インタビュー
累計100万ダウンロードを突破した「セガNET麻雀 MJ」プロデューサーの吉野慎一氏に,開発秘話やAndroid版を含めた今後の展開を聞いてきた
本作は,日本プロ麻雀協会公認の麻雀ゲームとして10年以上にわたってアーケードで展開されている「MJ」シリーズの流れを組む作品。現在アーケードで稼働中の「セガネットワーク対戦麻雀 MJ5 EVOLUTION」と同様に,高精細なグラフィックスと派手な演出をウリにしており,2013年12月のアップデートでは,アーケード版でおなじみの実況機能も実装された。
また,iOS版の配信から約半年,PC版の正式サービス開始(※有料アイテムの販売)から2か月が経過した2014年1月21日には,累計ダウンロード数が100万を突破したことが発表されている。
今回は,本作のプロデューサーである吉野慎一氏にインタビューを実施し,iOS版とPC版を展開することになった経緯や現在の状況,そしてAndroid版を含めた今後の展開について話を聞いてきた。
「セガNET麻雀 MJ」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,吉野さんがこれまで「MJ」シリーズにどのような形で関わってきたのかを教えてください。
私が「MJ」のプロジェクトにメンバーとして参加したのは,第1作となる「セガ四人打ち麻雀MJ」からです。次の「セガネットワーク対戦麻雀 MJ2」から,本格的に企画開発に携わるようになりました。
現在は,iOS版/PC版「MJアプリ」のプロデューサーをしています。そのほか,アーケードの「セガネットワーク対戦麻雀MJ5 EVOLUTION」と「SNC セガ ネットワーク カジノクラブ Ver.3」も私の担当ですね。
4Gamer:
「MJ」シリーズはもともと,アーケードで10年以上展開されてきた歴史のあるシリーズですよね。そのような中,なぜiOS端末やPCで「MJアプリ」を展開することになったのでしょうか。
吉野氏:
より多くの人に「MJ」の良さを知ってほしいという思いは,以前からずっと持っていました。スマートフォン市場が拡大する中で,幅広い層に「MJ」を知ってもらえる絶好の機会になると考え,開発に踏み切ることにしました。
4Gamer:
麻雀ゲームというジャンルでは,すでに基本プレイ無料の競合タイトルが数多く提供されています。競合相手に勝つために,後発となる「MJアプリ」ではどのような戦略を立てたのでしょうか。
吉野氏:
アーケード版同様,グラフィックスと演出のクオリティを最大限まで高めることがアドバンテージにつながると考えました。まだまだこれからですが,現段階でも無料で遊べるゲームとしては,非常にクオリティの高いものに仕上がったと思っています。
4Gamer:
ただ,PC版のグラフィックスや画面デザインはiOS版とほぼ同じですよね。PC版ならアーケード版同様の高解像度にすることもできたと思うのですが。
吉野氏:
高解像度対応については,多数のユーザーから要望を受けており,早期に対応する方向で現在鋭意開発中です。申し訳ありませんが,もうしばらくお待ちください。
4Gamer:
「MJアプリ」には,どのモードにも四人打ち東風戦と三麻※が用意されていますよね。ここまで三麻を推している麻雀ゲームは,けっこう珍しいと思うのですが。
※サンマー,三人打ち麻雀のこと。
吉野氏:
三麻はアーケード版で非常に好評で,三麻しかプレイしないというユーザーがけっこう多いんですよ。ですので,初めから導入しないとユーザーに満足してもらえないと考えていました。
4Gamer:
実際にタイトルをリリースして,そのあとの手応えはどうでしたか? App Storeのランキングでは,ゲーム/カジノのカテゴリで上位をキープしているようですし,高評価のレビュー数も非常に多く,全体的に好評という印象を受けました。
吉野氏:
おかげさまで非常に好評をいただいており,iOS版とPC版の累計ダウンロード数の合計で100万に届くところまで来ました※。
ただ,iOS版のスタート直後は,アクセスの集中でサーバートラブルが発生してしまい,ログイン制限をかけるなど,多くのお客様にご迷惑をおかけしてしまったことについて開発・運営一同,深く反省をしております。
※2014年1月21日に100万ダウンロード突破が発表された。
4Gamer:
オンライン対戦では,アクティブプレイヤー数が多いほどマッチングにいい影響を及ぼすと思います。「MJ」シリーズではアーケード版というインフラがすでにありますが,「MJアプリ」のマッチングは,アーケード版と共通化されているのでしょうか?
iOS版/PC版は基本プレイ無料なので,気軽にプレイできる半面,途中で対局から離れてしまう人が少なからずいます。また,通信環境もさまざまですから,対局中に通信切断が起きてしまい,試合続行が不可能になるケースも十分考えられます。
そういった点を懸念し,1プレイごとに料金がかかるアーケード版とはマッチングを分けてあります。
4Gamer:
iOS版とPC版は基本プレイ無料ですし,自らアーケード版の競合相手を作っているという見方もできますが,今後は「MJ」シリーズを,アーケード版からシフトしていく計画なのでしょうか。
吉野氏:
そういった予定はありません。
アーケード版は現在も全国約1500店舗以上にて好評稼働中であり,非常に多くのユーザーがプレイしているセガの看板タイトルです。専用筺体での迫力ある演出など,iOS版/PC版とは違った良さがあり,今後もユーザーの皆様に満足いただけるよう,尽力していこうと思っています。
4Gamer:
2013年12月17日に実施された大型アップデートで,実況機能をはじめとした新要素が追加されました。実装後,プレイヤーの反応はどうでしたか?
吉野氏:
まず実況に関しては,「よくやった!」という意見をたくさんいただきました(笑)。「実況がないと寂しい」「『MJ』なら実況があって当然」など,実装を希望する声が多かった機能なので,その反響も非常に大きいものでした。
4Gamer:
「MJ」シリーズの実況は場を盛り上げるための機能ですが,初級者サポートのような役割も果たしていますよね。とくに手牌を染めているときなど,手が進んだことに実況で気付かされることもあるので,個人的には重宝しています。
向聴(シャンテン)数を教えてくれるようなセリフもあり,良きアドバイスにもなると思うので,ぜひ実況をオンにしてプレイしていただきたいですね。
また,実況ボイスは今後順次追加予定なので,期待していてください。
4Gamer:
大型アップデート以後は,特定のプレイヤーと対局できるプライベート戦が行えるようになりました。これはプレイヤーの要望で実装されたものですか?
吉野氏:
「友達同士で対局したい」という要望も多く,麻雀を中心としたコミュニティ活性化機能として導入を決めました。身近な友達を誘ってドンドン対戦してほしいですね。
4Gamer:
プライベート戦のマッチングはどんな仕組みになっているのか,あらためて教えてください。
吉野氏:
ルームを作ったのち,友達にルーム名を伝えて,メニュー画面の「ルームに入る」からルーム名を検索してもらえばマッチングが始まります。「再戦」ボタンを押せば何試合でも続けられるので,思う存分楽しんで友達同士で決着をつけてください!
4Gamer:
ちなみに,アドホックに対応させる予定とかはないんですか? 近くの人と顔を突き合わせて対戦できたら楽しいでしょうし,ニーズはありそうな気がするのですが。
吉野氏:
アドホック通信への対応は考えていないですね。
「MJアプリ」のプライベート戦には,まだ個別のマッチングができる程度の機能しかありません。今後,メールやフレンド登録などが行えるSNS的な機能を追加予定なのでご期待ください。
半荘戦も実装されましたが,プレイできるのは,イベントなどで入手できるMJチップか,リアルマネーでチャージするGOLDが場代として必要な,公式モードの段位認定戦だけですよね。なぜフリー対戦に半荘戦を入れなかったのでしょうか。
吉野氏:
半荘戦は,腕に自信のある方にじっくりプレイしてもらいたいモードです。ガチンコの勝負で対局中にメンツが減ってしまうと,興ざめしてしまいますよね。フリー対戦では対局中に離脱してしまうユーザーもいるので,対応を見送っています。
4Gamer:
貴重なGOLDなりMJチップなりを使う前提なら,プレイヤーの意識も高くなって離脱するケースが少なくなると考えたわけですね。
ええ。実際の離脱率もかなり低く抑えられていると思います。
段位認定戦はMJチップやGOLDだけでなく,「PLAYチケット」を使ってのプレイもできます。PLAYチケットはキャンペーンなどで配布することがあるので,ぜひチェックしてください。
4Gamer:
フリー対戦では長考OKの卓もありますよね。プレイヤーは,人に待たされるのを基本的に好まない傾向にあると思うのですが,実際のところはどうなのでしょうか。
吉野氏:
ほとんどの上級者の方は,サクサク進む麻雀を好みますよね。ただ初心者の方は,テンポが早過ぎると自分のペースでプレイできなくなってしまうし,急かされて意図しない牌を切ってしまうこともあると思います。
「MJアプリ」では,どちらのニーズも満たすべく通常卓と長考卓を用意し,棲み分けができる環境にしています。
4Gamer:
「MJアプリ」ではアバターや段位にこだわりがなければ,無料でずっと遊べますよね。無料で思う存分対局できるのはプレイヤーとして嬉しいのですが,失礼な話,ビジネスとして成り立つ土台はできているのでしょうか。
吉野氏:
今はユーザー数を増やし,プレイ環境を整えている段階で,課金要素はこれから導入していきます。オンライン対戦の麻雀では,どんないい企画があっても対戦相手がいないと成立しないので,これからですね。
4Gamer:
ちなみに,実装済みの課金要素でプレイヤーの利用率が高いのはどのコンテンツですか?
段位認定戦やイベントなどの公式モードの利用率が高いですね。より強い相手と対局したいという要望の現れかと思います。
4Gamer:
対局に手応えを求めている,意識の高いプレイヤーが多いんですね。
12月のアップデートでは十段以上の上級段位を実装しましたが,今後はアーケード版で好評を博している「幻球争奪戦」を実装する予定です。ほかのプレイヤーと幻球を奪い合うことで段位が変動するので,対局がよりアツくなると思いますよ。
4Gamer:
「MJアプリ」の発表時には,Android版のサービス予定もあるという記述がありましたが,現在の進捗はどの程度進んでいるのでしょうか。また,端末はどの程度のスペックならプレイできるのか,現時点での見込みでかまわないので教えてください。
吉野氏:
Android版は鋭意開発中で,できれば春頃にはリリースしたいと考えています。
機種によっても性能差があるので,どのくらいのスペックなら動作するのか,一概に言うのは難しいですね。いきなり幅広く対応するのは難しいので,まずはメジャーな端末から対応していくことになると思いますが,リリース後に順次対応機種を広げていきたいと思います。
4Gamer:
Android版がリリースされれば,ますます活況を呈すことになりそうですね。期待しています。
それでは最後に,読者に向けてメッセージをお願いします。
今後,実況ボイスの追加をはじめ,麻雀における演出周りやコミュニケーション機能などを,どんどん追加していきたいと考えています。
また,要望の多い牌譜再生機能も近日中に実装予定なので,そちらもご期待ください。
「MJアプリ」では,アーケード版との連動イベントを定期的に開催していますが,プレイデータを紐づけてイベントに参加するだけで,非常におトクな連動特典がもらえるので,ぜひそちらもお試しください。
これからも,ユーザーの皆さんが満足できるタイトルに近づけていきたいと思っていますので,ご支援をよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
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