イベント
[SIGGRAPH ASIA]等身大のコーネルボックス内で「ユニティちゃん」とツーショット記念撮影ができる展示が大人気。ただしお触りは不可
SIGGRAPH ASIA 2015の会期2日目である11月3日にオープンした展示会場では,ドワンゴとUEIリサーチ,Unity Technologiesの日本法人であるユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの3社が共同で設営しているブースが,異様な盛り上がりを見せていた。一体,何が来場者の注目を集めていたのだろうか。ブースの展示をレポートしたい。
ほぼ等身大のコーネルボックスが会場に出現
コーネルボックス(Cornell Box)とは,米国のCornell University(コーネル大学)がCG研究者のためにフリー素材として提供しているCG用テストシーンのこと(関連リンク)。奥側と床,天井は白い壁で,左側には赤い壁,右には緑色の壁がある小部屋となっており,天井に光源を設定すると,左右の壁にバウンスした間接光が,室内中央のオブジェクトを淡く照らすというものだ。CG描画の実験では,間接照明効果の実験によく使われる。
今回のブース展示では,等身大で作られた実物のコーネルボックスに来場者が入って,自らが「緑と赤の壁からの淡い間接光」を浴びることができるのだ。コンピュータグラフィックスの学会であるSIGGRAPH ASIAならではの展示といえよう。
これだけでもCG関係者には楽しい展示なのだが,ここにはUnityも出展しているので,それだけでは終わらない。
コーネルボックスはもともとCGシーンだ。そこで,Unity公式マスコットキャラクターのユニティちゃんをコーネルボックス内でライティングしてレンダリングし,等身大コーネルボックスに入り込んだ来場者と合成した映像を出力してくれるのだ。しかも,合成映像はプリントアウトしてお持ち帰りできるというから嬉しいではないか。
ちなみに,CG世界のユニティちゃんは,モーションアクターの女性の演技をそのままリアルタイムに反映してポーズを付けてくれるので,コーネルボックスに入り込んだ来場者の要望に,ある程度はこたえてくれるのもミソ。
筆者が,ユニティちゃんを抱きかかえるようなポーズをリクエストすると,女性アクターもそれに合わせたポーズを取る。筆者の前には当然なにもないのだが,映像の中ではユニティちゃんを抱きかかえる筆者の姿が映し出されるという仕組みだ。
来場者のなかには膝枕を要求するツワモノも出てきたりして,カオス度は増す一方であったが,女性アクターは等身大コーネルボックスの外で演技をしているため,来場者と直接触れることはなく,いろいろとセーフ(?)なのである。
できあがった合成映像を観察してみると,来場者の顔とCGのユニティちゃんには,ちゃんと赤い壁の間接光が乗っているのが分かる。CGキャラクターと来場者が本当に同一空間にいるような映像となっているのが面白い。
また,ユニティちゃんが腰かけている箱は,現実世界側のコーネルボックスでも鏡面加工されていて,来場者の鏡像を映し出しているのだが,よく見るとユニティちゃんの髪や足の鏡像も映っている。つまり,間接光ライティングだけでなく,鏡像世界の描画も行っているということなのだ。
分かりやすくも楽しい体験なので,ぜひ他のイベントでもやってほしいものである。
ユニティちゃん公式サイト
SIGGRAPH ASIA 2015 公式Webサイト
- 関連タイトル:
Unity
- この記事のURL: