インタビュー
「碧空のグレイス」運営チームにCBTの手応えと今後の展開を聞いてみた。新職業の追加やペットシステムの拡充で遊びの幅は大きく広がる
3月27日から3月31日までの間に行われたクローズドβテストでは,サーバーの負荷やゲームシステムなどに大きな問題もなく,安定したゲームプレイが行われた。しかし,運営チームとしてはゲーム内のバランス──レベルリングのしやすさや戦争コンテンツのルール──には若干の修正が必要だと判断し,調整に時間を掛けてオープンβテストを行う運びとなった。
今回はUSERJOY JAPAN オンラインセクションチーフの織田雄洋氏に,クローズドβテスト時の問題点とその修正方針,そして碧空のグレイスの今後について詳しく話を聞いてきた。同席したUSERJOY代表の劉 信氏からもコメントをいただいているので,あわせてお読みいただきたい。
「碧空のグレイス」公式サイト
クローズドβテストの結果を踏まえたバランス調整で遊びやすく
本日はよろしくお願いします。最初に,3月27日から5日間行われたクローズドβテストの手応えをお聞かせください。
織田雄洋氏(以下,織田氏):
CBTはキャラクターデータのリセットを前提としていましたが,数多くのプレイヤーの皆様に触れていただきまして,サーバーの負荷テストも含め,満足のいくテストができました。ご協力いただきました皆様には,この場を借りてお礼申し上げます。
ゲーム内で行ったGM主催の座談会や,テスト後のアンケートでは,概ね高評価をいただいています。
4Gamer:
どういった点が評価されたのでしょうか。
織田氏:
βテスト前に内部で徹底的にチェックをしていましたので,その結果として「完成度が高い」「バグが少ない」という意見をいただきました。ゲーム内容に関しましては,ペットシステムの評価が高かったですね。碧空のグレイスではかわいいペットを数多く仲間にし,お気に入りのペットを騎乗用にもできます。テストに参加された方の多くが,ペットを連れて冒険を楽しんでいました。
4Gamer:
碧空のグレイスのペットシステムは,ほかのMMORPGタイトルに比べても充実してますからね。
織田氏:
ええ。我々としましては,高評価をいただいたペットシステムにつきましては,より多くの方にお楽しみいただけるように調整を行ってまいります。
4Gamer:
βテストで課題になる部分はありましたか。
織田氏:
プレイヤーの皆様のプレイ状況を分析しましたが,レベリングに関しては調整が必要だと考えています。クローズドβテストは5日間行ったのですが,その間にカンストレベルまで達した方も少数ですがいらっしゃいました。もともとクローズドβテスト用のバランスにしていて,その様子を見てオープンβテスト以降で微調整をしようと考えていたのですが……カンストレベルの達成は想定外でした(笑)。
4Gamer:
クローズドβテスト用の調整というのは,どういった調整だったのですか。
織田氏:
戦争コンテンツの参加が可能となるレベル25までは,通常よりレベルが上がりやすい調整をしていました。レベル25以上は,しっかりと碧空のグレイスの世界を楽しんでもらいたいという思いもあって,調整はしていませんでした。
4Gamer:
なるほど。職業によってもレベルの上げやすさは変わってくるのかもしれませんね。
回復職であるプリーストは,敵にダメージを与えるのが苦手なこともあって,ソロでプレイするには厳しいといったご意見もありました。ただ,敵を狩るだけでなく,繰り返し系のクエストで経験値を稼ぐこともできますので,こういったゲームに慣れたプレイヤーの方々は,パーティを組んでクエストを達成し,プリーストのレベルを上げていたようです。
4Gamer:
パーティプレイではプリーストが必須なのでしょうか。
織田氏:
やはりプリーストがいると安定感が違います。インスタンスダンジョンのパーティメンバー募集を見ていると,プリーストが一人はほしいと多くの方が感じているようです。なお,クローズドβテスト時は,プリーストのアライズという復活スキルを使ってもデスペナルティが適用されていました。こちらについてはペナルティをなくすような調整を行う予定です。
あと,これも調整課題となっていますが,ソロプレイではポーションの消費が激しく,いわゆる“ポーション破産”をしてしまうプレイヤーの姿も見られました。クエストなどでポーションをもらえる数と,消費する数のバランスを調整するよう開発に打診しています。
4Gamer:
ポーションが自動で使用されるシステムが便利すぎるので,調整は不可欠かもしれませんね。ただ,そこは,パーティプレイでフォローするのがよさそうな気もしますが(笑)。
織田氏:
パーティプレイはMMORPGの醍醐味であり,我々も推奨したいところですが,ソロで気軽にプレイしたいという方もいらっしゃると思いますので。
碧空のグレイスの特徴的な職業でもあるスミスについてはどうでしょうか。生産に特化していて,戦闘能力は控えめだとうかがっていましたが。
織田氏:
実はですね,クローズドβテストの状況を分析してみると,スミスをプレイした方が最も多いという結果が出ました。注目度が高い生産コンテンツに特化した職業なので,サブキャラとして使用されることは想定していましたが,予想以上でした(笑)。
スミスの戦闘能力は,対モンスターではそれほど高くないのですが,状態異常を駆使するスタイルから,対人戦で予想以上に活躍していたようです。
サブキャラではなく,メインキャラとしてスミスを育てていた方も多かったのですか。
織田氏:
レベル1〜20までの低レベル帯に多かったのは確かですが,戦争に参加できるレベル帯まで育てていた方も多かったですね。戦闘コンテンツでいうと,ウォーリアとほぼ同数でした。
4Gamer:
人数が少なかった職業も教えてもらえますか。
織田氏:
スミスとプリーストがやや多く,アーチャー,ウォーリアはそれほど差がありませんでしたが……一番少なかったのはマジシャンですね。
4Gamer:
それはどうしてでしょうか。
織田氏:
オートターゲットですので,基本的には発動したスキルは敵に向かって飛んでいくのですが,マジシャンのスキルには場所を指定するタイプのものがあって,テクニカルなプレイが必要となります。そういったこともあって,どちらかというと上級者向けの職業になっていることが要因でしょうか。
4Gamer:
なるほど。そうした各職業が一同に集まる戦争コンテンツ「七星戦」は盛り上がりましたか。
織田氏:
100人対100人の大規模戦闘ではありますが,ほとんどラグが発生せずにプレイできました。この点は多くのプレイヤーの皆様に評価していただきました。一方で,ほかのオンラインゲームでPvPを盛んにプレイされている層の方々からは,石像を巡る攻防であることから「もの足りない」「想像しているPvPと違っていた」といった意見もいただきました。
なお,七星戦のアンケート結果では,一戦の時間が「ちょうどいい〜やや長い」と感じている方が大多数を占めました。単に戦争の時間を短くするのではなく,長く感じさせないような仕掛けを盛り込んでいきたいと思います。
4Gamer:
本作の対人戦ですが,醍醐味はどこにあるとお考えですか。
織田氏:
相対する勢力の戦力の押し引き,駆け引きといった部分に面白さを感じてほしいですね。そこで,七星戦についても調整を入れる予定です。
4Gamer:
どんな調整なのでしょうか。
織田氏:
例えば,奪取した石像の周りにいると,なんらかのBuffが与えられるようにして,防衛の意識を高めるといった調整を考えています。あとは,その戦場でのみ使えるアームズといいますか,召喚獣のようなシステムの導入も検討しています。
4Gamer:
召喚獣ですか。
織田氏:
まだ仕様は確定していないのですが,そういうものを使って低レベルの方でも活躍できるようなシステムにしたいですね。もちろん,マップの種類を増やしたり,ルールの違うPvPも考えています。
新要素「ギルド領地」を追加してオープンβテストを開始
4Gamer:
クローズドβテストからオープンβテストまで,20日ほど時間が空きました。その間はどういった改修が行われたのでしょうか。
織田氏:
先に述べた各種調整と,コミュニティ関連のコンテンツを一つ追加します。実は,つい先日まで開発をしていて,オープンβテストに間に合うかドキドキしたのですが……。
4Gamer:
ギルドというコミュニティはゲーム内にありますが,そのギルド機能を拡張するようなコンテンツなのですか。
織田氏:
追加するのは「ギルド領地」というものです。ギルドごとに“領地”が与えられ,その中に特殊な建物を建てることができます。どんな建物を建てるのかは,そのギルド次第となります。
4Gamer:
ギルド領地の中に自由に建物を建て,同じギルドのメンバーが集まれるわけですね。
織田氏:
はい。好きなお店を建てたりして,ギルドメンバーが共有できる自由な空間を作って楽しんでもらいたいです。建造物の中にはBuff効果を持ったものもありますので,ギルドのメンバーで話し合って自分たちに合った街作りをしてください。
4Gamer:
Buff効果にはどんなものがありますか。
織田氏:
経験値アップや攻撃/防御力アップなど,さまざまな効果がありますが,すべての建物を建てることはできないので取捨選択が必要となります。
なるほど。PvPが盛んなギルドなら戦闘能力が上がる建物,まったりギルドなら経験値アップの建物を建てるなどして,ギルドの特徴を際立たせることができるということですね。
織田氏:
ええ。居心地のよい空間を作ってみてください。
4Gamer:
建物を建てるには,何が必要となるのでしょうか。
織田氏:
必要な素材をギルドに収め,さらに七星戦などで手に入る「名誉ポイント」も必要になります。なお,オープンβテストで実装するのはギルド領地というシステムのベースの部分だけで,今後の追加要素として,景色の違う領地だとか,新しい建物といったものも考えています。いずれは個人の家も入れたいですね。この辺りもプレイヤーの皆様の意見を参考にしていきたいです。
新職業やペットシステムの拡充によって碧空のグレイスは成長を続ける
オープンβテスト以降,新たに導入される要素はありますか。
織田氏:
クローズドβテストでも「釣り」をすることができましたが,単に釣りができるだけでしたので,こちらの拡張を行っていきます。システム側で実施する「釣り大会」ですね。この大会で上位に入賞すると,新しい釣り場に行けるなど,メリットを増やしていこうかと。
釣り大会の前後を目途に,“新職業”の追加も行います。クローズドβテストの状況を見る限り,プレイヤーの皆様のレベル上げ速度は相当なものだと感じました。新職業の追加は急務だと痛感しました。
4Gamer:
新職業……どんなものなのか気になります。
織田氏:
魔法と剣を巧みに扱う職業で「マジックナイト」と名付けさせていただきました。魔法効果の付与された剣技をメインに使うアタッカーで,瞬間的な攻撃力の高さが魅力です。ただ,防御は回避することが主となりますので,ウォリアーのようなタンクとしての役割は果たせないでしょう。
4Gamer:
マジックナイトの特徴的なスキルを教えてください。
織田氏:
地面に炎の結界を張り,その中に入ってきたモンスターに持続的にダメージを与える範囲設置型スキルが特徴的ですね。見た目もかっこいいので,スミスを超える人気職になってくれるのではないかと期待しています。
4Gamer:
設定だけ聞いても人気が出そうな気がしますね(笑)。内部テストでの感触はどうでしたか。
織田氏:
攻撃力が高いので敵を倒しやすく,手軽にプレイできる職業だと感じました。
4Gamer:
マジシャンの立ち位置が脅かされてしまうのではないですか(笑)。
織田氏:
マジックナイトは近接職,マジシャンは遠距離職ですので住み分けはできるかと思います。
4Gamer:
マジックナイトの導入時期はいつ頃になりそうですか。
正式サービス開始から間を置かずに導入したいですね。新職業については,ペット関連と並ぶ“アップデートの核”と捉えていますので,今後も継続的に追加していく予定ですが……PvPにも力を入れているタイトルですので,バランスを調整した上での導入をしてまいります。
4Gamer:
プレイヤーからも好評だったというペットコンテンツ。こちらの拡張は何か考えていますか。
織田氏:
現状のペットシステムは,モンスターを捕まえてペット化したものを,騎乗ペットにするか,戦争などでプレイヤーと合体するかしかできません。普通のMMORPGなら,それだけでも十分なのかもしれませんが,碧空のグレイスのペットシステムはまだまだ進化していきます。ペットを使ってできる遊びも,今後は数多く提案していきたいと思っています。
4Gamer:
例えば,どんな遊び方ができるようになりますか。
織田氏:
プレイヤーの皆様から,ペット同士の対戦,闘技場のようなものを実装してほしいという意見をいただきまして,こちらは前向きに検討しています。ペットに指示だけ出して対戦させるようなコンテンツで,トーナメント形式にして戦うのも面白いかと。
4Gamer:
指示だけなら,非同期で対戦することもできそうですし,時間の拘束なしで遊べるようになるといいですね。
織田氏:
4Gamer:
運営を行ううえでのポリシーを教えていただけますか。
織田氏:
碧空のグレイスは長期的に運営を続けることを想定して,開発も運営サービスも行っていきます。そうした長期的な観点から,目先の利益にとらわれないよう,課金による強さのインフレは行わないつもりです。ガチャで入手できるアバターに能力を付与するとか,能力値をアップさせる「種」を課金でしか入手できないとか,強力なペットを販売するとか,プレイヤーの立場で考えて嫌だなと感じることは極力行いません。お金を使わなければ楽しめない,というタイトルにはしたくないのです。
4Gamer:
実際,USERJOY JAPANさんの別タイトルを見てみると,課金アイテムの値段がかなり安く設定されていたりしますよね。会社的には大丈夫なんですか。
織田氏:
当社のデータでいうと,価格を低目に設定すると定着率が高くなる傾向にあります。我々としてはプレイヤー1人辺りの単価を高くするのではなく,多くのプレイヤーから少しずつ納得してもらって課金していただけるのが理想だと思っています。
USERJOY JAPAN代表の劉 信氏に聞く日本運営の必要性と碧空のグレイスの見どころ
4Gamer:
今回は,碧空のグレイスの開発にも携わっているUSERJOY JAPAN代表に話をお聞きしていきたいと思います。
USERJOY JAPAN代表取締役 劉 信氏(以下,劉氏):
4Gamer:
その効果はあったのでしょうか。
劉氏:
日本のプレイヤーの皆様から貴重な意見をいただけることは,会社の財産となっています。台湾,中国,日本それぞれでプレイヤーが求める趣向は異なりますが,日本向けのチューニングで得られた知見を活用することが,各国でタイトルの寿命を延ばすことにつながっています。
4Gamer:
そうした背景の中で生まれた碧空のグレイスは,どういったコンセプトで制作されたのですか。
劉氏:
碧空のグレイスは,弊社の「三国群英伝ONLINE」の開発チームが手掛けたタイトルです。三国志系のタイトルを数多く制作してきましたが,ファンタジーな世界観を持ったカワイイキャラクターのMMORPGにもチャレンジしたいと思い,日本プレイヤーのニーズを意識した碧空のグレイスを制作しました。対立している二つの勢力が,強大な敵を倒すためにいつしか手を取り合う──。そうした壮大なドラマを楽しんでいただければ幸いです。
4Gamer:
先日行われたクローズドβテストでは,多くのプレイヤーが碧空のグレイスのゲームシステムと世界観を高く評価していました。
劉氏:
ありがとうございます。物語はモバイルタイトルとしてリリースする「碧空英雄伝」ともリンクしていますので,そちらをプレイしていただければ,より深い部分まで理解し楽しむことができると思います。
4Gamer:
碧空ブランドとして,二つのタイトルをリリースし,これから大事に育てていくわけですね。
劉氏:
はい。台湾の開発陣,そして日本の運営チームが協力して碧空のグレイスを育ててまいります。また,碧空のグレイスに続くMMORPGのタイトルも開発していますので,こちらもご期待いただければと思います。
4Gamer:
碧空のグレイスの成長と,新規タイトルを含めたUSERJOYの今後に期待しています。本日はありがとうございました。
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