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[GDC 2012]果たしてDLCは売れているのか。マーケットリサーチ会社によるDLC市場の実情レポート
Schlichter氏は最初に,今回発表するデータのバックグラウンドを説明した。対象となっているDLCは,2007年から2011年までに配信された350種類で,これにはアイテムを追加するような規模の小さいものから,マップや新たなゲームモードを追加する大型の拡張データまでが含まれている。
次にSchlichter氏が紹介したのは,DLC市場の全体の規模感だ。2011年は全体で約13億ドルものDLCが売れ,Schlichter氏が調査を始めた2007年から2011年12月までの総売上は約25億ドル。そして,2016年には年間で約25億ドルの売上を記録するという予想が紹介された。
続いて説明されたのは,DLCの価格と購入率の関係について。安いほうが売れると思われがちだが,実際に購入されているのは比較的高めのものであり,購入率が30%を超えたDLCの平均価格は10.15ドルとなっている。
また,ゲームの評価とDLC購入率の関係を示したグラフも公開された。なお,ゲームの評価はMetacriticスコアが使われており,スコアが高いほど,DLCの購入率が上がっている。購入率が30%以上の項目のスコアが84と若干下がっているが,これはレースゲームなど,熱狂的なファンがついているゲームによる影響とのこと。
そして次に紹介されたのは,Metacriticスコア別のDLCの売上だ。スコアの高さに比例して,DLCの売上が上がっているのが分かる。Metacriticスコアが高い=ゲームの完成度が高いと言い切れるわけではないが,評判の良いゲームのDLCのほうが売れやすいと言っていいだろう。
また,Metacriticスコアが高いゲームは,DLCを複数出しても売れるという結果も出ている。上のグラフがそれだ。Metacriticスコアが70点以下のゲームの場合,3個のDLCはほとんど売れていないが,86点以上のタイトルは5個目のDLCもそこそこ売れている。
では,DLCの発売のタイミングによって購入率に差はあるのだろうか。下のグラフを見る限りはあまりないといえるが,本体となるゲームの発売後120日を過ぎると,購入率が下がるとSchlichter氏は説明した。売上にもタイミングは影響しており,60日〜89日後までに出たDLCが売れている。ちなみに,210日〜239日後,270日〜299日後に発売されたDLCが売れているように見えるが,これはいわゆるビッグタイトルのDLCがこのあたりに発売されたからとのこと。
最後にSchlichter氏は「良いゲームを作れ」「なるべく早く作れ」「多く作ればそれだけお金になる」という結論を導き出した。当たり前のことだが,こうやってデータを見せられたあとだと説得力がある。
良いものが売れ,良くないものが売れないという,もの凄く真っ当で,もの凄く正常な市場が形成されているということだが,今回のデータはアメリカに限られたものだ。日本でも同じような市場が形成されているのだろうか。
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