プレイレポート
「バイオハザード6」体験版プレイレポートを掲載。3人の主人公でコンセプトが異なる“恐怖”を味わえ,オンラインCo-opも可能
今回は,「バイオハザード6」(Xbox 360 / PS3)発売日(2012年10月4日)を待ちきれない筆者によるXbox 360体験版のプレイレポートをお伝えしよう。なお,内容にはネタバレも含まれるので,あらかじめご了承いただきたい。
「バイオハザード6」公式サイト
「バイオハザード6」では,レオン・S・ケネディとクリス・レッドフィールドというシリーズの2大看板が初共演を飾るだけでなく,ジェイク・ミューラーという第3の主人公が加わっている。これら3人の主人公のストーリーをたどっていくことで,全世界規模で巻き起こっている事件の真相に迫っていく,という流れだ。
また,各シナリオの要所要所で主人公達が出会い,物語が交差するという“クロスオーバー”が本作の大きな特徴の一つとなっている。なおクロスオーバーのシーンでは,オンラインに接続した他プレイヤーが操作するキャラクターと最大4人でのマルチプレイが可能だ。
体験版では,レオン/クリス/ジェイクという3人分のシナリオをそれぞれ楽しめる。体験版には残念ながらクロスオーバーの要素は実装されていないものの,各シナリオでオンラインでの2人協力プレイも可能だ。
なお,体験版は6月30日/7月1日に開催されたイベント「カプコンサマージャム」で試遊できたバージョン(関連記事)とは異なっており,3人の主人公とそのパートナー,合計6人をプレイヤーキャラクターとして選べるようになっている。
レオン・S・ケネディ |
ヘレナ・ハーパー |
クリス・レッドフィールド |
ピアーズ・ニヴァンス |
ジェイク・ミューラー |
シェリー・バーキン |
「バイオハザード6」体験版のダウンロード方法は少々特殊なので,先に説明しておこう。まず,Xbox LIVE マーケット プレースにサインインして,「Dragon's Dogma」パッケージ内に記載されている“ご利用コード”を入力し,「BIOHAZARD 6 体験版 Download Key」をダウンロードする。
そのあと,Xbox LIVEにサインインした状態で「Dragon's Dogma」のゲームを起動すると,メインメニューに「BIOHAZARD 6 DEMO」という項目が増えているので,それを選択すると,体験版をダウンロードできる。なお,「バイオハザード6」体験版の容量は約840MBだ。
また,カメラ視点は「バイオハザード4」「バイオハザード5」同様,“ビハインドカメラ”を基本としているが,カメラ視点変更は,キャラクターを中心に上下左右を見渡せるフリーカメラ形式になっている。
操作関連での新要素としては,移動しながら射撃ができるようになったり,いつでも格闘攻撃を繰り出せたりと,「バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ」に近いものになった点が挙げられる。
とくに格闘攻撃については,敵をひるませなくても繰り出せるため,射撃/ナイフ攻撃を起点とするコンボ攻撃の一環だった過去シリーズの格闘攻撃とは,一線を画すものになった。ただし格闘攻撃は,繰り出すたびに“フィジカルコンバットゲージ”を消費する(※ゲージは時間経過とともに回復する)ので,無限に繰り出すことはできないようになっている。
ほかにも,スライディング/スライディング中の射撃,構え状態からの緊急回避,カバーアクションなどが行えるようになっており,アクションの種類はかなり多彩という印象だ。
また,「バイオハザード6」では,シリーズおなじみの回復アイテムであるハーブをタブレット(錠剤)化し,それをタブレットケースにセットして使うようになった。なお,タブレットはワンボタンで即座に使用できるようになっている。
そのほか,本作のメニュー画面のインタフェースは,過去シリーズの作品から大幅に変化している。キャラクターが所持するPDAの画面という設定で,3人の主人公それぞれでデザインが異なっているのだ。とはいえ,体力ゲージ/フィジカルコンバットゲージ/残弾数/ハーブのストック数といった重要な情報の表示方法は,全キャラクター共通となっている。
なお「バイオハザード6」では,今までのシリーズ以上にフィールドが広くなるため,目的地までの距離を表示するガジェットも用意されているが,これはオプションで非表示にすることも可能だ。
三者三様の“恐怖”――レオン篇のコンセプトは“探索する恐怖”
先に書いておくと,本作では3人の主人公それぞれで“サバイバルホラー”のコンセプトが異なっている。本作のエグゼクティブプロデューサーである小林裕幸氏は,7月1日に開催されたカプコンサマージャムのステージイベントで,レオンは探索型の恐怖,クリスは集団が襲われて一人また一人と減っていく恐怖,ジェイクはクリーチャーに追われる恐怖を描いていると述べていた(関連記事)。
体験版でも,そのコンセプトをしっかりと味わえたので,以降,レオン篇/クリス篇/ジェイク篇の順に,その内容を紹介していこう。
「バイオハザード6」は,あのラクーンシティの事件から10数年後となる2013年が舞台となる。
大統領直轄エージェントであるレオンは,大統領とともに,とある大学を訪れていた。大統領は,その大学で行われる講演で,ラクーンシティで起きた事件の真相を公表しようと決意していたのだが,会場で大規模なバイオテロが発生してしまう――というのが,体験版のプロローグだ。
構内は視界が悪いうえに,柱時計が鳴る音や雷鳴,突然の物音など,お化け屋敷というか肝試しのような演出が随所に仕込まれている。また,狭い廊下や曲がり角は懐中電灯(ヘッドライト)の明かりでかろうじて先が見える程度で,その“見通しの悪さ”が緊張感をいっそう高め,プレイヤーを刺激するのだ。
その後,レオン達は,娘のリズを探しているという大学職員の男性と接触し,一緒にリズを探すことになる。リズを見つけたあとは,構内から脱出すべく地下駐車場を目指すのだが,ゾンビの大群に襲われてしまう。
レオン篇に登場するゾンビは,いわゆる“生ける死体”らしいゾンビで,動きもそれほど速くはない。単体ではそれほど脅威ではないが,弾丸数が限られているため,考えなしに発砲しているとすぐに弾が尽きてしまう。
ただ,先述した格闘攻撃が単独で出せるため,うまく立ち回れば十分生き残れるという印象だ。とはいえ,フィジカルコンバットゲージには限りがあるため,格闘攻撃を際限なく繰り出せるわけでもない。格闘攻撃だけで乗り切ることはできないので,このあたりは“行動が制限される”バランスがうまく取れているといった感じだ。
レオン篇の前半は探索が中心となるため,構えることなく瞬時に発砲できる“クイックショット”や,ダッシュからのスライディングといった新アクションを試す機会はあまりないが,後半は一転して,突如襲い掛かってくるゾンビとの戦闘が増えるなど,静と動のコントラストがはっきりしている。
また,映画「ゾンビ」(原題「Dawn of the Dead」)のオマージュと思われる演出や,ゾンビ関連のQTE(クイック・タイム・イベント)的な演出など,びっくりさせられる要素もあり,ホラー感たっぷりといった感じである。
エグゼクティブプロデューサーの小林氏は,2012年1月20日の発表会で,角を曲がるときの恐さやドアを開ける際の不安を感じてもらいたいと話していたが,体験版のレオン篇は,そのコンセプトがしっかりと感じられるものになっていた。
クリス篇では,新クリーチャー“ジュアヴォ”や新しい舞台となる中国を体験可能
体験版のプロローグは,とあるバーで泥酔したクリスが,対バイオテロ部隊・BSAA(Bioterrorism Security Assessment Alliance)の隊員であるピアーズ・ニヴァンスと出会うシーンから始まる。余談だが,ピアーズは週刊少年チャンピオンで連載中の漫画「バイオハザード〜マルハワデザイア〜」にも登場している。
クリス篇では,雑居ビルが立ち並ぶフィールドをBSAAの隊員達とともに進んでいくことになる。先述したように本作ではカバーアクションが使えるため,遮蔽物に隠れながらの激しい銃撃戦を行えるなど,アクション性の高さを意識した内容になっている。
体験版では,クリス達の行く手を数多くのB.O.W.(生物兵器)が阻むのだが,中でも,新たに登場するクリーチャーである「ジュアヴォ」は要注意だ。ジュアヴォは,仲間同士で意思疎通を図ったり,マシンガンのような武器を使いこなしたりと,思考能力の高さをうかがわせる手強いクリーチャーだ。しかも,再生能力が驚異的に高く,ダメージを与えるとさらに変異し,人ならざる異形の姿になって襲い掛かってくるのだ。
移動しながらの銃撃/リロード,方向キーによる武器/アイテムの切り替えなど,スピーディな対応が求められるため,一瞬の迷いも許されないスリリングな展開が繰り広げられる。
また,格闘攻撃は,任意のタイミングで出せるだけでなく,タイミング良くボタンを押すことで,敵の近接攻撃にカウンターを入れられるのも見逃せないポイントだ。アクションゲームが得意でない筆者は,過去作品で格闘攻撃を出せずにやきもきすることも多々あったのだが,「バイオハザード6」ではより直感的にアクションが出せるようになったのは嬉しいところだ。
格闘戦では,敵の頭を壁に叩き付けたり,クリーチャーの部位を引きちぎったりと,シチュエーションに応じたダイナミックな演出があるため,見応えも十分。腕に自信のある人は,さまざまな状況で格闘攻撃を試してみてほしい。
体験版をプレイした限り,クリス篇で弾丸が足りないと感じるような場面はなかったが,たいがいの敵とは格闘攻撃だけでも十分に戦えるので,弱い敵は格闘攻撃で倒して弾丸を温存するというような戦い方も,製品版では有効になりそうだ。
なお,クリス篇のフィールドはかなり地形が入り組んでいるが,本作では目的地を示す“ルートガイド”機能があり,目的地の方向とその距離が画面に表示されるため,複雑な地形でも行き先が分からない状況にはなりにくい。筆者のような方向音痴のプレイヤーにとってはありがたい配慮だ。
またクリス篇では,パートナーのピアーズと別行動したり,連携が求められるイベントシーンが用意されていたりする。先述したように,本体験版ではパートナーもプレイアブルキャラクターとして操作可能なので,ピアーズでプレイすれば,クリスとは異なる視点のイベントも楽しめるというわけだ。
本稿では,クリス篇のアクション性の高さを中心に取り上げてきたが,恐怖の演出がないのかと言えば,もちろんそんなことはない。以前「こちら」の記事で取り上げたように,クリス篇の恐怖のコンセプトは,「仲間が減っていく恐怖」にあると,小林氏が語っている。
体験版でも,クリス(プレイヤー)に直接降りかかる恐怖ではないが,“仲間の死”に対して非常に敏感なクリスの心をじわりじわりと浸食していく恐怖を感じ取れるようになっているので,プレイするときには注目してほしい。
ジェイク篇のコンセプトは“追われる恐怖”。頼もしくなったシェリーにも注目
体験版では,ジェイクとシェリーが出会ったあと,突如現れる巨大なB.O.W.“ウスタナク”の追跡から逃れるシーンから操作可能となる。
いきなりウスタナクに追いかけられるシーンから始まるのだが,ウスタナクには攻撃が効く気配がなく,捕まるとゲームオーバーとなってしまうので,まずはひたすら逃げるしかない。ジェイク篇のコンセプトである“巨大なクリーチャーに追われる恐怖”(関連記事)は,「バイオハザード3 LAST ESCAPE」を彷彿させるものだ。
なおジェイクは,ほかの主人公2人と異なり,装備に「素手」という項目がある。素手の状態であれば,フィジカルコンバットゲージの消費なしに格闘攻撃を出し続けられる。
だったらずっと格闘で戦えばいいじゃないかと思う人もいるかもしれないが,ウスタナクは素手で倒せる気がしないほど強く,銃器に頼らないと心もとない。さらに,ウスタナクに追いかけられるうえにジュアヴォなどのクリーチャーにも襲われるという感じで,息をつく暇もなく追い立てられるため,ゆっくり探索して弾薬を探している暇がないのだ。そのため,弾薬が切れて格闘攻撃で戦わざるを得ないシチュエーションも往々にして出てくる,といった感じなのである。
レオン篇やクリス篇同様,ジェイク篇でもパートナー(シェリー)を操作することが可能なので,彼女の勇姿を体験版でぜひ確認してほしい。
執拗にジェイクとシェリーを追いかけてくるウスタナクに捕まると,へたをすれば即死してしまう。ギリギリの緊張感の中,あらゆる手を尽くして生き延びるというのは,レオン篇やクリス篇とは違うスリリングな展開といえる。焦って操作ミスをして,何度死んでしまったことか……。
体験版のレポートは以上で終了となる。記事内で述べたとおり,「バイオハザード6」の目玉の一つである,3人の主人公それぞれでコンセプトの異なる恐怖や,進化したアクションを十分堪能できる内容となっているのが,お分かりいただけただろうか。
本作のディレクターである佐々木栄一郎氏は,“最高のホラーエンタテインメント”を目指して開発中だと,バイオハザードシリーズ生誕15周年記念イベントでコメントしていたが,体験版をプレイして,筆者にはその思いがひしひしと伝わってきた。
体験版でプレイできる内容は,当然ながらゲーム全体のごく一部ではあるが,グラフィックスの圧倒的な表現力やアクション性の進化など,シリーズ最新作にふさわしい“大作”の匂いは十分感じ取れる。惜しむらくは,プレイ中にティアリングが散見される点だが,これは開発中のタイトルということもあるので,製品版で解消されることに期待したい。
ちなみに,E3 2012における本作のプレゼンテーションで聞いた話では,「バイオハザード6」のキャンペーンモードは,それぞれのボリュームが「バイオハザード5」の7〜8割ほどもあるそうである。
つまり,3つのキャンペーンを合計すれば,少なく見積もっても「5」の2倍以上ある計算になるわけだ。また,製品版では本作最大の特徴である“クロスオーバー”要素も用意されているため,今回の体験版をプレイしても,楽しみが削がれるようなことはないといっていいだろう。
本体験版は,「Dragon's Dogma」を持っていないとダウンロードできないので,誰でもプレイできるものではないが,3人の主人公のシナリオやオンラインCo-opなど,プレイしないのはもったいないといえるほどのボリュームだ。Xbox 360版の「Dragon's Dogma」を持っている人は,ぜひダウンロードしてほしい。
なお,PS3版「バイオハザード6」体験版の配信日は9月4日予定なので,PS3版の「Dragon's Dogma」を持っている人は,配信日を楽しみに待とう。
「バイオハザード6」公式サイト
スクリーンショット集
※ネタバレ色が強いものも含まれるので閲覧注意。キーワード
(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.
(C)CAPCOM CO., LTD. 2012 ALL RIGHTS RESERVED.
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