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「A10-7870K」を試す。GPUクロックが上がった「Kaveri Refresh」で,ゲーム性能はどれだけ上がったか
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印刷2015/06/01 13:01

レビュー

GPUクロックが上がった「Kaveri Refresh」で,ゲーム性能はどれだけ上がったか

A10-7870K with Radeon R7 Graphics

Text by 米田 聡


A10-7870Kの製品ボックス
画像集 No.002のサムネイル画像 / 「A10-7870K」を試す。GPUクロックが上がった「Kaveri Refresh」で,ゲーム性能はどれだけ上がったか
 既報のとおり,5月28日にAMDは,AMD A-Series APUの新モデルとなるデスクトップPC向けプロセッサ「A10-7870K with Radeon R7 Graphics(以下,A10-7870K)を発表,同日に発売した。2014年1月に登場した「A10-7850K with Radeon R7 Graphics」(以下,A10-7850K)のクロックアップ版という位置付けの製品である。

 「Godavari」(ゴダヴァリ)という開発コードネームで呼ばれることもあるA10-7870Kだが,この名称は本来,AMD内で使うコードネームであり,対外的な名称は,以前から呼ばれていた「Kaveri Refresh」(カヴェリ リフレッシュ)なのだそうだ。
 そんなA10-7870Kは,スペックどおりの性能向上を実現しているのだろうか。本稿ではA10-7870KがAPU最上位モデルとして魅力的な性能を持つかどうか,ベンチマークテストを通じて検証してみたい。なお,A10-7870Kの概要は,発表時のレポート記事に詳しくあるので,未読の人はそちらも合わせて参照してほしい。

AMD,「A10-7870K」を発表。Godavariと呼ばれていた新型APUは1万9000円弱で発売に



GPU性能の向上を重視したクロックアップモデル


 まずは,A10-7870Kの概要を簡単におさらいしておこう。A10-7870Kは既存のFM2+プラットフォームに対応するAPUで,A10シリーズでは最上位の製品である。米国でのメーカー想定売価は129.99ドルで,この値段なら意欲的な価格設定といっていい。ただ,国内での価格は1万7480円(税別)とされているので,値ごろ感がかなり減ってしまうのは残念なところか。

A10-7870Kの表面(左)と裏面(右)。従来のKaveriと同じFM2+プラットフォームに対応するため,パッケージ形状やピン配置も変わっていない。
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 主なスペックは表1にまとめたとおりだが,CPUコアに「Steamroller Module」を2基(CPUコア 4基),GPUコアには「Graphics Core Next」アーキテクチャに基づく演算ユニット8基の「Radeon R7 Series」を統合したAPUという基本的な構成は,A10-7850Kとまったく変わっていない。

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 KaveriのRefresh(刷新)というからには,何らかの改良が加えられている可能性はあるのだが,AMDの資料でA10-7870KとA10-7850Kの違いを探しても,動作クロックの違いしか見当たらなかった。
 まずCPUコアは,定格動作クロックがA10-7850Kの3.7GHzから3.9GHzへと5.4%向上,Turbo CORE有効時の最大動作クロックは,4.0GHzから4.1GHzと,2.5%の向上を実現している。
 それ以上に大きく向上しているのが,GPUコアの動作クロックだ。A10-7850Kの720MHzからA10-7870Kでは866MHzと,約20%もの向上を果たしたという。それにも関わらず,TDPの公称値はA10-7850Kと変わらない95Wを維持している点も注目すべきところだろう。
 A10-7850KとA10-7870Kは,モデルナンバー末尾に「K」が付いたアンロック版のAPUであり,どちらもユーザーによるオーバークロックが可能である。しかし,A10-7850Kでは,GPUコアのオーバークロックはあまりできない傾向にあった(関連記事)。A10-7870KでGPUの動作クロックを大きく上げてきたということは,製造プロセスの改良や半導体のクリティカルパスを見直すといった,設計面の改良が加えられているのかもしれない。

左はA10-7870Kを「CPU-Z version 1.72」で表示した状態で,右は「GPU-Z 0.8.2」で表示した状態である
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 AMDから借用した,A10-7870Kの実物をチェックしてみよう。製品ボックスには,APU本体とリテールクーラーが入っていた。このリテールクーラーは,A10-7850Kに付属していたアルミ合金製よりも大型のものだ。ヒートシンク部分は,銅の合金製と思われるプレートから4本のヒートパイプを使ってフィンに熱を拡散させるもので,アルミ合金製のリテールクーラーよりも冷却効率は高そうに思える。
 ファンを除いたクーラー部分のサイズは,クーラー上部が実測で60×92mmで,APUに接する底部は70mm四方だった。高さは50mm。これに70mm角のファンが取り付けられている。

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A10-7870Kに入ってるのは,APU本体と新しいリテールクーラー,バッジシールが同梱されていた
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リテールクーラーはプレートとヒートパイプが銅製になり,A10-7850K付属品よりも冷えそうだ

 コストのかかったクーラーが付属しているということは,スペック上のTDPが変わらないとしても実際の消費電力や発熱がやや大きめなのだろうか,と思ってしまう。実際の消費電力がどの程度になるのかは,テストで検証してみる必要がありそうだ。


比較対象にはA10-7850Kを用意


 それではテストのセットアップに入ろう。
 今回はA10-7870Kの比較対象として,A10-7850Kを用意した。A10-7850Kは前編後編の2回に分けて詳細なテストを行っているので,相対的な評価の指標にしやすいと思う。

A88X-PRO
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ASUSコールセンター
TEL 0800-123-2787,0570-783-886(平日 9:00〜18:00,土日 9:00〜17:00)
実勢価格:1万5000円前後(2015年6月1日現在)
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 マザーボードは,ASUSTeK Computerから「A88X-PRO」をお借りした。AMD A88Xチップセットを採用したSocket FM2+対応のATXマザーボードで,BIOS 1902以降でA10-7870Kに対応している。A88X-PROに限らず,多くのSocket FM2+対応マザーボードは,BIOSアップデートでA10-7870Kに対応してくると思われるため,既存のプラットフォームをそのままで,新APUにアップグレードできるのは利点といえよう。

 メモリモジュールには,PC3-19200対応のRadeon Memory「Radeon R9 GAMER SERIES R938G2401U1K」(4GB×2枚)を2セットの計16GB分を用意した。AMDプロファイルによってDDR3-2400の設定での動作が保証された,Radeonブランドのメモリモジュールだ。今回は,A10-7870KとA10-7850Kどちらも,DDR3-2400の設定で利用した。

Catalyst 14.502.1028のバージョン情報
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 グラフィックス機能は,当然ながらAPU内蔵機能を利用するのだが,AMDはA10-7870K対応のグラフィックスドライバとして,「Catalyst 14.502」以降を使用するように指定している。今回は,レビュアー向けに配布された「Catalyst 14.502.1028」を使用した。

 なお,今回は実使用環境に近づけることを考慮して,AMDの自動クロックアップ機能であるTurbo COREは,オンの状態ですべてのテストを実行している。アーキテクチャ自体は変更がないことと,実使用における性能がどの程度上がるのかが重要という理由によるものだ。テスト機材の一覧は表2にまとめたとおり。

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SandraでCPUの性能向上具合を確認


 通常のテストなら,4Gamerベンチマークレギュレーションに準じたグラフィックス関連テストから始めるところだが,今回はPC情報表示ツール兼ベンチマーク「Sandra 2015.SP2」(Version 21.34)を使った,CPU性能のテストから始めることにした。テスト結果から特徴的なところを抜き出して,クロックアップ分の性能向上が確認できるかをチェックするためだ。

 最初のテストであるグラフ1は,CPUの演算性能を見る「Processor Arithmetic」に属する3種類のテスト結果である。SSEを使って整数演算を行う「Drystone Integer Native SSE4.2」では,A10-7870KはA10-7850Kに対して,5%程度の性能向上が見られた。その一方で,AVXを利用するWhetstoneでは,単精度浮動小数点演算(Single-Float),倍精度浮動小数点演算(Double-Float)ともに誤差程度の差しかない。

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 マルチメディア系演算の性能を見る「Processor Multi-Media」テストでも,AVX使用時に性能が向上しない傾向が見られた。
 グラフ2は,Processor Multi-Mediaに含まれる「Integer Native x16 AVX」と「Long-int Native x8 AVX」を抜き出したものだ。どちらもAVX命令を使って整数演算を行うテストなのだが,A10-7870KはA10-7850Kと比べて,1〜2%程度しかスコアが向上していなかった。

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 一方,グラフ3はProcessor Multi-Mediaの中から,「Quad-int Native x1 ALU」の結果を抜き出したものだ。このテストは整数演算用のALUを用いた処理速度を計測するもので,A10-7850K比で5%ほどスコアが上昇している。

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 これらの結果からは,ALUを使うか,SSEやAVXを使うかによって,処理性能の向上幅にバラつきがあることが読み取れる。ただ,この結果から「AVXが遅い」と即断をするのは危険だろう。今回はTurbo COREが有効の状態でテストしている点も考慮に入れる必要があるためだ。Turbo COREは,負荷や消費電力,発熱状況に応じて,動的に動作クロックを変更させる機能であるため,テストの内容によって,動作クロックの上がり方が異なった可能性があることを念頭に置く必要があると思う。
 いずれにしても,A10-7870KのCPUコアは,A10-7850Kに対して,おおむね1〜5%程度は性能が向上しているわけで,動作クロックの上昇分に見合った性能向上を得られているといえそうだ。

 続いては,キャッシュとメインメモリの帯域幅を容量帯ごとに見る「Cache and Memory」の結果をグラフ4に示す。グラフ画像をクリックすると,詳細スコアをまとめた表3が表示される。
 L2キャッシュに収まる4MB以下のデータサイズでは,A10-7850K比で4〜8%という帯域幅の向上を見せているのが興味深い。Turbo COREによる動作クロック変動の影響以上の差があるので,もしかしたらA10-7870Kでは,キャッシュ周りに何らかの改良が加えられたのかもしれない。
 一方,16MB以上のブロックサイズでは,A10-7850K比で96〜98%程度のスコアにとどまっており,A10-7870Kのほうがわずかだが帯域幅が狭いという結果になっているのが気になるところだ。キャッシュだけでなく,メモリコントローラにも何らかの変更が加えられているのだろうか。

※グラフ画像をクリックすると,スコアの詳細がまとまった表3を表示します
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 最後にGPGPU処理の性能も見ておこう。グラフ5は,OpenCLを使ってシェーダの演算性能を見る「GP(GPU/CPU/APU) Processing」の総合スコアである「Aggregate Shader Performance」の結果だ。こちらは順当すぎるもので,A10-7850K比でぴったり約20%向上と,GPU動作クロックの向上分に等しい向上が確認できた。

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 以上の結果をまとめると,A10-7870KはA10-7850Kと比べて,CPUコア性能が1〜5%程度向上,GPUコア性能はクロック上昇分どおり20%程度向上しているとみてよさそうだ。
 その一方で,キャッシュ周りは改良が加えられた可能性があるほか,メモリコントローラにも何らかの変更が加えられた結果,若干だがメモリ帯域幅が低下している可能性があることも分かった。これを踏まえて,グラフィックスのテストに進むとしよう。


設定を低くする必要はあるが,テストした3タイトルを十分にプレイ可能


 今回は4Gamerのベンチマークレギュレーション16.0から,「3DMark」(Version 1.5.893),「Battlefield 4」(以下,BF4),「GRID Autosport」を選択した。基本的な設定は,ベンチマークレギュレーション16.0に準拠しているが,テスト対象の製品がローエンド〜エントリー市場向けに属することを考慮して,解像度は1280×720ドットと1600×900ドットの2つを選択している。また,GRID Autosportはレギュレーションどおりでは負荷が高いので,いくつかの設定を下げた特別設定を用いていることをお断りしておく。
 また,レギュレーション16.0にある「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」に代えて,今回は「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルドベンチ)も使用することにした。

 では,3DMarkの結果から見ていこう。グラフ6は,「Fire Strike」と「Fire Strike Extreme」プリセットの総合スコアをまとめたものだ。
 A10-7850Kと比べると,A10-7870Kのスコアは,Fire Strikeで9.6%,Fire Strike Extremeでは12.7%も高い結果となっている。絶対的なスコアは高くないが,APUとしては優秀といっていい。GPU動作クロックが向上した結果とみていいだろう。

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 グラフ7,8は個別のスコアをまとめたものだが,GPU動作クロックの向上が性能にも反映されていることを裏付けるデータが出ている。Fire Strikeの結果を見ると,GPU性能の比重が大きい「Graphics Score」は10%ほど向上しているのに対して,CPU性能が物を言う「Physics Score」では,わずか2.5%の向上に留まるといった具合だ。2.5%といえば,CPUコア最大動作クロックの差に等しく,その意味でも納得のスコアといったところだろうか。
 一方,Fire Strike Extremeでは,Graphics Scoreが14.6%の向上を見せたのに対して,Physics scoreはほぼ変わらずという結果となっている。

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 続いて,BF4の結果をまとめたのがグラフ9と10だ。負荷が軽い「エントリー設定」では,解像度1280×720ドットでA10-7850Kと比べて約6%,1600×900ドットで約4.6%のフレームレート向上を確認できた。「標準設定」では,1280×720ドットと1600×900ドットのどちらも,A10-7850K比で約6%ほどフレームレートが向上している。
 GPU動作クロックの向上から考えると,小さな伸びにとどまっているのが意外だが,BF4はCPU負荷が比較的高いタイトルなので,CPU側がネックとなってしまった可能性はある。
 エントリー設定の1280×720ドット時には,平均フレームレートが50fps弱となっているので,何とかゲームができる程度の性能はあるようだ。だが,それ以上の設定や解像度でプレイするのは厳しい,というのが実情だろうか。

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 グラフ11,12は,FFXIV蒼天のイシュガルドベンチの結果をまとめたものだ。今回はDirectX 11モードを使用し,「標準品質(デスクトップPC)」(以下,標準品質)と「最高品質」のプリセットでテストを行った。グラフをクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示するようにしてあるので,興味のある人はそちらもチェックしてほしい。
 標準品質では,どちらの解像度も約3%の伸びに留まった。一方で,最高品質におけるフレームレートは,A10-7850Kと比べて1280×720ドットで7.4%,1600×900ドットでは8.4%の向上を示している。負荷が高いテストほど性能の向上度合いが高いというのは,3DMarkと共通する傾向だ。

※いずれもグラフ画像をクリックすると平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 標準品質のフレームレートを確認すると,1280×720ドットでは40fps弱という結果となっており,A10-7870Kはプレイ可能な水準をクリアしている。ベンチマークプログラムの判定結果も「とても快適」であった。しかし,1600×900ドットでは27fps程度にとどまる。判定結果は「快適」となったが,これで快適にプレイできるかといえば,少々きついだろう。
 一方の最高品質では,どの解像度でもプレイは厳しい。とくに1600×900ドットでは,プレイ不可を意味する「設定変更を推奨」という判定となってしまった。A10-7870Kでプレイするなら,標準品質の1280×720ドット程度にするのが得策だ。

 次なるは,GRID Autosportのテストとなる。先述したとおり,レギュレーション16.0準拠の設定ではプレイ可能なフレームレートが出ないので,今回は,「VIDEO MODE」設定で「マルチサンプリング」をオフ,「プリセット選択」設定で「ハイ」プリセットを選択して,「品質 - 高度」設定にある「異方向性フィルタリング」をオフという特別な設定でテストを実施した。

GRID Autosportの設定例。「VIDEO MODE」設定でマルチサンプリングをオフに(左),プリセット選択は「ハイ」を選び,異方向性フィルタリングをオフにしている(右)
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 テスト結果はグラフ13のとおり。A10-7850K比で,1280×720ドットでは約8%,1600×900ドットでは約8.7%のフレームレート向上を確認できた。BF4やFFXIV蒼天のイシュガルドベンチよりも向上率がやや高いので,GRID AutosportはGPU性能重視のタイトルといえるかもしれない。負荷が高いテストほど性能の向上率が高いという傾向は,GRID Autosportでも高解像度のほうが向上率も高いという形で現れている。
 A10-7870Kでは,1280×720ドットなら60fpsに迫るフレームレートが得られているので,十分にプレイできる水準の性能を備えるといえるだろう。

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 これらのテスト結果を大雑把にまとめると,A10-7870KはA10-7850Kと比べて,実ゲームにおいて4〜8%程度のフレームレート向上が期待できそうだ。BF4にFFXIV蒼天のイシュガルドベンチ,GRID Autosportというタイプの異なる3タイトルで,グラフィックス品質の設定こそ低めにしておく必要があるものの,プレイできる程度のフレームレートをクリアしている点は評価に値すると思われる。


動作クロック向上に合わせて消費電力も順当に増加


 最後に消費電力の変化も確認してみよう。ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみた。
 テストにあたっては,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したときに記録した,最大の消費電力を各タイトルごとの消費電力として採用した。結果はグラフ14のとおり。

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 3DMark実行時の消費電力は,A10-7850K比で3%程度の上昇に留まったものの,BF4やFFXIV蒼天のイシュガルドベンチ,GRID Autosportの実行時には,11〜12%の上昇と,1割を超える消費電力増加を記録した。CPUとGPUの動作クロックが上がった分だけ,消費電力も相応に伸びているというわけで,順当といえば順当だがちょっと残念でもある。

 ただ,アイドル時の消費電力がA10-7850Kと変わらなかったことは,評価してもいいだろう。今回は,コントロールパネルの「電源管理」設定で「高パフォーマンス」を選択して,CPUコアが定格動作クロック以下には落ちない状態で使っていたので,アイドル時でもCPU動作クロックには5.4%程度の差があるはずだ。その状態で消費電力には悪影響を与えていないというのは,大したものではないだろうか。


A10-7850Kに代わるハイエンドモデルとして順当な性能を備える


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 というわけでテスト結果を見てきたが,A10-7870Kはいずれのテストでも,スペックから想像できる程度の性能向上は実現していることが分かった。改めて言うまでもないが,A10-7850Kとの差は大きくなく,A10-7850Kのユーザーがわざわざ乗り換えるような製品ではない。

 だが,A10-7850Kに代わるKaveri世代APUの最上位モデルとしては,順当な性能を持つAPUであることは確かだ。APU単体でそれなりの性能を持つゲームPCを構築したいというなら,A10-7870Kは,選ぶ価値のある製品といえるのではないだろうか。

AMD公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    AMD A-Series(Kaveri)

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