インタビュー
3DS版の発売から2週間というスピード展開のブラウザRPG「ブレイブリーデフォルト」。その開発経緯や見どころを開発スタッフに聞いてみた
クエスト/育成/戦場の3本柱で進行するゲーム展開。領土拡大を目指す戦場では協力/対戦要素もあり
4Gamer:
クエストを通じてストーリーが語られていくとのことでしたが,ゲームのシステムとしては,クエストを中心に進んでいくのでしょうか?
「クエスト」と,クエストによってレベルを上げたキャラクターをさらに強くしていくために,装備やアスタリスク(※)を揃えていく「育成」のパートがあります。そして,育てたキャラクターを使って対戦を行う「戦場」の3つのパートで遊んでいくことになります。
(※3DS版「BRAVELY DEFAULT」にも登場した,転職に必要なアイテム)
4Gamer:
なんとなく,できるだけキャラクターを強くしてから,戦場に向かうのかなというものをイメージしますが。
山中氏:
そういうわけでもなく,プレイヤーさんによっては,ひたすらクエストを進めていくという人もいるかもしれませんし,そこそこクエストでレベルが上がったら,あとはひたすら戦場に行くという人もいるでしょう。本作では,どちらの遊び方も可能です。
4Gamer:
ということは,戦場でもちゃんと成長していくんですね。
山中氏:
はい。あと,戦場への参加は強制していませんが,運営側でイベントによる誘導もしていきたいとは思っています。
4Gamer:
戦場での戦闘はどのようになるのでしょうか?
山中氏:
クエストと同じ,ターン制コマンドバトルです。マップは,シミュレーションゲームのようにヘックスのマスで描かれていて,国同士でオベリスクの取り合いをして支配領域を広げていきます。
オベリスクを1人で落とすのは無理なので,チャットで呼びかけるなどして,5〜6人のプレイヤーがパーティを持ち寄って,協力して落としていく必要があります。大変ですが,これを落とすと侵攻できる範囲が広がるので,そこに移動して自軍の土地にしていくわけです。
4Gamer:
まさに戦略シミュレーションのようですね。
山中氏:
そして,自軍のものにしたオベリスクのある場所は,敵軍も支配領域拡大のために狙ってくるので,防衛隊となるパーティを配置して,そのオベリスクを敵軍から守ることになります。そこで初めて,ほかのパーティ対自分のパーティの対戦が始まるわけです。なお配置した防衛隊はオートで戦ってくれます。
4Gamer:
そうすると,直接ほかのプレイヤーが操作するパーティと戦うわけではないんですね。
山中氏:
そこは,ターン制のコマンドバトルでは,いろいろ厳しかったので。
4Gamer:
相手の入力を待たなければいけなかったりで,なかなか難しいですよね。
山中氏:
ええ。でも,社内テストで戦っているんですが,相当熱く戦闘が繰り広げられているんですよ。いわゆる対人戦のコンテンツになりますが,ぜひ楽しんでほしいです。
4Gamer:
戦場でも成長するとのことですし,対人戦ばかり遊ぶプレイヤーもいそうですね。ところで,ジョブチェンジだったり,アスタリスクだったりという言葉にあるとおり,ブラウザ版もジョブシステムを採用しているんですよね。
山中氏:
ええ,なるべく3DS版に近い形で実現を目指しました。アスタリスクに関しては,3DS版では一つ手に入れるとパーティ全員がジョブチェンジできるようになりますが,ブラウザ版ではアスタリスク1個につき1キャラクターのジョブチェンジができる仕様になっています。
4Gamer:
そうすると,アスタリスクは複数集めることになるんですね。仮にシーフ軍団を作ろうと思ったら,人数分アスタリスクも必要になると。サポートアビリティもあったりするんですか?
山中氏:
ジョブによってはサポートアビリティーを持っているものもあります。またブラウザ版では,アスタリスクを強化していくことで,順次アビリティを修得していくようになっています。
4Gamer:
なるほど,プレイヤーキャラクター以外に,アスタリスクも育てていくんですね。ちなみに,ジョブの種類や数は3DS版と同じなんでしょうか?
山中氏:
できる限り入れていくつもりです。ただし,演出上入れることが難しい召喚士などは正式サービスの段階ではまだ入っていません。ですが,仕様は固まってきたので,今後のバージョンアップで実装していく予定です。
それと,3DS版のラスト近くで使えるようになる特殊な2つのジョブについてはアビリティが特殊すぎるので,どうやって入れようかと検討しているところですが,いずれはなんとかしたいと考えています。
4Gamer:
3DS版と同じジョブが揃っていると,お気に入りの組み合わせもそのまま楽しめそうですね。
山中氏:
あと,実は3DS版では,いろいろな事情から採用が見送られたジョブもあるんですよ。それを入れる方向で鋭意準備中です。
4Gamer:
おお? すでに実装が決まっているジョブはありますか。
山中氏:
実はすでに実装されているんですが,3DS版にはなかった「戦士」というジョブがブラウザ版には登場します。そのほかは,乞うご期待ですね。
私もテストプレイで参加しているんですが,そういう新しい試みを入れてもらっているので,もし続編があるのならフィードバックさせていこうかなと思っています(笑)。
山中氏:
次回作の参考の場として活用してもらってもいいでしょうね(笑)。
4Gamer:
3DS版の内容がブラウザ版で使われて,ブラウザ版の内容が次回作に,というのは何とも面白い流れですね。どんな展開になるのか,楽しみです。ところでブラウザ版のジョブは,正式サービスの開始段階ではどれくらい実装されているんですか?
山中氏:
最初に使えるジョブは20前後ですね。その後,イベントを通して追加していく予定です。
4Gamer:
最初からそれだけの選択肢があれば,個性的なパーティ構成ができそうですが,キャラクターは入手した段階ですでにジョブが決まっているんですか?
山中氏:
SRランクの固有のキャラクターは,最初からジョブが決まっていて,ジョブチェンジもできません。それ以外のノーマルランク,Rランクのキャラクターは,すっぴんの状態で手に入って,アスタリスクを装備してジョブチェンジすることになります。当然,SRのキャラクターのアスタリスクは最初から強いですよ。
4Gamer:
キャラクターの入手方法は,ガチャになるのでしょうか。
山中氏:
そうです。それ以外にも,クエストをこなしていく過程で手に入るキャラクターもいます。
4Gamer:
では,キャラクターガチャが有料部分となるわけですね。
山中氏:
もちろん,ゲーム内マネーで回せるガチャもあります。そのほかにも,アスタリスクのガチャがありますし,行動ポイントの回復ですとか,いわゆるブラウザゲームにあるものも用意しています。ちなみに先ほどお話した今後導入予定のジョブは,3DS版と同じ有名な作家さんがデザインしているんですよ。
4Gamer:
作家さんは,3DS版とすべて同じ人なんですか?
浅野氏:
いえ,全員ではないのですが,可能な限りその作家さんに絵を描いてもらいました。ですから,かなり豪華なラインナップになると思います。
4Gamer:
それは,3DS版のファンには嬉しいところです。一方で,今後いろいろな方が描かれた絵柄がゲーム中に入ってくると,絵柄の統一感だったりを維持するのは難しそうに感じるのですが。
山中氏:
そうですね。ブラウザゲームなので,どうしても複数の絵柄が混在することになります。ですが,バトルに登場するキャラクターは,元の3Dのグラフィックスを2Dのドット絵にすべて置き換えていますから,表現方法は(3Dと2Dで)異なりますが,世界観という意味では,クオリティを維持できると思います。
浅野氏:
そのドット絵もブラウザ版の見どころになっています。3DS版に登場したアスタリスク所持者がボスとして登場しますが,それがみんなドット絵になりますので。
4Gamer:
おお,それは早く見てみたいです。
山中氏:
ヴィクトリアとかの再現度は高いですよ(笑)。
4Gamer:
3DS版のボス以外にも,ブラウザ版のオリジナルボスなどは登場するんですか?
山中氏:
最初は3DS版のボスが登場しますが,今後,ブラウザ版オリジナルのボスやキャラクターも登場する予定です。
4Gamer:
ちなみに,攻略方法は3DS版のボスと同じだったりするのでしょうか。実は,かなり手こずっているんですが……。
山中氏:
いえ,仕様が違うので3DS版とまったく同じというわけではないです(笑)。とくに最初のうちは,3DS版と同じ強さだと進めなくなってしまうプレイヤーも多くなると思うので,かなりゆるめになってます。ただ,中盤以降は,同じくらい手強いボスが登場してくるようになると思います。
4Gamer:
ひとまず安心しました(笑)。続いて,戦場に関して教えてください。戦場は,5〜6人のプレイヤーがパーティを派遣して行うということですが,1プレイヤー1パーティという形になるのでしょうか。
山中氏:
1パーティは5キャラクターで構成されるのですが,戦場に出向くには先ほど話した防衛隊と自分が使うパーティの2つが必要になります。そして,戦場に行っているパーティはクエストには使えないので,戦場に派遣している間にクエストも行いたい場合は,クエスト用にもう1パーティを編成する必要があります。ですので,最低15人のキャラクターを用意してもらえれば,戦場とクエストを同時にプレイできるようになります。
4Gamer:
なるほど。それぞれのキャラクターは防衛用だったり,クエスト用だったりと,用途に特化して育てていくことになるんでしょうか。
山中氏:
そうなりますね。先ほども少しお話ししましたが,最初こそ問題ないものの,先に進めば進むほど敵のモンスターも強くなって,3DS版に近いパラメータになっていますから(笑)。
4Gamer:
う,あのマゾい強さが……。実際にきちんと攻略方法を考えないと対処できないんですよね。最初はデフォルト(※ターンを貯めるコマンド)しつつ,アビリティの「しらべる」で相手の能力を見極めて……と,これを忘れると一般的な敵でも壊滅状態にされるくらいの手応えでした。
浅野氏:
3DS版は,1人でじっくり遊べるバランスになっていますから。でも,村を復興すれば強い武器が手に入りますし,すれ違いで強いアクションが使えることがあったり,アビリンクできれば強いアビリティも使えたりします。3DS版には,そういったお助け要素はいっぱいあるので,それを利用して乗り越えてもらえます。
4Gamer:
確かに,すれ違いの強力な攻撃には何度も助けられました。ブラウザ版で,どんなモンスターが登場するのか,楽しみでもあり,怖くもありますね(笑)。いずれそうしたモンスターと戦うにしても,キャラクターの成長が重要になるわけですが,ブラウザ版では,キャラクターをどのように育成,強化していくのでしょうか。
山中氏:
戦闘での経験値の獲得はもちろんですが,キャラクターを強化するときは,ブラウザゲームではお馴染みだと思いますが,使わないキャラクターと合成するような形でも強化していけます。そのとき,合成したキャラクターのアスタリスクは残るので,今度はアスタリスクの強化に残ったアスタリスクを使うことになります。設定的には神殿で力を継承していくという感じですね。この神殿には,神殿ガールズという存在がいるんですよ(笑)。
4Gamer:
神殿……ガールズですか?
山中氏:
ええ,これは僕らのお遊び的アイデアなんですが(笑)。神殿は,もともとキャラクターのレベルアップやアスタリスクの強化といった育成のための場所でしかなくて,メニューだけでも機能は果たすんです。でも,「それじゃつまらないよね」という話が出て,「巫女がいることにしよう」ということになったんです。
強化すると,キャラクターが消費されていくので,その場から少しでも殺伐とした雰囲気をなくそうという意図もあります。
4Gamer:
神殿ガールズは,それぞれ個性的なキャラクターになるんでしょうか?
山中氏:
はい。それぞれの巫女がアスタリスクの強化とか装備の強化を担当していて「私のところで強化して!」というような形で,プレイヤーを待っています。それに,クエスト中にも神殿ガールズがちょくちょくと出てきます。
また,現在は実装されていませんが,将来的にはプレイヤーが育てることができるキャラクターとして登場させるアイデアもあります。
4Gamer:
育成要素も考えているんですか。例えば……,特定の女の子のところで強化していると仲良くなって,クエストに影響があったり?
山中氏:
まだ未定ですが,そういうこともやりたいですね(笑)。
4Gamer:
どんな展開になるのか楽しみです(笑)。
タイトルに隠された秘密とは。ブラウザ版のアイデアがコンシューマ機の次回作で登場する可能性も?
ところで,本作は3DS版の続編として登場するわけですが,ブラウザ版の発表で気になったことの一つは,何らかの連携があるのかということです。世界観だったり,(一部の)キャラクターだったりの関わりがあるのは分かりましたが,ゲーム間で何か連携はあるのでしょうか。
浅野氏:
ブラウザ版で登場するイデア・リー・オブリージュですが,これと同じコスチュームが3DS版のイデアで使えます。
山中氏:
これはブラウザ版でプレイヤーランク5まで上げていただくと,3DS版でこのコスチュームが使えるようになるものです。
(※オープンβテストに参加すると先行配信で入手可能。詳細は「こちら」)
4Gamer:
ほかにも,連動のコスチュームは用意されているんですか?
山中氏:
いえ,3DS用のコスチュームはこれだけです。ただ,スクエニメンバーズと連動させることで,今後,ブラウザ版でいろいろなことができる思います。
これはまだ検討段階なので例え話で聞いてほしいのですが,3DS版のクリア情報をアップしてもらうことで,そのデータの状態に応じてブラウザ版で何かの特典が手に入るということも可能だと思います。ほかにも,3DS版の特定のサブシナリオのクリアが条件になっているものだとか。これは,サブシナリオを遊ぶきっかけになればというものですね。
浅野氏:
そのシナリオと連動した後日譚が,ブラウザ版で読めたりすると面白そうですね。
4Gamer:
確かに,それは3DS版を楽しんでいるファンとしては,嬉しい連携だと思います。
そういえば,ブラウザ版のタイトルについて,教えてほしかったことがあるのですが,本作の英語のサブタイトルは「PRAYING BRAGE」となっていますよね。これ,カタカナ読みにすると「プレイング・ブラゲ」って読めるんですね。何か意図があったり?
ああ(笑)。3DS版のサブタイトルが「FLYING FAIRY」なのですが,これにはある意味が込められています。それもあって,ブラウザ版でも格好いいサブタイトルを付けたかったんですよ。そこで「BRAGE」は詩と音楽の神様という意味合いがあるので,「PRAYING BRAGE」で「祈りの巫女」という意味を持たせてあります……というのが表の意味で,裏の意味ではおっしゃるように「遊べるブラゲ」という言葉遊び的な意味合いも込めてあります。
4Gamer:
偶然じゃなくて,ちゃんと裏の意味で使われてたんですか。
山中氏:
ええ,ですから3DS版はみなさん「ブレイブリー」と呼ばれていると思うので,こちらは「ブレイブリー・ブラゲ」と呼んでいただければと思います(笑)。格好良く呼ぶなら「ブレイブリー・ブレイジュ」でお願いします。
4Gamer:
分かりました(笑)。それにしても,ここまでいろいろお話を聞いてきましたが,本作は3DS版があってのブラウザ版という色がすごく濃いですよね。やはり,このブラウザ版を作るにあたっては,3DS版を常に意識して制作されていたのでしょうか。
山中氏:
浅野からは「好きに作ってくれて良い」というお墨付きをもらっていたので,ブラウザゲームとして自由に作りました(笑)。ブラウザゲームなので後からいろいろと変更もできますから,クエストの量産やマップの量産,さらには戦場のルールも常に変えていくようにしたいとも思っています。
4Gamer:
そうすると,戦場の雰囲気も遊んだタイミングによってかなり変わってきそうですね。
山中氏:
ええ,違ってくると思います。そうして,よりよい形に進化させて行ければと思います。
4Gamer:
浅野さんのほうでブラウザ版に期待する展開はありますか?
浅野氏:
3DS版を開発した身としてうらやましいと思っているのは,やはりプレイヤーの反応を見ながら修正,改善をしていけるということです。ですから,プレイヤーさんと一緒に,ブラウザ版を進化させてもらえればと思います。きっと,終わりはないと思うので,さらなる高みを目指していただければと思います。
4Gamer:
最後に,ブラウザ版のサービス開始に向けての意気込みと,読者へのコメントをお願いします。
浅野氏:
まず,3DS版をプレイしてくださった方は本当にありがとうございます。クリアしてくださった方も多いんじゃないかと思います。キャラクターやルクセンダルクの世界を好きになってくださったプレイヤーさんは,無料で手軽に遊べるので,ぜひブラウザ版も触ってみてください。私とは家庭用ゲームのほうで,「ブレイブリー」の新作ができたときに,またお会いしましょう。
もし,まだ難しくてクリアできていないという場合は,すれ違いやアビリンクで,強いキャラクターをほかのプレイヤーから借りることもできます。スタンダードなRPGとしても遊べますが,「みんなと一緒に遊べる1人用RPG」なので,詰まったときは,力を借りて乗り越える楽しさを体験してください。
4Gamer:
発売からほぼ1か月が過ぎていますし,クリアした人のものすごく強いキャラクターも見つかりやすいですよね。
浅野氏:
ええ。でも,もっと強い敵を用意しておけば良かったと思っているんですよ。というのも,思った以上にあっさりとクリアされてしまいましたし,まず倒せないだろうと思った隠しボスも発売一週間と経たずに倒されてしまったので。次回作では,本当に倒せそうにないようなボスを入れておきます(笑)。
山中氏:
じゃあ,それはブラウザ版でやりましょうか(笑)。
4Gamer:
ブラウザ版で磨かれた強ボスが,さらに次回作に……とかがあったら,凄いことになりそうです。では,山中さんからもコメントをお願いします。
山中氏:
はい。既存タイトル作品のブラウザ版と聞くと,ともすると軽い作品に思われがちですが,今回の作品はタイトル名に「ブレイブリーデフォルト」と入っているように,単体でシリーズの1つとして作り込んでいるタイトルです。
3DS版で実現できなかったものがこちらに入っていますし,もっと強いボスがいたりするかもしれない(笑),ブラウザ版独自の進化が可能です。
今回のオープンβテストでも,十分に作り込んで世に送り出したつもりですが,今後もどんどん進化させていきますので,ご期待ください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「ブレイブリーデフォルト プレイングブレージュ」公式サイト
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