インタビュー
「ソウルワーカー」始動! より快適に生まれ変わった“アニメチックアクションRPG”の新要素について運営スタッフに聞いてみた
今回は,ソウルワーカーが正式サービスに向けて歩んできた道を振り返りつつ,エクストラクローズドβテスト以降に導入される新要素についてまとめてみたい。また,NHN ハンゲームのソウルワーカーチームの石 民帝(ソク ミンジェ)氏と鶴野誠亮氏から,改修された要素と今後の展開について聞くことができたので,こちらも併せて紹介していこう。
テストを重ねるごとにさまざまな改修が行われてきたソウルワーカーの歩み
ことの始まりは2012年,韓国の新興デベロッパLion Games制作のソウルワーカーが韓国ゲーム業界で注目を集めたことだ(関連記事)。NHN ハンゲーム(旧NHN Japan)は,同年に日本国内独占提供契約を締結。その後,3年ほど音沙汰がなかったが,2015年7月にNHN PlayArtによって999名限定の「ワールドプレミアテスト」が実施された。もともと日本市場を意識したアニメ調のデザインのゲームだったわけだが,韓国産のゲームが日本で先行テストを行うというのは相当稀なケースである。
ワールドプレミアテスト以降,8月に1次クローズドβテスト,12月に全国統一大規模負荷テストと段階的にテストを行い,ソウルワーカーは着実にサービスへ向けた調整を行っている。
ソク氏に当時のことを聞いてみると,「最初はとにかく日本のプレイヤーにご指摘いただいた部分が多かった」という。クライアントが不安定で強制終了が頻発してしまう状況だったのが主な要因であるが,ほかにもアクションがもっさりしていて楽しくない,アイテムが拾うのが面倒など,テスターからは数多くの意見が寄せらていたようだ。
従来のタイトルの場合,多少問題があっても,オープンβ,そして正式サービスへとすぐに移行してしまうことも多いのだが,ソウルワーカーではテスターの意見を反映しつつ,さらなる調整を行うことになった。
調整箇所としては,まずゲームプレイ中に強制終了が頻発する問題への対応として,データの読み込み範囲を絞って負荷を軽減させる方法を試したという。そうこうしているうちにメモリリーク箇所の特定と対策に成功し,クライアントの安定性は格段に向上したとのこと。
さらにPCのスペックから最適なグラフィックスのオプションに調整する機能も搭載した。これによって,スペックが足りずに強制終了してしまう事例は減ることだろう。ソク氏によると「メモリを極力使わないよう工夫しつつ,引き続き軽量化に取り組む必要がある」とのことで,正式サービスまでには,さらに安定した動作でゲームを楽しめるようになるはずだ。
ゲーム内容については,「疲労度システム」によるゲームプレイの制限に関してプレイヤーから多くの意見が寄せられたようだ。ゲームの根幹に疲労度システムが組み込まれていることもあって,疲労度システムそのものを取り払うことは難しいようだが,週間単位で余った疲労度を繰り越していけるように変更することで,週末だけがっつりプレイするような人でも満足感を得られるような調整が行われている。
また,本作はゲームパッドも対応しているが,以前のテストでは初期で割り当てられたキーが変更できないなど不便な点が目立っていた。この点に関しては,キーバインドできるような改善が行われ,使用できるコントローラの種類も増えている。対応メーカーについては,利用状況から対応範囲を拡大していくよう検討していくとのこと。
テスターに「もっさりしている」と評されたアクションは,スピード感が出るようギリギリまで調整を行っているという。具体的には,ダッシュ時に一部スキルを発動可能になり,スキルの連携を途中でキャンセルして別の行動に移れるようにもなった。通常攻撃速度も調整された分,操作の難度は少々上がったが,その分爽快感が増し,キャラクターを動かしているだけでも楽しめるようになったのではないだろうか。
もう一つバトルのテンポを悪くしている要因となっていたのが,ドロップアイテムをいちいち手動で回収しなければならいことである。これもテスターからの意見を汲んで,アイテムの近くに移動するだけで自動で回収できるような新たな機能が追加された。
上記で挙げた要素以外にもさまざまな改修作業が行われており,ソウルワーカーが持つアクションゲームとしての楽しさを快適な環境でプレイできるようになった。実際,2016年3月18日から行われた「エクストラクローズドβテスト」で改修後のソウルワーカーをプレイすることができたが,ステージの攻略,ストーリー共に小気味よく進めることができるようになっていた。
エクストラクローズドβテスト以降の新規コンテンツを紹介
続いて,エクストラクローズドβテスト以降で新しく導入されたコンテンツを,ソク氏の解説を交えつつ紹介していこう。
既存の「メイズ」とは違った形のダンジョンとして,ほかのプレイヤーと協力してバトルを行うコンテンツとして「第6区域」が公開された。メイズはMOタイプで少人数のパーティで挑むことになるが,この第6区域はMMOフィールドともいえる場所となっていて,数十人の規模のプレイヤーが一堂に会することになる。
入場にレベル制限はないが,内部のモンスターはレベルキャップである55レベルのモンスターだらけの危険な場所だ。いわゆるエンドコンテンツであり,上位装備の素材などを入手するために通うことになりそうだ。
本作ではレベルに合わせて拠点をどんどん移動していくことになるが,4番めの拠点として「ルインフォートレス」がオープンβテストから実装される。
見た目は堅強な要塞都市といった感じで,レベルでいうと40から55まで留まることになる。メイズは7種(35Eposode)追加され,専用のクエストを通じて新たに2種類のサポーター「ルーシー」と「パニッシャーZ:C」を獲得できるとのこと。
常にサポーターを出しておくのはバランス的にどうなのかといった意見もあったようだが,成長区間のメイズではソロプレイをする人も多いということを考慮し,常時4人体制で戦う仕様に決定したようだ。
サポーターには犬やゴミ箱(中身はハイディンガーという学者崩れの変人)など,一風変わったものもいて,バフスキルはプレイヤーとサポーターのどちらにも適用されることからバトルはかなり賑やかになりそうだ。また,アイテムを装備させたり,プレイヤーの近くに呼び寄せるることができたりとサポーター関連の機能も充実している。
ルインフォートレスからは,ストーリーに絡む新しいキャラクター“ニアソウルワーカー”と呼ばれる4人が登場する。人の姿形をした彼らは敵なのか味方なのか。新しい街で展開されるメインストーリーも楽しみだ。ちなみに,エノックは大阪弁でしゃべるのが特徴で,関西出身の声優さんにお願いしたのだとか。
なお,制限時間内に特定の場所に移動するとか,オブジェクトを守りながら戦うといった通常のメイズにはないようなギミックが盛り込まれているのが特徴で,オペレーターの音声をヒントに,さまざまなミッションを突破していくことになる。
カジュアルレイド:ラストカーニバルの最後に待つボスは, ワールドプレミアテストでも登場した道化師エドガーの強化版である「マッドエドガー」だ。これを撃破すれば,上位装備の素材が手に入るとのこと。
裏方としてタイトルを支える運営チームの2人に新規要素と正式サービス以降の話を聞いてみた
4Gamer:
最初に,エクストラクローズドβテストで実装された第6区域についてお聞きします。大勢のプレイヤーが集まって戦うコンテンツということでしたが,見どころはどこになりますか?
ソク氏:
4Gamer:
その巨大モンスターを倒せばクリアになると思うのですが,宝箱から出たアイテムはクリアしないと入手できないのでしょうか。
ソク氏:
いえ,宝箱のアイテムはその場で手に入るので,クリアしなくても持ち帰ることができます。ただ,アクティブな敵が数多く襲い掛かってくるので,低レベルのキャラクターがアイテムだけ回収して逃げるのは困難ですね。また,ボスモンスターの攻撃範囲が広く,宝箱周辺にいると巻き込まれてしまう危険性もあります。
4Gamer:
なるほど。そのボスモンスターは,やはり相当強いんでしょうね。
鶴野氏:
ソク氏:
実は,ここは韓国ではPvPゾーンにしようと考えていた場所で,モンスターだけでなくほかのプレイヤーとも戦う必要がありました。ですが,日本でのサービス展開をするにあたって,そうしたPvP要素を排除するべきだと考え直し,協力プレイが主体のPvEゾーンに変更いたしました。
4Gamer:
PvP専用のエリアにしてしまうと,より良いアイテムを得ることが目的の場所ですから,競技的なPvPではなく,PKに近い戦いが行われそうです。そうなると,確かに日本には合わないかもしれませんね。ちなみに,第6区域には制限時間はありますか?
鶴野氏:
制限時間はなく,24時間いつでも開いている状態です。
ソク氏:
ここは経験値を入手することができないエリアになっていますし,メイズに比べて桁外れに強い装備が出るというわけでもないので,あくまで攻略自体を楽しんでもらうことが目的となります。
4Gamer:
分かりました。ほかに新しい追加要素などはありますか。
ソク氏:
「Sコイン」というシステムをオープンβテストから導入します。これはログイン報酬やデイリーミッションなどで入手できます。
4Gamer:
集めるとどんなアイテムが手に入るのでしょうか?
ソク氏:
ハンコインとは別の通貨扱いですが,キャッシュアイテムと交換することもできます。例えば,装備を強化するときの保護アイテムなどですね。
鶴野氏:
Sコインでしか購入できないアイテムもあります……下着なんですが(笑)。
ソク氏:
キャッシュショップでも販売していないオリジナルの下着です。能力は何も付いていないのです,趣味のアイテムにはなります。
4Gamer:
下着は……こだわっているんですね(笑)。
ソク氏:
プレイヤーの皆さんからの声も少なからずありましたので(笑)。それに関連して,というわけではないのですが,マイルーム関連の機能もアップデートしました。
4Gamer:
マイルームは,好きな家具を自由に配置できたりして評判も上々でしたよね。
ソク氏:
鶴野氏:
以前はお風呂しかなかった家具の演出もいくつか追加しました。
ソク氏:
ここで下着の話とつながるのですが,購入した下着がシャワールームで確認できるようになりました。お風呂だと下着はよく見えないのですが,新しく追加したシャワールームだとより形状や色を確認できるかと思います。
ほかにも床や壁などの内装系のアイテムも実装し,家具などに対するモーションを追加しました。家具を配置するためのユーザーインタフェースも使いやすくしています。
4Gamer:
これまでもジャンプしたり頑張って下から覗いたりすると,下着を確認できたりしましたが,自然な形で確認できるようになる,と。
部屋の外に庭がありますが,こちらには何か新しい仕掛けなどはありますか?
ソク氏:
今後のアップデートになりますが,コミュニティ系のコンテンツを庭に導入する予定があります。マイルームはまだまだ伸び代のあるコンテンツですので,これからの機能拡張をお待ちください。
鶴野氏:
4Gamer:
ブラウザやスマホのアプリなどで見られるカードゲームにおける合成の要領ですね。何段階まで進化させられるのでしょうか?
鶴野氏:
現状ですと3段階まで進化できます。
4Gamer:
カードの入手方法も教えてください。
ソク氏:
ゲームをプレイしていると何も描かれていない“空のカード”が手に入ります。これにモンスターそれぞれがドロップするキーアイテムを組み合わせることでカードが生成される仕組みです。あとは,Sコインでチケットを買ってガチャの要領でカードの現物を入手することも可能です。
4Gamer:
鶴野氏:
経験値を大量に獲得できる専用のカードもありますし,そこまで大変ではありません。どんどん強化していてもらい,いずれは4段階,5段階と進化の上限を上げていきたいですね。
4Gamer:
こうして見ると,最初のワールドプレミアテストからのたび重なる改修と新要素の追加で大きく変わってきましたね。まだ先の話にはなりますが,正式サービス以降の展開も話せる範囲で教えてください。
ソク氏:
2Dアニメですでに公開していますが,年内には新キャラクターを実装いたします。1人は格闘家タイプの男性キャラです。あともう一人,銃と鈍器を融合した武器を持つ女性キャラも年内に出したいですね。
4Gamer:
銃と鈍器というと,黒髪の女の子ですよね。ビジュアル自体は早い段階で公開されてましたが,人気が出そうです。
ソク氏:
ええ。前人気の高いキャラということもあり,開発チームも気合をいれて制作していますのでお楽しみに。あと,先ほどレイドコンテンツの話をしましたが,こちらは第4弾まで準備していて,毎月新しいものを続々と登場させていく予定です。また,上位のレイドコンテンツや最高難度のレイドコンテンツといったものも導入できると思います。
鶴野氏:
ある程度レイドが出揃ってきたら,同じレイドの別バージョンといいますか,属性の違うレイドを登場させることも考えています。プレイヤーの皆さんを飽きさせることなく,短い間隔で新しいコンテンツを導入していくことが目標です。
4Gamer:
当然,レベルキャップや新エリアの開放,ストーリーの追加なども行われるでしょうから,毎月新しい楽しみが見出せる1年になりそうですね。それでは,最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
鶴野氏:
本当に長い間お待たせしましたが,ようやくソウルワーカーの目指す方向性が定まり,プレイヤーに皆さんにお届けすることができるようになりました。皆様からもらったご意見やご要望を反映させた結果,ゲームとしてかなりよくなってきているなと我々も実感しています。オープンβテストのバージョンをプレイしていただき,さらにプレイヤーの皆さんの声を集め,一緒にソウルワーカーを育てていきたいと思っています。
ソク氏:
世界初のサービスということもあって,慎重にテストを重ねていった結果,ソウルワーカーを楽しみにしていたプレイヤーの皆様には長い期間お待たせすることになってしまいました。その代わりといってはなんですが,皆様からのご意見の多くをゲームに反映させることができたのは幸いです。より良いものを求める姿勢を忘れず,今後も開発に,運営に力を注いでいきますので,末永くソウルワーカーをお楽しみください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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