インタビュー
「ハースストーン」最新拡張パック「風集うストームウィンド」では,アライアンスにフォーカス。開発者インタビューをお届け
Alec Dawson氏 |
Chadd Nervig氏 |
グリフォン年のフェーズ2に合わせて導入される「風集うストームウィンド」は,「World of Warcraft」でアライアンスの重要拠点として存在する都市“ストームウィンド”を舞台にしている。
“光の聖堂”というランドマークを中心としたこの街は,商業活動などで集う賑やかな場所であり,その雰囲気は公開されたシネマティックトレイラーからも伝わってくるだろう。
そんな「風集うストームウィンド」には,1マナのコストでデッキ内の別のカードと交換できる 「交換可」という新しいキーワードが導入される。これは,ストームウィンドにあるトレード地区の雰囲気を,ゲームメカニックスとして再現したものといえるだろう。
また,「慟哭の洞窟」からのストーリーを受け継ぎ,それぞれのクラスに対応する10人の傭兵たちの成長を描き出した「連続クエスト」,さらにはミニオンのバフとして機能する呪文“乗騎”や,武器をテーマにパッシブな能力を与える「職業ツール」などがフィーチャーされている。では,こういった要素はどのようにして生まれたのだろうか。
4Gamer:
まずは「風集うストームウィンド」の設定について教えてください。
Chadd Nervig(以下,Nervig)氏:
「グリフォン年」では,「World of Warcraft」のテーマにもなっていた傭兵の成長を表現するため,ホードまたはアライアンスを出身とする10人の傭兵たちのストーリーを描いています。今回は,アライアンスの首都であるストームウィンドを舞台にすることで,よりこの勢力の魅力を伝えていきたいと考えました。
雑多な大都市なのでさまざまな種族がいますが,ホードのキャラクターにとっては決して安住地というわけではありません。このあたりのストーリーの流れにも注目してほしいです。
Alec Dawson(以下,Dawson)氏:
「風集うストームウィンド」は,アライアンスの世界観にどっぷりと浸れるチャンスですので,楽しんでいただきたいです。とくに,今回実装する「交換可」は,ストームウィンドで行われる交流を表現したものになっています。
4Gamer:
「交換可」は,具体的にどのようなシステムなのでしょうか。
Dawson氏:
「交換可」は,1マナのコストでデッキ内の別のカードと交換できるシステムです。例えば,武器破壊と交換可を持つ「腐り錆びのクサリヘビ」は,破壊すべき武器がない場合は使い物になりませんから,後に回そうという戦略的な判断ができるわけです。
4Gamer:
交換可のカードがバフを受けていた場合はどうなりますか。
Nervig氏:
ステータスはその時点での状態が維持されます。
4Gamer:
もう1つの大きなフィーチャーと言える「連続クエスト」ですが,以前の「クエスト」との違いを教えてください。
Nervig氏:
連続クエストは,「大魔境ウンゴロ」で実装したクエストと,「激闘!ドラゴン大決戦」で実装したサイドクエストを組み合わせて拡張させたものです。「World of Warcraft」のクエストを再現するため,連鎖的に続く3つのクエストをクリアしていくことで,傭兵たちの成長する姿を描きました。
4Gamer:
具体的にはどういう流れになるのでしょう。
Nervig氏:
現在発表している連続クエストは,ウォーロック向けの「悪魔の種」と,メイジ向けの「魔法使いの策」の2つです。ウォーロックの場合は,最初のクエストで6ダメージを受けると,報酬として敵のヒーローに3ダメージの生命奪取を与えられます。次のクエストでは7ダメージを受ける必要があり,報酬は最初と同じです。そして,最後のクエストは8ダメージを受けることでクリアとなり,報酬はレジェンドの「ブライトボーン・タムシン」です。このカードは自分のターンで自分が受けるダメージを代わりに相手に与えるという,最後のクエストの報酬としてふさわしい能力を持っています。
4Gamer:
クエストをさらに発展させることは,前から考えていたのでしょうか。
Dawson氏:
ハースストーンというカードゲームの中で,傭兵たちのストーリーを展開していくためには,クエストシステムの拡張が必要でした。「風集うストームウィンド」という大きな枠の中で,10人もの傭兵のストーリーを数枚のカードでどうやって表現していくべきなのか。それを煮詰めてたどり着いたのが連続クエストです。どの連続クエストも達成しがいのある内容になっているので,それぞれの傭兵のインパクトのある成長を感じ取ってもらえると思います。
4Gamer:
新しく追加される「乗騎」ですが,以前にも似たようなカードがありましたよね。
Dawson氏:
ええ,「大魔境ウンゴロ」の剣竜騎乗ですね。このカードも良かったのですが,パラディン専用だったので,より種族に特化したマウントを用意したいと考えました。MMORPGでも言えることなのですが,マウントを得た時の達成感は計り知れないものです。「乗騎」では,そのエッセンスを詰め込んでみたいというコンセプトから生まれました。
とくにハースストーンでは,さまざまな形で登場した「エレク」が乗騎カードになるので,「ついにあのエレクに乗れる!」と喜んでもらえることに期待しています。
Nervig氏:
まだ発表していない乗騎ミニオンについても,それがメイジであれウォーロックであれドルイドであれ,それぞれの特性にあった,もしくは我々が考え付かなかった用法も発見されていくでしょう。これらのカードがプレイヤーの手に渡ることが,今からとても楽しみです。
4Gamer:
職業ツールの狙いを教えてください。
Nervig氏:
職業ツールは,それぞれのヒーロークラスに武器を与えるカードで,現時点ではパラティンの「プリズム宝石細工キット」と,ウォーロックの「ルーン封印ミスリル・ロッド」を発表しています。いずれも攻撃力はありませんが,それぞれのヒーローにパッシブ能力を与えてくれます。中には自分の手持ちカードに特性を与えるのではなく,ボードに影響するのもあります。
ちなみにこの職業ツールも,ストームウィンドという大きな街の中で起こってる雑多な商業活動の雰囲気を演出するものです。ドワーフの鍛冶屋やノームの細工師などがいた地区を想像していただくと良いかもしれません。
4Gamer:
バトルグラウンドモードの強化もアナウンスされていますが,どのように変わるのでしょうか。
Dawson氏:
今回のアップデート「21.2」では,実に25種類ものミニオンカードが追加されてプールが一新されます。これはバトルグラウンドモードをローンチして以降最大のアップデートです。新しいカードがどのようなシナジーを得られるか,手慣れていないミニオンタイプをどのように打ち破るか,その戦略について考え直す必要があるでしょう。これまでのアップデートでは最大の規模ですから,引き続き情報をお届けしていく予定です。
Nervig氏:
私からバトルグラウンドについてお話しできるのは「コスメティックス」です。それぞれのキャラクターに,テーマに沿った複数のバリエーションを用意しています。最初は15種類くらいのコスメティックスになりますが,その後もさまざまな種類をリリースしていく予定で,みなさんに楽しんでもらえるはずです。
何より,ラグナロス(Ragnaros)をバーテンダーとして登場させることに興奮しています。新しいバンドルは,このラグナロスを含めた「Beach Party」と,ヴェナリ(Ve’nari)がバーテンダーに登場として登場する「Shadowlands」の2種類を用意しています。
4Gamer:
バトルグラウンドのアップデートは「風集うストームウィンド」のローンチと同じタイミングですか。
Dawson氏:
いえ,「風集うストームウィンド」を実装した後にアップデートで導入する予定です。ただ,コスメティックスは早く導入できると思います。バトルグラウンドは,何年もかけてしっかりと作り込んできましたが,今ではいろいろと発展させていく段階になってきており,私達も楽しみでなりません。
新しいカードの導入で定番化したメタを崩してみたり,コスメティックスを変えて興味を引き立てたりといったことで,多くのプレイヤーに喜んでもらえることでしょう。こちらも楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「風集うストームウィンド メガ・バンドル」は1万円,「風集うストームウィンド バンドル」は6100円(どちらも税込)となっており,先行購入が可能だ。未公開のカードもこれから順次発表されていくようなので,公式サイトのカードリストを確認しつつ,その発売を楽しみにしておこう。
「ハースストーン」公式サイト
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(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
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