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[E3 2018]「ファイナルファンタジーXIV」,吉田直樹プロデューサー兼ディレクターへの合同インタビュー。「MONSTER HUNTER: WORLD」コラボや今後の取り組みについて聞いた
E3会期中に発表された「MONSTER HUNTER: WORLD」(以下,MHW)とのコラボや,FFXIVの今後の取り組みが聞けたので,その内容をお届けしたい。
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」公式サイト
――レイドレースが開催されましたが,プレイヤーの反応はいかがでしょうか。
吉田直樹氏(以下,吉田氏):
今回のコンセプトとして,全体を通じた謎解きというのがありました。覚醒させて倒して,限界突破のバフを付けていくという設計にしていますが,その部分がストレスに思われるかどうかは半信半疑でしたね。レイドにチャレンジするようなプレイヤーなら,やられた,って感じてくれるんじゃないかと思っていたのですが。
見ている人は楽しめたはずです。その一方,やっていた人はどうだったのか,というのは結構心配だったのですが,ワールドファーストのチームが,「このバトルをデザインしたデザイナーは,IQ200だ」って言ってくれたのでほっとしました。
――アタック時間のトータルは想定していましたか。
吉田氏:
モチベーションの維持という部分を考えると,2週間以内にはクリアしてほしいと考えていましたが,あのレベルになると,そもそも想定できないんです。1日のうちの何時間をプレイに費やせるのか? 8人のモチベーションがきちんとかみ合うのか? とくに今回は,流れが相当速いので,誰か1人が対処に手間取ると進めなくなってしまいます。そんな中で,面白かったといってもらえたのは良かったです。
――今回のアルテマは,絶バハムートにも増して最終フェーズがきつい印象があります。
吉田氏:
そこは,挑戦を重ねていけば大丈夫なはずです。作っている担当者が,そもそもFFXIVのバトルシステムの根幹を設計しているので。彼は今でも,アイテムレベルとサブパラメータの全設計をしていますし,経験値排出の責任者です。それ以外にも,ディープダンジョンのレースシステム設計を1人でやっています。ですから,今回のアルテマも彼らしい,完全に計算されたものになっていると思います。それだけに,プラグインによってジェイルが判定されてしまったことについては,すごく悔しがっていました。
――絶のコンテンツについては,そうしたコメントをしっかりと出していますが,それはチーム内の共通認識として,きちんと発表をしていこうという形になったのでしょうか。
吉田氏:
日本には,PCで遊ぶ文化がないと言われてますが,今の若い人達はガンガンPCで遊んでいるんです。それこそPCゲームのMOD文化にも若い人達は全然抵抗がなく,当たり前のようになじんでいます。それを認めてあげないと,日本のゲーマーの成長はないですし,だからこそ,何が良くないことなのかは逃げずにきちんと伝えていかなくてはと思っています。
そもそも,ダメなものは僕らがちゃんとできないようにするべきで,プラグインやMODの是非はそのあとの話です。僕自身は,こうしたMOD文化はいいことだと思っていますし,そうじゃないと,ユーザークリエイトコンテンツなんて出てこないでしょう。
――4.xシリーズはこれで打ち止めという話がありましたが,その意向は変わっていませんか。
吉田氏:
変わっていないですね。そのため,次の計画はいったん白紙にしてあります。そのときの絶の担当者が,やりたいコンテンツや構想を選んでくるところから始まるでしょう。でも今回で,また高い壁を作ってしまったかなとは感じています(笑)。
――アライアンスレイドは,試験的にロットルールをグリード限定にしていましたが,先日の更新で元に戻されました。あの試みは失敗でしたか。
吉田氏:
両方をやったことで,グリードの良さとニードの良さというのが,どちらも感じられたかと思います。そのことが,この先やっていくうえでの議論になってくれれば,それでよしですし,僕の答えを押し付けた形でプレイする必要もありません。コミュニティの総意が戻したほうがいいというのであれば,戻したほうが楽しんでもらえるでしょう。ただ,ロットに勝てない人は,どちらでも勝てないと思いますが(笑)。それもMMOの面白さかなと。皆が皆,確率や試行回数をメモしてやっているわけではないので,感覚の問題でしょう。
――今までの流れを考えると,あと2回のメジャーアップデートのあと,次期拡張になるかと思いますが,実際のところはどうでしょうか。
吉田氏:
まず4.4のオメガの最終章で,びっくりしてもらいたいというのもあるので,その先がどうというよりは,オメガとリターン トゥ イヴァリースという2つのレイドが完結するまで全力で楽しんでもらいたいです。あと,夏はモンハンで盛り上がっていただきたいですね。
――「SDSフェンリル」の仕様について,もう少し詳しく教えてください。
吉田氏:
実は,どんな状態で乗ってもスピードが一段階開放されます。通常は,シナリオが開放されると一段階スピードが上がるようになっていますが,SDSフェンリルの場合,開放されていないエリアでもあの状態になります。一番遅い速度には,絶対にならないようになっているので。
ただ,さらにスピードを上げるというところはちゃんとやってもらう必要があります。
――水中に潜ったり,空を飛んだりするときに変形したりするのでしょうか。
吉田氏:
あのバイクは竹谷孝之さんにデザインしてもらっているもので,アドベントチルドレンにない動きをさせるのは,僕らとしてもためらうところがあります。ですので,そうしたところは手を加えていません。大剣を背負って乗るとクラウドっぽいなと思ってもらえるのが,一番良いところですので。ちょうど,衣装もありますから。
[E3 2018]今夏,「FFXIV」でひと狩りいこうぜ!「MHW」とのコラボが決定
――MHWとのコラボでリオレウスが登場しますが,データは一から制作したのでしょうか。
吉田氏:
モデルデータ,アニメーションデータ,サウンドエフェクトをもらい,実際にMHWもプレイしてリオレウスと比較しながら作っていきました。ただ,今回のリオレウスって色が浅いんですよね。もらったテクスチャを見てもそう思いましたし,FFXIV内で見てもやっぱり浅く感じました。
やはりシェーダーの違いだったり環境光の違いというのもあるようですが,僕の中ではリオレウスってもっと赤いんです。そこで,もっと赤みのあるテクスチャにしてチェックに送ったら,これで大丈夫ですと言われたので,僕の持っていたリオレウスのイメージで良かったのかと思いました(笑)。でも,それくらいこだわってお互いリスペクトして作っているので,良いものに仕上がってますし,楽しんでもらえると嬉しいです。
――コラボで登場するのは「アイルー」と「リオレウス」だけなのでしょうか。
吉田氏:
それ以上は,詳細をお待ちください。あまりお話しすると良三さん(カプコンの辻本良三氏)に「吉田さん,しゃべりすぎなんだよ」って言われるので(笑)。
――MHWには「ベヒーモス」と「サボテンダー」が登場しますが,なぜこの2体なのでしょうか。
吉田氏:
リクエストがあったからです。これが欲しいというのはあっても,これを登場させてくれというのはありませんでした。お互い,腹の探り合いはなしでやっているので。求められたものは全部渡すくらいの心構えでしたし,僕たちも,欲しいものは全部いただきましたから。
――吉田さん自身はMHWをプレイされましたか。
吉田氏:
パッチ4.31が無事にリリースされたので,やっとプレイできる状況になりました。E3の空いている時間は,ずっとホテルでプレイしてます。今は7割くらい終わったところですね。ただ,自分のプレイに納得がいっていません。今回の飛竜は,動き的なトラップを置いてくるので,あれを把握したうえで効率よくひるみを入れてダウンを取って完封してやろうとすると,まだまだだなって自分で思います。
とりあえず,帰国するまでにクリアしたうえで,日本に戻ったらもっと詰めなきゃダメだなと。
――使用している武器種はなんですか。
吉田氏:
基本は大剣ですね。どうしても部位破壊が難しいときは,太刀を使うこともありますし,マルチではハンマーを使ったりすることもあります。
大剣に関しては,真・溜め斬りを使わないほうが強いんじゃないかと思っていて,徳田さん(カプコンの徳田優也氏)に会ったら聞いてみようと。モンスター動きが細やかなので,あそこまでのロスをしてしまうと,納刀して溜め直したほうがいいのかなと。ネットを見ないでやっているので,本当はそうではないのかもしれませんが。やっぱり派生が多くていいですね。立ち回りもしやすいですし。
ただ,昨日も良三さんと藤岡さん(カプコンの藤岡 要氏)と話をしていたんですが,ディアブロスのケツのコリジョンの当たり判定が,すばらしく良くできているんです。「そんなとこ褒めるの,吉田さんだけですよ」って言われましたけど,あれはすばらしいですよ。
――今年のE3の印象はどうですか。
吉田氏:
今年は発表が少ないな,という印象はあります。たぶん,みなさんもそう思っているでしょう。ただ,もしかするとファーストパーティは次の世代の準備に入っているかもしれないので,そう考えると,今年は次のジャンプに備えて足に力を溜めている段階,という雰囲気もあります。
また,コミュニティが強くなっているというのも強く感じました。FFXIVもそうですが,「フォートナイト」やブラックオプス(「Call of Duty: Black Ops 4」)が好きな人達は,ずっと試遊台に張り付いています。そういえば,祖堅(スクウェア・エニックスの祖堅正慶氏)がブラックオプスに行けなくですごく悔しがってました。僕もやりたかったんですけど(笑)。
もともとE3はビジネスベースのイベントですが,やはりコミュニティにシフトしていかないと,終わってしまう気がします。昨年からは一般の人も参加できるようになったので,いい傾向かなと思いますね。
――気になるタイトルなどはありましたか。
吉田氏:
「サイバーパンク2077」を,メディアしか入れない部屋に招待されて見せてもらいましたが,チャレンジがすごいなと思いましたね。あれだけのヒットタイトル(「ウィッチャー3 ワイルドハント」)を作ったのに,また新規でこれだけのものを出してこれるんだっていうのは,いい意味でプレッシャーもかかったし,刺激も受けました。
世界観も独自ですし,それを遊びにつなげています。作りのレベルの平均点が高いんですよね。やっぱりここと,ちゃんと戦っていかなければ,というのは改めて感じさせてもらいました。
――本日は,どうもありがとうございました。
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