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PS Vitaにソーシャルパワーを呼びこむ「みんなといっしょ」。フレンドを増やすという目的から次のステップへ
4Gamer読者の多くは,PlayStation 3やPSP,PlayStation Vita(以下,PS Vita)で利用されている“PlayStation Network”(以下,PSN)はご存じだと思う。だが,ゲームやコンテンツのダウンロード以外で積極的に利用しているという人は,意外に少ないのではないだろうか。PS Vitaの無料ゲームコンテンツ「みんなといっしょ」は,そんなPSNの現状にテコを入れるために作られたのだという。
「みんなといっしょ」公式サイト
フレンド作りをゲームにした「みんなといっしょ」
「みんなといっしょ」は,PS Vitaユーザーなら誰でも無料でプレイできるタイトルだ。ローンチタイトルとして配信するにあたり,「PS Vitaの日本市場を活性化させるようなタイトルを作る」というミッションが課せられたと伴氏は語る。
市場を活性化させる方法はいろいろあると思われるが,伴氏が目を付けたのがPSNの“Networkフレンド”という機能だ。PlayStationシリーズのユーザーならご存じだろうが,PSNではほかのプレイヤーをフレンドとして登録でき,登録しておくとフレンドとのコミュニケーションや一緒にゲームをプレイするときの招待が容易になる。
だが,このNetworkフレンドの機能があまり活用されていない状況だったという。伴氏自身「改めて調べてみると(フレンドが)2人しかいなかった」そうだ。
PS Vitaの大きな売りの一つにコミュニケーション機能が挙げられるが,それは「フレンドの機能が利用されないことにはお話にならない」(伴氏)。そこでそのテコ入れとして,この「みんなといっしょ」が企画されたわけだ。
Networkフレンドがなぜ活用されないのか? 伴氏は,登録方法が分かりにくい,そもそも登録しなくても困らない,知らない人とフレンドを結ぶのはハードルが高いという3つの問題点を挙げ,これらを解決する機能を「みんなといっしょ」に盛り込んだと説明する。
例えばPlayStation 3では,プレイヤー情報はクロスバーメニューに一覧で表示されるだけだったが,「みんなといっしょ」では情報がキャラクター化されている。
「キャラ化することによって,これからフレンド申請する人は人間だよというイメージを持たせるようにした」(伴氏)そうで,さらフレンド申請を,名刺を渡すという行動に変えることで具体的なイメージを持たせる工夫も。これにより,登録方法が分かりにくいという問題の解消が図られたわけだ。
キャラ化にあたっては,Twitterとの連携が図られており,Twitterのアイコンをキャラの顔にできるのも特徴の一つ。「ふだんから見慣れた顔がキャラクタになる」(伴氏)ことで,より身近な感じが出せるよう工夫したと伴氏は語っていた。
そして最大の問題,そもそも登録しなくても不都合がないという点に関してだ。多くのオンライン対応タイトルは,フレンド以外ともマッチングできるため,フレンドを増やさなくても十分に遊ぶことができる。そこで,フレンドの登録をゲームの目的にしたわけだ。
このように,さまざまな工夫を盛り込んだ結果,2012年1月にはフレンド数100人を達成したプレイヤーが登場。さらに平均的なフレンドの数も順調に伸びているという。Networkフレンドを活用してもらおうという「みんなといっしょ」の目的は,かなりの成功を収めているようだ。
みんなといっしょver2.0ではフレンドの質も重要に
伴氏は「みんなといっしょ」のアクセス状況を示す面白いデータを提示してくれた。ほかのタイプのゲームにも応用できそうなデータなので順に紹介してみたい。
まずは,男女比に関してだ。これはなんとなく想像できると思うが,現状では男性が8割を占めているという。会場で示されたグラフにはスタートから比率もほとんど変わっていないことが読み取れた。もっと女性に遊んでほしいと伴氏は語っていたが,女性の比率を上げるにはPS Vitaのさらなる普及が必要となりそうだ。
次に滞在時間の推移が紹介された。グラフを見るとスタート以降,プレイ時間は徐々に減っている。しかし,これは「みんなといっしょ」はそもそもプレイ時間が10分以内で済むゲームデザインになっているためで,プレイしている人数そのものは,あまり増減していないそうだ。
そして肝心のフレンド数は,先に述べたように開始1か月で100人を達成するプレイヤーが現れ,また50%のプレイヤーは20人以上のフレンドを獲得するという伸びを見せたという。
伴氏は最後に3月29日からスタートする「みんなといっしょver2.0」の概要を紹介した。その内容は,新たにフレンド2人と共に遊べる「ダンジョン」が新設され,Twitterに加えFacebookとの連携機能が新たに追加されるというものだ。
この「みんなといっしょver2.0」ついて伴氏は,「フレンドの量と共に質も重要になる要素を入れた」と語る。フレンドの「質」と言われると,プレイヤー個人の良し悪しをイメージしてしまうが,ここで言う「質」は,フレンドとどう遊ぶのか,どんなフレンドがいま必要なのかといった,フレンドとの遊び方(の質)を指しているものだろう。
ちなみに,筆者はGDC 2012でもPS Vita系の開発セッションに参加しているが,そこでもPS Vitaのネットワークコミュニケーション機能やソーシャル機能が強調されていた。しかし,ソーシャルゲームに関してはPCやスマートフォンが先行している現状がある。
既存ソーシャルと対抗するために,まずNetworkフレンドを充実させる必要があり,それがこの「みんなといっしょ」の企画へとつながったのだろう。「みんなといっしょ」シリーズだけでなく,Networkフレンドを上手く使ったゲームタイトルの充実にも期待したい。
「みんなといっしょ」公式サイト
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