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賞金総額約32億円の「Fortnite World Cup」大会レポート。会場はフォートナイト一色に。出場した日本人選手の順位は
「Fortnite」公式サイト
「Fortnite World Cup」とは?
まずは「Fortnite World Cup」とはなんぞや? というところから説明したい。
「Fortnite World Cup」は「Fortnite」の開発・運営元であるEpic Games主催のeスポーツ大会だ。4月13日から6月16日までの10週間にわたって開催されたオンライントーナメントを勝ち抜いたプレイヤーたちが,決勝への出場権を得た。
日本が所属するアジアサーバー地域からはソロ7名,デュオ3チーム(6名)の枠が与えられ,日本人プレイヤーではMaufin選手とTAKAMURAMM選手がソロ決勝に,bell選手とScarlet選手がデュオ決勝への進出を決めた。
注目はやはりその賞金額。ソロ,デュオともに1位の賞金は300万ドル(約3億2600万円)だ。また,決勝に出場するだけでも1人あたり5万ドル(約540万円)が最低賞金額として確定している。賞金総額は3000万ドル(約32億6000万円)というまさに夢のような大会なのだ。
開催地は世界最大のテニス専用競技場「アーサー・アッシュ・スタジアム」
そんな「Fortnite World Cup」は,ニューヨーク州ニューヨーク市クイーンズ区にある「アーサー・アッシュ・スタジアム」で開催された。
同スタジアムはテニスの全米オープンが毎年行われており,あの錦織 圭選手が2014年のグランドスラム決勝を戦ったことでも有名だ(残念ながら決勝戦はマリン・チリッチ選手に敗退)。
テニス競技場のスタジアムではあるが,ドーム内には「Fortnite World Cup」専用ステージが設置されており,知らない人が見ればここにテニスコートがあるとはわからないだろう。
とはいえ,やはりテニス専用競技場らしくドーム内の通路にテニス選手の写真が貼ってあったり,ドームまわりには歴代優勝者の紹介パネルが飾ってあったりと,テニス専用競技場らしい雰囲気も楽しめた。
ドーム外ではユーザー参加型のイベントが開催
「Fortnite World Cup」の目玉はもちろん決勝大会そのものだが,ドーム外となる会場周りでもフォートナイトファンに向けたさまざまな催しが行われていた。
とくに会場内のアトラクションをクリアすることでもらえるスタンプを集め,見事4つのスタンプを集めれば限定ピンバッヂをプレゼントというリアルバトルパスシステムには,多くの来場者が挑戦していた。
個人的に面白そうだと感じたのはゲーム内のエモートダンスを真似すると,それを採点してくれるアトラクションと,ゲーム内のゴルフ場レイジーリンクスを再現したパットゴルフだ。
パットゴルフのアトラクションはレイジーリンクスだけに限らずゲーム内の複数のランドマークが再現されており,ファンはクリアのために真剣になりつつも楽しみながらプレイしているようだった。
そのほかグライダーを再現したジップライン,有名YouTuberと一緒に写真撮影ができるブース(YouTube Gamingが主催)もあり,決勝戦以外にもさまざまなお楽しみが用意されていた。
こうした「ファンへのおもてなし」はアトラクションだけにとどまらず,会場内の売店のデザインもゲームと統一。ピザ屋は「Pizza Pit」に,チキンナゲット屋は「Nugget Hut」に,グッズ販売は「Retail Row」,アイス屋は「SoFDeeZ」と,会場はまさに「Fortnite」の世界に染まっていた。
クリエイティブ決勝,日本チームは2位に
「Fortnite World Cup」は3日間にわたって行われる大会で,2日目はデュオ決勝,3日目はソロ決勝が行われる。では1日目の26日は何をするのかというと,2018年12月6日に実装されたクリエイティブモードの決勝だ。
クリエイティブモードの決勝では,Epic Gamesが招待した有名プレイヤー(多くはYouTuberなどのゲーム実況者)と,彼らが出した課題をクリアした一般プレイヤーがチームを組んで試合に挑む。
試合はタワーを占拠した時間で獲得できるスコアを目標値まで溜める「SKYSTATION SHOWDOWN(3マッチ)」,オブジェクトに変身して焼却炉を目指すチームとそれを防ぐチームに分かれて戦う「JUNKYARD JUKE(3マッチ)」,ポイントを集めつつ障害物コースの最速ゴールを目指す「WORLD RUN(3マッチ)」,そしてそれらの難度を高めた「GOLDEN GAMES(3マッチ)」の4セット計12マッチが行われ,セットを一番多く獲得したチームが優勝となる。
「JUNKYARD JUKE」。攻撃側は粗大ごみになって焼却炉を目指す |
防衛側は焼却炉に入られる前に倒す |
クリエイティブモードの決勝では1マッチごとに勝利チームに1万ドルの賞金が配られ,優勝チームには100万ドルの賞金が用意されている。
日本からは招待プレイヤーとしてTomoya(トム)選手(ゲーム実況者,スペイン在住)が選ばれ,トム選手が作成した予選ステージのクリア成績の上位3名とチーム「Funky Fighters」を組んで出場していた。
「Funky Fighters」のメンバー |
勝利者インタビューを受ける「Funky Fighters」 |
「Funky Fighters」は「SKYSTATION SHOWDOWN」の1セットを獲得するも,最終セットの「GOLDEN GAMES」でFaZe ClanのCIZZORZ選手が率いる「Fish Fam」に破れ,2位という結果に終わった。獲得賞金は32万5000ドル(約3500万円)だ。
チャリティイベント「PRO-AM」に三代目 J SOUL BROTHERSのEllyさんが参戦!
クリエイティブモードの決勝後,続いてプロとセレブがデュオで戦う「PRO-AM(プロアマ)」が始まった。
日本からは三代目 J SOUL BROTHERSのEllyさん(セレブ枠)とYouTuberのNECKOKUNさん(プロ枠),モデルのアレクサンダーさん(セレブ枠)とYouTuberのボドカさん(プロ枠)の2チームが参戦した。
Elly×NECKOKUN |
アレクサンダー×ボドカ |
なお,このイベントには人気ストリーマーのNinjaさん(プロ枠)が,ミュージシャンのMarshmelloさん(セレブ枠)とコンビを組んで参戦していたことが話題を呼んでいた。
Ninja×Marshmelloは特別にインタビューされていた |
Ninjaさんは予選となるオンライントーナメントで落ちたためにファンのあいだで残念がる声が挙がっていたが,Epic Gamesが招待するクリエイティブ決勝にも参戦しており,「PRO-AM」の出場とあわせて「Fortnite World Cup」を盛り上げていた。
「PRO-AM」は4マッチが行われた。試合結果としては,スイスのAirwaks選手(プロ枠)とアメリカのDJ,RL GRIMEさん(セレブ枠)が優勝を飾った。Airwaks選手は「E3 2019」で開催された「PRO-AM」でも優勝しており,セレブに勝利をもたらすスゴ腕プレイヤーと言える。
日本チームはElly×NECKOKUNが27位に,アレクサンダー×ボドカが34位という結果におわり,それぞれ賞金2万ドル(約220万円)を獲得した。
デュオ決勝戦に挑むbell選手×Scarlet選手
翌27日は,デュオの決勝戦が行われた。ここで改めて日本から出場するbell選手(プロゲーマーチームCrazy Raccoon所属)とScarlet選手(同)の紹介をしておきたい。
bell選手はシーズン2から「Fortnite」に参戦した15才,高校1年生だ。Scarlet選手はシーズン1からで,こちらは15才だが中学3年生と,どちらもかなり若いことに驚かれるだろう。
しかし,彼らは厳しいオンライントーナメントを突破してきており,そのほかの海外選手も15才前後が多かった。銃撃以外に建築も重要な「Fortnite」のプロシーンは,このあたりの年齢層が活躍しやすいのかもしれない。
2名の選手が使用しているデバイスや設定は次のとおり。
bell選手
- キーボード:ロジクールG Proゲーミング キーボード
- ヘッドフォン:ASTRO Gaming A40
- マウス:Finalmouse Air58
- マウス感度:400dpi
- ゲームX軸:0.100
- ゲームY軸:0.100
- ADS感度:0.500
Scarlet選手
- キーボード:ロジクールG Proゲーミング キーボード
- ヘッドフォン:ASTRO Gaming A40
- マウス:Logicool G PRO Lightspeed WIRELESS
- マウス感度:400dpi
- ゲームX軸:0.120
- ゲームY軸:0.120
- ADS感度:0.400
なお,決勝で注目している選手についてbell選手は「決められない。みんな強い」と答え,Scarlet選手は「プロゲーミングチームCOOLER所属のAqua(アクア)選手」を挙げていた。同選手はエイム力が高く,攻撃をすべて当ててくるのだそうだ。
日本チームは初戦で2位になるも結果は20位に
デュオ決勝は6マッチが行われ,マッチごとに獲得したポイントの合計が競われた。ポイントの計算や最終順位による賞金は次のとおり。
日本チームは初戦で2位,7撃破の14ポイントを獲得するも,その後のマッチで伸び悩み,最終順位は20位という結果に終わった。
デュオ決勝ではストームの中心が移動を始めてからも20チーム以上が残っている状態が普通であり,ここから撃破ポイントを稼ぎつつ,さらに生き残るのは不可能に感じた。だが,それをできるのがプロゲーマーなのだろう。
そんなデュオ決勝戦で優勝を決めたのは,プロゲーミングチームCOOLERに所属するAqua選手とNyhrox選手のチームだ。
デュオ決勝の順位表 |
優勝したAqua×Nyhrox |
Aqua選手のチームはビクトリーロイヤルを2回ももぎ取り,ストームが縮まっていくなかでも果敢に攻めていくプレイスタイルが印象的だった。
ソロ決勝戦に挑むMaufin選手とTAKAMURAMM選手
翌28日はソロの決勝戦が行われた。日本からはMaufin選手(アマチュアチームRiddle所属)とTAKAMURAMM選手(プロゲーミングチームCrazy Raccoon所属)の2名が出場した。
Maufin選手 |
TAKAMURAMM選手 |
Maufin選手はシーズン3から「Fortnite」に参戦した15才,高校1年生だ。TAKAMURAMM選手もシーズン3からであり,こちらも高校1年生だが誕生日が早く16才と,ほかの日本選手たちよりも1つ上だ。
2名の選手が使用しているデバイスや設定は次のとおり。
Maufin選手
- キーボード:HyperX ゲーミングキーボード Alloy FPS Pro
- ヘッドフォン:SteelSeries Arctis 7
- マウス:Logicool G403 ゲーミングマウス
- マウス感度:400dpi
- ゲームX軸:0.160
- ゲームY軸:0.160
- ADS感度:0.500
TAKAMURAMM選手
- キーボード:ロジクールG Proゲーミング キーボード
- ヘッドフォン:ASTRO Gaming A40
- マウス:Logicool G502 HERO
- マウス感度:800dpi
- ゲームX軸:0.071
- ゲームY軸:0.071
- ADS感度:1.000
決勝で注目している選手について,2名の選手はともにイギリスのMongraal選手(モングラール,14才)を挙げていた。「まんべんなくうまい」「全部うまい。弱点が見当たらない」との感想だ。
Mongraal選手は高速でタワーを建てていくモングラール建築で知られている選手であり,ソロでどういった結果を出すのかに注目したい。
安定して上位に入り続けたBugha選手がぶっちぎりで優勝
ソロ決勝も6マッチが行われ,マッチごとに獲得したポイントの合計が競われた。ポイントの計算はデュオと同一,最終順位による賞金は次のとおり。
試合は1マッチ目で9撃破ビクロイを達成し,19ポイントを獲得したBugha(ブーガ)選手がリードを守り切るどころか,その後も差を広げて世界初の「Fortnite」チャンピオンとなった。
優勝したBugha選手 |
息子が3億円獲得してお母さんめちゃくちゃ嬉しそうでした |
日本選手はTAKAMURAMM選手が33位,Maufin選手が91位という結果に終わった。
ソロ決勝もデュオ決勝と同じく,ストームの中心が移動を始めてからも50人以上が残っている状態が普通だった。そのなかでBugha選手は高所を守り,ほかの選手たちが争って数が減っていくのを待っていた。
とくに1マッチ目で大きなリードを作れたため余裕が生まれたのか,その後のマッチでは早めに安全地帯の中心に移動してタワーを建て,倒せるチャンスが来たときに顔を出して攻撃。ストームが狭まり始めてからは高所を守り続けるという流れを繰り返していた。
やや待ちのプレイスタイルではあるものの,ストームが半分ほどの大きさになってからはアグレッシブな動きも見られ,会場を大いに湧かせていた。
今回の決勝では順位ポイントが大きいと捉えられたのか,ボーラーを確保して残り数人になるまで逃げ続ける選手も多くいた。また,シャドーボムを活用してあまり目立たないように動く選手も見られた。
「いかにして下界の戦いに巻き込まれないようにするか」という戦法は順位ポイントを考えると重要ではあるものの,観戦する側が盛り上がるわけではないため今後の課題だと言えるだろう。
そんななかBugha選手は6マッチで23撃破,1試合平均約4撃破の目覚ましい活躍を見せていた。とくにビクトリーロイヤルを飾った1マッチ目では,シャドーボムを逃げだけではなく攻めにも活用するシーンに大歓声が起きていた。
「Fortnite」の世界チャンピオンとなったBugha選手に拍手を送りつつ,来年の世界大会では(もしあれば)より多くの日本人選手に出場権を得て欲しいと思った。Maufin選手,TAKAMURAMM選手がともに2018年3月前後のシーズン3から始めて決勝進出を決めたのだ。これを読んでいるキミが今からプレイを始めれば,来年は2代目「Fortnite」世界チャンピオンかもしれない。
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