プレイレポート
オープンβテスト開始直前の「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」。さまざまな要素が追加されたβテストフェーズ3の内容をレポートしよう
βテストフェーズ3(以下,フェーズ3)の公開エリアは,フェーズ2までのグリダニアと黒衣森に加えて,残りの2都市であるリムサ・ロミンサとウルダハ,その周辺ゾーンにあたるラノシア地方とザナラーン地方だ。
これに合わせて,「旧ファイナルファンタジーXIV」(以下,旧FFXIV)でプレイ可能だったクラスも漁師以外がすべて解放されていた。さらに各都市からの導線クエストを始め,F.A.T.E.の大幅追加,レベリング用インスタンスダンジョンの追加,テストの途中からはパーティ編成のわずらわしさを解消してくれる「コンテンツファインダー」が実装されている。
こうした要素のほかにも,フェーズ2で寄せられた多岐にわたるフィードバックへの対応や,旧FFXIVのキャラクター引き継ぎテストなども行われており,かなり製品版に近い状態のエオルゼアを見ることができた。
とはいえ,やはりβテストに不具合は付きもの。インスタンスエリアに突入できなかったり,PS3版でフリーズする現象が起こったりと,幕開けはかなりの波乱含みだった。もっともその後,テスターの報告と開発チームの尽力によって,これらの事象はほぼ解消されているようだ。フェーズ4からの参加を検討している人は,その点は安心してほしい。
では,フェーズ3からの追加要素を中心に据えながら,新生エオルゼアの世界をレポートしていこう。
リムサ・ロミンサとウルダハが華麗に新生!
周辺エリアも隅々まで歩き回りたくなってしまう美しさ
これまでのテストでは,エオルゼア3大都市の一つであるグリダニアと,その周辺エリアにあたる黒衣森のみの公開にとどまっていたが,ついにフェーズ3から残りの2都市もベールを脱いだ。海洋都市リムサ・ロミンサとその周辺エリアにあたるラノシア地方,交易都市ウルダハとその周辺エリアにあたるザナラーン地方が公開され,開放感に溢れる大地を駆け巡ることが可能となったのである。
各都市は旧FFXIV時代の面影をしっかりと残しつつ,施設の配置などに若干の変更が加えられ,見た目の美しさだけではなく利便性もしっかりと向上していた。初めて新生FFXIVのグリダニアに降り立ったときにも思ったが,主要な都市のデザインを崩さず,よくここまで違和感なくリファインできたものだと感心させられる。
ラノシア地方とザナラーン地方においては,すべてが一新されたといっても過言ではないほどの変貌ぶりだ。新規プレイヤーも旧FFXIV経験者も,未知の世界の冒険に胸ときめいたのではないだろうか。遠くに見える建物はなんだろう,あの丘には登れるのだろうか,この洞窟はどこかに続いているのだろうか……などなど,景観の美しさも相まって,目に見えるものすべてが気になるほどフィールドの作りは新鮮で,都市とは別の意味で驚かされた。
かと思えば,巨大なダラガブの破片が大地に突き刺さっていたり,帝国の兵器の残骸が散らばっていたり,かつて大地だった場所が水没していたりと,第七霊災の傷跡もあちこちに見られる。浮かれ気分に釘を刺すかのように,冒険者としての使命もしっかりと思い出させてくれる。このあたりの演出にも抜かりはないようだ。
またフィールドが拡大したことに合わせて,F.A.T.E.も大幅に追加されていた。その数はフェーズ3の段階で200種以上にも及ぶ。
3都市の開放に伴って各クラスのギルドが利用できるようになり,漁師を除くすべてのクラスが実装されたこともフェーズ3の特徴だ。
フェーズ2までは使用可能クラスが限定されていたが,今回はやりたいクラスを思う存分に動かすことができた。その中でもプレイヤー側が,とくにロール(役割)を認識し直さなければならないと感じたのは,斧術士である。大きな斧を担いでいるため,DPS(ダメージを与える役割)のように思えるが,ロールはタンクであり,剣術士と同様に敵の攻撃を集めることが役目だ。
剣術士はフラッシュを使いながら周囲の魔物の敵視を高めて,1体ずつ仕留めていくスタイル。対して斧術士は,範囲攻撃のオーバーパワーを中心に力技で敵視を高めていくスタイルとなる。タンク以外のロールの人もこれをきちんと認識して,剣術士がタンクなら周囲の魔物を寝かして安全を確保しつつ1体ずつ集中攻撃,斧術士がタンクなら殲滅速度優先で範囲攻撃を撃ち込んでみたりと,戦い方を変えていく必要があるように感じた。
敵の特性などによって使い分けも必要になってきそうなので,新生FFXIVでタンクをやろうと考えている人は,剣術士と斧術士の両方を育ててみるといいかもしれない。
またキャラクターのレベル上限は35に設定されていたのだが,旧FFXIVからの引き継ぎであれば,レベル50のキャラクターはそのままの状態で使用できた。しかしながらエンドコンテンツはまだ未実装であり,すべてのアクションを駆使して戦わなければならない状況も魔物も存在しない。各アクションの性能は確認できたものの,レベル50でのジョブバランスを体感するところまではいかなかった。装備性能や所有アイテムのチェックを行ったあとは,結局新規キャラクターでプレイしていたという人も少なくなかっただろう。
4つのダンジョンが追加され,ギルドオーダーも実装
いずれも製品版への期待が高まる完成度だ
フェーズ2までに実装されていたダンジョンは,グリダニア方面に位置する「地下霊殿タムタラの墓所(以下,タムタラ)」「監獄廃墟トトラクの千獄」「名門屋敷ハウケタ御用邸」の三つのみ。
フェーズ3では,ほかの2都市の実装に伴って,「天然要害サスタシャ浸食洞(以下,サスタシャ)」「封鎖坑道カッパーベル銅山(以下,カッパーベル)」「魔獣領域ハラタリ修練所(以下,ハラタリ)」「奪還支援ブレイフロクスの野営地(以下,ブレイフロクス)」といった四つのダンジョンが追加された。このうちサスタシャ,タムタラ,カッパーベルは,メインクエストで必ず踏破しなければならないため,多くのテスターが足を踏み入れたことだろう。
いずれのダンジョンも,道中のギミックやボス戦にひと工夫してあり,パーティプレイの醍醐味が味わえるよう丁寧にデザインされていたのが印象的だ。
最初のうちは苦戦したとしても,敵の動きの把握や,用意されている仕掛けの意味が分かれば,次からはしっかり対応できるようになっていたし,ボス戦で全滅して入り口に戻されてしまっても,ボスの直前までワープできるゲートが用意されているため再挑戦も簡単。初心者同士のパーティでも,自身のロールを理解して挑めば,踏破までにそれほど苦戦することはなさそうだ。作り込みも細かく,可能であれば足を止めてダンジョン内をいろいろと見て回りたかったが,攻略中はなかなかそういうわけにもいかないのがもどかしい。
4人以上のパーティバトルにおいては,「リミットブレイク」というシステムも追加された。
戦闘を行っているとパーティ共通のリミットブレイクゲージが溜まっていき,満タンになると大技が発動できるというものだ。技の効果はロールごとに異なり,剣術士(またはナイト),斧術士(または戦士)では被ダメージ軽減,格闘士(またはモンク),槍術士(または竜騎士)では単体物理攻撃,呪術師(または黒魔導士)では範囲魔法攻撃,弓術士(または吟遊詩人),幻術士(または白魔導士)ではHP回復となっていた。
それぞれの威力はリミットブレイクゲージの溜まり具合によって,レベル1〜レベル3まで変動。ただしシチュエーションに応じてゲージの長さは固定されており,ダンジョンの道中はレベル1まで,ボス戦はレベル2まで(レベル3のリミットブレイクは未公開)。そしてリミットブレイクの発動権は個々に与えられるわけではなく,パーティ内の誰か1人が発動するとゲージが消費される仕様だ。したがって,エンドコンテンツなどでは誰がどの場面でリミットブレイクを発動するか,あらかじめ決めておくことが重要になりそうだ。
ただしフェーズ3の公開範囲では,発動すべき場面は極めて少なかったように思う。そのため,ダンジョンの中でリミットブレイクについて会話することもほとんどなく,仲間内でもない限り,使ってみたくても勝手に使えない空気が生まれてしまい,少々もったいない気がした。そもそも誰が発動したのかが分かりにくく,効果があったのか判然としないことも多かったので,もう少し発動時の演出に凝ってもらえるとFFらしさが際立ちそうである。
ナイトでリミットブレイクを発動してみたところ。パーティ全体の被ダメージが軽減されるので,敵の大技に合わせて使えば生存率が大幅にアップし,そのあとの立て直しも迅速に行えそうだ |
槍術士と格闘士のリミットブレイクでは,なぜか大きな剣を振り回す。派手ではあるのだが,ちょっと違和感が……。効果は現状のままでも構わないので,それぞれのクラスの特徴を前面に押し出すようなモーションにはならないものだろうか |
ダンジョン以外のパーティ用コンテンツとしては,「ギルドオーダー」がプレイ可能となった。こちらはダンジョンよりも手軽に挑める内容となっていて,パーティでのバトルを練習するためのコンテンツだと思ってもらえればいいだろう。
任務はいずれもシンプルで,基本的には出現する複数の敵を倒す(または捕獲する)ことが目的になる。だがその過程において各種ギミックを体験できる点が,ギルドオーダー最大の特徴だ。例えば毒への対応であったり,範囲攻撃の回避であったり,敵を倒す順番であったりと,パーティバトルにおける立ち回りをいろいろと学べるため,ダンジョンへ挑む前にプレイしておくと気持ちに余裕が生まれるだろう。
ただ,フェーズ3では,ギルドオーダーへの導線が用意されていないに等しく,レベル10に到達してギルドリーヴが受けられるようになったときに,「ギルドオーダーもありますよ」という簡単なメッセージが表示されるのみ。せっかく有意義かつ良質なコンテンツなのだから,これではもったいないと感じた。なおフェーズ4からは,初回クリア時の経験値やギル(新生FFXIVでの貨幣単位)が多めにもらえることなどが,強調されるようだ。
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