［プレイレポ］「黒い砂漠」31番目の新クラス「セラフィム」実装。光と闇の属性を持つ女性大剣キャラクターは強烈なストーリーも魅力だ

　Pearl Abyss JPは2025年12月18日，PC版MMORPG「黒い砂漠」に31番目の新クラス「セラフィム」を実装した。2025年6月に行われたコンテンツ発表会「2025ハイデル宴会」において，「Savior」という仮名で発表されていたクラスだ。


　大剣を振り回す女性聖騎士といった出で立ちだが，ダークファンタジーを基調とする黒い砂漠が，単純な聖騎士クラスを出してくるわけもなく，一癖も二癖もあるストーリーが隠されている。

10年の集大成とも言える原点回帰

　中世系ファンタジー作品において，女性剣士はロマンの塊である。黒い砂漠でも「剣を持つ女性クラス」という括りでいえば，「レンジャー」「ヴァルキリー」「ツバキ」「ダークナイト」「ラン」「ノヴァ」「コルセア」「ドラカニア」といったクラスがいる。その上で，セラフィムは「大剣を振り回す女性騎士」という，分かりやすいキャラクターだ。

　開発者コメンタリー動画によると，大剣を使う女性キャラクターの構想はCBTのころからあったという。つまり，10年も温め続けてきた構想を具現化したものがセラフィム……ということになる。
　衣装は，作中に登場するキャラクター「エンスラー」やヴァルキリーの衣装を拡張した形でデザインしたもので，黒い砂漠の世界観にピッタリマッチしている。

専用衣装の[SP] 審判武器，衣装プレミアムセット

赤いカルフェオンの紋章が装飾されている

　黒い砂漠のストーリーは，最新地域「エダニア」で1つの節目を迎えている。それもあって，Pearl Abyssとしてもこのキャラクターをリリースする絶好のタイミングだったのではないだろうか。

　また，スキルに関しては「解放」型のクラスとなっており，比較的シンプルなコンセプトになっている。
　黒い砂漠は，メイン武器/覚醒武器を切り替えて戦う「覚醒」や，メイン武器をそのままパワーアップさせたような「伝承」など，クラスのあり方に幅をもたせるアップデートが行われてきた。近年は，メイン武器コンボ中に覚醒武器を使える「解放」という型を持つクラスが登場している。
　セラフィムの解放は，メイン武器も覚醒武器も両方が大剣というデザインで，見た目的には「大剣一本」で戦う姿を貫いている。

メイン武器の大剣「聖約」。セラフィムの身の丈ほどもある迫力の武器だ

「聖約」の柄の先には，補助武器「封印具」が取り付けられている

封印が解かれると，覚醒武器の大剣「断罪」の姿になる。よく見ると，聖約の周りに黒い物質が纏わり付いている。セラフィムの姿も変わっているが，これについては後述する

メイン依頼を追いながら主人公の風格を楽しむ

　さっそく，アップデート内容をプレイした感想を述べていこう。

　セラフィム実装のアップデートに合わせて，メイン依頼（ストーリー）で獲得できる戦闘経験値を大幅に増やした。これによって，古代の石室からゲームスタート。バレノス，セレンディア，カルフェオン，メディア……と，メイン依頼を追っていくだけでLv60に成長するようになった。
　Lv60でそのクラスで使うスキルのほぼすべてを使えるので，ストーリーを楽しんでいるだけで実戦への準備が整っていく。また，Lv60になると（執筆時点の）最終章である「エダニア」のメイン依頼も進められる。
　メイン依頼攻略には高い装備レベルを必要としない。始めたばかりの冒険者でも，あまり時間がかからずに物語についていけるはずだ。

マスコットキャラのような「闇の精霊」と一緒に世界を旅していくのだが，果たして味方なのだろうか……

配布で手に入る空飛ぶ馬「微睡みのアドゥアナート」に乗れば，進行は非常にスムーズだ

　筆者も今回メイン依頼をこなしてセラフィムを育成したが，世界観にぴったりとマッチしたキャラクターや衣装もあって，これまでプレイしたクラスのなかでも，かなりストーリーへの没入感が高かった。

　メイン依頼の敵は弱いので，大剣のスキルを一つひとつ確認しながら進めていけるのが良い点だ。大剣を振り回しながら難題を解決していく美女の姿はそれだけでもロマン溢れるものだが，自分で顔や髪型などをカスタマイズすれば，さらに愛着も湧くだろう。

　スキルの使用感としては，扱いやすさを重視して作られていると感じた。大剣キャラではあるが過剰な鈍重さはなく，使っていてストレスはほぼないスピード感だ。
　スキル内容も，キー単体押しの小技系と，Shiftキーと同時押しの大技系で覚えやすく，最近のクラスで多用されてきたギミック的な要素は，ほとんどない。長押しで派生するコンボも多く，初心者でも安心だ。

巨大な剣を力いっぱい振り回す，Shift＋［Q］キーの「クロススラッシュ」など，「これぞ大剣！」と感じられるモーションが満載

セラフィムの大剣術のルーツはウォーリアと同じということもあって，ウォーリアの覚醒と似たような技もいくつかある。

　とくに有用なコンボとして，「スカイクラッシャー」→「コンボ：不意打ち」→「鎧潰し」がある。［F］キー長押し → Spaceキーという簡単なコマンドで，連続して威力低下なく出せる。大技を使うまでもない状況でガンガン多用したいコンボだ。

強烈なキックを相手に食らわせる，［F］キーの「スカイクラッシャー」

そこから［F］キーを押しっぱなしで「コンボ：粉砕」に。大剣の柄を相手に打ち込む

体を捻りながら大剣で相手を圧す「鎧潰し」。さまざまなスキルのあとに，Spaceキーで発動可能だ

　移動面では，Shiftキーのダッシュスキル「フロントランナー」と，コンボスキル「大胆な意志」によって，最大3回の連続短距離ダッシュが行えるので，こちらもノンストレスな仕上がりとなっている。

移動スキルの「フロントランナー」と「大胆な意志」は，モンスター相手には無敵回避効果も持つ

解放では「光」と「闇」のどちらかを選択

　唯一ギミック的といえる要素は，Lv56以降の「解放依頼」後に使える解放スキルだ。

　解放スキルは，「闇の精霊の怒り」ゲージを100％消費する「怒り吸収（［Z］キー）」，または，Shiftキー＋［E］キーでの怒り100％消費スキルを発動して「変身」後，60秒間利用できる。いつでも利用できるわけではない点に注意が必要だ。

　セラフィムの解放スキルは2つのグループに分かれている。光属性的な「神聖なる盟約の剣士」，闇属性的な「断然たる過罪の闘士」だ。これらは開発者コメンタリーでも「光」と「闇」という分かりやすい表現をしているので，本稿でもその形で表現しよう。

新クラス「セラフィム」光と闇の怒り100% 流石に声が良い pic.twitter.com/VHzWZKXNQ2

— おっさんゲーマー? (@ossangamernet) December 13, 2025

　解放スキルは「光」と「闇」，それぞれのグループのどちらかを選ぶ形となり，戦闘中には同時に使えない。「光」側を取れば「闇」を使えないし，逆もまた然りだ。
　ただ，黒い砂漠には「スキルプリセット」という，習得スキルの保存機能がある。「光」セットと「闇」セットをそれぞれプリセットに保存しておけば，スキル教官NPCや「終末の月秘伝書」を使うことで，ほかのクラスで伝承と覚醒を切り替えるように，あとから切り替えられる。

　「光」スキルはメインスキルの発展型で，メインスキルと同じコマンドでより強力なスキルが出るイメージだ。これまでの黒い砂漠的な表現をするなら「伝承スキル」に近い。
　天使の翼を広げた姿になるスキルが象徴的で，空中から襲いかかる，機動性が高いスキルも繰り出せる。30秒間の自身強化スキルもあり，PvP/PvEのどちらでも使えるオールマイティさが感じられた。新たに覚えることが少ないので，初心者にもおすすめだ。

Shiftキー＋右クリックで発動する「聖約：ファントムクラッシュ」。空中に舞い上がって攻撃する「光」で，もっとも象徴的なスキルだ

［W］キー＋［F］キーの突進スキル「聖約：ランジングスラッシュ」。翼があることで爆発的な推進力を得る

　「闇」スキルは黒い闇の力を纏った姿に変身し，メインスキルとはまったく別のスキルが繰り出せる。そういった点では従来クラスの「覚醒スキル」に近い。範囲とパワー，HP回復力に優れているが，機動力を失ってしまう。相手の攻撃を受けることを前提にした，バーサークのようなスタンスだ。
　「光」と違ってスキルの使い勝手が大きく変わることや，機動力が落ちることもあって，慣れが必要な印象だった。

実質覚醒スキルと言える「闇」側は，セラフィム自身の見た目も変わり，ダークな印象に

右クリック長押しの「断罪：襲い来る迫害」。シンプルな振り回しモーション

Shiftキー＋左クリックの縦斬り攻撃「断罪：溢れ出す怨恨」。チャージで威力がアップする

　変身するために消費する「闇の精霊の怒り」は，時間経過で溜まっていくほか，敵からダメージを受けたり，敵を倒したりすることでも溜まる。たくさんの敵に囲まれながらガンガン倒すような狩り場であれば，頻繁に解放スキルが出せるというわけだ。
　逆に，少数の敵を相手にするような狩り場だと，なかなか解放スキルを使う機会がないのでフラストレーションはある。
　その場合，「再錬石 - 闇の精霊の怒り回復量」など，自然回復量を上げる効果を持つアイテムを使うことで，再使用サイクルを短くできる。

しっかりと練り上げられたバックグラウンドストーリー

　これまで筆者は，黒い砂漠の新クラスを紹介する際に，そのキャラクターのバックグラウンドなど，人物像から紹介してきた。
　しかし，セラフィムの人物像やストーリーは，黒い砂漠の物語と密接に関わっており，「疑問を解き明かすこと」自体もコンテンツであると感じたので，ここで多くは触れないでおこう。
　そのため，今回はセラフィムのトレイラー動画と，楽しみ方のヒントの紹介に留めたい。


　黒い砂漠では［H］キーを押すと「知識」が見られるが，セラフィムに関する知識は「黒い砂漠への適応」の「キャラクター覚醒武器」の項目で明らかになっていく。自身が何者なのかの謎を解き明かすためにも，メイン依頼を進めて知識を集めていこう。
　先にレベリングをして戦闘を楽しんでからメイン依頼をプレイしても良いが，一番思い入れが強くなるのは，メイン依頼主体での育成だろう。筆者は本稿のために急いで戦闘レベリングをしようかとも思ったが，じっくりストーリーを追ったのは満足度の点で正解だった。
　メイン依頼の終了後までちょっとしたお楽しみが用意されていて，余韻があった。

　また，YouTubeの公式動画を細かく見ていくと，セラフィムにまつわることの真相が，深く理解できるようになっている。ぜひチェックしてほしい。
　セラフィムの実装前には，Savior EP1〜EP5までのオーディオブックが順に公開され，エダニアやセラフィムとの関連を印象付けていたが，現在は「『セラフィム』ストーリートレーラー」のEP1と2も追加され，より時系列が分かりやすくなっている。

衣装も獲得できるイベントが真っ最中

　黒い砂漠では，セラフィムに関連した期間限定イベントも複数行われている。見逃したくないのは，セラフィムの印章イベントだ。
　日々のログインや，ゲーム内の狩り/採集/釣りで手に入る「[EV] セラフィムの印章」を集めて「[SP] 審判武器、衣装プレミアムセット」などと交換できる。
　また，セラフィムの事前予約をしていたプレイヤーは，公式サイトで再度事前予約のクーポンを確認し，特典のイヤリング衣装を忘れずに入手しよう。セラフィムのスキルの使い方などを投稿するプレイヤー参加イベントも行われている。参加賞もあるので，自分なりの戦い方を投稿してみよう。