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日本で働く海外のゲーム業界関係者に向けたイベント「Insert Coin」の第5回が開催。Kickstarterをテーマに稲船敬二氏と由良浩明氏が語る
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印刷2014/02/21 16:16

イベント

日本で働く海外のゲーム業界関係者に向けたイベント「Insert Coin」の第5回が開催。Kickstarterをテーマに稲船敬二氏と由良浩明氏が語る

画像集#001のサムネイル/日本で働く海外のゲーム業界関係者に向けたイベント「Insert Coin」の第5回が開催。Kickstarterをテーマに稲船敬二氏と由良浩明氏が語る
 「Insert Coin」とは,主に日本で働く外国人ゲーム業界関係者に向け,2か月に1回程度の頻度で開催されているイベントだ。
 2014年2月19日,5回目の開催を迎えた同イベントでは,「The Indie Edition」と題し,Comcept CEO/コンセプターの稲船敬二氏と,「Project Phoenix」を手がけるCreative Intelligence Artsの由良浩明氏をゲストに招いて,クラウドファンディングサイト「Kickstarter」を利用したプロジェクトの進め方や,日本におけるゲーム開発などに関するQ&Aセッションが繰り広げられた。
 ここでは,今回のセッションの質疑応答に加えて,このInsert Coinがどういった趣旨で開催され,どのような展開を予定しているのかなどを紹介していこう。

画像集#004のサムネイル/日本で働く海外のゲーム業界関係者に向けたイベント「Insert Coin」の第5回が開催。Kickstarterをテーマに稲船敬二氏と由良浩明氏が語る

Facebook「Insert Coin」公式ページ


 Insert Coinのセッションは,堅苦しいセミナーのようなものではなく,どちらかといえば,ゲーム業界関係者同士のオープンなコミュニケーションの場である。Insert Coinの共同設立者であるコチョール・オザン氏もまた,普段はWargaming Japanでプロジェクトマネジメント部の部長を務めている。また,もう一人の共同設立者であるゼルド・アリックス氏は,LINEに務めている。

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「Insert Coin」共同設立者 コチョール・オザン氏
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「Insert Coin」共同設立者 ゼルド・アリックス氏

 “Insert Coin”というイベントの名称は,もちろんコインを入れて遊ぶアーケードゲームが元ネタだが,ロゴのサブタイトルであるTHE SOCIAL GAME IS ON!はちょっとした言葉遊びになっている。SOCIALは,いわゆるソーシャルゲームだけを指しているのではなく,本来の「人と人との交流」を意味したもの。すなわち,「コインを投入する(参加する)ことで,人と人との交流が始まり,新しい遊び(発展)につながる」といった意味になるのだ。

 上記のとおり,Insert Coinは,もともと日本で働く外国人ゲーム業界関係者の交流や情報交換の場としてスタートしたもの。オザン氏によれば,現在,Insert Coinに登録している参加者は220人前後で,イベント開催時には50〜80人程度が顔を出すという。
 とくに多いのは,SupercellやRovio Entertainmentなどモバイルゲーム企業のスタッフだが,SCEJAや日本マイクロソフトなど,大手コンシューマゲーム企業で働く人もおり,また職種的には,マーケティング関係より実際にゲーム開発に携わっている人の割合が多いとのことだ。

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Creative Intelligence Arts 由良浩明氏
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Comcept CEO/コンセプター 稲船敬二氏

 セッションのテーマとなるのは,技術的な話題だけでなく,今後,日本のゲーム業界がどのように進化,発展していくかなど幅広い。とくに注目が集まるのは,今回のように,著名な日本のゲームクリエイターをゲストに招いたセッションで,第4回開催時にはレベルファイブのイシイジロウ氏が,ゲームデザインや日本と海外のゲーム業界の比較などを話したという。

 今回のセッションは,Kickstarterで投資を受けてゲームを開発することについての質問が,稲船氏と由良氏に聞かれた。例えば現在,大手ゲーム企業以外でAAAタイトルの開発にチャレンジすることが可能かどうかという質問に対しては,由良氏がクラウドファンディングで2000万ドル(約19億7000万円)もの開発資金の調達に成功した「Star Citizen」の事例を示し,決して不可能ではないだろうと説明した。

画像集#007のサムネイル/日本で働く海外のゲーム業界関係者に向けたイベント「Insert Coin」の第5回が開催。Kickstarterをテーマに稲船敬二氏と由良浩明氏が語る

 また,投資者に対するリワード(投資者の3Dキャラをゲームに登場させるなどの,投資に対する見返り)が,開発スケジュールに影響を及ぼさないかという質問に対して稲船氏は,リワードを準備する期間や手間を踏まえたうえでスケジュールを設定していると説明。さらに稲船氏は,ゲーム開発においては,何よりもスケジュールを遵守しつつクオリティを高めることが重要であるという持論を述べた。

 そのほか,なぜ今,「Mighty No.9」で昔ながらの2Dスクロールアクションにチャレンジするのかという質問には,大手ゲーム企業が実現しにくいジャンルだからと稲船氏は答えた。
 というのも,多くの人材を抱える大手ゲーム企業では,一見,低コストで開発できそうなゲームであっても,開発以外の部分に意外にコストがかかるのだそうだ。そのため大手ゲーム企業では,大規模プロジェクト以外,なかなかチャレンジできないが,Comceptのような規模の会社であれば,小規模プロジェクトの低コストや手軽さといった恩恵をそのまま享受できるという。

画像集#008のサムネイル/日本で働く海外のゲーム業界関係者に向けたイベント「Insert Coin」の第5回が開催。Kickstarterをテーマに稲船敬二氏と由良浩明氏が語る

 また今後,高スペックの次世代機が登場することなどの影響により,日本でPCゲームが主流になるかという質問は,由良氏が否定的に回答。由良氏は,日本ではゲームと言えばコンシューマゲームもしくはモバイルゲームであり,PCゲームはマニア向けのものとして認知されてしまっているという状況を説明した。

画像集#009のサムネイル/日本で働く海外のゲーム業界関係者に向けたイベント「Insert Coin」の第5回が開催。Kickstarterをテーマに稲船敬二氏と由良浩明氏が語る
 さて,Insert Coinが完全に外国人だけに向けたセミナーかというと,必ずしもそうではない。オザン氏とアリックス氏は日本人の来場も歓迎すると述べる。今後,稲船氏や由良氏のように,世界を視野に入れた日本人ゲームクリエイターを招いて話をしてもらうので,日本の人もぜひ参加して,さまざまな国から来ているゲーム業界関係者と積極的に交流を図ってほしいと語った。

 もちろん,外国語のセッションであれば日本語の通訳も行うし,さらに日本人来場者の数が増えていくようであれば,イベントの形式自体を変更する可能性もあるとのこと。
 またセッションのテーマも,技術寄りの話題を取り上げたり,あるいは現在より長い時間を取って,より深い内容を目指したりといった発展を目指している。
 次回開催のテーマや日時などは今のところ未定だが,興味のある人はInsert CoinのFacebookなどでイベントの開催情報をチェックしてみるといいだろう。

Facebook「Insert Coin」公式ページ

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    Mighty No. 9

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    Project Phoenix

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