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3年ぶりのスタイラス対応スマホ「Galaxy Note8」テストレポート。ゲームだけでなく仕事も考えるユーザーなら狙いめだ
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印刷2017/10/25 20:00

テストレポート

3年ぶりのスタイラス対応スマホ「Galaxy Note8」テストレポート。ゲームだけでなく仕事も考えるユーザーなら狙いめだ

 一時期はiPhoneの後追いっぽいデザインが多かったAndroidスマートフォンであったが,ここ最近は,各メーカーともAppleとは別の路線を打ち出すようになり,むしろAppleのほうが後追いに見えることもある。
 たとえば,2017年11月3日に発売となる「iPhone X」は,アスペクト比9:16よりも縦長なアスペクト比9:18.5の有機ELパネルを採用して話題を呼んでいるが,縦長有機ELディスプレイの採用は,Samsung Electronics(以下,Samsung)製の「Galaxy S8」や「Galaxy S8+」が先んじていた。

 2017年10月26日にNTTドコモから発売となるSamsung製スマートフォン「Galaxy Note8 SC-01K」(以下,Galaxy Note8)も,Galaxy S8同様にアスペクト比9:18.5の縦長有機ELパネルを採用するのが特徴の端末だ。

Galaxy Note8。カラーバリエーションはMidnight BlackとMaple Goldの2色
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 バッテリーの発火問題で国内販売されることなく消えた前モデルの「Galaxy Note 7」も含め,Galaxy Noteシリーズが国内で登場するのは,実に3年ぶりということで,首を長くして待っていたファンも少なくないだろう。ゲーム用途だけでなく,専用スタイラス「S Pen」でのメモ用途なども検討するのであれば,チェックしておきたい1台だ。
 本稿では,去る10月18日に行われたNTTドコモの新商品発表会でチェックしたGalaxy Note8についてレポートしたい。なお,本製品については,2017年8月に米国で行われた発表会のレポートでも詳しく説明しているので,興味のある人はそちらも参照してほしい。


「前面がほぼパネル」で覆われた独特のデザイン


 まずは外観から見ていこう。
 冒頭で触れたとおり,Galaxy Note8は,6.3インチサイズで解像度1440×2960ドット,アスペクト比9:18.5の有機ELパネルを,左右端が湾曲したカバーガラスで覆った「エッジスクリーン」デザインを採用している。湾曲カバーガラスと上下のわずかな部分にベゼルがあるビジュアルは,もはやGalaxyシリーズのトレードマークと言えなくもない。
 6.3インチという大きな有機ELパネルを搭載しているが,本体の大きさは74.8(W)×162.5(D)×8.6(H)mmで,5.5インチクラスのスマートフォンとそれほど変わらない。

前面(左):縦長有機ELパネルとエッジスクリーンの採用により,「前面はほとんどパネル」といった印象となっている
背面(右):こちらは担当編集が撮影したMaple Goldの背面だが,角度によって色合いが微妙に変化する。照明にもよるだろうが,会場では緑が強くなったように見えることもあった。アウトカメラは流行りのデュアルレンズ仕様だ
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上側面(左):写真上側が背面側だ。正面から向かって左側にNano SIM兼microSDカードスロットが,右端近くにはサブマイク孔がある
下側面(右):正面から向かって右下側にS Penの収納部があり,スピーカー,メインマイク孔,USB Type-Cポート,ヘッドセット端子が並ぶ
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左側面:音量調整ボタンと,Samsung独自のAIアシスタント機能「Bixby」の起動ボタンがある
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右側面:[電源/スリープ]ボタンがある
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握ったときに刺さる感じはしない。手のひらに角を当てるような持ち方をしても,違和感は少なかった
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 Galaxy S8/S8+と比較してみると,Galaxy Note8は,四隅がやや角張った形状となっているのが分かる。これは,持ちやすさとスタイラスでの入力しやすさを重視したためであるという。ちなみに,誤タップを予防するため,左右のエッジスクリーン部分でもタッチパネルのセンシングを行っているとのことだ。


S Penの機能に大きな変化はないが,手描きアプリを便利に使える


 Galaxy Noteシリーズの特徴である,S Penについても触れておこう。
 S Penは,長さ108mm×直径5.8mm,ペン先直径約0.7mmの短いスタイラスだ。4096段階の筆圧感知に対応しており,スキャンレートは360Hz。手書きでのメモやイラスト描きを想定した性能だが,シングルタッチやシングルドラッグで操作できるゲームにも意外に向いている。なお,Galaxy Note8本体だけでなく,このS PenもIP68防水防塵対応だ。

 未使用時のS Penは,本体下側面の右側に収納されており,頭の部分をプッシュして取り出すと,S Pen対応アプリのランチャーが起動するといった要素は,従来のGalaxy Noteシリーズから変わっていない。ランチャーからは,手描きメモを書くアプリケーションをすぐに呼び出せるので,S Penでメモを取りたいときに便利だ。

S Penを取り出すところ(左)。取り出したあたりで,S Pen対応アプリのランチャーが起動しているので,スムーズなペン入力に移行できる
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こちらは米国での発表イベントで撮影した,2つのアプリを上下に並べたサイドバイサイドで表示した状態。中央にある境界は,ユーザーが調整可能だ
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 S Pen関連のアプリが目を惹くGalaxy Note8だが,それ以外にもソフトウェア面での独自性をアピールした要素がある。
 その1つが,画面右端から呼び出せるアプリランチャーの「App edge」だ。App Edge自体は以前のGalaxyシリーズも搭載しているが,Galaxy Note8のApp Edgeでは,サイドバイサイドで同時に起動したい2つのアプリをペアで登録しておくことができるようになった。複数のデータを見比べるときに重宝するし,アプリの境界を調整することも可能であるため,ゲームタイトル次第では,ながらプレイにも適するだろう。

Galaxyシリーズ共通のゲーム向け機能であるGame Launcher
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 Galaxyシリーズのゲーム用独自機能である「Game Launcher」は,Galaxy Note8でも利用できる。
 Game Launcherには,ゲームのプレイ中に通知を制限したり,ゲームの音を消音したりといった機能があるほか,処理性能を重視するか,それともバッテリー駆動時間を重視するかといった「パフォーマンス設定」機能も備えている。これらの機能はどのゲームアプリにも機能するというわけではなく,任意に登録したアプリに対してのみ適用できる。ゲーム以外のアプリを登録しておくことも可能で,たとえば処理負荷の高い動画の録画や編集アプリを登録しておくと,処理待ち時間を減らせるかもしれない。

ゲームだけでなく,たとえばベンチマークアプリを登録しておくこともできるが(左),登録しただけではGame Launcherの機能を利用できないので,画面にあるアナウンスのとおり,アイコンを長押ししてゲームとして登録する必要がある(右)
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 Game Launcherにおけるパフォーマンス設定には,「通常のパフォーマンス」「バッテリーを節約」「高パフォーマンス」という3種類のプリセットがあった。発表会場の説明員によると,「バッテリーを節約」は,動作クロックの上昇を抑えてバッテリー駆動時間を稼ぐもので,当然,ゲームの処理性能も下がる。「高パフォーマンス」は,温度監視によるSoCの制御以外を無効化して,CPUとGPUを可能な限り高い動作クロックで動作させるものだという。ただ,高パフォーマンスを選択すると,負荷による熱とバッテリー使用量が増えるとのこと。その場の状況やアプリの負荷に合わせて,3つのプリセットを使い分けるのがいいだろう。


ベンチマークテストでは,Game Launcherの高パフォーマンス設定による効果は誤差レベル


 定番のベンチマークテストを始める前に,スペックを確認しておこう。
 Galaxy Note8は,Qualcomm製のハイエンドSoC(System-on-a-Chip)である「Snapdragon 835 Mobile Platform」(MSM8998,以下 Snapdragon 835)を採用しており,メインメモリ容量は6GB,内蔵ストレージ容量は64GBで,最大容量256GBのmicroSDXCカードに対応するなど,2017年のハイエンドスマートフォンでは定番の仕様といったところ。搭載SoCはGalaxy S8/S8+と同じであるが,メインメモリは4GBから6GBに増えている点が異なる。

 今回実施したベンチマークテストは,3Dグラフィックスベンチマークアプリ「3DMark」のSling Shot Extreme Unlimitedプリセットと,総合ベンチマークアプリ「PCMark for Android」のStorage test,CPUの動作クロックを見る「CPU-Z」,そして連打応答性を見る「ぺしぺしIkina」という定番の4種類だ。ゲームのテストとしては,「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)を使用している。

 ところで今回は,これらのアプリをGame Launcherに登録したうえで,高パフォーマンスプリセットを適用した場合と,登録をあえて解除した,通常のスマートフォンテストと同じ環境という両方でテストを行ってみた。しかし,得られたスコア差は誤差範囲であったし,デレステも「3Dリッチ」で3回連続プレイした程度では,とくに変化を体感できなかった。

 それでは3DMarkから見ていこう。Sling Shot Extreme Unlimitedのスコアは「4004」で,Snapdragon 835を搭載する端末としては,やや高めのスコアになった。
 Monitoring dataを見てみると,CPUクロックを極力高くしようとする動きが目立っており,これがスコアの高さに影響した可能性はありそうだ。

Galaxy Note8におけるSling Shot Extreme Unlimitedの細目スコア(左)と「Monitoring data」グラフ(右)
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 次に,Game Launcherで高パフォーマンスに設定した状態での結果を見てみよう。スコアは「4052」と,誤差レベルではあるが上昇している。
 一方,Monitoring dataを見ると,若干だが挙動の違いが見えた。分かりやすいのはPhysics test時のCPUクロックで,高パフォーマンス時はクロックダウンすることなく,グラフが一直線なのだ。

Game Launcherで高パフォーマンスに設定した状態におけるSling Shot Extreme Unlimitedの細目スコア(左)と「Monitoring data」グラフ(右)
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 Physics testの部分でスコア差が生じた可能性はあるのだが,総合スコアで重きが置かれるGraphics testにはあまり影響しなかったのか,それとも温度の状況が異なったのか,たまたまこの挙動であった可能性も否定できない。10回ほど連続実行したら,違いが見えてくるかもしれないのだが……。
 3DMarkで見る限り,熱が動作に悪影響を与えない状況におけるSoCの挙動は,Game Launcherにおける高パフォーマンス設定時と変わらないのだろう。となると「通常のパフォーマンス」がどういう扱いなのか,いまいち不明確なのだが,今回は時間が足らず,そこまでチェックできていない。

 気を取り直して,PCMark for AndroidのStorage testを見てみよう。スコアは「4913」と最近の端末では高いほうではある。しかし,Xperia XZ1のスコアが6000の大台を超えたのに比べると,スコアでは大きく見劣りしてしまう。
 ただ,ハンズオン中に操作していた限りにおいては,Storage testのスコア差に相当するほどの性能差は感じなかった。もしかしたら,メインメモリ容量が多い分だけストレージキャッシュがうまく働いて,ストレージの性能差を感じにくくしていたのかもしれない。

Galaxy Note8におけるStorage testの細目スコア(左)と「Monitoring data」グラフ(右)
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 CPU-ZでCPUの挙動を見ていたところ,Snapdragon 835搭載端末ではよく見かけるが,なるべく低クロックで済ませる傾向が強く見られた。動作クロックが上がる場合も,ときおりCPU4〜7が902MHzに達する程度だ。
 Game Launcherに登録したアプリを実行した場合も同様で,高負荷にならない限り,最大クロックにまで上げないようだ。なおGPUの動作クロックは取得できていたが,GPU使用率は例によって表示されておらず,動作クロックの数値が正しいのかについても不明というのが正直なところである。

 ぺしぺしIkinaのスコアは,93〜96になるよう連打して「95」。飽和らしいものとは遭遇せず,ストレートにスコアが伸びたため,とても優れた結果と言えよう。なおペンによる連打も試してみたが,安定したスピードで連打できなかったので割愛した。

CPU-Zを用いて動作クロックを確認している様子(左)。高負荷状態でも,big側のCPUコアが902MHz程度まで上がるのがせいぜいで,フルスピードで動くことはない。ぺしぺしIkinaの結果は「95」と,極めて優秀だ(右)
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 というわけでデレステでのテストに入ろう。
 アプリ側でアスペクト比を決めうちしているタイトルの場合,Galaxy Note8のような縦長ディスプレイでは,左右端にブランクが差し込まれる。ただ,ブランク部分は何も映像が表示されないので,違和感は少なめだ。

ブランクの部分とゲーム画面の境目は気にならないが,両親指で操作する場合,画面中央部に指が届きにくいので,持ち方を検討する必要がある
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ゲームアプリに限った話ではないが,全画面モードになると,一時的にホームボタンや「最近のアプリ」ボタン(タスクボタン),「戻る」ボタンが非表示になる。スワイプでこれらのボタンを呼び出すポイントは,写真の説明文通り,本体下側固定だ
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 動作に問題らしい問題はなく,課題曲「Yes! Party Time!!」を「3Dリッチ」設定で,「ディマー」をオンにした状態でのプレイでも,取得漏れや表示のもたつきとは遭遇せず。入力タイミング調整も,5回実行して「+10」と,Andorid端末としては良好だった。
 3Dグラフィックスを多用するスマートフォン向けゲームタイトルとしては,世界でトップクラスにヘヴィなデレステでこうならば,他のゲームでも良好なプレイフィールを得られるだろう。

 タブレットを持ち運ぶのは面倒だから,なるべく大画面のスマートフォンで,ゲームタイトルを快適に遊びたいと考えるのであれば,6.3インチのGalaxy Note8は,条件付きで候補に入れていい端末だ,ただ,縦画面のゲームタイトルでは,ギュッと端末を握ってしまうクセがあると,エッジスクリーン部分で誤タップが生じる可能性がある。そういう場合は,側面をカバーするケースの導入を検討すべきかもしれない。エッジスクリーンに起因する問題は,Galaxy S8/S8+とまったく変わっていないと言えよう。
 S Penは手描きでいろいろと遊ぶこともできるほか,ビジネスシーンにおいても使い勝手のいい道具であるため,ゲームやSNS以外の用途でもスマートフォンを多用する人は,Galaxy Note8を店頭でチェックしてみてほしい。

●Galaxy Note8 SC-01Kの主なスペック
  • メーカー:Samsung Electronics
  • OS:Android 7.1(Nougat)
  • ディスプレイパネル:6.3インチAMOLED(有機ELパネル,「Infinity Display」),解像度1440×2960ドット
  • プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 835」(MSM8998,「Kryo 280」CPUコア×8(最大CPU動作クロック2.35GHz)+「Adreno 540」GPU)
  • メインメモリ容量:6GB
  • ストレージ:内蔵(64GB)+microSDXC(最大容量256GB)
  • アウトカメラ(メイン):有効画素数約1200万画素(※デュアルフォトダイオード技術により約2400万画素相当),F値1.7,光学式手振れ補正対応
  • アウトカメラ(サブ):有効画素数約1200万画素,F値2.4,光学式手振れ補正対応
  • フロントカメラ:有効画素数約800万画素,F値1.7,光学式手振れ補正対応
  • バッテリー容量:3300mAh
  • 対応LTEバンド:未公開
  • 対応3Gバンド:未公開
  • SIMカードスロット:nanoSIM(nanoUIM)
  • 待受時間:約310時間(LTE)
  • 連続通話時間:約1370分(LTE)
  • 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
  • Bluetooth:5.0
  • USBポート:Type-C
  • 本体公称サイズ:約75(W)×163(D)×8.6(H)mm
  • 本体公称重量:約190g
  • 本体カラー:Midnight Black,Maple Gold
  • 主な対応サービス&機能:VoLTE,おサイフケータイ,防水(IPX5,8),防塵(IP6X),指紋認証,虹彩認証,ワンセグ,フルセグ,ハイレゾ音楽再生,Daydream View対応

Samsung渾身の新スマートフォン「Galaxy Note8」の実機をチェック。持ちやすさは良好だがゲームでは大きすぎることも

NTTドコモのGalaxy Note8 製品情報ページ

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