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[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」
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印刷2014/03/18 19:26

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[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」

Chair Entertainmentのリードアニメーター,スコット・ストッダード氏。2009年に入社し,「Infinity Blade」三部作すべての開発に携わっている
画像集#001のサムネイル/[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」
 2010年末に第1作がリリースされた「Infinity Blade」は,Epic GamesのUnreal Engineが,モバイルプラットフォームへ本格的に進出するきっかけとなったフリックアクションRPGだ。キャラクター移動に関する自由度はさほど高くないのだが,フリックやタップといったモバイルデバイスならではの操作で,本格的な剣戟アクションが楽しめるほか,やり込みがいのある成長要素も用意されており,かなりリプレイアビリティの高い作品に仕上がっていた。

 GDC 2014では,「Infinity Blade」の開発元 Chair EntertainmentのリードアニメーターであるScott Stoddard(スコット・ストッダード)氏が,「Infinity Blade: Creating the Mobile Blockbuster Trilogy」(インフィニティ・ブレード: モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程)という講義を行い,開発作業におけるさまざまな意思決定や苦労話を語ったので,本稿で紹介していこう。

画像集#006のサムネイル/[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」

 「Infinity Blade」の企画/開発に際し,Chair Entertainmentが「RPGの大きな欠点」と考えていたのは,プレイヤーキャラクターの成長速度だという。プレイヤーの攻略速度が開発者の想定よりも速い場合が多いため,趣向を凝らしたデザインの武器/防具などもハイペースで消費されてしまうというわけだ。とはいえキャラクターの成長速度を遅くすれば,プレイヤーにストレスを与えてしまうことになる。
 そこで「Infinity Blade」では,キャラクターを成長させるのではなく,キャラクターが装備する武器(のレベル)を成長させていくというシステムを採用したのだそうだ。

一般的なRPGでは,性能差の小さい二つの武器があった場合,その両方を入手/使用するプレイヤーはそれほど多くない。「Infinity Blade」では,武器の成長要素を導入し,クエストの難度を段階的に用意することで,そういった問題を改善しているのだ
画像集#002のサムネイル/[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」 画像集#003のサムネイル/[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」

 本シリーズに登場する武器は,それを装備した状態で敵と戦えば戦うほど熟練度が高まっていき,より効率的に敵を倒せるようになる。もちろん,成長限界やベースとなる武器の強さなどの関係で,一つの武器だけを使い続けるようなプレイは抑えられている。そして,4〜5周はプレイしないと倒せない圧倒的な強さのラスボス「God King」の存在が,プレイヤーにより強い武器を求めさせるのである。

 ストッダード氏によると,タッチ操作を前提としたモバイルゲームならではのゲーム性にもずいぶん悩まされたそうだ。プレイヤーの指の動きを「剣の振り」に見立てた操作体系は面白いものの,人間の指は1秒間に数回しか動かすことができず,爽快感溢れるプレイフィールがなかなか実現しなかったという。
 しかし,指が触れてから2フレームで反応する高感度なタッチスクリーンをフル活用し,触れた位置と敵キャラの位置関係を元に,指の動きに先行する形で斬撃アニメーションを設定することで,スピーディなアクションを実現したそうだ。ちなみに,剣を振り下ろすモーションから敵へのインパクトまでは,目視可能な1/5秒ほどに設定されているという。

 そしてストッダード氏にとって,Infinity Bladeのデザインにおいてもっとも苦労させられた部分は,Parry(回避)とのことだ。「最も楽しかった」とも語っていたので,“思い返せば興味深い試行錯誤”だったということなのだろうが,当初のバージョンでは,なんと90%ものテストプレイヤーがParryを成功させられなかったそうで,ゲームとしては酷い出来だったようだ。
 結局,「Parryできるか,できないか」という二者択一的な判定ではなく,よりアナログ的な「Good / Better / Best」という判定を採用することで,最終的には90%のテストプレイヤーがParryを成功させられるようになった。

ユーザーのプレイ動向を分析すると,最も頻繁に変更されているアイテムが武器だということが分かった。そういった遊ばれ方をサポートするために,武器の種類はシリーズを重ねるごとに追加されていったのだ
画像集#004のサムネイル/[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」
 ストッダード氏は「Infinity Blade」の発売後も,プレイヤーから得たフィードバックを入念に分析した。例えば「プレイヤーはほかの装備アイテムよりも,武器アイテムを頻繁に変更する」というデータを得て,実際の遊ばれ方に即した修正を行ったそうだ。同シリーズが4年にわたってヒット作であり続けている理由の一つは,そういったポストローンチの調整によるところも大きいのだろう。ストッダード氏は,「こうした個々の,小さな積み重ねが,最終的にはデカくなってくる」と述べて,今回のセッションを締めくくった。

「Infinity Blade III」でのドラゴンの出現は,コアプレイヤーへのさらなる挑戦として盛り込まれた
画像集#005のサムネイル/[GDC 2014]「Infinity Blade」のリードアニメーターが語る「モバイル向けブロックバスター三部作の制作過程」

「Chair Entertainment」公式サイト

「Infinity Blade」ダウンロードサイト(App Store)

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