テストレポート
AMD自慢のCPUクーラー「Wraith Cooler」を試す。冷却能力と静音性は確かに高い
現状,Wraith Coolerが付属するのは「FX-8370」だけだが(関連記事),これが現行製品で終わる話というのは考えづらい。当然,次世代CPUマイクロアーキテクチャ「Zen」を採用するプロセッサも,視野には入っているだろう。
「霊」(wraith)の名を冠するこのWraith Coolerについて,AMDは「従来のものに比べてより静かでより冷える」と,静音性と冷却性能の高さをアピールしている。では,実際にこれまでのCPU/APUクーラーとはどれくらいの違いがあるのだろうか。今回は従来型CPU/APUクーラーの代表として,「A10-7870K」に付属するリテールクーラーと比較することで,Wraith Coolerの実力を探ってみたい。
サイズが大きくなったWraith Cooler。当面は「FX専用」か
ただ,そのサイズは明らかに異なる。
Wraith Coolerにおける(ファンを除いた)ヒートシンク部のサイズは,ヒートパイプの出っ張り込みで実測約104(W)
つまり,Wraith Coolerは,クーラー自体を従来比で大きくして,さらにファンも大口径化し,冷却能力と静音性の向上を狙ったものだとまとめることができる。
今後,Wraith Coolerと95W Quiet Thermal Solutionをどう棲み分けるのか,AMDは明言していないが,少なくとも現時点では,AMD FXプロセッサ専用クーラーということになりそうである。
CPU温度はA10-7870Kのリテールクーラーから10℃低下。動作音も確かに低い
ということで,実際にテストで比較してみよう。
テスト環境は表に示したとおり。CPUには,Wraith Coolerが付属するFX-8370を用いている。テストにあたっては,24℃の室内で,PCケースへ組み込まない,いわゆるバラック状態で机上に置き,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,「3DMark」(Version 1.5.915)の「Fire Strike」から,「Physics test」のみ30分間実行し続けた時点を「3DMark時」とした。そして,各時点におけるCPU温度を,MSIのオーバークロック&モニタリングツールである「MSI Command Center」(Version 1.0.108)で取得する。
その結果はグラフ1のとおり。スペースの都合上,グラフ中のみ,A10-7870K付属クーラーは「7870K Cooler」と表記したが,アイドル時は25℃で揃う一方,3DMark時はA10-7870Kのリテールクーラーが66℃に対して,Wraith Coolerは56℃と,10℃も低いスコアを示している。冷却性能は確実に向上したと述べてよいだろう。
また,各時点におけるファンの回転数をMSI Command Centerから取得したものがグラフ2となる。Wraith Coolerは,A10-7870Kのリテールクーラーから回転数がかなり低くなっていることが分かる。
その動作音も確認しておきたい。下に示したムービーは,A10-7870KのリテールクーラーとWraith Coolerのそれぞれで,3DMarkのFire Strikeから,Physics testを実行してそれをオリンパス製デジタルカメラ「OM-D E-M5 Mark II」から録画し,最も回転数が大きくなったところをそれぞれ約20秒ずつ切り出し,つなぎあせたものだ。
前半がA10-7870Kのリテールクーラー,後半がWraith Coolerのそれぞれの様子を映し出しているが,その違いは一目(一聴?)瞭然である。
冷却性能と静音性はともに申し分なし。Zen世代でソケット周辺はどうなる?
AMD公式Webサイト
- 関連タイトル:
AMD FX(Vishera)
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