イベント
「エースコンバット インフィニティ」は絶賛開発中。プロデューサー兼ブランドマネージャーの河野一聡氏が,特別講演で制作の舞台裏を語る
バンダイナムコゲームスの「エースコンバット インフィニティ」は,2014年内の配信が予定されているPlayStation 3向けのオンライン専用タイトルで,シリーズ初となる「基本プレイ料金無料」という料金モデルが採用されている。
1人プレイ用の「ストーリーモード」や,プレイヤー同士で編隊を組んで敵と戦う「オンライン協同戦役モード」などが特徴となる本作。講演では河野氏のほかにも,「エースコンバットゼロ」でアートディレクターを務めた糸見功輔氏が制作秘話を語ったほか,歴代「エースコンバット」の音楽を担当した小林啓樹氏による生演奏も披露された。
「ACE COMBAT INFINITY」公式サイト
講演ではまず,河野氏がゲーム業界における自らの履歴を紹介した。1994年にナムコ(現バンダイナムコゲームス)へ入社以来,「スマッシュコート」(1996年)や「エースコンバット2」(1997年)といったヒット作を手がけてきた同氏。
1998年に発売された「RIDGE RACER TYPE 4」では,レースゲームにストーリーを組み込むなど,「常に1つ上のレベルをやる」という考えのもと,これまでにはないゲームの形を模索してきたという。
2001年に発売された「エースコンバット04 シャッタードスカイ」では,アートワーク全般とユーザーインタフェース,そして,STUDIO 4℃の片渕須直氏と一緒に,敵側の視点でストーリーが進んでいくというムービー構成などを手がけた。このときの経験として河野氏は,「音楽と映像と演出が組み合わさることで,ものすごい感動を与えられる」ことを痛感したと振り返った。
続く「エースコンバット5 ジ・アンサング・ウォー」では,ついにディレクターを担当。この頃から「ブランドを作る」という考えを持っていた河野氏は,開発チームを「PROJECT ACES」と名付け,「エースコンバット」の持つ世界観を,より幅広いユーザーに知ってもらうことを狙っていった。
その後,2006年の「エースコンバット・ゼロ」,同年の「エースコンバットX」を経て,河野氏は「2つ上からの目線を持って,1つ上のレベルの仕事をやる」と考えるようになっていく。「自分よりも2つ上の人の立場から自分を見て,自分はどのように見えているのか」を考えることによって,自分の仕事をより高みに持っていくためだという。
「皆さん、どうすれば、喜んでいただけますか?」を分解して導き出された答えとは
まず「皆さん」(ターゲット)とはだれの事を指しているのか。その内容は,以下の4つに分けられるという。
A:エースコンバットの名前だけは聞いたことがあるが,プレイしたことはない人
B:昔,エースコンバットに熱中していた人
C:エースコンバットの熱烈なファンの人
D:たまたまニコ生を観た人
続いては,「どうすれば」について。
Aの人には:エースコンバットの最新作が無料でプレイできます。
Bの人には:エースコンバットの最新作が無料でプレイできます。
Cの人には:エースコンバットのここだけの最新情報と秘話をお届けします。
Dの人には:この後,お楽しみがあるので! とか引っ張り続けます。
Aの人は,「無料で遊べるのなら得かも」,Bの人は「エスコンか。久しぶりに空を飛びたい」というプラスの要素が働き,「βテスト以来,何も情報出てないじゃん」と思っているであろうCの人には,とりあえず安心してもらえるという意味がある。そしてDの人には「最後まで観ていて良かった,面白いものが観られた」という良い印象を与えられると河野氏は語った。
最後の「喜んでいただけますか?」には,「どんな満足=ニーズに応える」という意味があり,「皆さん(ターゲット)」に,以下のような感想を抱いてもらえるのでは,ということが想定できるとのこと。
A:興味はあったんだよ。無料で遊ぶだけなら得かも
B:エスコン? あれが無料? じゃあ久しぶりに空を飛ぶのもイイな!
C:何にも情報出てなかったから,ちょっと安心したよ
D:最後まで観ていて良かった。面白いモノが観られた
βテストのフィードバックにより「エースコンバット インフィニティ」はさらに進化
続いては,河野氏が「エースコンバット インフィニティ」の見どころを解説し,充実したチュートリアル,力の入ったシナリオや演出が楽しめるキャンペーンモード,4人対4人で行われるマルチプレイ対戦,そして,仲間と協力するデータリンクといった注目ポイントを次々に紹介していった。これらの要素は,Aの人(エースコンバットの名前だけは聞いたことがあるが,プレイしたことはない人)にとってお得な情報ではないかと河野氏。
しかしその結果を受けて,リードプランナーの玉置氏は苦悩していたと,冗談っぽく河野氏は続けた。見込んでいた数字の倍ということは,フィードバックも倍になるというのがその理由だ。しかし,そこは歴戦の開発者。フィードバックを受け「プレイしてくれた人達は何を考えて,どういう気持ちになっているんだろう」と冷静に分析していったそうだ。
そうした作業を重ね,ゲームの仕様はだんだん固まっていった。具体的には「戦闘機ツリー」の刷新や,ユーザーインタフェースの改善などだ。最近情報がなかなか出ず,やきもきしているファンも少なくないと思われるが,河野氏は「現在頑張って作業を進めている」とコメントし,βテストのフィードバックの一部を紹介した。
さらにβテストでは,ミッションのプレイ中にランダムイベントが発生し,プレイするたびに違った経験が得られたのだが,ユーザーから「イベントミッションの前と後が,いつも同じ」という指摘を受けたという。その改善策として河野氏は,イベントミッションの前と後の展開をランダムに変更し,「もっと変化を」という要望に対応したと話した。
そして最後に,「開発も佳境に入っているので,ぜひ楽しみにしていてほしい」メッセージを送り,講演を締めくくった。
名曲「ZERO」の誕生秘話が明らかに
河野氏による講演の後は,「エースコンバット」シリーズのサウンドクリエイター小林啓樹氏と,「エースコンバットゼロ」でフラメンコギターを演奏している後藤貴徳氏が登場。そこにバイオリンとビオラ奏者が加わって,この日限りのスペシャル編成のライブ演奏を披露した。
演奏された楽曲は,「エースコンバットゼロ」の「ZERO」と,「エースコンバット5」の「The Journey Home」の2曲。ファンにはとってはおなじみの楽曲ということもあり,みな熱心に聴き入っていた。
小林啓樹氏 |
後藤貴徳氏 |
ライブ終了後は,「エースコンバット・ゼロ」のアートディレクターである糸見功輔氏を招いて,名曲「ZERO」の誕生秘話が語られた。
「エースコンバット5」は「巨大な戦争に巻き込まれていく主人公」を描く,壮大な雰囲気のタイトルだ。そのため,フルオーケストラの演奏がゲームに良くマッチしていたのだが,一方の「エースコンバット・ゼロ」は,テーマが「決闘」ということもあってオーケストラとはあまり合わない。少しミニマムな雰囲気がいいのではということで,糸見氏が好きだったマカロニウエスタンの要素を取り入れ,西部劇テイストにすることにしたそうだ。
糸見氏は「手応えはすごく感じていて,スタッフも楽しいって言いながらプレイしています。『エースコンバット インフィニティ』は無料で遊べる『エースコンバット』なので,シリーズ未経験の人にもぜひ遊んで欲しいですね。このシリーズは毎回映像に凝っているんですけど,今回のムービーに関しては,アニメや映画で活躍されているクリエイターにも参加してもらって,密度の濃いものになっています」とアピールした。
河野氏は「PROJECT ACESは,常に一丸となって,皆さんに喜んでいただけるにはどうすればいいんだろうということを考えながらゲームを作っています。その集大成が『エースコンバット インフィニティ』です」と挨拶して特別講演を締めくくった。
「ACE COMBAT INFINITY」公式サイト
- 関連タイトル:
ACE COMBAT INFINITY
- この記事のURL:
All trademarks and copyrights associated with the manufacturers, aircraft, models, trade names, brands and visual images depicted in this game are the property of their respective owners, and used with such permissions.
(C)GeoEye/JAPAN SPACE IMAGING CORPORATION
(C)DigitalGlobe, Inc., All Rights Reserved.
ACE COMBAT® INFINITY & (C)2013 NAMCO BANDAI Games Inc.