インタビュー
[TGS 2012]GlassBoxは街のすべてをシミュレートする。「シムシティ」のリードプロデューサーKip Katsarelis氏インタビュー
「シムシティ」プロデューサー Kip Katsarelis氏。氏は「シムシティ4」でゲーム業界でのキャリアをスタートさせたとのことだ |
なお,Katsarelis氏はTGS 2012に参加しなかったため,インタビューは米国のサンフランシスコにあるMaxis StudioとTGS 2012の会場をSkypeで結ぶビデオ会議のような形で行われた。
――本日はよろしくお願いします。シムシティがTGS 2012に出展されないのは残念でした。Gamescomにプレイアブル出展されていたので期待していたのですが,なぜTGSには出展しなかったのでしょうか。
Katsarelis氏:
シムシティの開発が大詰めを迎えており,スタッフが開発スタジオを離れられませんでした。TGSに出展できなかったのは私達としても残念で,そのためにこのインタビューを用意してもらったのです。
――非常にお忙しそうですが,開発状況はどうなっているでしょうか。発売日に変更などありませんか。
Katsarelis氏:
開発自体はうまくいっており,予定通りの発売へ向けて頑張っています。
――それではゲーム内容について聞かせてください。今作ではマルチプレイが大きな新要素となっていますが,どれくらいの人数まで一緒にプレイできるのでしょうか。
Katsarelis氏:
マルチプレイの上限人数は現在検討中ですが,3人以上にはなるでしょう(笑)。なるべくこじんまりとして,和気藹々とした雰囲気を楽しんでもらいたいと思い,いろいろと試しています。
――マルチプレイ時,1つの地域にはいくつまで街が作れるのでしょうか。また,1人のプレイヤーが持てる街の数に制限はありますか。
Katsarelis氏:
1つの地域に街をいくつ作れるようにするかは現在検討中ですが,その制限内であれば,1人のプレイヤーが複数の街を持つのは問題ありません。
Katsarelis氏:
それでは,私とあなたの2人でマルチプレイを行っている,と仮定して説明しましょう。
あなたがオフラインになった場合,あなたの街は成長しませんし,災害などで荒廃してしまうこともありません。
ですが,私の街はあなたの街から生まれる資源を利用して成長できます。私の街があなたの街から電気や水の供給を受けているとしたら,あなたがオフラインのときでも電気や水は止まることなく私の街に来ますし,あなたの街から私の街にやってくる人によって,経済が動いていきます。
――1つの地域に複数の街を作って成長させる,というのはシングルプレイでも可能なようですが,マルチプレイならではのメリットは何でしょうか。
Katsarelis氏:
マルチプレイだと街の成長が早くなるので,国際空港を作るといったような大きなプロジェクトに向いています。また,地域の人口や汚染度といったステータスが判定されるという要素があるので,そういったステータスを変化させたいときは協力するといいでしょう。
「これをやったらどう反応するかな?」と,相手の様子をうかがいながらプレイするのも面白いのではないでしょうか。
――PC版とMac版のプレイヤーでマルチプレイはできますか。
Katsarelis氏:
PC版とMac版の内容に違いはありませんので,クロスプラットフォームでのマルチプレイが可能です。ランキングも共通のものになります。
――マルチプレイとともに本作の特徴となっているGlassBoxエンジンについて聞かせてください。すでに概要を紹介するムービーなどが公開されているのですが,ゲームでは具体的にどんなところが変わるのでしょうか。
Katsarelis氏:
GlassBoxはゲーム内のすべてをシミュレートしているとてもパワフルなエンジンで,短い時間ではとても語りつくせないのですが,これまでとの違いが分かる例を挙げましょう。
GlassBoxでは,1人1人のシムがどこに住み,どこで働き,どこへ買い物に行くかといったところまでシミュレーションしています。その証拠に,シムをクリックすれば,名前や住所といったプロフィールが分かるようになっています。
ビルに灯る明かりの数が建物内にいるシムの数によって決まるなど,かなり現実に近いシミュレーションができるようになりました。街全体において,ミクロ的なシミュレーションとマクロ的なシミュレーションを行えるのがGlassBoxなのです。
――シムそれぞれに名前があるとのことですが,どうやって名前が付けられるのでしょうか。同じ名前のシムがいたりしませんか。
Katsarelis氏:
膨大なリストから名字と名前を組み合わせて名前を作るシステムがあります。これまで開発してきて,同じ名前のシムを発見したことはないですね。
ちなみに,家族はもちろん同じ名字になりますし,犯罪者にはそれっぽいミドルネームが付いていたりするんです。
――家族の概念があるということは,シム同士が結婚したりするのでしょうか。
Katsarelis氏:
残念ながら今回はそこまでのシミュレーションは行っていません。ですが,年齢の概念はあって,それぞれに特徴的な行動をするようになっています。
シム同士の結婚をプレイしたいという方には,ザ・シムズシリーズがおすすめですね(笑)。
――さきほど犯罪者の話がありましたが,犯罪の種類にはどんなものがあるのでしょうか。
Katsarelis氏:
街の落書きやギャングによる襲撃のほか,もっと大規模なものも用意しています。
ちなみに,さきほど話した電気や水の例と同じように,あなたの街にいる犯罪者はオフライン時にほかの街へ出て行って悪さをするので,厳しく取り締まった方がいいでしょう(笑)。
――前作では1900年代から始まって,近未来まで時代が進んでいったと思いますが,今作に時代の概念はありますか。
Katsarelis氏:
今回は1940年代からはじまって,前作同様に少し先の未来までプレイできるようになっています。
――これまでのシリーズ作品では時間の進み方を自分で調整できましたが,ほかのプレイヤーも関わるマルチプレイのときに,調整は可能なのでしょうか。
Katsarelis氏:
マルチプレイのときは,自分の街とほかの街では必ずしも時代が一致しないというシステムになっています。なので,時間の進み方を調整して,自分の好きなペースでプレイ可能です。
――特徴的な景観の街を作ることは可能でしょうか。
Katsarelis氏:
街の個性を表現するというのが今作の大きな要素になっています。例えば大企業が集まる経済都市,大学がある学術都市といった具合ですが,それによって街の景観も大きく変わります。
――景観というと,シムシティではおなじみのランドマークがありますが,日本独自のランドマークがDLCで用意されるといった予定はありますか。
Katsarelis氏:
今はゲーム本編の開発に集中しているので,DLCについては何もない状態ですね。
ランドマークはシムシティにとって重要なものなのでいずれ出したいと思っていますし,日本にシムシティファンが多いことも知っていますが,今はなんとも言えないところです。
――現在,日本ではエネルギー政策の転換が話題になっています。シムシティでのエネルギー獲得方法にはどのようなものがありますか。
Katsarelis氏:
シムシティは現実世界のエネルギー政策を反映させるべく,これまでの作品で太陽発電所や風力発電所を取り入れてきました。もちろん原子力や火力発電所も使用可能です。
今作のマルチプレイでは,フレンドと協力して大規模なソーラーファームを作るのもいいでしょうし,原子力発電に特化した街を作ってほかの街へ電気を売る,というのも1つのやり方になるでしょう。
――最後に,Katsarelisさんが考える理想の街はどんなものか聞かせてください。
Katsarelis氏:
ラスベガスのようなギャンブルシティでしょうか(笑)。シムシティのテストプレイでもそんな街を作っていて,お金も生むけど犯罪者も生むという感じです。見た目もすごくかっこいいんですよ。
「シムシティ」公式サイト
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