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[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた
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印刷2014/08/19 13:49

インタビュー

[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた

 現地時間の2014年8月14日,ドイツ西部の都市ケルンで開催されているゲームショウ「gamescom 2014」の会場で,「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」PC / PS4 / PS3。以下,新生FFXIV)のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏へのメディア合同インタビューが行われた。本日(8月19日)に実装されるパッチ2.35での調整内容や,ドイツでのサービス状況,プロデューサーレターLIVEを行う意義など,多種多彩な話を聞けたインタビューの内容をお伝えしよう。

画像集#002のサムネイル/[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた


――新生FFXIVとしてサービスが始まって1年を迎えるにあたり,現在の心境をお聞かせください。

画像集#008のサムネイル/[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた
吉田直樹氏(以下,吉田氏):
 MMORPGの1年めというのは本当にスタートラインであり,「1年め,2年めの勢いがその先のイメージを決定づける」と開発チームに向かって言っていたので,まだ通過点であり,最初の一歩を踏み出したというだけだと思っています。ですので,「実感がない」というのが正直な感想なんです(苦笑)。
 ただ,旧FFXIVから数えると4年になりますので,開発,運営の両チームには,「よくここまでついてきてくれた」とお礼を言いたい面はあります。
 海外メディアの方にも,目標をよく聞かれるのですが,数字の目標は作りませんと答えています。ビジネスを抜きに,プレイヤーのみなさんの信頼を取り戻すという目標をかかげてここまでやってきましたので,行けるところまでチャレンジし続けようと思っています。数字で目標を立てると,達成した瞬間に安心してしまうことになりますからね。

――新生FFXIVのドイツにおけるサービス状況はどのように感じていますか。

吉田氏:
 すでにたくさんのドイツプレイヤーに遊んでもらっていますが,ドイツのPCゲーム市場はヨーロッパで最大ということを考えると,まだ物足りないと思っています。ただ,ファイナルファンタジーというIP自体がドイツで弱くなっているというのは感じていますので,ドイツ市場では,ファイナルファンタジーという面ではなく,コンテンツの揃っているMMORPGであるというPR戦略に切り替えようという話をするぐらい,今の数字には満足していません。コミュニティ同士が知り合うためのイベントをサポートしたり,我々もきちんと費用をかけつつ,今度もさらに力を入れようと思っています。

画像集#003のサムネイル/[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた

――新生FFXIVはドイツ語やフランス語でも遊べるようになっているわけですが,地域によってプレイ傾向が異なるというようなことはありますか。

吉田氏:
 その質問をされた方は,gamescomのインタビュー中で9人めになります(笑)。海外メディアの方からもよく聞かれるのですが,じつは地域によるフィードバックには差はまったくと言っていいほどないのです。

――それはちょっと意外でした。

吉田氏:
 ただ,それはゲームをプレイした人の反応であり,ゲームに触れる前の人達には地域にあわせたアプローチが必用だと考えています。例えばフランスでファイナルファンタジーといえば,キャラクターが立っていて,ボイスオーバーがあるカットシーンなどのイメージが強いので,そういった面をアピールしないと,そもそもゲームを手にとってもらえません。
 一方ドイツの場合は,ハードコアゲーマーからしてみると,いまのファイナルファンタジーのイメージが子供向けのように見えてしまっているのが現実なので,ハードコアなコンテンツ攻略シーンやPvPを前面に押し出すような売り方をしています。

――今後,新生FFXIVで力を入れていきたい部分はどこでしょうか。

吉田氏:
 MMORPGである以上,最も重要なのはコンテンツの質とボリュームだと思っています。MMORPGは世界的に見ると一般的なゲームジャンルで,競合も多いです。どのタイトルもコンテンツのアップデートで苦戦しているなか,新生FFXIVのコンテンツのアップデートスピードやその質とボリュームは,他社から見てかなり驚異的だと感じられているようです。ですからこれを続けていくのがすべてだと思っています。
 ただ,「相変わらずクレイジーなことをするな」と思われるように,FFとしての驚きやゲーム体験,サプライズは常に提供できるようにしていきたいです。ニュースには事欠かないタイトルでありたいので,チャレンジャーのつもりでがんばっていきます。

画像集#005のサムネイル/[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた

――新生FFXIVの新コンテンツのルールや仕様を決めるときに重要視していることはなんでしょうか。

吉田氏:
 まず言えるのは,いわゆる声の大きさや,フォーラムでの「いいね」の数だけでは選んでいないことです。当然ものすごく大きな比重で参考にはさせていただきますが,一番重要なのは,長期計画と今この瞬間にやらなければいけないことの,どちらに力を入れるのかというバランス感覚だと思います。その両方を比重よく,というのが重要視していることのひとつです。
 新生FFXIVは,だいたい1年半くらいのコンテンツスケジュールが決まっていて,2パッチ先ぐらいの作業を進めるというサイクルになっています。そして,それらの仕様確認をするときは,そのコンテンツが面白いかどうかで実装するか否かを判断します。また,その直前にリリースしたコンテンツとは違った質の面白さを提供できているかどうかもチェックします。こちらも重要な点だと考えています。

――パッチ2.35の見どころ,特徴的な部分などを説明してください。

吉田氏:
 パッチ2.35は大きく分けると4つの項目で構成されています。1つはイクサル族の蛮族クエストです。これはイクサル族と一緒になにかを作りあげていくという,製作主体のクエストになっています。ですから,いままで製作をやったことがない方が,製作を始めるきっかけになってくれたらいいなと思って作っています。
 そして2項目めとして,イクサル族を含むすべての蛮族ストーリークエストをコンプリートしたのちにエクストラストーリーという,連続性のあるクエストを用意しています。

――PVにもその片鱗が出ていましたが,総決算的な感じがして楽しそうでしたよね。

吉田氏:
 ええ,まさに“東映まんがまつり”的な感じです(笑)。蛮族のストーリークエストに関わったNPCが総登場する,面白いストーリーになっていますので,期待していてください。
 そしてあとの2つがコンテンツではなく大きなアップデートになります。1つはモブハントの調整なんですが,いま話してしまうと,先にこれをやっておいたほうが得だとかいうことになってしまうので,詳しくは割愛させていただきます。

――では,調整の方向性を教えてください。

吉田氏:
 モブハントには,Sランク,Aランク,Bランクという3ランクのリスキーモブを用意していました。
 Sランクは発見したらその場でシャウトして人を集めてとにかく倒してくださいという位置づけのものです。それに対してBランクは,フィールドに張りつくようなことはできないし,誰かと一緒にというのも難しい,一人で毎日コツコツと同盟記章を集めていこうという人を対象にしたものです。そしてAランクはその中間という想定で用意していたのですが,どのランクもリワードがおいしくなってしまっているため,全員でとにかくフィールドに張りついて,3ランクすべてのリスキーモブを狩ってしまえ,となっているのが一番の問題だと考えています。ほかのコンテンツよりも報償を得るのが楽になっているので,元々想定していたランクの役割になるような調整をかけようと思っています。

画像集#009のサムネイル/[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた

――SランクのリスキーモブのHPを増やすといった調整ではないわけですね。

吉田氏:
 はい,HPをあれ以上増やしたところで,単に戦う時間が長くなるだけで,つまらないものになってしまいます。発見した人達が集まって一気に倒す。それはそれでいいのかなと。
 ただ,アラガントームストーンを集めるというモチベーションと,同盟記章を集めるというモチベーションを1つにすべきではなかったと思っているので,それを解消するような調整をしますが,Sランクは基本的にほぼ変わらないと思っていてください。最も変わるのはBランクですね。リリースされたら「なるほど」と思っていただけるのではないかと思います。それでもSとAを求めて,皆さんが張りつくのであれば,フィードバックをまた拝見したうえで,さらなる調整を入れていこうと考えています。

――では,パッチ2.35の4つめの特徴はなんでしょうか。

吉田氏:
 はい。4つめはフロントラインとウルヴズジェイルでの各PvPアクション,特定ジョブアクションのPvPにおけるバランスの調整を,かなり細かく実施する予定です。当然もっと細かい項目はいくつもありますが,パッチ2.35の柱はこの4つですね。

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――フロントラインでは,学者の強さが際立っているように思うのですが,いかがでしょうか。

吉田氏:
 学者はエーテルフロー(を消費するアクション)が強烈です。ただ,学者自体を調整するのではなく,カウンターになるようなジョブを作ることでバランスを取るといったことを考えています。ただし,ヒーラーはある程度強くないと,真っ先に狙われる以上,やってられん! ということもありますし……。

――以前,白魔道士8人で組んだら面白いのではないかと吉田さんがおっしゃっていたので,実際に試してみたらかなり強かったです(笑)。

吉田氏:
 メディカラのリジェネが重複しすぎるのは,ちょっと問題かとは思っています。ですので,スタック数に関しては今後調整する可能性があります。あと,白魔道士パーティですとホーリーもありますからね。もっとも,あれにひたすら飛び込み続けるのもどうかなとは思います。外側から範囲攻撃しまくれば意外と……なのですが(笑)。

――PvPでのモンクは扱いづらいという声もありますね。

吉田氏:
 確かにちょっとテクニカル過ぎる側面はあるので,モンク自体ではなく,モンクが使えるPvPアクションの効果を調整することは考えています。そうすることでモンクのPvPでの役割が見えてくるでしょうし。パッチ2.35ではそういった方向性で調整をかけようと思います。

――各グランドカンパニーの開始地点の広さが異なるので有利不利が出ているのではないかという声がありますが,マップの調整は入るのでしょうか。

吉田氏:
 フィードバックいただいているのは認識しています。慎重に調整していくつもりです。

――戦記の取得量の緩和というのは考えていますか。

吉田氏:
 いまのところ,パッチ2.4まではないです。

――吉田さんは,プロデューサーレターLIVEをやったり,メディアの取材回数も多いので,かなり顔を表に出している印象があります。実名で顔を出すとなるとそれなりにリスクもあるわけですが,それでもあえてやる狙いがあれば教えてください。

画像集#004のサムネイル/[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた
吉田氏:
 僕は海外のMMORPGを昔からよく遊んでいたのですが,開発や運営チームとプレイヤーの距離が近いと感じていました。日本のMMORPGは思想の違いや,お互いの意識のズレから,開発/運営チーム対プレイヤーのような図式になりがちで……。それを変えたかったということも大きいですし,僕が入社したころの「高飛車」な印象のスクエニのイメージを,旧FFXIVのローンチの出来事によって,逆に一新してしまいたいとも思いました。
 僕も入社までスクウェアの,そしてスクエニのファンでしたが,ガッカリさせられ続けることで,愛情が怒りに変わってしまった面もあり,まずFFXIVというプロジェクトを引き継いだ時点で,謝罪することから始めたのがきっかけです。
 ただ,プロデューサーレターLIVEは1つの転機だったのかなとは思っていて,最近はほかのゲームでも生放送が増えていて,流れとしてはいいことだと思います。僕自身プレイヤーの皆さんと直接ゲームのお話で盛り上がれるのは,とてつもなく楽しいですし,もしかするとそれが1番の理由かもしれません(笑)。

――確かに昔とくらべると開発者とプレイヤーの距離は縮まりましたね。

吉田氏:
 本来作り手は,作ったもので語れるのが1番いいとは思いますが,MMORPGの場合はなぜそういう仕様にしたのかといった説明が必要です。今,この瞬間だけを見るとBという選択肢の方がプレイヤーにとってはいいのかもしれない……,しかし,あえてAを選ばないと3か月後にコンテンツバランスが崩れて,みんな同じ装備になってしまう……そういう事象もあります。そうなるとゲームをやめる人が続出してしまい,結果的にゲームそのものが終わってしまう。そうなることが一番の問題だと認識しています。ですから,なぜAを選んだのか,といったことをちゃんとプレイヤーの皆さんに説明すること,説明できることが大切だと思っています。

――今後のハイエンドコンテンツはどんなものを考えていますか。

吉田氏:
 基本的には,8人で挑むハイエンド,24人で挑むアライアンスレイドという考え方を変えるつもりはありません。立ち向かうべきストーリーと内容が新しいシリーズになると思っていただければと。一方で,フリーカンパニーというコミュニティで立ち向かうものという軸を増やしていこうかなと思っています。
 大迷宮バハムートというエンドコンテンツの1つの流れは,次で完結しますが,当然また次の新しい脅威が待っています。次は大迷宮バハムート真成編(仮)という名前なんですが,まずはそれをクリアすることを目標にしてもらえればと。MMORPGでここまで金をかけるのかという,かなりでかい仕掛けを準備しているので期待してください。FFXIVの金庫番からは,相当怒られましたが……これまで指揮してきたので,今回はワガママを言わせてくれ! と押し切りました(笑)。

画像集#006のサムネイル/[gamescom]「新生FFXIV」プロデューサー兼ディレクター 吉田直樹氏合同インタビュー。8月19日実装のパッチ2.35での調整内容などを聞いてみた

――それは,バトルの規模が大きくなると考えていいのでしょうか。現状だと,入ってバトルして,ちょっと進んで終わりといった流れですが。

吉田氏:
 そのカジュアルさを変えるつもりはないので,同じです。手前の道中を長くすることは可能ですが,何度もやっていられないと思うんです。そうした部分以外に大きな仕掛けを用意していますので,楽しみにしていてください。また,クリスタルタワーの次というか,新シリーズもあります。

――8月23日に14時間の生番組の配信が予定されていますが,その見どころを教えてください。

吉田氏:
 お酒を片手にダラッととか,適当につけたテレビを観ながらゲームをやっている,そんなイメージの14時間になってくれたらいいなと思っています。プロデューサーレターLIVEだと新情報が出るということで,真剣に観ていらっしゃる方も多いと思いますが,この14時間生放送番組は,もっとゆるく見てもらえればいいかなと。FFXIVのつまみのような番組になるよう,気楽に楽しく放送したいと思います。

――最後にプレイヤーに向けてのメッセージをお願いします。

吉田氏:
 開発チームは1周年を忘れるぐらいアップデートに追われていますが,プレイヤーの皆さんが遊んでくださっているからこそ,迎えられる記念日ですので,本当に感謝しています。これからもっと喜んでもらえる仕掛けを用意していきますので,引き続き叱咤激励をお願いします。これからもよろしくお願いします!

――ありがとうございました。

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