するとしたら,もう少し大きな変化があるタイミング――ダッシュとかターボとかを作れるときに,じっくり時間をかけて手を入れられたらいいなって思います。

4Gamer:
 期待しています。それにしても……やっぱりキャラクターはもっと欲しいですよね。旧作のキャラクターにも可能性があるとのことなので,ここは「撲殺天使ドクロちゃん」をぜひ! きっと格闘ゲーム的にも映えると思うんで,お願いします!

野中氏:
 でもそれは……「モータルコンバット」になってしまいませんか(笑)。

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4Gamer:
 うっ,確かに……じゃあ「猫の地球儀」から,幽&クリスマスってのはどうでしょう。いやもう,この際だから秋山瑞人作品ならどれでもいいというか。イリヤでも月華でもいいんですけど!

寺田氏:
 真顔で言われても,お答えできません(笑)。でも,皆さんからのご要望はたくさんいただいていますので,できるだけそれに答えられたらいいなって思っています。

4Gamer:
 うぐぐ……では最後に,4Gamer読者に向けたメッセージをお願いできますか……。

鴨音氏:
 まあでも,そんな皆さんのキャラ愛から生まれたのが本作ですから(笑)。電撃文庫さんのライトノベルはどれも面白いので,格闘ゲームから入った人も,未読の作品があったらぜひ読んでみてください。そしてぜひ友達を誘っていただいて,皆で楽しんでもらえたら,嬉しいですね。

わがつま氏:
 これまで芹沢が語ったように,電撃FCは格闘ゲームをこれまで遊んだことのない人でも遊びやすいタイトルになっています。原作ファンはぜひ,ゲーセンまで足を運んでプレイしてもらいたいです。対戦は最初戸惑うかもしれませんが,キャラを動かすだけでも楽しめると思いますので。

野中氏:
 本作から格闘ゲームを始めたという人が大勢いらっしゃるのは,データからも分るくらいで,それが何より嬉しく思っています。中には家庭用待ちなんて人もいるかもしれませんが,それは正直もったいない。ぜひ一度はゲーセンでプレイしていただいて,対戦の面白さに気づいていもらえたら幸いです。

寺田氏:
 皆にだいぶ良いこと言われちゃいましたが(笑)。店舗さんにもたくさんのイベントを開いて盛り上げていただいて,本当に感謝しています。我々としても,これからも定期的なアップデートで盛り上げていくつもりですが,最大の原動力は,やはりオペレーターさん,そしてプレイヤーの皆さんの熱意です。「JAPAN GAMER’S LIVE」の予選も,7月5日からスタートします。皆で一緒に盛り上がっていきましょう!

4Gamer:
 これからの展開にも期待しています。本日はありがとうございました!



 キャラクターの魅力を表現しやすい格闘ゲームは,キャラクターゲームのいちジャンルとして,これまでにも幾度となくタイトルが供給されてきた。しかし,キャラクターのファンと格闘ゲーマーを同時に満足させるためのハードルは高く,記憶に残るタイトルが決して多くないのは,4Gamer読者もご存じの事だろう。
 そんな難題にチャレンジし,見事成功を収めた本作の裏側には,セガとフランスパンによる溢れんばかりのキャラ愛と,そして格闘ゲームに対する深い理解――哲学がある。その一旦を垣間見ることができるインタビューだったのではないだろうか。

 本文にもあったように,この夏にはセガ主催の大型大会「JAPAN GAMER’S LIVE」も控えている「電撃文庫 FIGHTING CLIMAX」。人気キャラクター達が画面狭しと動き回り,闘う姿は,格闘ゲーマーはもちろんのこと,恐らくキャラクターのファンが見ても面白いはず。
とくに「とらドラ!」「魔法科高校の劣等生」の読者は,その姿を見るためにも,一度ゲームセンターに足を運んでみてはいかがだろうか。「亜美ちゃんわかんな〜い」とか言ってないで,ぜひ。

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