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【PR】これは買いだ。サイコムのGPU&CPU簡易液冷ゲームPC「G-Master Hydro」は,スペックからは考えられない静かさが魅力
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印刷2019/04/20 12:00

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【PR】これは買いだ。サイコムのGPU&CPU簡易液冷ゲームPC「G-Master Hydro」は,スペックからは考えられない静かさが魅力

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 4Gamerだとこれまであまり取り上げてこなかったが,サイコムは,ゲームPC本体の市場において,特異なスタンスを取り続けてきたメーカーだ。システムビルダー系ゲームPCブランドだと,「大手メーカーと対抗すべく,コストパフォーマンスで勝負」というところが多いなか,サイコムのゲーマー向けPCブランドであるG-Master(Gマスター)は,低コスト化に見向きもせず,独自の価値を追求している。

 今回取り上げる「G-Master Hydro Z390 II」も,GPUとCPUの両方に簡易液冷クーラーを搭載するという,サイコムらしいマシンになっているわけだが,さて,それはPCゲーマーにどういうメリットをもたらすのだろうか。テストしていきたい。

G-Master Hydro Z390 II
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※本稿ではゲームプレイによる評価をライターのBRZRK氏,ベンチマークによる評価をライターの宮崎真一氏,それ以外をライターの賈 大龍氏が担当します。


サイコム独自開発の簡易液冷クーラーと堅牢なPCケースが光るハードウェア


 G-Master Hydro Z390 IIで最大の特徴となっている「デュアル簡易液冷」だが,採用するのはいずれもPC用液冷クーラーの市場で大きなシェアを持つAsetek(アセテック)製品となっている。

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GeForce RTX 20シリーズを搭載する,サイコム独自の簡易液冷版グラフィックスカード(※見本)。Asetekの「740GN」というOEM用モデルがベースである
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こちらはCPU用の簡易液冷クーラー。Asetekの「650LS」という,120mmラジエータがセットになったモデルがベースだ。光る「Sycom」ロゴ入りとなっている

 とくに注目したいのは,世界でもいち早く実現した「GeForce RTX 20シリーズの簡易液冷化」だが,サイコムによると,NVIDIAのAIC(Add In Card)パートナーである大手カードメーカー側で簡易液冷クーラーの市場投入が遅れた背景には,GeForce RTX 20シリーズでクーラー用ネジ穴の配置が従来から変わったという事実があるのだという。いわく,Asetekが簡易液冷クーラーのオプションとして用意している「Kepler世代以降のグラフィックスカードに対応する,簡易液冷クーラー固定用リテンションキット」を使えなくなったのだそうだ。

外排気仕様となっているクーラーの側面から2本のホースが“生える”仕様は,大手AICパートナー製のグラフィックスカードと基本的に同じだ
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GPUクーラーのカバーを外したところ。ポンプ兼水枕ユニットと基板の間にある,写真で長方形に見える金属板がリテンションキットである
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 リテンションキット自体は単なる金属板でしかない。なので「Asetekから購入したあとで金属板を貼り替えればいいんじゃないの?」と思った読者もいると思うが,そこに,簡易液冷クーラーならではのハードルがある。
 リテンションキットはGPUと触れる水枕部分と一体化した,メンテナンスフリーの状態でAsetekから出荷される仕様になっており,出荷後に何も考えずリテンションキットを外すと,冷却液漏れが発生してしまうのだ。

リテンションキット単体。GeForce RTX 2080シリーズ用をまず開発したところ,下位シリーズではネジ穴の配置がさらに異なることが分かり,そちらも新規開発することになったとのことである
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 その作業をグラフィックスカード組み立て工程に組み込もうとすると,液漏れを防ぐ設備や人員を用意する必要があり,コストもかかりすぎる。そこでAICパートナー各社はAsetek側のリテンションキット改良を待つことになり,それが簡易液冷モデルの遅れにつながったわけだが,サイコムはPC関連の金属加工で実績豊富な長尾製作所に,GeForce RTX 20シリーズ専用のリテンションキットを発注し,さらに自前で「リテンションキット貼り替え」を断行。それにより,どこよりも早いGeForce RTX 20シリーズの簡易液冷化を実現したという。

実際に長尾製作所製リテンションキットを取り付けた状態。元のAsetek製リテンションキットを取り外して,こちらに付け直すのが手間なのだが,サイコムはそれを自力で実現した。ちなみにリファレンス仕様のカード自体は大手製造メーカーであるPC Partnerから調達しているそうだ
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電源ボタンスイッチやリセットボタンスイッチ,USB 3.2 Gen 1(=USB 3.0) Type-A×2,USB 2.0 Type-A×2,ヘッドフォン出力およびマイク入力用3.5mmミニピン×2は本体天面前寄りに並ぶ
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 そんなデュアル簡易液冷クーラーを組み込んでいるPCケースも,G-Master Hydro Z390 IIを語るうえでは外せない。というのも本機は,世界の自作PC市場で定評あるPCケース「Define R6」(ディファインR6)を採用するからだ。

 Fractal Design(フラクタルデザイン)製となるDefine R6は本体カラーとして黒もしくは白を,左側面パネルは内部を覗けるクリアガラスか,右側面パネルと同じ無地のものから選択できる。今回入手した個体はある意味で最も派手な「白+クリアガラス」仕様だが,無難な黒がいいとか,そもそも中を覗けるようにはしたくないとかいった場合にはBTOオプションで調整できるわけである。

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本体正面向かって右前側から見たところ。左側面を無地パネルにした場合,左側からの見た目もこれに近いものとなる
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右側面パネルの内側には防音シート付き。左側面を無地パネルにすると,やはり内側は防音シート付きになるので,静かさ重視なら無地化もアリだ

 そしてこのDefine R6,大きめのインシュレータ込みでサイズは233(W)×543(D)×465(H)mm(※突起部除く)という,一般的なミドルタワーサイズながら,メンテナンス性と拡張性が非常に高い。

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 G-Master Hydro Z390 IIの場合,本体前面および底面から吸気し,天面および背面から排気するという標準的な仕様だが,前面の防塵フィルターへアクセスするための前面扉は,標準だと左開きながら,2か所のストッパーを入れ替えるだけで右開きへと簡単に変更可能。左側面をガラスパネルにした場合,本体はユーザーから見て右へ置くことが多くなるはずなので,ここを変更できるのは地味にポイントが高いと言えるだろう。

標準では左開きだが,蝶番(ちょうつがい)部分のパーツを左右入れ替えることで右開きにすることができる
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前面の防塵フィルターを取り外したところ。フィルターは水洗いできる
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こちらは本体底面。防塵フィルターはレールによる固定式なのが分かる
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写真右端の取っ手を使って実際に底面の防塵フィルターを取り外した例

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本体底面部は防塵フィルター付きのスリットになっている。空気は本体斜め後ろへ排気される仕様
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底面吸気のため,インシュレータは大きめ
 また,普通に使う分には手を触れなくていいのだが,将来的にCPUクーラーを大型の簡易液冷モデルへ交換したい,本格液冷を始めたいということになったとき,そのニーズに応えられる仕様なのも押さえておきたい。Difine R6の前面ファンステイには120/240/360mmサイズもしくは140/280mmサイズの液冷ラジエータ,天面ファンステイには標準で120/240/360mmサイズの液冷ラジエータ,天面ファンステイ部を取り外せば140/280/420mmサイズの液冷ラジエータを取り付け可能だ。

 しかも,天面ファンステイを外してしまえば液冷ラジエータとファンを筐体外へ引き出せるようになるため,ユーザー側で固定方法を編み出せるのであれば,さらに高い冷却効率を狙うことも可能になる。

本体背面のプッシュ式ボタンを押すと,天面部のフィルターを取り外せる(左)。右は天面部のファンステイを覗き込んだところだ。写真で見えるファンステイ部そのものも取り外しが可能で,その場合,天面部には大きな開口部が生まれ,さまざまな冷却オプションを選択可能になる。将来にわたって十分な冷却面の拡張性があるわけだ
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手回しビス×2を外すと側面パネルを開けられる。Define R6の組み付けはしっかりしており,脱着は極めて容易である
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ロゴ入りカードステイを脱落防止用として採用している
 冷却面以外もチェックしていこう。
 本体正面向かって左側面のパネルを開けると,拡張スロット群へアクセスできる。G-Master Hydro Z390 IIだと,「GeForce RTX 2080 Ti」「GeForce RTX 2080」を選択した場合はCARDKEEPER製のカードステイ「CK08-1225」が,「GeForce RTX 2070」(以下,RTX 2070)を選択した場合はサイコム独自のカードステイが付属するというのがトピックだろう。今回入手したのはRTX 2070搭載モデルなので,Sycomロゴ入りのステイが標準装備になっていた。

 そして,このカードホルダーがPCI Express x1スロットを覆うため,採用するASRock製マザーボード「Z390 Extreme4」のうち,利用できる拡張スロットはx16スロットのPCI Express Gen.3 x4と切り欠き付きx1スロットのPCI Express Gen.3 x1が各1となる(※金属シールド付きx16スロットはマルチグラフィックスカード用で,グラフィックスカード1枚構成の場合は基本的に使うべきでない)。

左側面パネルを外した状態の本体左側面。利用可能な拡張スロットは2基という理解でいい
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 PCI Express Gen.3 x4もしくはSerial ATA 6Gbps対応となるM.2スロットは2基で,いずれもType 22110までの対応。BTO標準構成の場合,チップセットに近いほうにADATA Technology製のPCI Express Gen.3 x4接続型SSD「XPG SX8200 Pro」の容量512GBモデルが差さっている。容量,あるいはセカンダリなどのストレージはBTOで調整可能だ。

チップセットに近いほうのM.2スロットは大きなヒートシンク付き。その下にXPG SX8200 Proが差してあった
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本体右側面パネルを開いた状態で正面から
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 Define R6の右側面パネルを開けると,Serial ATA 6Gbps接続のドライブ型ストレージを搭載できるようになる。マザーボードトレイの背面側に2.5インチ専用のものが2基,前面ファンとマザーボードトレイの間にある隙間のところに2.5インチ,3.5インチ両対応のものが6基あり,後者は最大10か所から自由に配置場所を選べる仕様である。3.5インチHDDを取り付けるなら,ファンの風が直接当たる上位4段を使うといいだろう。

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マザーボードトレイ背面にある2.5インチストレージ用トレイ×2
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2.5インチ,3.5インチ両対応のストレージ用トレイ。1つずつ取り外せる

ここまでの写真で気付いた人も多いと思うが,LEDテープ2本が標準で貼り付けてある
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 なお,ここまであえて触れてこなかったが,G-Master Hydro Z390 IIでは標準で2本のLEDテープ(LEDストラップ)が付属しており,付属のリモコンから光り方や色をカスタマイズできる。
 ただし,付属のリモコンで調整できるのはあくまでもLEDテープの色のみだ。マザーボード側,そして簡易液冷CPUクーラー側にあるLEDイルミネーションの色は,マザーボードのUEFI(=BIOS)側にあるLED制御メニューから調整することになる。

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2か所あるLEDテープの片方,消灯状態
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標準で付属するLEDテープ用リモコン
Z390 Extreme4のUEFIからは,LEDイルミネーション制御機能「Polychrome RGB」を利用可能。LEDの部位ごとに,消灯,常時点灯のほかに6種類の光り方を選択できる。常時点灯や明滅などでは約1677万色から色も指定可能だ
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 工場出荷時点でASRock製マザーボード専用のユーティリティソフトウェア各種は一切インストールされていない(ため,Windows側からだとLEDの調整を行えない)が,これはシステムの安定性を最大限重視して,「余計な」アプリケーションを入れないというポリシーによるものだそうだ。実際,中級者以上の自作系PCゲーマーだと,この手のアプリケーションを嫌う人も多いので,この判断は悪くないだろう。
 もちろん,ユーザーが自分でASRockのサポートページからダウンロードして導入することはできる。


バトロワをフルHDで文句なく快適にプレイできる3D性能。ステレオサウンドの出力も良好


 ここであらためて入手したG-Master Hydro Z390 IIのスペックを以下のとおり確認しておこう。ほとんどの構成要素はBTOによるカスタマイズが可能なので,BTO構成価格はあくまでも4Gamerで入手した個体のものだということに注意してほしい。

●入手したG-Master Hydro Z390 IIの主なスペック
  • CPU:Core i7-9700K(8C8T,定格クロック3.6GHz,最大クロック4.9Hz,共有L3キャッシュ容量12MB,TDP 95W)
  • マザーボード:ASRock「Z390 Extreme4」(Intel Z390,ATX)
  • メインメモリ:PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×2
  • グラフィックスカード:サイコムオリジナルGeForce RTX 2070カード(グラフィックスメモリ容量8GB)
  • ストレージ:SSD(容量512GB,NVM Express/PCI Express x4接続,ADATA Technology「XPG SX8200 Pro」(ASX8200PNP-1TT-C))
  • 有線LANコントローラ:1000BASE-T(Intel「I219-V」)
  • 無線LANコントローラ:非搭載
  • サウンドコントローラ:HD Audio CODEC(Realtek Semiconductor「ALC1220」)
  • 電源ユニット:定格750W(SilverStone Technology「SilverStone SST-ST75F-GS V2」)
  • 外部インタフェース(グラフィックスカード側):DisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b Type A×1,Dual-Link DVI-D×1
  • 外部インタフェース(マザーボードI/Oポート側):HDMI Type A×1(※カバー取り付け済み),Dual-Link DVI-D×1(※カバー取り付け済み),アナログRGB(D-Sub 15ピン ※カバー取り付け済み),PS/2×1,USB 3.2 Gen2 Type-C×1,USB 3.2 Gen2 Type-A×1,USB 3.2 Gen1 Type-A×4,3.5mmミニピン×5(※アナログ7.1chサラウンド出力およびマイク/ライン入力用),光角形×1(※光デジタル出力,DTS Connect対応)
  • 外部インタフェース(PCケース前面ポート側):USB 3.2 Gen2 Type-A×2,USB 2.0 Type-A×2,3.5mmミニピン×2(※ヘッドフォン出力およびマイク入力用)
  • 公称サイズ:233(W)×543(D)×465(H)mm(※突起部除く)
  • 公称重量:未公開
  • OS:64bit版Windows 10 Home
  • BTO構成価格:29万5550円(税込)

 つまり今回は,簡易液冷版RTX 2070と簡易液冷版「Core i7-9700K」(以下,i7-9700K)搭載のデスクトップPCでどれだけのゲーム性能が得られるかを見ていくことになるわけだが,まずは筆者(=BRZRK)が実際にゲームをプレイしたインプレッションからお伝えしていきたい。

 今回は解像度1920×1080ドット,垂直リフレッシュレート240Hz対応のゲーマー向けディスプレイと組み合わせ,「Apex Legends」および「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)で,「据え置き型ゲーム機版と比べて高いグラフィックス品質で,ざっくり100fps超級のフレームレートを維持」を目指すことにした。

テスト中のBRZRK氏
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 まずはApex Legendsからだ。Apex Legends側のグラフィックス設定で解像度を1920×1080ドットに指定し,垂直同期を無効化している。
 ゲーム側の細かな描画関連はスポットシャドウディテールのみ「高」,ラグドールは「中」に。それ以外の項目は設定できる最も高い設定とする。

 この設定でプレイしてみたところ,プレイヤーが降下するところのフレームレートは100fps超級が得られた。序盤のアイテム漁り中には何度か90fps台まで落ちたものの,敵プレイヤーとの交戦中にもフレームレートは安定して3桁を維持できる。
 もちろん,「垂直リフレッシュレート240Hz環境を活かす」という観点ではさらにグラフィックス設定を下げるのもアリだろう。ただ現実問題として,Apex Legendsの場合,100fps超級の最小フレームレートを維持できていればゲームプレイに大きな不満は出ないため,今回は前述のとおり,「バトロワで,美しいグラフィックスで,100fps」を狙った次第である。

 あくまでも参考ながら,実際に上記の設定でApex Legendsをプレイしたムービーを下のとおり用意してみたので,チェックしてみてもらえればと思う。


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 一方のPUBGでは,ひとまず「ウルトラ」プリセットを選択のうえ,描画負荷に大きく影響する「ポストプロセス」「シャドウクオリティ」「植生」を「高」まで一段落とすという,かなり高めのグラフィックス設定をあえて行ってみた。だが,この状態でも,おおむね3桁台のフレームレートを維持できている。
 よく知られているとおり,PUBGはそれでもフレームレートが急激に落ちることがあるのだが,その場合でも70fps超級は確保できていたので,「たまにフレームレートの落差を覚える」程度で済む。このあたりはRTX 2070を搭載する効果が出ていると言えるだろう。もちろん,速度重視ではじめから「高」以下のプリセットを選ぶというのも手だ。

本体背面。音質を考えるに,アナログ接続型ヘッドセットやヘッドフォンをつなぐときは必ず本体背面側の3.5mmミニピン端子を使うよう心がけたい
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 なお,G-Master Hydro Z390 IIのオンボードサウンドはRealtek Semiconductor製のHD Audio CODEC「ALC1220」ベース。CODECレベルで120dBという高いS/N比を実現していることもあり,背面インタフェースを使ったヘッドフォン出力の品質は非常にクリアだ。
 いい意味で「個性のない2chステレオ」が得られるため,少なくともFPSやTPSで,情報としての音をステレオで聞き分ける目的,言い換えると,左右どちらの方向で音が鳴っているかを聞き分けるという目的において,G-Master Hydro Z390 IIのヘッドフォン出力品質は期待に十分応えてくれるだろう。

Realtek Audio Consoleからはバーチャルサラウンドの有効/無効を一応行える
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 もっとも,ハードウェアレベルだとバーチャルサラウンドヘッドフォン出力には対応していない。正確に言えば,プリインストールのドライバソフトウェア「Realtek Audio Console」からはバーチャルサラウンドの有効/無効切り換えが可能だが,ほとんど効果はなかったりする。
 バーチャルサラウンドヘッドフォン出力を利用したいのであれば,WindowsストアからDolby Atmosを購入したり,USB接続型のバーチャルサラウンド出力対応ヘッドセットを別途用意したりしたほうがいいだろう。


GPUを空冷に変更した状態,そして約3年前のハイエンドゲームPCと性能を比較


 続いてはベンチマークである。G-Master Hydro Z390 IIの性能を検証するにあたって,今回は比較対象を2つ用意することにした。
 1つはG-Master Hydro Z390 IIのグラフィックスカードをRTX 2070のFounders Editionに載せ替えるというもので,簡易液冷と空冷でどのような違いが出るのかを見ることになる。なお,RTX 2070 Founders Editionはクロックアップモデルとなるため,テストにあたっては,MSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.0)を用い,リファレンス相当にまでブーストクロックを下げている。

 もう1つは,CPUに「Core i7-6700K」,GPUに「GeForce GTX 980」(以下,GTX 980)を組み合わせたデスクトップPCで,約3年前のゲーマー向けハイエンドモデルを想定したものになる。つまり,3年前のハイエンドゲームPCからRTX 2070搭載版G-Master Hydro Z390 IIへ買い替えたときに,どれくらいの性能向上が望めるかを見てみようというわけである。
 テストに用いたグラフィックスドライバは,テスト開始時点の最新版となる「GeForce 425.31 Driver」で統一。また,OSとして用いる64bit版Windows 10の「電源プラン」は,とくに断りがない限り,最高性能が発揮できるように「高パフォーマンス」とした。

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 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション22.1準拠。テスト解像度は,NVIDIAがRTX 2070を2560×1440ドット環境でのゲームプレイ向けと位置づけているため,今回はそれに3840×2160ドットと1920×1080ドットの2条件を加えた3パターンとした。

 また,PC本体の評価なので,CPUベースで3Dのレンダリングを実行する「CINEBENCH R15」(Release 15.038)とPC総合ベンチマークソフト「PCMark 8」(Version 2.10.901),そして動画のトランスコードテスト「FFmpeg」(Version 4.1.1)でのテストも実施することにしている。これらのテストをどのように実施したかは考察の直前でそれぞれ紹介したい。


簡易液冷クーラーには性能面でのメリットあり。3年前のハイエンドPCと比較すれば倍近い性能を実現


 以下,文中とグラフ中ともに,G-Master Hydro Z390 IIでグラフィックスカードのみリファレンス相当のブーストクロックで動作するRTX 2070 Founders Editionへ置き換えたものを「i7-9700K+RTX 2070」,3年前のハイエンドPC相当を「i7-6700K+GTX 980」と表記することをお断りしつつ,「3DMark」(Version 2.8.6546)の結果から順にテスト結果を見ていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。
 G-Master Hydro Z390 IIは,i7-9700K+RTX 2070と比べて約1%高いスコアを示している。同じGPUを搭載し,同じブーストクロック設定になっているにも関わらずスコア差が出ている以上,簡易液冷クーラーは性能面で若干ながらメリットをもたらしている可能性があると言えるだろう。結論はほかのテストも踏まえて下したい。
 また,3年前のハイエンドゲームPCを想定したi7-6700K+GTX 980に対しては71〜76%程度高いスコアを示しており,世代の違いを感じさせてくれている。

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 Fire Strikeの総合スコアからGPUテストである「Graphics test」のスコアを抜き出したものがグラフ2だが,結果は総合スコアを踏襲しており,G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070のスコア差は約1%になった。上で可能性について言及したが,これを見る限り,総合スコアの違いは簡易液冷クーラーがもたらした可能性がいよいよ高そうである。
 i7-6700K+GTX 980とのスコア差が68〜70%程度ある点も押さえておきたい。

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 続いてグラフ3は同じくFire Strikeから事実上のCPUテストである「Physics test」のスコアを抜き出したものになる。
 G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070ではCPUもCPUクーラーも同じなので,当然のことながらスコアは横並び。G-Master Hydro Z390 IIがi7-6700K+GTX 980対して約49%高いスコア差を付けているのが目を惹くが,これはG-Master Hydro Z390 IIの搭載するCPUが8コア8スレッド対応,i7-9700K+RTX 2070の搭載するCPUが4コア8スレッド対応と,前者のほうが定格クロックも最大クロックも高いことからすれば,妥当と言っていいのではなかろうか。

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 GPUとCPU両方の性能がスコアに影響を与える「Combined test」の結果がグラフ4だ。
 ここではスコアにおけるCPU性能の比重が大きいためか,G-Master Hydro Z390 IIとi7-6700K+GTX 980との差は約80%以上にまで広がった。とくにFire Strike“無印”では,両者の開きは約129%にまで達しており,G-Master Hydro Z390 IIの持つ優位性は一目瞭然である。

 G-Master Hydro Z390 IIがi7-9700K+RTX 2070に対して最大約2%のスコア差を付けている点も興味深いところだ。

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 グラフ5は3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」における総合スコアをまとめたものとなる。
 GPU側のDirectX 12最適化度合いがスコアを顕著に左右するテストということもあり,最新世代のRTX 2070を搭載したG-Master Hydro Z390 IIはi7-6700K+GTX 980比で109〜110%程度高い――つまり2倍以上の――スコアを示した。
 一方,G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070とのスコア差は0〜1%程度なので,傾向はFire Strikeからあまり変わっていないと言える。

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 Time Spyの総合スコアからGPUテストのスコアを抜き出したものがグラフ6となる。
 CPU性能の違いをできる限り配したテストにおいて,G-Master Hydro Z390 IIはi7-6700K+GTX 980に対して114〜120%程度も高いスコアを示した。一方,G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070との間にあるスコア差は約1%なので,こちらは総合スコアを踏襲する結果が出ていることになる。

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 次にグラフ7はCPUテストの結果を抜き出したものだが,Fire Strikeと同じく,G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070はCPUとCPUクーラーが同じためスコアが横並びとなった。
 G-Master Hydro Z390 IIはi7-6700K+GTX 980とでは,58〜78%程度ものギャップが開いている。

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 では,実際のゲームだとどうだろうか。グラフ8〜10は「Far Cry 5」のテスト結果となる。
 平均フレームレートを見る限り,G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070との間にスコア差はほとんどない。しかし,最小フレームレートでは最大で約2%の違いが生じているので,ここに簡易液冷GPUクーラーのメリットを見出すことができる可能性もありそうだ。

 i7-6700K+GTX 980に対しては平均フレームレートで95〜105%程度のスコア差を示しているため,ほぼ2倍とまとめてしまっていいだろう。レギュレーション22.1では平均フレームレート60fpsをハイクラスGPUにおける合格ラインとしているが,G-Master Hydro Z390 II(とi7-9700K+RTX 2070)が解像度2560×1440ドット条件でそのラインを悠々とクリアできているのも印象深い。

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 「Overwatch」の結果がグラフ11〜13になるが,実プレイを伴うだけにスコアは若干ブレ気味だ。総評として,G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070との間に平均フレームレートの明確な違いは認められない。
 最小フレームレートだと前者のほうが0〜1%程度高いものの,これがFar Cry 5と同じ傾向と言えるかは,これだけだと何とも言えないところである。

 なお,i7-6700K+GTX 980に対しては平均フレームレートで75〜97%程度,最小フレームレートで84〜119%程度と,圧倒的なスコア差を付けている。

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 面白い結果になったのが,スコアをグラフ14〜16にまとめたPUBGである。というのも,ハイクラス以上のGPUにおける合格ラインとレギュレーションが規定する平均100fps,最小80fpsを2560×1440ドット条件で超えられているのがG-Master Hydro Z390 IIだけだからだ。
 もちろん,PUBGのテストでも実プレイを伴うため,スコアにブレが生じうる。よって,このスコアをもって直ちにG-Master Hydro Z390 IIの採用する簡易液冷GPUクーラーの影響だと言うことはできない。しかし,1920×1080ドット条件においてもG-Master Hydro Z390 IIがi7-9700K+RTX 2070に対して最小フレームレートで約4%高いスコアを示している以上,現実的なフレームレートが出る解像度条件において,簡易液冷GPUクーラーがPUBGの最小フレームレートにプラスの影響を与えている可能性が(Far Cry 5やOverwatchと同様かそれ以上に)高いとは言えそうである。

 なお,i7-6700K+GTX 980との比較だと,平均フレームレートで41〜68%程度高いスコアだ。「高」プリセットだとGTX 980は1920×1080ドットでも最小フレームレートは70fps台前半に落ち込むところが,G-Master Hydro Z390 IIであれば120fps超というのはインパクトが大きい。

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 グラフ17〜19におけるテスト結果は,G-Master Hydro Z390 IIにとって良好そのものである。平均フレームレートでi7-9700K+RTX 2070に対して3〜5%程度,i7-6700K+GTX 980に対して77〜85%程度高いスコアを示し,最小フレームレートでも比較対象に対して順に3〜5%程度,78〜83%程度ものギャップを築いている。
 今回のテスト条件においてG-Master Hydro Z390 IIだけが1920×1080ドットで最小100fps超えを果たした点も押さえておきたい。

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 「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)のテスト結果は,Far Cry 5およびOverwatchと似たものになった(グラフ20〜22)。G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070はほぼ同じスコアながら,レギュレーションが規定する合格ラインである最小30fpsを超えられる条件だと,前者のほうが後者より1〜2%程度高いスコアだ。

 i7-6700K+GTX 980との比較だと,最小フレームレートは74〜109%程度高い。3840×2160ドットでスコア差が大きく開くのは,Shadow of Warのテストにあたって高解像度テクスチャパックを適用しており,グラフィックスメモリ負荷が高くなっていることと,GTX 980のグラフィックスメモリ容量が4GBでRTX 2070の半分であることが影響しているためと考えられる。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものがグラフ23である。
 G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070のスコア差は最大で約1%,i7-6700K+GTX 980に対するスコア差は62〜88%程度なので,ざっくりまとめるなら,3DMarkのFire Strikeに近いスコア傾向と言えるだろう。

 G-Master Hydro Z390 IIは2560×1440ドットで実スコア5桁を大きく上回っており,「2560×1440ドットがターゲットのGPU」を搭載するメリットを感じさせている。

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 グラフ24〜26はFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均および最小フレームレートをまとめたものだ。平均フレームレートは総合スコアを踏襲する形となっている一方で,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチの場合,最小フレームレートはCPU性能の影響を大きく受けるため,G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070とではほとんど違いがなくなっている。
 i7-6700K+GTX 980に対しては平均フレームレートで62〜82%程度と,総合スコアを踏襲した大差となった。

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 「Project CARS 2」の結果がグラフ27〜29となるが,平均フレームレートだとG-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070とのスコア差は0〜1%程度ながら,最小フレームレートでは2〜5%と有意な違いが出ているので,その意味ではPUBGに似た傾向が出ているとまとめられそうだ。
 対i7-6700K+GTX 980だと平均フレームレートで82〜101%程度高いスコアなので,ここでも格の違いは明白と言える。

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CPU性能も十分に高く,8コアを活かせる局面では従来製品を圧倒


 G-Master Hydro Z390 IIが持つ,ゲーム以外の性能も簡単にチェックしていこう。
 まずはCINEBENCH R15である。今回のテストではCPUコアとスレッドを使い切る「CPU」(以下,総合スコア)と,1コア1スレッドの性能を見る「CPU(Single Core)」,2つのテストを実行した。

 その結果はグラフ30のとおりだ。G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070とではCPUどころかグラフィックスカード以外のハードウェアが共通となるため,スコアも当然ながら横並びになる。
 それを踏まえてi7-6700K+GTX 980との比較だが,1コア1スレッド性能だと約16%高いスコアを示すG-Master Hydro Z390 IIが,総合スコアではその差を約73%にまで広げた。コアあたりの動作クロックが上がり,物理コア数が2倍になった効果が出ているわけだ。

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 次にPCMark 8の実行結果がグラフ31となる。PCMark 8では,無料版である「Basic Edition」でも実行できる「Home」テストにおいて,OpenCLのアクセラレーションを利用しない「Run Conventional」を実行している。
 その結果がグラフ31だ。ここでもi7-6700K+GTX 980との比較を行っていくが,G-Master Hydro Z390 IIは約13%高いスコアを示した。

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 表2はそんなPCMark 8のスコア詳細をまとめたものだが,これを見ると,G-Master Hydro Z390 IIは「Video Chat v2/Video Chat encoding v2」と「Casual Gaming」とで比較対象を圧倒しているのが分かる。後者はGPU性能の比較なので,CPUコア数が有効になるトランスコードの性能でスコアを稼いだとまとめられるだろう。

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 CPUテストの最後は,いま話題に出たトランスコードだ。
 今回は,FFXIV紅蓮のリベレーターを実際にプレイした,6分42秒にわたるビットレート149Mbps,解像度1920×1080ドットのMotion JPEGムービーを用意し,FFmpegから,「libx264」を用いてH.264/AVC形式,あるいは「libx265」を用いてH.265/HEVC形式へそれぞれトランスコードしたときの所要時間を測定することになる。

 結果はグラフ32のとおり。i7-6700K+GTX 980に対し,G-Master Hydro Z390 IIはH.264/AVCで約16%,H.265/HEVCで約76%早く処理を終えている。とくに,H.265/HEVCで20分以上というスコア差はなかなかのインパクトだ。

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i7-9700K+RTX 2070よりも若干低い消費電力。液冷クーラーの冷却性能と静音性は申し分なし


 G-Master Hydro Z390 IIの消費電力もチェックしておきたい。消費電力の測定にあたっては,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いて,システム全体のそれを計測し,比較することにした。
 今回はゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,電源プラン設定を「バランス」に戻し,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果がグラフ33だ。
 ゲームアプリケーション実行時で比べると,G-Master Hydro Z390 IIはi7-6700K+GTX 980と比べて66〜118W高い数字を示す一方,i7-9700K+RTX 2070と比べると2〜13W低いスコアを示した。おそらく,G-Master Hydro Z390 IIの採用するRTX 2070搭載カードの消費電力がFounders Editionよりも低いのだろう。

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 2基の簡易液冷クーラーを搭載するG-Master Hydro Z390 IIでCPUとGPUの温度がどの程度にまとまっているのかも気になるところだ。そこで今回は,3DMarkのTime Spyを30分間連続実行した時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,CPUは「Core Temp」(Version 1.13),GPUは「GPU-Z」(Version 2.18.0)からそれぞれ温度を取得してみることにした。
 テスト時の室温は約24℃。G-Master Hydro Z390 IIと比較対象のデスクトップPCはどちらも床から約0.7mのところにある机上に置いての検証となる。ただし,比較対象機のほうはPCケースに組み込んでいない,いわゆるバラック状態となる点に注意してほしい。

 さて,まずCPUのほうからだが,グラフ34を見てもらうと分かるように,G-Master Hydro Z390 IIは高負荷時でも60℃台前半と,かなり低めのスコアを示した。

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 GPUのほうはグラフ35だが,ここではG-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070の差に注目してほしい。空冷のFounders Editionが高負荷時では70℃を超えてしまっているのに対して,液冷クーラーを採用したG-Master Hydro Z390 IIは50℃台半ばと,圧倒的な違いだ。

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 ここまでのテスト結果から,G-Master Hydro Z390 IIでは,簡易液冷GPUクーラーを搭載することでGPUの温度を低めに抑え,それによってブーストクロックを高め,最小フレームレートの底上げを実現できていると言えるわけだが,実際にはどのような挙動になっているのだろうか。G-Master Hydro Z390 IIとi7-9700K+RTX 2070とで,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ実行中におけるGPUの温度とGPUコアクロックの推移をGPU-Zから追ってみることにした。

 結果がグラフ36,37である。まず温度から見ていくと,i7-9700K+RTX 2070が60〜70℃台で推移しているのに対して,G-Master Hydro Z390 IIは最高でも60℃未満という,グラフ35の結果を踏襲するものになっている。
 また,動作クロックのほうだと,G-Master Hydro Z390 IIのほうが若干ではあるが,確かに高いクロックで推移しているのが分かるだろう。これが最小フレームレートを下支えする要因と考えるのが自然であり,簡易液冷GPUクーラーを採用するメリットの1つはここにあるとまとめることができそうだ。

※いずれのグラフ画像もクリックすると横に引き伸ばした拡大版を表示します
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 最後にG-Master Hydro Z390 IIの動作音も確認しておこう。今回はG-Master Hydro Z390 IIの左側面パネルに正対する形で約0.3m離したところへカメラを置き,アイドル状態で約1分間放置した後,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチを約4分間実行したときの様子を,合計約5分の動画にまとめている。

 下に示したのがその動画だが,最初の1分間はアイドル時で,聞こえるのは環境音と,ケースファンやラジエータに装着されたファンの動作音である。そして,1分後にベンチマークを実行しても,その動作音はあまり大きくならず,ベンチマーク実行3分後(=ファイル冒頭から4分後)でも音量自体はあまり変わっていない。
 このあたりは,さすが2基のプロセッサをいずれも簡易液冷クーラーで冷却しているだけのことはある印象だ。静音性に関して,G-Master Hydro Z390 IIが優れていることに疑いの余地はない。



静音性がとにかく圧倒的。ハードウェアの完成度も高いG-Master Hydroは「買い」のゲームPCだ


 例によって長くなったが,まとめよう。
 正直に言うと,簡易液冷GPUクーラーの採用で,もう少しブーストクロックは景気がよい結果になると思ったので,その点では若干の肩透かし感がある。ただ,実際にG-Master Hydro Z390 IIを使ってみて最もインパクトが大きかったのは,その静かさのほうだ。上で示した動画でもイメージしてもらえると思うが,「RTX 2070というハイクラスGPU,そして8コア8スレッド対応のCPUを搭載するPC」としては,尋常でなく静かなのである。

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 一般に,このクラスのスペックを持つゲームPCは,机の下に“追いやる”ことで多少なりとも騒音対策とするのが一般的だが,G-Master Hydro Z390 IIであれば,机上でディスプレイの近くに置いても,うるささを感じることなく使えてしまう。「光るゲームPCを中心に据えたデスク環境」の構築自由度という観点において,G-Master Hydro Z390 IIの静かさというのは,極めて大きなメリットを生むはずである。
 自作PC市場で実績あるPCケースの立て付けが文句なしに良好で,机上へ設置したときにみすぼらしい思いをしなくていいのもよい。そしてもちろん,肝心要の3D性能も,バトロワ系タイトルはもちろんのこと,それ以外のタイトルをプレイするうえで申し分ないレベルだ。

 今回の構成でBTO価格は29万5550円(税込)というのは決して安価ではなく,「安さ」が武器のブランドから選べば同じ予算でGeForce RTX 2080搭載モデルを選ぶことも不可能ではない。たしかにその点は押さえておく必要があるとも思うが,なら,その安価なゲームPCでG-Master Hydro Z390 IIほど静かなゲーム環境が得られるかどうかというところは,ぜひ考えてみてほしいと思う。

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 ただ単にスペックが高い「だけ」ではない,本当に使いやすいデスクトップ型ゲームPCを探している人にとって,G-Master Hydro Z390 IIは間違いなく有力な選択肢だと言える。

サイコムでG-Master Hydro Z390 IIを購入する

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