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[G-Star 2012]「マビノギ2」のコンセプトはゲームセンター? プロデューサーにどのようなゲームになるのかを聞いてみた
今回,短い時間ではあるが,G-Star 2012の会場にて,マビノギ2の開発監督/プロデューサーを務めるNexon devCAT studio キム・ドンゴン氏にインタビューする機会を得た。氏は,マビノギ2だけでなく,マビノギシリーズすべてに関わってきた人物だが,いったい本作をどのようなゲームにしようとしているのか。さっそく内容をお届けしよう。
本日はよろしくお願いします。キムさんは,マビノギシリーズ,そしてマビノギ2にどういった立場で関わっているのでしょうか。
キム・ドンゴン氏(以下,キム氏):
現在はマビノギ2に注力していますが,「マビノギ」「マビノギ英雄伝」と,シリーズすべての作品にプロデューサーとして関わってきました。マビノギ2の役職でいえば,開発監督兼プロデューサーといったところになります。
4Gamer:
マビノギシリーズすべてにおけるキーパーソンというわけですね。では,ストレートに聞いてしまいますが,本作は何をコンセプトにしたゲームなのでしょうか。前作とは大きく雰囲気が変わっていて,発表されたときは驚いたのですが。
キム氏:
一番に考えているのは,ゲームをプレイする以外にも楽しむ方法がある,ということですね。その大きなポイントになるのが,ほかのプレイヤーのプレイを観戦する機能を盛り込んでいることです。イメージしているのはゲームセンターなんですけど。
4Gamer:
対戦中のプレイヤーの後ろの観客が集まって見守っているような?
キム氏:
そうです。プレイ中に見られていることから緊張感が生まれたり,あるいは見ている側が自分も遊びたくなったり,アドバイスしたくなったり。お互いが良い相互作用を与えてコミュニティを活性化させていけるような仕組みを作りたいんです。
4Gamer:
ものすごく難しいコンテンツに挑戦するスーパープレイ的なものを見られたりすると楽しそうですね。
キム氏:
ハイエンド向けコンテンツも,いろいろと用意する予定はありますよ。
4Gamer:
観戦者側は,プレイ中の人に何か介入できるんですか?
キム氏:
チャットで話したり,アイテムを使ってあげたり,蘇生してあげたりといった感じで介入できます。プレイ中に乱入なんてこともできるようにする予定です。一方で,観戦されている側も,多くの人に見られているとレアアイテムが手に入りやすくなったりなど,お互いが得になる関係にできればと考えています。
4Gamer:
ところで,発表資料を見ると本作のジャンルは「MMO-ARENA」とされていますよね。これは今お話しいただいた観戦要素からきているのだと思いますが,そういったゲームなら,なぜ「マビノギ2」という扱いなのでしょう。前作とはゲーム性が大きく異なっているように見えるだけでなく,どちらかというとマビノギ英雄伝が連想されるので,私を含めて多くの人が,「これは『マビノギ英雄伝2』ではないのか」と感じているように思うのですが。
キム氏:
それは,マビノギ2があくまでMMOを目指して作られているからです。マビノギ英雄伝はMOアクションとして作りましたので,外伝的な立ち位置としていますが,マビノギ2は前作と同じファンタジーの世界観を共有したMMOとして開発を進めています。我々のタイトル付けの方針として,MMOの規模で作られたものにはナンバリングを付けることにしていますので。
4Gamer:
ただ,「2」と言われるからには,これまでのマビノギファンからすると,どうしても前作のパワーアップ版みたいなものを期待してしますよね。そこで,あえて方向性の大きく違うタイトルにナンバリングを付けるのが意外です。
キム氏:
そこは,我々が「新しいものを作る」ことを開発方針に掲げているからですね。ジャンルをMMORPGにしていないこともそうなのですが,これまでになかったようなまったく新しいゲームにしたいと考えています。仮に,もし「マビノギ3」を作るとしたら,これまでのものとはまた違ったものになるでしょう。初代マビノギのコンテンツで遊び方を限定するのではなく,同じ世界観でさまざまな遊び方を提供したいのです。
Arenaはサブタイトル。今後もさまざまなアプローチを用意
4Gamer:
やはり前作とは相当違ったものになるということですね。前作のファンからすれば,例えば,生活系のコンテンツは2にも存在してほしいと考えるのではないでしょうか。そういった要素は引き継がれないんですか?
キム氏:
まったく同じものを引き継ぐつもりはないですね。オンラインゲームの場合,続編が出たからといって,前作のサービスが終了してしまうわけではありませんから,むしろ同じものを作ってしまうと,逆に裏切られたような印象を受ける人も出てきてしまいます。
4Gamer:
なるほど。
キム氏:
とはいえ,期待されていることも理解していますので,そこはプレイヤーのニーズ次第でしょうか。実を言うと,タイトルの「Arena」はあくまでサブタイトルで,今後は「Tower」「World」と続いていく計画があるんです。
4Gamer:
え,タイトルが発表されたばかりなのに,そこまで情報を出してしまっていいんですか(笑)。ということは,観戦要素,キムさんの言葉を借りればゲームセンター的な要素というものは,あくまでマビノギ2の最初のアプローチであって,その後もいろいろと追加されていくということになるのでしょうか。
キム氏:
そうですね。例えばTowerは,塔を上っていくようなコンテンツを予定しているのですが,誰が何層まで進んだとか,まだ見ぬ階層に挑戦するとか,それを見ている人達がプレイしている人のさらなる攻略に期待するとか,また新しいゲームプレイ要素を提供する予定です。なので,最初のArenaでは戦闘中心のコンテンツを提供して,そのあとはプレイヤーの動向を見て考えていくことになると思いますよ。
4Gamer:
分かりました。前作で好評だった要素でいえば,アバター面は本作でも相当力が入っている印象を受けたのですが。マビノギのようなデフォルメ感はなくなりましたけど,衣類は可愛らしく作られていますし,一見リアルタッチのキャラクターも実は親しみやすそうな感じですし。
キム氏:
そうですね。キャラクターをカスタマイズして自分で飾れるという点は,本作でも重要視しています。衣装の色変更機能などももちろん入れるつもりです。
4Gamer:
マビノギ英雄伝では,キャラクターは固定でしたよね。マビノギ2の場合,オリジナルのキャラクタークリエイトはできるんですか?
キム氏:
できますよ。プレイアブル版では,プリセットのキャラクターを選択する形にさせていただきましたけど。
4Gamer:
マビノギのようなパーツを選択するスタイルでしょうか。
キム氏:
顔の形や体型を変更できたりと,もっと細かくなる予定です。アバター面では,よりパワーアップしたものをお見せできると思いますよ。
4Gamer:
個人的な興味で聞いてみたいのですが,あの一見リアル系に見えて,微妙にデフォルメを加えたようなキャラクターデザインは,どういった理由で採用したものなのでしょう。思っていた以上に女性キャラクターが可愛かったりして,少し驚いたのですが。
個人的に,あまりリアルタッチにしすぎると,感情移入しにくいと思うんですよ。ある程度デフォルメしたほうが,自分のキャラクターという感覚を持てるのではと。
4Gamer:
確かに。自分で脳内補完する余地みたいなものがあると,愛着が湧きやすいかもしれません。そういう意味では,マビノギのキャラクター表現は非常に優れていたと思うんですよ。ああいった感じで,マビノギ2もキャラクターに愛着が持てるゲームになることを期待しています。
少人数でのダンジョン攻略だけでなく,大人数でのボス戦や数十人規模のPvPなども予定
4Gamer:
現在公開されている部分って,見るからにMOっぽいですよね。しかし,話ではあくまでMMOということにこだわっているということで,どういった意味でMMOになるのかという点が気になるのですが。
キム氏:
そこは,現段階ではこれまでのMMORPGとは違う,新しい何かになるとだけ言っておきます。今公開しているバージョンがMO的な見せ方なのは,数多くのモンスターを次々に倒していくスタイルのほうが,アクションの面白さが伝わりやすいからですね。
4Gamer:
ただ,そこがマビノギ英雄伝ではないかという印象を与えてしまっているポイントでもありますよね。戦闘のコンテンツは,プレイアブル版のような少人数で行うものがメインになるのでしょうか。
キム氏:
いえ,大人数で敵に挑むものや,数十人規模のPvPなども用意されます。先にお話ししたとおり,観戦して楽しめるものを作りたいので,コンテンツやシチュエーションはいろいろと考えていますよ。例えばPvPであれば,個人戦やチーム戦などのルールの異なる対戦,プロモーションムービーのような,巨大なゴーレムに乗って戦うミッション,バラエティー番組のような面白いものなどですね。
マビノギ英雄伝は,ハードコアなアクションとして作っていますが,マビノギ2はそうではなく,もっといろいろな人が楽しめるタイトルにしていきます。
4Gamer:
それにしては,操作が難しくないですか。プレイアブル版は,操作がキーボードのみで完結するようになっていましたよね。あれをデフォルトの操作として持ってくるのは珍しいと思いますし,操作量を考えるとかなり忙しくて,ここは一つのハードルになってしまいそうです。なぜ,あえてキーボードだけで操作させる形になっているんですか?
キム氏:
これからは,オンラインゲームをプレイするにあたって,デスクトップPCではなくノートPCが主流になっていくと思うんです。ですから,カジュアルな遊び方に対応するには,マウスを使わないで操作ができる形がいいかなと。
4Gamer:
なるほど。
キム氏:
もちろん,マウスを使った操作やゲームパッドを使った操作もできるようにしますし,操作周りはまだ調整段階なので,ここは今後のフィードバック次第ですね。
4Gamer:
公開は2013年とのことですが,現在の開発の進行度はどのぐらいになるのでしょう。
キム氏:
システム的には70〜80%ぐらいは作り終わっています。ただ,コンテンツを作るのはこれからなので,鋭意開発中です。
繰り返しになってしまいますが,我々はマビノギ2でゲームセンターのような楽しさを作り出したいと思っています。今の韓国では,ゲームセンターではなく家庭でゲームをプレイするような形が主流になりましたが,ゲームセンターに集まって遊んだ思い出を,マビノギ2で再現したいのです。その想いを実現すべく,マビノギの世界観を共有しつつ,これまでにないまったく新しいゲームにしますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
MMO-ARENAがどういった面で「MMO」と呼ばれるような規模になるのかという点は,実をいうとはぐらかされてしまったので,現段階ではゲームの全景は見えないのだが,何か変わったものになっているのは間違いないだろう。2013年のサービス開始,その後に控えているはずの日本サービスが楽しみである。
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