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[Gamescom]一般向けでは初となる「SimCity」のプレイアブル展示。予想を超える面白さに,傑作の予感
今回プレイできたのは,チュートリアルからゲームの序盤部分までで,画面には「プレα」の文字が確認できた。まだα版以前だということで,開発の進捗状況が気になるところだ。
プレイが始まると,目の前に広がる街,MaxisvilleだかMaxistownだかで,住民が自分達の街の現状を気にしているのが分かる。市庁舎の前にプラカードを持った人々が集まり,口々に何かを訴えているのだ。
市庁舎の上に表示されたアイコンをクリックすると,彼らの主張は,街と幹線道路がつながっておらず,観光客にせよ労働者にせよ,誰も街へやって来ないので困る,というものだと判明する。というわけで,道路を建設するのがプレイヤーの最初の使命だ。これは,下に並んだアイコンから所定のものを選び,マウスをドラッグするだけという簡単なお仕事。作業は簡単だが,市民達は大喜びで,これからも市長として頑張ってほしいと応援してくれた。
ちなみに,彼らの話によると,たとえ世界にこの街1つしかないとしても,道路がつながっていればなぜか外から人々がやってくるとのこと。
このようにして,人々の不満を聞き,それに応えていくのがチュートリアルのざっとした流れだ。道路の次には,住民の数が増えないので住宅地を整備してほしいとの要望が寄せられた。住宅地と言っても,家を1軒1軒いちいち置く必要はなく,宅地を整備するだけで,あとは勝手に作業用トラックがやってきて家を建築し,「売り家」の看板が立ち,やがて人々が住み始めるという感じになっている。
人が増えれば,エネルギーの確保が重要になる。というわけで,火力発電所を建てようかとなるわけだが,チュートリアルでは,休眠状態となっている発電所のスイッチを入れるだけだった。スイッチを入れると,ビルや家々の窓に明かりが灯る。言い忘れていたが,このエネルギー確保のチュートリアルでは時間が夜に設定されているので,大変美しい。「100万ドルの夜景」で有名な香港のような街が作れると面白いんじゃないかという気がしてくる。マップを切り替えると,電力の流れる様子が表示されるが,オリジナル版「SimCity」のように発電所から住宅地に電線をひっぱってくる必要はなく,施設を建設するだけで一定の範囲にエネルギーが供給される仕組みのようだ。ただ,隣の街から電力を供給してもらうときなどは,送電線を立てる必要がある。
続いては,上水施設を作って飲み水を確保したり,増え始めたゴミに対処すべくゴミ処理場を建設したりすることになる。上水施設を建てるのは,やはり地下水が豊富に手に入る場所がいい。マップを切り替えると,街の地下資源が表示されるので,それを見ながら適切な所に施設を置こう。
ゴミ処理場は,初期状態だとそれほど能力が高くないので,そういった場合は建て増しを行う。ここではガレージをもう一棟増やすと,ゴミ処理車の数が増え,結果として処理能力が高くなる。このようなカスタマイズは,ほとんどの施設で行うことができるようだ。
……とかなんとかやっていたら,住宅地で火災が発生。このまま放っておくと近隣の住宅に延焼して,大きな被害がでてしまうので,消防署を設置する。消防署は管轄の範囲を持っており,その中で火災などが発生すると自動的に消火活動を開始するという。その説明どおり,火災警報が鳴り響き,それに応えて消防車がサイレンを鳴らして出動し,現場に到着した消防士が放水を開始した。
2012年4月20日に掲載した記事でも紹介したように,SimCityのグラフィックスには「チルトシフト」の技法が使われており,ミニチュア感をことさら強調したものになっている。そんな世界で小さな消防車が走り,小さな消防士が大活躍する光景は,黙って見ているだけでも楽しい。
かくして,街はゆっくりと成長を続ける。工場地帯には薄い煙がたなびき,道路には車が走る。MaxisvilleだかMaxistownだかの発展は,これからが本番だ。新米市長だが,住民の幸せのためにがんばるぞ……と思っていたら,いきなり隕石落下。街炎上。なにそれ。って,実はこれ,所定の時間が来たことによるデモプレイ終了のこじゃれた演出というわけなのだが,ちょっと驚いた。
こうやって文章で書くと素っ気ないかもしれないが,グラフィックスや「ああすればこうなる」というレスポンスの良さ,住民の反応など,全体として予想を超えた面白さで,聞いた範囲ではメディアの反応も良好だ。傑作だったオリジナルの雰囲気を残しつつ,現代風にアレンジされたSimCityは,個人的に,かなりの良作になりそうな予感がする。
まず開発の進捗状況について。前述のようにデモ版が「プレα」となっていて,ちょっと心配な気がしたが,Berry氏によれば「問題なく,順調」とのこと。スケジュールに従って作業は進んでおり,今後さらに多数のコンテンツを追加してテストを行い,完成度を高めていくそうである。EAのカンファレンスでも発表されたように,クローズドβテストの実施も明らかになっており(日本で行われるかは不明),2013年2月の発売は期待してもよさそうだ。
マルチプレイにフォーカスした作品としてアピールされることの多いSimCityだが,やはり「1人でちまちま遊んでみたい」という人も多いはず。その点について質問してみると,ソロプレイでも十分に楽しめる例を挙げてくれた。
プレイヤーがゲームを始めるときには,リージョン(地域)の設定をすることになる。リージョンには複数の街が建設でき,そこにフレンドを招くことも可能になっているのだが,フレンドの役回りを自分でやってしまってもいいとのこと。
例えば,自分の作った居住空間に配慮したレジデントな街と,フレンドの作った工場の建ち並ぶインダストリアルな街,またはカジノやスタジアム満載の娯楽の街などが協力すれば,よりスピーディな発展が期待できるわけだが,それらの街作りをすべて自分でやっても,もちろん構わないというわけだ。
もちろん,自分のリージョンを誰でも参加可能に設定することもでき,それはそれでカオティックな雰囲気となって面白そうではある。
シナリオなどは用意されているのかと聞いたところ,それはとくになく,また,例えば「100万都市を作る」などの目標もとくには用意されないという。ただ,状況によっては,「しなくてはならないこと」が発生し,それがミッションといえばミッションに相当するかもしれないとのこと。自由度がかなり高いゲームであることは間違いない。
PlayStation 3版やXbox 360版などについては,現段階では考えていないとBerry氏はいう。今はPC版と,発表されたばかりのMac版に開発のリソースを注いでいるところで,たとえコンシューマ機版をやるにしても,先のことになるそうだ。最初にPC版を選んだのは,これはもうSimCityの伝統のようなものであり,PCゲーマーのファンも多いことが理由と語ってくれた。
ただし,本作のゲームエンジンである「GlassBox」はもともとマルチプラットフォームを視野に入れたものなので,コンシューマ機への移植は難しくないとBerry氏は考えているようだ。
そのGlassBoxについては,開発者のAndrew Willmott氏らが「GDC 2012」で,「SimCityだけでなく,さまざまなタイプのゲームに使用できる」と語っていた。そこで,ほかのメーカーへの提供もあり得るのかとBerry氏に聞いてみたところ「ライセンス供与するつもりはない」という回答。GlassBoxはWillmott氏が1人で長期間の開発を続けてきたユニークなゲームエンジンであり,Maxisにとって重要な財産であるという。
最後に,これまで多数の都市建設シムがリリースされてきたが,今回のSimCityの最大の特徴はどこか? と質問したところ, Berry氏は「基本的に,シミュレーションゲームであるところ」と答えた。SimCityは,住民や公共施設,貿易や経済,娯楽や福利厚生,環境破壊といった多数の要素を含むゲームであり,内側ではリアルな都市のシミュレーションが行われている。
しかし,シミュレーションの結果をそのままの形ではなく,ユーモアのオブラートに包んで表現したのがSimCityというわけだ。誇張したところや,あり得ないようなところもあるが,シミュレーションを基礎に置いているところが,最大のセールスポイントというわけである。
誰もが知る不朽の名作と同じ名前を持ったゲームを作ることについて,「もちろん緊張しているし,ミスは許されない。だが,それと同時に大いにやりがいを感じている」と語るBerry氏。
最後に,日本のプレイヤーに対し「日本に多くのシムシティシリーズのファンがいることや,我々の新作に期待してもらっていることは,よく知っています。期待に応える作品にしますので,ぜひプレイしてください」とコメントしてくれた。今後のプロモーションスケジュールについては,順次発表されていくはずなので,続報を楽しみに待とう。
「シムシティ」公式サイト
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