インタビュー
「カウンターストライクオンライン2」は伝統的なモードを主軸としつつ,カジュアルにも遊べる。プロジェクトマネージャーにインタビュー
今回4Gamerでは,ネクソンコリア CSO2開発室 企画・日本CSO2担当 プロジェクトマネージャーのキム・ヨンソク氏に,本作の開発経緯や,サービスイン後の展開などについて聞いてみた。
カウンターストライクシリーズ伝統のクラシックミッションありきで開発が進められたCSO2
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,キムさんがCSO2の開発においてどんな役割を担っているのか教えてください。
私はもともと「カウンターストライクオンライン」(以下,CSO)の開発に携わっていたのですが,その流れでCSO2開発室で,主に武器の企画と,日本向けの施策を担当しています。
4Gamer:
それではCSO2の企画開発が始まった経緯などを教えてもらえますか。CSO2は,オンラインゲームとして展開されたCSOの続編であると同時に,同じCSシリーズの「Counter-Strike: Global Offensive」(以下,CS:GO)もあるので,差別化などは大変だったように思えますが。
キム氏:
CSO2の開発が始まったのは今から5年ほど前,2012年のことです。ちょうどCS:GOがリリースされたばかりでしたから,CSO2の企画段階では差別化などはほとんど意識していませんでした。考えていたのは,CSO2を単なるCSOの延長線上にあるゲームにはしないということです。具体的には,ベースとなるのはあくまで本家のCSであり,それでいてCSOの長所を取り入れたものを目指しました。
4Gamer:
なるほど。とはいえ,CS:GOが先にリリースされ,今や世界中でプレイされていますから,それを踏まえて,CSO2ならではのセールスポイントを教えてください。
キム氏:
リアルスポーツの大会観戦にたとえると,CS:GOはワールドカップのようなものです。ワールドカップはサッカーならサッカー,バレーボールならバレーボールと,特定の種目ごとに開催されますよね。つまりCS:GOは,正統派のFPSという種目に特化しています。
その一方でCSO2は,オリンピックのように1タイトルの中でさまざまな種目を用意するというのが大きな違いですね。
4Gamer:
正統派のクラシックミッションだけでなく,ゾンビモードやかくれんぼモードなども楽しめるというわけですね。
キム氏:
そのとおりです。さらに近い将来,PvEモードも実装する予定です。
4Gamer:
CSOとCSO2の違いについても教えてください。
キム氏:
CSO2企画当時のCSOには,すでに20種類以上ものモードが実装されており,プレイヤーが分散している状態でした。
そのためCSO2は,まず正統派のクラシックミッションに集中し,それに合わせたシステムの開発を進めました。そしてクラシックミッションがある程度完成した時点で,ほかのモードの開発を始めたんです。
4Gamer:
多様なルールはあっても,あくまでクラシックミッションありきのゲームということですか。
キム氏:
そういうことです。なので日本での展開も,最初からクラシックミッションを使った大会を軸とする方針で進めています。
4Gamer:
実際のプレイヤーからの反響はどうでしょう。韓国ではすでに3年近くCSO2のサービスを展開していますよね。CSOやCS:GOと比較されることも少なからずあったのではないでしょうか。
キム氏:
確かに比較はされましたが,評価は人それぞれですね。やはり正統派のCS:GOがいいという方もいますし,モードの多いCSO2が好みという方もいます。もちろん,両方が好きで遊んでいるという人もいます。
CSO2ならではの武器選択の幅や新たなゾンビモード,そしてかくれんぼモード
4Gamer:
CSO2のセールスポイントである,さまざまなモードについてお尋ねします。
まずは,ゲームの主軸に据えられたクラシックミッションについて,基本的にはほかのCSシリーズと同じ内容になるんでしょうか。
キム氏:
CSシリーズは長い歴史をもっており,往年のファンはすでに決まった戦術を確立しています。そこに私達が新たに手を加えるのは極めて困難ですから,クラシックミッションにはほかの部分でCSO2ならではの特色を盛り込みました。
たとえば従来のCSシリーズだと,プレイヤーが選ぶ武器は最終的にアサルトライフルのAK-47とM4A1,スナイパーライフルのAWPに絞り込まれます。しかしCSO2では,これら3種類の武器とほぼ同じゲーム内通貨を消費して,異なる長所と短所を持つサブマシンガンやショットガンを入手できるようにしました。したがって,戦略や戦術の幅もそのぶん広がるわけです。具体例を挙げると,あるサブマシンガンはアサルトライフルより射程距離が短い反面,威力がそこそこあり,かつ弾が散りません。そのため,マップによってはアサルトライフルより使い勝手がよかったりします。
4Gamer:
武器の選択肢を増やすことで,また違った試合展開が楽しめるというわけですね。
キムさんは武器の企画を手がけているとのことですが,こだわっている部分があれば教えてください。
キム氏:
何よりも,カテゴリーごとの長所と短所を明確にすることですね。たとえば,ショットガンが遠距離の敵を仕留められるような性能を持っていたら,バランスが崩壊してしまいますから。
またCSシリーズでは,1ゲームごとにゲーム内通貨を消費して武器を購入します。各ラウンドで勝ったときと負けたときでは入手できるゲーム内通貨の量が異なるので,それをどう使うかも勝敗を分ける一因です。そこでCSO2では,それほど高くなくても,うまく使えば相手を驚かせられるような,切り札的な武器の実装も検討しています。
4Gamer:
そうした武器を上手に使えば,不利な状況をひっくり返せると。
キム氏:
はい。そのほか,ゾンビモードなどのクラシックミッション以外のモードで使える専用武器も用意しています。たとえば対物ライフルのBarrett M95やグレネードランチャーなどは,ゾンビモードでしか使えません。その一方で,専用武器を使わないと勝てないということが起こらないよう,慎重にバランスを調整しています。
4Gamer:
それでは,今話に出たゾンビモードについても教えてください。CSOでは,ゾンビモードの存在がヒットにつながったところがありました。それを踏まえて,CSO2のゾンビモードはどのように仕上げているのでしょうか。
キム氏:
実を言いますと,お話ししたとおり,CSO2は当初クラシックミッションに集中する方針でしたから,ゾンビモードについてはあまり考えていなかったんです。
しかし実際に韓国でCSO2のサービスを始めてしばらく経つと,CSOから移行してきたプレイヤー達から「やはりゾンビモードがほしい」というリクエストが多く寄せられました。そこでCSO2のシステムに合わせた最初のゾンビモードを実装したんです。これは,あくまでCSOの延長にあるゾンビモードですね。
CSO2ならではのゾンビモードとしては,2016年初頭に「ゾンビZ(ゼータ)」を実装しました。
4Gamer:
通常のゾンビモードとはどう違うんでしょうか。
キム氏:
これまでのゾンビモードは,武器の強さが勝敗を決めているようなところがありました。そこでゾンビZでは,ゲーム中にランダムで獲得するスキルをいかにして使うかなど,プレイヤー自身のテクニックが重要になるよう調整しています。
4Gamer:
日本におけるCSO2のOBTでは,まだゾンビZは実装されていませんよね。いつごろプレイできそうですか?
キム氏:
7月26日のサービスインと同時に実装されます。ぜひ期待してください。
4Gamer:
CSO2ならではのモードといえば,かくれんぼがあります。このモードは,どんな発想から生まれたのでしょうか。
キム氏:
かくれんぼモードは,もともとCSO向けに企画されたものだったんです。しかしCSOのゲームエンジンでは,十分な表現ができないため見送られていました。そこでCSO2がSource Engineを採用すると決まったときに,かくれんぼモードを実装することにしたんです。
4Gamer:
確かにグラフィックスのクオリティがある程度高くないと,成立しなさそうなところはありますね。
実際にかくれんぼモードをプレイしたところ,カジュアルでありつつも,非常に楽しめました。先行してCSO2のサービスを展開している国や地域では,このモードはどのように受け止めているのでしょうか。
キム氏:
かくれんぼモードは,鬼になったプレイヤーが隠れているほかのプレイヤーを見つけ出して倒すというシンプルなルールです。しかし,FPSに慣れているプレイヤーが鬼になると,見つかってしまったプレイヤーが逃げ回ってもすぐに倒されてしまいますから,結構ハードな側面も備えています。ですから,かなり幅広い層が楽しんでいますね。
4Gamer:
というと,鬼側が有利なんですか? 鬼側でプレイすると,勝つのが難しそうな印象だったのですが。
キム氏:
サービスイン当初のマップを把握していない段階では,隠れる側が有利ですね。しかしやり込んで皆がマップを覚えてしまうと,一気にサバイバル色が強まります。とくに隠れる側は,マップ上のオブジェクトに紛れ込むのが難しくなりますから,鬼が探しに来ないような場所に隠れたり,見つかったら逃げたりと,今ではかくれんぼと鬼ごっこを融合したゲームになりつつあります。
おそらく日本のプレイヤーも,最初は“カジュアルの極み”であるかのように受け止めるでしょうが,やり込むにつれて違った側面が見えてきて,ハマってくれるでしょう。
4Gamer:
かくれんぼモードで,プレイヤーが開発チームの意表を突くような戦術を展開したことはありますか?
キム氏:
隠れる側は,ランダムでさまざまなオブジェクトに変身しますが,その中にはニワトリや電話など小さなものもあります。そういった小さなオブジェクトに変身したプレイヤーが,隠れずに鬼の前をウロチョロするという戦術がありましたね。CSO2は移動速度が比較的速いので,小さなオブジェクトを狙いにくいんですよ。そして鬼は撃つたびにHPを消費しますから,わざと誤射を誘って自滅させるわけです。また上手なプレイヤーが囮になって鬼の誤射を誘っている間に,ほかのプレイヤーが逃げたり隠れたりする光景もよく見られます。
4Gamer:
なるほど。いろんな遊び方ができそうですね。
キム氏:
日本でも,配信でかくれんぼモードを紹介したときの反響が非常によかったので,楽しんでいただけるんじゃないかと期待しています。
日本向けのキャラクターと武器,マップはサービスイン以降に順次実装
4Gamer:
プレイアブルキャラクターについても教えてください。発表会では8体のキャラクターが披露されましたが,OBTではまだ全部出そろっていませんよね。
キム氏:
OBTでは,CT(カウンターテロリスト)だとジャン・ピエールとライアン,TR(テロリスト)だとリートとアインベルグを基本キャラとして用意しました。さらにクレジットを消費するとCTはリサ,TRはミラを使えます。
発表会で披露した以外にもたくさんのキャラクターを用意しており,サービスイン以降,順次実装していく予定です。
4Gamer:
発表会では,日本向けのキャラクターも準備しているというアナウンスもありましたが。
キム氏:
サービスインと同時に2体実装します。CTはSAT(特殊急襲部隊),TRは極道をイメージしたデザインで,世界初の実装となります。ボイスは2体とも関 智一さんに演じていただきました。
4Gamer:
男性キャラなんですね。日本向けというと,女性キャラが用意されることが多いので,てっきり女性だと思い込んでいました。
キム氏:
もちろん女性キャラの開発も予定しています。実装は先になってしまうと思いますけれども。
4Gamer:
日本向けの武器やマップも準備しているとのことでしたよね。
キム氏:
まだ具体的に内容が決定しているわけではないのですが,武器のライセンスツリーに日本カテゴリーを設け,そこに自衛隊で使用されている武器を実装できればと考えています。
またマップも,たとえば日本の寺院や城をイメージさせるようなものを実現できると面白いんじゃないかと考えているところです。とくにマップは,すでに型があるキャラクターや武器と異なり,採用可能な素材の範囲が極めて広いので,プレイヤーの皆さんからの意見もぜひ聞いてみたいです。
4Gamer:
最後に,CSO2の日本におけるサービスインに向けた意気込みをお願いします。
キム氏:
開発チームとして,現在もっとも重視しているのは安定性です。まずは安定して楽しんでいただけるよう,注力していきます。
また,先にお話したとおり,CSO2の主軸となっているのは,CSシリーズの伝統を継承したクラシックミッションです。正統派FPSプレイヤーの皆さんには,階級戦などのコンテンツで楽しんでいただけるかと思います。
一方で,さまざまなモードがあることもCSO2の大きなセールスポイントですから,FPS初心者の皆さんは,ゾンビモードやかくれんぼモードをぜひ遊んでみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「カウンターストライクオンライン2」公式サイト
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