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[TGS 2012]杉田ワールドはひねった中二ではなく“ヒネた”中二が魅力!? 「月英学園」「XBLAZE(仮)」について森 利道プロデューサーにインタビュー
「XBLAZE(仮)」は,人気の2D格闘ゲーム「BLAZBLUE(ブレイブルー)」シリーズのプロデューサーである森 利道氏の原案による,「もうひとつの“蒼”の物語」。同社の「アドベンチャーProject」の第1弾タイトルであるということ,そして「BLAZBLUE」シリーズとの関連性を匂わせるキャッチコピーに注目が集まっている。
一方の「月英学園」は,「BLAZBLUE」シリーズの主人公“ラグナ=ザ=ブラッドエッジ”役を務める声優の杉田智和さんが,同人ゲームとして制作していた学園伝奇アドベンチャーを,コンシューマ向けにリメイクしたタイトルだ。
未だ詳細な内容は発表されておらず,謎の多い両作。そこで4Gamerは,アークシステムワークスのブースへ突撃し,忙しそうな森 利道氏にすがり付いてインタビューを敢行した。本稿では,その模様をお伝えしていこう。
「アークシステムワークス」公式サイト
「メタルギア ライジング リベンジェンス」には森Pも注目
自社のタイトルでは「ダマスカスギヤ」がイチオシ!?
4Gamer:
突然のお願いにも関わらず,インタビューを快諾していただきありがとうございます。さっそくですが,今年のTGSの印象はいかがですか?
本音を言いますと,個人的にちょっと寂しいなと感じています。でも,タイトルで言うと「メタルギア ライジング リベンジェンス」には注目していますね。
4Gamer:
なるほど,「らしい」チョイスですね(笑)。
森氏:
やりたくてやりたくてしょうがない! 自由切断の映像を見て,「これこれ! これがやりたかったんだよ!」ってなりましたね。僕らが中学生や高校生くらいの頃にやりたいと思っていたことを,同作は見事に実現しているんですよ。あれは琴線に触れましたねぇ。
4Gamer:
同感です。
森氏:
銃で撃つゲームは多いですけど,あそこまでバッサバッサとぶった斬っていくゲームって,最近あまりないですよね。発売が楽しみで,久しぶりにキュンキュンしていますよ。
あと,僕は小島秀夫さんの大ファンなんですよ。「ZONE OF THE ENDERS HD EDITION」(PS3 / Xbox 360)のプレミアムパッケージもすでに予約しましたし! ADAが好きで,僕は彼女で初めて“機械萌え”という感情を理解しましたね。
4Gamer:
愛おしいですよね……って,なんでKONAMIさんのタイトルをアピールしているんですか! アークシステムワークスの話もお願いします!
今回は映像出展のみですが,「XBLAZE(仮)」と「月英学園」,そして「BLAZBLUE CHRONOPHANTASMA」と言っておくべきところなんでしょうけど……個人的には「ダマスカスギヤ」に注目してほしい(笑)。
4Gamer:
なんと,意外なタイトルが。
森氏:
これはソーシャル性を盛り込んだロボットゲームなんですが,僕,ああいうの大好きなんですよ……! うちの原っていうヤツ(原 浩氏)がディレクターをやってるんですけど,あいつが作るゲームって本当にマニアックなんです。ソーシャルゲームではありますが,ゲームとしての歯応えに期待できますね。自社タイトルでは久しぶりに「やりてぇ!」と思った作品です。僕のイチオシですね! ……正直,「BLAZBLUE CHRONOPHANTASMA」については,「ぶるふぇす」で大々的に推しまくったので,ファンには届いていると信じています(笑)。
「XBLAZE」は現代社会に近い“SF”
システム面でも面白い仕掛けを計画中
4Gamer:
それでは,「XBLAZE(仮)」についても話を聞かせてください。まず,本作はどういった経緯で開発が決定したタイトルなんでしょうか。
商業的な話をすると,アークシステムワークスとして格闘ゲーム以外のコンテンツも打ち出していくことにしたんです。そうなると,「BLAZBLUE」のストーリーモードなどで培ったノウハウを使い,アドベンチャーゲームを作るのが効率的だろうと。
「XBLAZE(仮)」は一応,僕が原案ということになっていますが,制作の要所は若いスタッフを中心にやらせたいタイトルですね。イラストレーターも社内の人間を起用します。アークシステムワークスは今後,格闘ゲームジャンルのみならず,さまざまなジャンルに挑戦し,ノウハウを蓄積し,チャレンジし続けていきたいと考えています。
4Gamer:
「BLAZBLUE」シリーズとのつながりは?
森氏:
BLAZBLUEの“蒼”の力は絡んできますね。まだあまり詳しいことは話せないんですけど……PVの最後あたりに注目してみてください。そこにヒントがあります。
4Gamer:
アドベンチャーゲームとしては,どういったところが特徴になるんでしょうか。
キャラクターに注目してください。デザインにはこだわりがあります。ストーリーはまぁ,僕が絡んでいるので割とシリアスな方向ですね。世界観は,現代社会に近い設定ではありますが,くくりとしてはSFです。
4Gamer:
システム的な特色についてはどうでしょうか。
森氏:
あるけど,まだ内緒(笑)。面白い仕掛けを盛り込む予定ですが,もしそれがプレイの苦痛になるようなら,躊躇なく抑えようとは考えています。
4Gamer:
森さんは「STEINS;GATE」とか大好きですよね。もしかしてああいう感じで,何度も繰り返しプレイして真相に辿り着くような……?
森氏:
めっちゃ好きですね!! でも,ああいったシステムにはなりません。「BLAZBLUE CALAMITY TRIGGER」でやって懲りたので(笑)。
4Gamer:
やはり,マルチエンディングなのでしょうか。
森氏:
女の子,いっぱいいるでしょ?。
ですよねー。冥ちゃん,俺の嫁として予約しておきます。シナリオが楽しみですねぇ。
森氏:
シナリオは「SATZ」に発注する予定なので,期待していてください。あかほりさとるさんの会社なので,期待を裏切らない出来になるはずですよ。
杉田智和さんの人生観が反映されている「月英学園」
ひねった中二ではなく,“ヒネた”中二が魅力!?
4Gamer:
それでは次に,「月英学園」について。こちらはどのような作品なのでしょう?
声優の杉田智和さんが原作の,学園伝奇アドベンチャーゲームです。元々同人誌や同人ゲームで展開していた作品なので,そちらである程度の世界観は知っていただけるのではないかと。
4Gamer:
そんな「月英学園」を,アークシステムワークスからリリースすることになったきっかけは?
森氏:
杉田さんは面白い発想を持っている方なので,前々から一緒に何かやってみたいと考えていたんです。そんな中,「月英学園」について相談を受けまして。アドベンチャーゲームなら,ちょうど「XBLAZE(仮)」のエンジンも作っていたところですし,だったらウチから出しましょうということになりました。
4Gamer:
「月英学園」という作品に対する森さんの印象は?
森氏:
“杉田ワールド”ですね。僕が言うのもなんだけど,中二だよ(笑)。
4Gamer:
中二皇子の森さんが断言するなら間違いない……ッ
森氏:
おい(笑)。ただ,一言に中二と言っても,杉田さんの人生観のようなものが色々と反映されていて,ひねった中二というか……“ヒネた”中二(笑)。でも,正直言って手応えは感じていますよ。杉田ワールドに共感してくれる人がどれだけいるか分かりませんが,場合によっては化けるんじゃないかと考えています。
4Gamer:
同人ゲーム版と比べると,どのような変更点が?
変更というか,全部作り直していますよ。もちろん世界観や基本的な設定は守っていますが。むしろここから「月英学園」が始まると考えてください。
4Gamer:
となると,やはりマルチエンディングですかね。
森氏:
もちろん個別エンドがあります。キャラクターについては同人版でたくさん出ていますしね。
4Gamer:
ちなみに,原作者である杉田さんの役割は?
森氏:
プロットと監修を担当してくれています。キャスティングについても相談しているところですよ。
4Gamer:
森さんから見て,ゲームクリエイターとしての杉田さんはどうですか?
真面目で芸術家肌。作品へのこだわり方が,ウチの石渡太輔に似ています(笑)。思っていることをハッキリ言いますね。
4Gamer:
一緒に仕事しやすいタイプですか?(笑)。
森氏:
トテモ シヤスイト オモイマス。
4Gamer:
ロボだこれ!
森氏:
冗談冗談(笑)。本音で,一緒にやっていてとにかく面白いですよ。声優としてではない杉田さんが見られる。ファンにも,作品からその辺を感じ取っていただけるのではないかと思っています。
4Gamer:
「月英学園」がどう生まれ変わるのか,楽しみにしています。
それでは最後に,両作品,そしてアークシステムワークスに期待しているファンへのメッセージをお願いします。
森氏:
アークシステムワークスは,来年で25周年を迎えます。それに向けて色々と動いていますので,「XBLAZE(仮)」「月英学園」だけでなく,「BLAZBLUE」シリーズを始めとする格闘ゲームや,そのほかの何かについても期待していてください!
4Gamer:
ありがとうございました!
- 関連タイトル:
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月英学園 -kou-
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(C) 杉田智和/ARC SYSTEM WORKS