プレイレポート
「バットマン:アーカム・ビギンズ」のプレイインプレッション。すべての始まりを描く人気シリーズ最新作は,さらにプレイしやすくなった
また,同作のサイドストーリーを描くPS Vita向けタイトル「バットマン:アーカム・ビギンズ ブラックゲート」も本日発売された。今回は,これら2つのタイトルの簡単なインプレッションをお届けしよう。ちなみに前者についてはPlayStation 3版でプレイしており,ボタン表記などもそれに準じている。
「バットマン:アーカム・ビギンズ」公式サイト
バットマンの首に50億円の賞金が!
追われる立場となったバットマンを描く
「アーカム・ビギンズ」
映画などで有名なバットマンは,悪人を追い詰める正義のヒーロー。しかし,本作「バットマン:アーカム・ビギンズ」(以下,アーカム・ビギンズ)の設定は一ひねりされたもので,バットマンがゴッサム・シティで活動し始めた頃が背景になる。この時点ではまだ,ゴッサム・シティにバットマンの名声は轟いていない。街の治安を守るべき存在のゴッサム警察は,ローブ本部長を筆頭に腐敗の温床であり,街全体が無法地帯に近い状態となっている。
そんな中にあって,バットマンは孤軍奮闘するのだが,なんと,ゴッサム・シティを牛耳るヴィラン(悪役)のブラックマスクが,余計なことはするなと言わんばかりに,彼の首に50億円もの賞金をかけてしまった。その賞金を目当てに各地から凄腕ヴィランが押し寄せ,しかも警察までもがバットマンの敵として迫ってくる……というのが本作のバックグラウンドストーリーだ。
ゲーム開始後,最初のミッションでは,ブラックマスクがブラックゲート刑務所に侵入し,そこに服役しているヴィラン達を脱獄させるという,ゲーム全体のプロローグにあたるストーリーが展開する。このミッションはチュートリアルも兼ねており,本作の独特な戦闘システム「フリーフローコンバット」などが段階的に覚えられるようになっている。
例えば,敵が攻撃を仕掛けてくる際は頭上にマークが表示され,これを見たらすかさず△ボタンを押すと,自動的にカウンター攻撃を繰り出してくれる。複数の敵に囲まれた際も,マークの数だけボタンを押せばOKだ。バットマンの攻撃に対しカウンターを繰り出してくる敵もいるのだが,それに対してさらにカウンターを決められる。
プレイヤーが適当にボタンを押すだけでも,画面の中のバットマンは流れるように華麗に立ち回ってくれるので,「あれ,オレってこんなにアクションゲームが上手だっけ?」と錯覚してしまうかもしれない。というか,筆者はした。
また,状況に応じて複数のボタンを組み合わせることで,素早くパンチの連打を浴びせる「ビートダウン」や,一撃で仕留められる「テイクダウン」などが使えるほか,敵の背後にある通風孔から飛びかかったり,高所から急降下してキックを繰り出したりと,フリーフローコンバットを通じて多彩なアクションが楽しめるのだ。
ガジェットも順調にパワーアップ
事件現場を映像で再現する「捜査モード」に注目
バットマンシリーズといえば,さまざまなハイテクガジェットの存在が欠かせない。これについても本作ではパワーアップしており,中でも「これはすげぇ!」と興奮してしまったのが,リニューアルされた捜査モード,その名も「捜査ビジョン」システムだ。
捜査ビジョンでは,ゴーグルを使って壁を透視したり,証拠品などを瞬時に分析したりできるのだが,注目すべきは「犯行現場の状況を再現する」機能だ。
例えば,ある変死事件の現場に遭遇したバットマンは,死体や壁に残されたDNAなどの状況を辿っていくことで,事件発生時に現場でいったい何が起こったのかをシミュレートできるのだ。ネタバレにならない程度にざっくり説明すると,発見した死体の位置や向きなどから,ドアを開錠しようとしたときに爆発したことが分かり,爆発したところを調べると,キーカードを使うことで爆発する仕掛けであることが分かる。
それらの証拠によって,爆発の様子がホログラムで再現されるのだ。事件の模様は,所定のキーを押すことで早送りや巻き戻しが可能で,まるでビデオテープで事件を見ているような雰囲気。
一つの手がかりから再現できる範囲は限られるので,プレイヤーは捜査ビジョンを駆使して,さらなる証拠を求めて画面内をくまなく探索することになる。本作は基本的にアクションゲームだが,この瞬間はまるでアドベンチャーゲームの主人公になったかのような気分だ。捜査モードは従来作にもあったが,本作ではさらに面白く進化している。
捜査ビジョンのほかにも,「バットクロー」(フック付きのロープ),「バットラング」(手裏剣のような武器),「爆破ジェル」など,おなじみのガジェットも用意されており,ゲームプレイ中にいつでも使用できる。これらのガジェットをフリーフローコンバットに組み込むことも可能で,バットクローで敵を高所から逆さ吊りにしたり,爆発物を投げつられる寸前にバットラングで牽制するなど,応用次第では幅広い戦術がとれるのだ。
ゲーム開始直後のプレイヤーは未熟だが,すべてのアクションゲームと同様,プレイを重ねることで上達していく。そうしたプレイヤーの成長が,本作における未熟なバットマンの姿とシンクロしており,ファンにとってはたまらない体験ができる。
ゴッサム・シティの広さは前作比で約2倍
コウモリの如く自由自在に飛び回れる
ゲームの舞台となるゴッサム・シティは,前作比で約2倍に拡大した。各地にはスゴ腕のヴィランが散らばっており,彼らを全員刑務所にぶちこむのがバットマンに課せられた使命となる。
ボス的な存在のヴィランはゲーム内で「最重要手配犯」と呼ばれており,ブラックマスクを筆頭に「デスストローク」「ベイン」「デッドショット」「カッパーヘッド」「アナーキー」「ペンギン」「アルベルト・ファルコーネ」の8人がラインナップされている。
最重要手配犯との対決はメインミッションとなっており,戦っていく順番はある程度決まっているようだ。
また,最重要手配犯のほかに中ボス的なヴィランも多数登場し,彼らとのバトルはサイドミッションとして用意されている。執事のアルフレッドからの指示を受けたり,警察無線を傍受したりすることで,新たなミッションを獲得することになるので,サイドミッションをこなしてスキルツリーをアンロックし,メインミッションに備えよう。
移動に関していうと,バットマンはマントをグライダーのように広げて滑空できるほか,強力な牽引力を持つグラップネルガンと組み合わせて,スピーディーな移動が可能だ。ビルの屋上から隣のビルへ飛び移ったりするのはお手の物で,場所によってはほとんど垂直に飛び上がったりすることもできてしまう。
さらに本作では,滑空が終わる瞬間に×ボタンを2回押すことで,一時的にふわっと浮き上がれる(グラップネル・ブースト)のだが,この浮遊感が秀逸。うまく操作すれば,着地することなくゴッサム・シティをまるで鳥……いや,コウモリのごとく自由に飛び回れる。シリーズ従来作と比べ,高低差が際立ったマップになっているため,ミッションとは関係なしにギュンギュン飛び回るだけでも非常に楽しかった。これについてはぜひ,自分の目で確めてもらいたい。
アーカム・ビギンズの後日談を描くタイトル
「バットマン アーカム・ビギンズ ブラックゲート」が
PS Vitaに登場
今回は,アーカム・ビギンズだけでなく「バットマン アーカム・ビギンズ ブラックゲート」(以下,ブラックゲート)にも触れることができたので,こちらのプレイフィールについても簡単に紹介したい。
ブラックゲートの時系列は,上で紹介したアーカム・ビギンズの数日後となっており,ブラックゲート刑務所を舞台にした後日談が描かれる。こちらに登場するヴィランの中には,ブラックマスクやジョーカーなどがしぶとく残っていることが確認でき,彼らがどのようにしてあの一夜を生き延びたのか,アーカム・ビギンズのストーリーも気になってくるところだ。
それはともかく,ブラックゲートのジャンルは基本的に横スクロールのアクションだが,キャラクターは3Dで描かれており,奥行きの感じられる演出が施されている。操作方法はアーカム・ビギンズをかなり踏襲しており,フリーフローコンバットによる戦術的なプレイや,多彩なガジェット,ツリー形式でアンロックしていくスキルなども一緒だ。
さらに,画面タッチによる捜査ビジョンも用意されており,アーカム・ビギンズをプレイした人なら,すんなり遊べるという印象だ。
大きな魅力としては,ゲーム内のカットシーンがアメコミ調で描かれていることが挙げられる。コミックス版のバットマンが好きな人にとって,気になる部分と言えそうだ。
「バットマン:アーカム・ビギンズ」公式サイト
以上,「バットマン:アーカム・ビギンズ」ならびに「バットマン アーカム・ビギンズ ブラックゲート」のプレイインプレッションをお届けした。本シリーズはいわゆるキャラクターものでありながら,プレイヤーやメディアの評価はきわめて高い。
ゲーム内のデータベースも充実しているので,映画を見てバットマンやヴィラン達に興味を持った人が,その次のステップとして本シリーズをプレイするのもアリだろう。「バットマンが好き」あるいは「アクションゲームが好き」なら文句なし楽しめることは間違いないので,ぜひ一度手にとってほしい。
- 関連タイトル:
バットマン:アーカム・ビギンズ
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バットマン:アーカム・ビギンズ
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