インタビュー
サービス半年を迎える「PRIDE OF SOUL」。第3武器の開放や殷周伝説のクライマックス,赤壁の戦いも登場する大型アップデートや今後の展開についていろいろ聞いてみた
PRIDE OF SOULは独特の浮遊感を持つ空中戦と,歴史上の人物などを“武将”として仲間に加え,共に戦えるシステムが魅力のタイトルだ。今回は,正式サービス開始から半年ほど経過した現時点での状況をまとめつつ,Pride of Soul開発元であるX-LEGEND ENTERTAINMENT 企画部副理の顏 稚剛(Lance Yen)氏,ならびに運営を担当するX-LEGEND ENTERTAINMENT JAPAN オンラインゲーム事業部 ディレクターの三上 優氏に最新のアップデートと今後の展開について詳しく話を聞いてきた。
プレイヤーに信頼される運営を目指して歩んできた半年間
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
PRIDE OF SOULは,2012年11月21日に正式サービスをスタートしてから半年が経過しましたね。この半年間どんなことに気をつけて運営をしてきましたか。
プレイヤーの皆様に支えられて,ここまで開発/運営を続けてこられました。本作は,X-LEGEND ENTERTAINMENT JAPANとして初めてのタイトルになりますので,「絶対に失敗できない」という緊張感を持ちつつ今までやってきました。とくに力を入れたのは,不正への対応です。これは,オンラインゲーム運営の基本項目ですが,プレイヤーの皆様に信頼していただけることが最も大事ですから。
4Gamer:
不正対応については,ちゃんとやってるなという印象を持ってる人が多いと思います。
三上氏:
期待を裏切らないよう,今後も精進してまいります。ただ,そういった不正対応を厳しくしたことによって,一部のプレイヤーの方々にご迷惑をおかけしてしまったこともあり,そこは反省すべき点となっています。
4Gamer:
PRIDE OF SOULは非常にレベルアップしやすいタイトルとなっています。その点はプレイヤーにどう評価されていますか。
三上氏:
開発段階からのコンセプトで,時間を多くとれない社会人の方でもプレイできるようなバランスにしてあります。そこは多くの方に評価していただいてもらっていますね。なかには「こんなにレベルが上がりやすくて大丈夫?」と心配される方もいらっしゃいました(笑)。
4Gamer:
次々と新しい狩場,新しいクエストに挑戦できるのは楽しいのですが,がっつりプレイする方は,コンテンツ不足にならないか心配になると思いますよ(笑)。
三上氏:
ええ。レベルをカンストしたあとでも楽しめるコンテンツが足りないのでは,という意見も少なからずありました。ただ,レベルキャップが100になりまして,レベル66以降はそれまでに比べれば,レベルが上がりにくくなっているかもしれません。一気に駆け抜けるのではなく,PRIDE OF SOULの世界をじっくり楽しみながらプレイしてもらいたいですね。
4Gamer:
サービス開始直後はちょっと弾切れ気味でしたが,すぐテコ入れされてましたね。
三上氏:
昨年末から今年の初めにかけて行った「冬の三大アップデート」で,マップや武器の追加,そして240人まで同時にプレイできる大規模な対人コンテンツ「三晋の戦」などを実装しまして,好評をいただいています。今後もレベル上げだけではない,新しい楽しみを定期的に提供し,プレイヤーの皆様を飽きさせないようにしたいと思います。
4Gamer:
レベルが高くなれば対人戦をはじめ,遊べるコンテンツも増えていきますからね。また,新しい楽しみとして,日本マップ「京都」なども実装されましたが,こちらの評判はどうでしたか。
三上氏:
京都では武将として織田信長を仲間にできるのですが,信長を入手するために,何度もダンジョンに挑戦するなどして楽しんでいただいてます。本国台湾でも信長は人気があって,同様に楽しまれていると聞いています。
顏 稚剛氏(以下,顔氏):
まだ先の話になりますが,京都に続く日本マップも考えています。戦国時代を筆頭に日本にも魅力的な武将がいますので。
低レベル帯でも楽しめるようなコンテンツを追加し遊びの幅を広げる
武将を収集し育成することは,PRIDE OF SOULにおいて重要な要素ですよね。ユーザーレビューなどでも言われていた「コンテンツ不足」の問題は解決しているのでしょうか。
三上氏:
私達としては,まだまだ足りないと思っています。現在幅広いレベル帯で遊べるようなコンテンツを準備していますので,今後の展開をお楽しみください。
4Gamer:
追加される拡張コンテンツは,高レベル帯が対象であることが多いですが,低レベル帯にも恩恵があるようなコンテンツなんですか。
三上氏:
そうですね。例えば,PRIDE OF SOULの特徴でもある空中戦の拡張を現在開発しております。空中戦では敵を空中へと打ち上げるスキルを使用するのですが,このスキルはレベル20以降が対象になっていますので,ゲームを始めたばかりのプレイヤーの皆様にも無関係ではありません。
4Gamer:
空中戦の拡張ですか。どんなものか気になります。
三上氏:
今までの仕様ですと,ボスとの戦いでは事実上空中戦が行えなかったのですが,空中戦の拡張によってそれができるようになる予定です。まだ開発段階なので,具体的な話はできませんが,プレイヤーの皆様からの要望も多く見られましたので,前向きに対応をしているところです。同時に,空を飛ぶ敵の導入や,空中戦でより良いドロップアイテムが入手できるようにするといった改良も行う予定です。
4Gamer:
空中戦のメリットを増やし,より明確に空中戦の存在意義を示していくわけですね。
三上氏:
ええ。もちろん現在の仕様でも空中戦のメリットは大きいですので,積極的に活用していただきたいです。また,武将システムにも改良を加えます。
4Gamer:
それはどういう改良ですか。
三上氏:
現在,武将は1プレイヤーに1体までしか出せませんでしたが,これを2体3体と同時に複数召喚できるようにするというアイデアが出ています。
4Gamer:
おお,それは大きな変更点ですね。武将とパーティを組んで戦えると。
また,武将を複数出せるようにするだけでなく,プレイヤーと武将が連携してスキルを使うようなシステムを開発中です。これによって,武将の組み合わせでプレイヤーごとの個性を出せるようになりますし,複数の武将を集めて育てる意味も増すと思います。
また,武将は三つの共有スキルと一つの固有スキルを持っていますが,固有スキルを別の武将に移植できるようなシステムも検討しているところです。これによって,さらに武将を育成する楽しみが増えるのではないでしょうか。
顔氏:
あとは,今まで単調だったフィールドでの狩りについて,もう少しプレイヤーの皆様に楽しんでもらえるような仕掛けを考えています。
4Gamer:
それはどういったものなのですか。
顔氏:
まだ開発中ではありますが,フィールドのモンスターを倒していると,ランダムでダンジョンが出現するような仕掛けですね。そこでは,今まで見たこともないモンスターやお宝が発見できる……かもしれません。
三上氏:
アピール不足だったのかもしれませんが,実はパーティを組んでフィールド狩りを行うと入手経験値が増えたりしてお得になっているんですよ。
4Gamer:
なるほど。フィールド狩りはクエストを達成のために行う印象だったのですが(笑)。ランダムダンジョンが実装されれば,さらに新しい発見があるかもしれないわけですね。
話がちょっと逸れてしまうのですが,健全な運営を行ううえで,マネタイズといいますか,プレイヤーにお金を払ってもらう仕組みも大事だと思います。PRIDE OF SOULでは,スキルやステータスの能力のリセットといったことまでゲーム内のお金で行えますよね。ほかのゲームで課金になっている部分のほとんどが無料でできてしまうので,運営としてやっていけるのかちょっと心配になるのですが。
三上氏:
元々このタイトルはX-LEGENDの10周年記念作品として作られていて,プレイヤーへのサービスにあふれているんですよ。X-LEGENDの新しい挑戦を,より多くの人にプレイしてもらいたいというわけです。
ですので,課金の仕組みでプレイヤーの皆様にストレスを与えないようにする,ということを前提として開発/運営が行われています。ゲーム内のお金で解決できることが多いのは,そのポリシーに従っているためで,決して無理をしているわけではないんです。現在プレイヤーの皆様には,アバターや武器の強化アイテムといったものを購入していただいています。今後はダンジョンの回数制限の解除アイテムといった,プレイ中のストレスを解消できるようなアイテムを出していけたらと思います。
4Gamer:
まずは課金について意識せずに遊んでもらい,楽しいと思ったら納得したうえで課金アイテムを購入してもらう方向性ですね。
三上氏:
プレイヤーの皆様の楽しみがさらに広がるようなアイテムを,今後もご提供できればと思っています。
5月29日のアップデートで第3の武器がついに実装
4Gamer:
先に今後の展望について聞いてしまいましたが,近々行われるアップデートについて具体的にお聞きしていきたいと思います。
顔氏:
5月,6月のアップデートではギルドの強化を中心としたものを入れています。PRIDE OF SOULはソロで黙々とプレイできるタイトルで,ほかのプレイヤーとつながらなくてもレベルを上げていけてしまいます。しかし,MMORPG本来のほかのプレイヤーとコミュニケーションを取って楽しむことにも目を向けてもらいたいと思いまして,新たに「ギルドダンジョン」「ギルド戦」「ギルドマップ」といったものを導入していきます。
4Gamer:
ギルドダンジョンやギルド戦は想像できますが,ギルドマップとはどういうものなのですか。
顔氏:
ギルドマップは,そのギルドのメンバーだけが入れる街のようなものです。ギルド戦の入口ともなっていて,中ではギルド戦用の装備が販売されていたりします。ここでメンバーとギルド戦の作戦を練ったりして,コミュニケーションを取っていただけると幸いです。導入はまだ先になりますが,レベルを上げて内装や外観を変えることもできるようにします。
4Gamer:
なるほど。そのほかに近々に導入される新システムなどはありますか。
顔氏:
5月29日のアップデートで,いよいよ「第3武器」を開放します。こちらは「血の試練」という,マップに配置されたクリスタルを守りながら戦う5人用ダンジョンをクリアすることが習得条件となっています。血の試練はやり応えのあるダンジョンとなっていますので,仲間と協力して第3武器の習得を目指してください。
4Gamer:
以前から話は聞いていましたが,このタイミングで第3武器がきますか。
三上氏:
レベルキャップが100となり,武器の種類も増えてきましたので,頃合いではないかと判断しました。
4Gamer:
第3武器取得のための,血の試練というダンジョンは難しいのでしょうか。
顔氏:
かなり難しいと思いますよ。モンスターが群れをなして攻撃してくるのですが,それが20回ほど続きます。プレイヤーはクリスタルを守りながら,これを撃破しなければなりません。ただ,途中で失敗しても奨励アイテムがもらえますので,クリアできるまで何度もチャレンジしてもらいたいですね。
三上氏:
第3武器の話が出たところで,私たちとしては,第2武器のあり方についても見直しをする予定です。というのも,第1武器と第2武器を比べると,第2武器がプレイヤーキャラクターへ与える影響が小さいんですね。これはプレイヤーの皆様からご指摘されてもいますので,バランスを調整する必要があると考えています。
4Gamer:
ある武器のBuffスキルを使っているところで武器を切り替えると,そのBuff効果が切れたりして,不便だと感じていました。そのあたりも改善されるのでしょうか。
Buffスキルを継続できるようにするとバランスが崩れる可能性があるため,安易には導入できない状況です。各武器には,その武器の特徴に合った強力なBuffが用意されています。Buff効果が残るような仕様ですと,武器ごとの特性が曖昧になりますし,私達はBuffスキルのためだけに第2,第3武器を選ぶといった風潮にはしたくないのです。
パーティ用のBuffは残し,個人用のBuffは消えるようにするといった調整もありだとは思いますが,基本的には武器の切り替えでBuffは切れるままの方向で検討しています。しかし,第2武器,第3武器を取得しても,スキルが弱ければ使えませんので,何らかの改善策は必須だと感じています。
4Gamer:
実装まではまだ時間がありますので,しっかり調整してプレイヤーにとって遊びやすい仕様でお願いします。ストーリーやマップのほうはどのような拡張が行われますか。
三上氏:
6月に殷と後漢,夏頃に晋と唐のマップを実装する予定です。
顔氏:
殷のマップでは,殷と周,二つの国の皇帝が激しく衝突する話に,後漢では赤壁の戦いにスポットを当てています。どちらも激しい戦いとなり,PRIDE OF SOULのオリジナルなストーリー部分では,かなり盛り上がるドラマティックな展開があったりします。
4Gamer:
それは楽しみですね。そのあたりの新マップで入手できる武将についてもお聞きしたいです。
顔氏:
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが……殷の最後の帝である紂王(ちゅうおう)とか中国神話に出てくる哪吒(ナタ),そして後漢の赤壁ではついに諸葛亮が登場します。ストーリーに深く関わっていたり,ダンジョンのボスとして登場したりしますので,ストーリーを追いながら武将達の活躍を楽しんでください。
諸葛亮 |
龐統 |
紂王 |
姫發 |
三上氏:
マップやストーリー以外だと,5月に新競技場を実装します。競技場は1対1〜10対10までの少人数向け対人フィールドとなっていますが,新しい競技場は今までと違ってマップ内に数々の仕掛けがあります。また,プレイヤーは“変身”して戦うことができるようにもなっていますので,スキルを連打するだけの単純な戦闘にはならないと思います。また,空中戦を意識したマップデザインにしましたので,より高い精度のキャラクター操作能力が問われることになるでしょう。
4Gamer:
PRIDE OF SOULの強みである武将関連と特徴的な空中戦については今後も拡充の方向で,今まで少し弱かったコミュニティ関連については少しずつ強化していくというこですね。
三上氏:
プレイヤーの皆様に好評を得ている部分はさらに伸ばし,足りないものは少しずつ補充していって,魅力的なタイトルに育てていきたいですね。
プレイヤーの意見も参考にしながら,PRIDE OF SOULは飛躍を続ける
4Gamer:
プレイヤーから上がっている要望では,どんなものが多いでしょうか。
三上氏:
要望やご意見はかなりいただいていますが……細かいところでは,対人戦で入手できるスキルを,対人戦以外の方法で入手できるようにしてほしいといった要望が挙がってきています。そこで装備類は対人戦で得られるポイントと交換,スキルに関しては別の方法でも入手できるないか開発に打診しています。
顔氏:
今まで苦労して入手してきたものを,簡単に入手できるようにすることはできません。しかし,対人戦をまったく行わない方がいるのも事実ですので,そういった意見はしっかりと受け止めて,開発としてもできることをやっていきたいと思います。
4Gamer:
武器(職業)のバランスについてはどうでしょうか。
三上氏:
各武器の役割が今一つ明確になっていない部分がありますので,まずは武器の特徴を出すような調整を行っていきたいですね。それが武器を選ぶ楽しさにもつながると思いますので。そのうえで,対人戦における武器間のバランスも取っていくつもりです。プレイヤーの皆様にアンケートを取るなどして広く意見を集め,できるだけ多くの方に納得していただけるようなバランスにしたいと思います。
4Gamer:
ちなみに,日本ではどういった武器が人気が高いですか。
三上氏:
双剣の人気が高いですね。続いて弓,扇子と続きます。
顔氏:
台湾だとナックルが一番人気で,双剣,スピアといった攻撃的な武器も人気が高いです。
三上氏:
お国柄なのでしょうか,日本ではナックルを使うプレイヤーは一番少ないんですよ(笑)。運営チームではナックルが人気なのですがね……。
4Gamer:
飛びぬけて強い武器なら,その武器を選ぶ人が多くなると思いますし,そういった意味ではバランスが取れているのではないでしょうか。
太刀が実装されて間もないですが,新しい武器が実装されることはありますか。
まだ詳しくはお話しできませんが,武器はこれからも実装していきます。台湾では7月に一つ追加され,その後の武器は……まだ検討中です。
4Gamer:
では,武将については日本と台湾で違いがありますか。
三上氏:
日本ではビジュアルのよい妲己,そして織田信長を連れている方が多いようです。台湾では使いやすくて強い張遼が好まれる傾向にありますね。
4Gamer:
見た目にこだわるか,強さにこだわるかで違いがありそうですね。こだわるといえば,4月1日のエイプリルフールには,ゲーム内でシャレの効いた1日限定のコンテンツが登場したりしましたね(笑)。
三上氏:
ええ。日本の運営チームでアイデアを出し合い,なんとか開発チームを説得して実装に踏み切りました(笑)。プレイヤーの皆様も楽しんでいただけたようで,かなり反響があり嬉しい限りです。
イベントやキャンペーンもそうですが,私たち運営サイドから出すアイデアを具現化しかつ迅速にゲーム内に落とし込めるのは,開発直下の運営であることの強みですね。まだ具体的に決まっているわけではないのですが,そうした開発直下という強みを活かしたイベントは今後も行っていきたいですね。
顔氏:
日本運営チームからは,面白いアイデアや改善点が毎週のように送られてきて驚かされます。日本運営チームと台湾の開発チーム,双方の関係を今よりも良いものにして,PRIDE OF SOULの成長と共に我々も成長していきたいと思います。
三上氏:
ゲームにログインしたら何か新しい発見がある,そういうタイトルに育てていきたいですね。先日から始めた公式ギルドやGMブログなどのように,運営としてプレイヤーの皆様に情報を発信できるものを今後も増やしてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「PRIDE OF SOUL -舞翔伝-」公式サイト
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